太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)

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太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析) Group 3 下条、野澤、岩井、植松、大西

研究目的 太陽フレアにおける粒子加速モデルに関して、観測的に強い制限を与えたい。 コロナ中の磁気リコネクションに基づくフレアモデルにおいて、特にループトップ付近の領域は、リコネクション領域からの輸送における加速・加熱過程とtrap+precipitation過程に関わっており、高エネルギー電子の高さ(時間)方向の分布を知ることは重要である。 そこで、ループトップ電波源(2周波)の高さ を統計的に解析した。

イベント抽出条件 太陽半径の90%以上外側で発生したフレア 電波源のサイズがビームサイズの5倍以上 明るすぎるものは像合成に適さないため使用できなかった。

解析対象(12イベント) Event ID GOES Class Position 19980423_0514 X1.2 S19E85 20000618_0156 X1.0 N20W78 20000716_0202 M5.5 N11E80 20010520_0602 M6.4 S19W85 20011228_0346 M4.7 N96W85 20020310_0135 C5.1 S11E76 20020824_0100 X3.1 S01W73 20020829_0251 M1.6 N09E91 20030615_2344 X1.3 S06E78 20031024_0246 M7.6 S19E69 20040107_0359 M4.5 N02E73 20050727_0457 M3.7 N10E91 20050825_0438 N08E82

内容 GOESと17GHz相関値の時間変化 SOHO EITと34GHzピークの比較 17GHzと34GHzの電波ソース位置比較 GOES,電波各ピーク時とGOES30%時における、17GHzと34GHzの輝度分布の比較 一例として、20050727_0457の結果を紹介する。

GOESと17GHz相関値の時間変化 GOES(軟X線) 17GHz GOESピーク 17GHzピーク GOESピークの30% 横軸:時刻 縦軸:強度 相関値は強度に相当する GOES30%:フレア立ち上がりの意味。 GOES30% では17GHzピークと近すぎるので、10%程度が理想だが、それだとプログラムが立ち上がり前の値を検出する場合がある。

GOES30%時の時刻(04:46)における 17GHzと34GHzの電波ソース位置比較

電波ピーク時刻(04:57)における 17GHzと34GHzの電波ソース位置比較

GOESピーク時刻(05:02)における 17GHzと34GHzの電波ソース位置比較 同じくらい? 等高線:17GHzでの強度 マップ:34GHzでの強度

17GHzと34GHzの電波ソース位置の動画 さっきのから作ったムービー

SOHO EIT (05:12)と34GHz(05:02)の比較 時刻は34GHzピーク時付近のSOHO EITのもの。等高線: 34GHz SOHO EIT使用理由:フレアがOff Limbかどうか判断するため。 この場合はOff Limb 等高線:34GHzでの強度 マップ:SOHO EITの強度

GOES,電波各ピーク時とGOES30%時に おける、17GHzと34GHzの輝度分布の比較 白:電波ピーク時刻(04:57) 赤:GOESピーク時刻(05:02) 横軸:太陽中心からの距離(単位は秒角) 縦軸:輝度温度(単位ケルビン、対数表示)

各種観測値の相関 GOES30%と電波ピ-ク時の時刻にほとんど差がないため、電波ピーク時とGOESピーク時のみの比較とする。

17GHz電波源のサイズと 電波ピーク時の2波長の高度差の関係

17GHzにおける相関係数(電波強度)と 電波ピーク時の2波長の高度差の関係

2波長の高度差のヒストグラム 4イベント 3(-2)イベント 3イベント 5イベント 6イベント 4イベント 縦軸:イベント数 横軸:34GHz-17GHz 電波ピークで高度差(正)が見られる? GOESピークは差が少ない。 1.5倍の差

観測結果 17GHzより34GHzの方が、高度が高い位置にある傾向がある。 軟X線強度、電波強度、領域の大きさ、緯度、フレアの位置(Disk,Off Limb)に対する相関は見られない。 GOESピークでは、 17GHzと34GHzの差が小さくなっている。

考察 17GHzより34GHzの方が、高度が高い位置にある傾向がある物理的理由は不明。 GOESピークで差が少ないのは、熱的放射の寄与によると考えられる。(GOESピーク時では1千万度のプラズマが発生している。そのため、熱的粒子が17GHzと34GHzの電波として同位置から放射されると考えられる。)

動機 太陽フレアにおける粒子加速モデルに関して、観測的に強い制限を与えたい。 コロナ中の磁気リコネクションに基づくフレアモデルにおいて、特にループトップ付近の領域は、リコネクション領域からの輸送における加速・加熱過程とtrap+precipitation過程に関わっており、高エネルギー電子の高さ(時間)方向の分布を知ることは重要である

観測装置 野辺山電波ヘリオグラフ (1992 - ) ようこう硬X線望遠鏡 (1991 – 2001) RHESSI (2002 - ) イベント抽出条件 ・リム付近で発生したフレア (太陽半径の95%以上 ) ・電波ヘリオグラフと硬X線の同時観測有り ・電波ヘリオグラフで空間的に分解可能   (電波源のサイズがビームサイズの4倍以上) ・33 – 53 keV (HXTのM2-band)で像合成可能なphoton数

GOESピーク時の フレア継続時間と2波長の高度差の関係 横軸:継続時間(stからピーク時刻) 定義 (GOES30%)-(電波ピーク時刻)