部屋干しトップとサクセスステップカラー からみる絞り込み戦略 9班 2年 米良 瞳 和田惇二 2年 横井大樹 これから9班の報告を始めさせていただきます。 報告者は、皆様から向かって左から米良瞳、和田惇二、そして私横井大樹です。 宜しくお願いします。 私たちのテーマは「部屋干しトップとサクセスステップカラーからみる絞り込み戦略」です。★
目次 1.研究動機 2.絞り込み戦略とは 3.絞り込み戦略のねらい 4.部屋干しトップとは 5.部屋干しトップの開発 6.発売開始からヒット商品へ 7.ステップカラーとは 8.ステップカラーの開発 9.発売開始からヒット商品へ 10.考察 11.参考文献 発表の流れは次のようになっています。★ はじめに、研究動機を述べ、★次に絞り込み戦略と、そのねらいについて説明させていただきます。★ その後、絞り込み戦略をとった「部屋干しトップ」と「ステップカラー」について説明させていただき、★ この2つのケースを参考に絞り込み戦略についての考察を述べさせていただきます。★
1.研究動機 ケースに学ぶ経営学の第16章を読み 絞り込み戦略に興味を持った 「絞り込み戦略」について理解を深める 酷似したケースを探す 花王のサクセス「ステップカラー」を研究する 私たちは、ケースに学ぶ経営学の第16章、「ニーズの絞り込みによる市場創造/ライオン部屋干しトップのマーケティング」を読み、絞り込み戦略に興味を持ちました。 そして、★教科書のケースを参考に「絞り込み戦略」について理解を深めたあと、★さらに理解を深めるために酷似したケースがないか探しました。★ すると花王のサクセス「ステップカラー」が酷似しているケースではないかと思い、研究することにしました。 そして★2つのケースから、「絞り込み戦略の狙い」と「それを成功させるための要因」について考えました。★ 2つのケースから、「絞り込み戦略の狙い」と 「それを成功させるための要因」について考える
2.絞り込み戦略とは 経営学者のマイケルポーターが提唱した戦略 一般のマーケティング 不特定多数の消費者をターゲットにする 絞り込み戦略 絞り込み戦略とは、経営学者のマイケルポーターが提唱した戦略で、一般のマーケティングが不特定多数の消費者をターゲットにするのに対し、ある特定の狭い範囲にターゲットを絞り、そこに特化したマーケティングを行う戦略です。★ 絞り込み戦略 ある特定の狭い範囲にターゲットを絞り、特化する
3.絞り込み戦略のねらい A社 E社 D社 C社 B社 市場全体 一般のマーケティング 絞り込み戦略 特定の ターゲット A社 独占的な市場を創造 競争が激化 特定の ターゲット A社 不特定多数のターゲット 市場全体 では、絞り込み戦略にはどのような狙いがあるのでしょうか。 企業が商品を売る際に考えなければいけない点の一つとして競争業者の存在、つまり似たような商品を販売している企業との競争が挙げられます。★ 不特定多数の消費者をターゲットとする★一般のマーケティングでは、競争業者の数が多くなる為、競争が激化してしまう傾向があります。★ 絞り込み戦略をとると、特定のターゲットに絞り込むため、市場規模は小さくなります。★ しかし、競争を避けることにより、独占的な市場を創造することができます。★
3.絞り込み戦略のねらい 30億円 100億円 A社 20億円 E社 B社 C社 D社 たとえば、100億円と30億円の規模の市場が存在した場合、単純に利益を求めるのであれば100億円の市場の方が70億円分、大きな利益を得ることが可能です。 しかし、大きな規模の市場にはそれだけ多くの企業が参入する可能性があります。 100億円の市場の場合、それを5社で競争し、それぞれが20%ずつシェアをとった場合、A社のシェアは20億円になります。 一方、30億円の市場でも独占した場合、A社のシェアは30億円になります。 このように、成功すれば市場規模は小さくても結果的に多くの利益をあげられることになります。 これが絞り込み戦略のねらいです。 では次にその絞り込み戦略を成功させるための要因について、ライオンの部屋干しトップ、花王のステップカラーのケースを用いて説明したいと思います。★
4.部屋干しトップとは 月平均100万個を売り上げる ヒット商品になる 2001年に発売 「生乾きのいやな臭いを防ぐ」衣料用洗剤 部屋干しトップとは、ライオンが2001年に発売した、「生乾きのいやな臭いを防ぐ」衣料用洗剤です。★ 2006年末までには、月平均100万個を売り上げるヒット商品となり、ライオンの衣料用洗剤を支える主力ブランドの1つになっています。★ 月平均100万個を売り上げる ヒット商品になる
5.部屋干しトップの開発 主婦 若年単身者 ターゲット 若年単身者への調査 「夜だから」 部屋で洗濯物を干す人が多い 「雨だから」 5.部屋干しトップの開発 ターゲット 主婦 若年単身者 若年単身者への調査 「夜だから」 「雨だから」 「防犯のため」 部屋で洗濯物を干す人が多い 共通の不満点 開発当初、洗剤市場は飽和状態でした。 そこで、ライオンはターゲットをヘビーユーザーである★主婦層でなく、急増していた★若年単身層にして商品開発を行いました。★ 若年単身者への調査をおこなった結果、部屋で洗濯物を干す人が多いことがわかりました。 部屋で干す理由は★「夜だから」「雨だから」「防犯のため」など様々でしたが、 共通して★「部屋干しではイヤな臭いがする」という、不満を持っていることがわかりました。 ライオンはここに目を付け、★「部屋干しの際に発生する生乾きのイヤな臭いを解消する」という部屋干し用の洗剤を開発しました。★ 部屋干しではいやな臭いがする 開発 生乾きのイヤな臭いを解消する洗剤
どのような場面で使い、使うとどのような便益があるのか 6.発売開始からヒット商品へ 2001年10月 全国発売 「夜洗濯した日」 「雨の日」「花粉の多い日」など 様々なバリエーションで放送する CM 「部屋干ししても臭わない」という明快な便益をPRする どのような場面で使い、使うとどのような便益があるのか 認知させることに成功 マスメディア 2001年10月、「部屋干しトップ」は初の部屋で干す人のための洗剤として全国発売されました。 その際にライオンは様々な方法で「部屋干しトップ」の認知度をあげる努力をしました。★ CMではどのような場面で使う商品か、正確に消費者に伝わるように、単に「部屋で干す際に使う洗剤」とPRするのではなく、★「夜に洗濯した日」「雨の日」「花粉の多い日」など、様々なバリエーションで放送していきました。 また、商品の特徴を表す際に「○○酵素配合」などの性能をPRするのではなく、★「部屋干ししても臭わない」という明快な便益をPRしていく方法をとりました。 その結果、商品のことを知らない消費者にも、★どのような場面で使い、使うとどのような便益があるのか、認知させることに成功しました。 またCMと並行し、★ライオンは「部屋干しトップ」の開発プロセスで得られた新しい知識や技術を様々な学会を通して発表することで、地道な話題づくりも行っていきました。★ その結果、新聞やテレビなどに度々取り上げられるようになり、★さらに「部屋干しトップ」の認知度をあげることに成功しました。 このような地道な活動により、「部屋干しトップ」は幅広く認知され、★ヒット商品へと成長しました。(間を空ける)★ 学会を通し、地道な話題づくりを行う 新聞やテレビなどに度々取り上げられる さらに認知度をあげることに成功 ヒット商品へ
白髪染めの利用を敬遠してきた40~50代の男性を中心に 7.ステップカラーとは 2009年に発売 「徐々に黒く染める」男性用白髪染め染毛料 次にステップカラーとは、花王が2009年10月に発売した、髪を徐々に黒く染める男性用白髪染め染毛料です。 「白髪頭がいきなり真っ黒になる」不自然さを解消したステップカラーは、★白髪染めの利用を敬遠してきた40~50代の男性を中心にその支持を広げています。★ 白髪染めの利用を敬遠してきた40~50代の男性を中心に 支持を広げる
7.ステップカラーとは 男性用染毛料・ヘアカラーの商品別シェア 11月2週目 19.5% 10月17日 発売 これは、男性用染毛料・ヘアカラーの商品別シェアのグラフです。 ステップカラーは発売後約1カ月で、★シェア19.5%を獲得し、商品別シェア1位となっています。★ 10月17日 発売
8.ステップカラーの開発 男性用白髪染め市場は約60億円 6割弱をホーユーのメンズビゲンシリーズが占める 20%強 50%強 20%強 ステップカラー発売以前、国内の男性用白髪染め市場は約60億円で、このうち6割弱をホーユーのメンズビゲンシリーズが占めていました。 花王は、このメンズビゲンと争わず、市場を拡大する方法はないか模索しました。★ 白髪染めについて調査を行った結果、50代男性では「使っている」と「気になるが使っていない」が2割強ずつ、「気にならない」が5割強ということが判明しました。 さらに、「気になるが使っていない」という人に対し調査を行った結果、★「不自然に真っ黒にしたくない」というニーズが大半を占めていることがわかりました。 そこで、花王は「白髪は気になるが白髪染めを使っていない」という消費者を★ターゲットにすれば、既存の市場と同規模の市場が創造でき、市場を拡大できると判断しました。 この不自然に真っ黒にしたくない」というニーズを受け、花王は徐々に染黒くまる白髪染めの開発に踏み切りました。 開発にあたり花王がわかっていたことは、「メラニン」という成分があるか否かで黒髪か白髪かが決まるということくらいでした。 そこで花王は、★このメラニンが生成されるメカニズムを解明した、清酒大手の月桂冠に共同開発を持ちかけました。 そして、★メラニンで髪を染めるという新たな技術を確立し、「徐々に黒く染まる」白髪染めを開発しました。★ 「不自然に真っ黒にしたくない」 ターゲット 月桂冠と共同開発 メラニンで髪を染めるという新たな技術を確立し 「徐々に黒く染まる」白髪染めを開発
白髪が「気になるが使っていない」というニーズを 9.発売開始からヒット商品へ 2009年10月 全国発売 CM 「徐々に黒く染まる」という明快な便益をPRする 白髪が「気になるが使っていない」というニーズを 持った消費者に認知させることに成功 2009年10月「ステップカラー」は、全国発売されました。 ステップカラーのテレビCMでは、★「徐々に黒く染まる」という明快な便益をPRしました。 これにより、★白髪が「気になるが使っていない」というニーズを持った消費者に認知させることに成功しました。 また、★他業界の月桂冠と共同開発して新技術を開発したことにより話題性が高まり、新聞に多く取り上げられました。 これにより、★公正中立な情報として消費者に認知され、★ステップカラーはヒット商品へと成長しました。(間を空ける)★ 月桂冠と共同で新技術を開発したことにより話題性が高まる 新聞に多く取り上げられる マスメディア 公正中立な情報として消費者に認知された ヒット商品へ
10.考察 絞り込み戦略を成功させる要因 ①ターゲットの適切な設定方法 ②ターゲットへの適切な訴求方法 収益性を見込む 収益性を見込む 独占的な市場を創造できる 可能性を持つこと 市場を独占した際に しっかりと収益が見込める規模であること ②ターゲットへの適切な訴求方法 部屋干しトップ ステップカラー 以上、2点のケースを踏まえ絞り込み戦略を成功させる上で、私たちが重要ではないかと考えたことを述べさせていただきます。 私たちは絞り込み戦略を成功させる要因として、★①ターゲットの適切な設定方法と★②ターゲットへの適切な訴求方法の2点が挙げられるのではないかと考えました。★ まず、ターゲットの適切な設定方法について述べさせていただきます。 絞り込み戦略のターゲット設定では、★独占的な市場を創造できる可能性を持つことのほかに、★市場を独占した際にしっかりと収益がみこめる規模であることも、併せて重要です。 いくら独占できても、買う人の絶対値が少なければ利益をあげられないからです。 例えば、もしライオンが部屋干しトップではなく、夜洗濯する人をターゲットにし「夜干しトップ」の開発を行った場合、現在に至るまでの爆発的な販売数は望めなかったのではないかと思います。★ 独占した際にしっかりと収益を見込める規模の市場を創造するために、★ 部屋干しトップのケースでは「夜だから」、「雨だから」、「防犯のため」といったそれぞれ独立した行動を★「部屋干し」という名前で統一したことで市場規模の拡大を図り、★収益を見込みました。★ そして、ステップカラーは市場調査を行った結果から、★既存の市場とほぼ同規模の新たな市場が存在していることを発見し、★収益を見込みました。★ 「夜だから」「雨だから」「防犯のため」 市場調査を行った結果 既存の市場 新たな 市場 「部屋干し」という名前で統一 収益性を見込む 収益性を見込む
10.考察 絞り込み戦略を成功させる要因 ①ターゲットの適切な設定方法 ②ターゲットへの適切な訴求方法 認知度を上げることに成功 新たな価値をターゲットに認知してもらう必要がある ②ターゲットへの適切な訴求方法 どのような場面で使い、使うとどのような便益が あるのかを知ってもらうことが重要 部屋干しトップ マスメディアによる報道 ステップカラー 次に、ターゲットへの適切な訴求方法について述べさせていただきます。★ 既存の商品にはない価値を提供する際には、★その新たな価値をターゲットに認知してもらう必要があります。 それには★「どのような場面で使い、使うとどのような便益があるのか」を知ってもらうことが重要です。 また、★マスメディアによる報道は、宣伝のために企業が流すCMとは違い公平性があるため、情報の信頼性が高くなります。 しかしその反面、話題性がなければ取り上げてもらえません。★そのため、話題づくりをすることが重要になります。★ 2つのケースではどちらも便益を明確に訴えたPRを行い、また技術の新規性を広めることで新聞などに多く取り上げられました。 その結果、ターゲットへの適切な訴求ができ、★認知度を上げることに成功しました。 以上の理由から、私たちは絞り込み戦略を成功させる要因として、★ターゲットの適切な設定方法とターゲットへの適切な訴求方法が重要だと考えました。 公平性があるため情報の信頼性が高くなる 反面、話題性がなければ取り上げてもらえない 部屋干ししても臭わない 徐々に黒く染める 認知度を上げることに成功 話題づくりが重要 ターゲットの適切な設定方法 ターゲットへの適切な訴求方法
11.参考文献 ・書籍 ケースに学ぶ経営学(新版) 東北大学経営学グループ(著) マイケル.E.ポーターの「競争戦略」がわかる本 中野 明(著) ・Web ライオン (http://www.lion.co.jp/) 花王 (http://www.kao.com/jp/) こちらが参考文献です。 以上で、9班の報告を終了します。 ご清聴有難う御座いました。