内部統制の充実と会計情報システム 監査・税務調査への対応.

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1業務の実施方針等に関する事項 【 1.1 調査内容の妥当性、独創性】  事業の基本方針、目的及び調査内容 記述内容 ・仕様書を踏まえて、本事業の基本方針、目的について具体的に記述する。 ・仕様書を踏まえて、本事業の内容について具体的に記述する。 ・当局が提示した内容以外に、当該事業を効果的・効率的に実施するための新たな提案がある場合、その内容を具体的に記述する。
Advertisements

10章第4節. 法人の形態をとる企業は、その課税所得に対して 法人税、住民税、事業税という 3 種類の税金が課 される。 課税所得の金額は損益計算書の当期純利益を基礎 とし、税法特有の調整項目を加算・減算したもの。 決算日から2カ月以内に課税所得と税額の計算を 記載した確定申告書を税務署長あてに提出し、税.
業務プロセスマップ 【 16 】法人税申告業務 「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
IT. Meets Fast. サイボウズ中国 kintone ワークフローパック ご説明資料. IT. Meets Fast. アジェンダ こんなことありませんか? kintone の導入でこうなります! kintone 活用イメージ – 申請から承認までの流れ(申請者の流れ) – 申請から承認までの流れ(決裁者の流れ)
YUSENN JYOHO KAIHATSU Co., LTD. Sea CAST の機能特徴 郵船情報開発株式会社 小田力造.
2016/7/251 1 ブックオフ 入手可能データ まとめ 10/25 社会工学類経営工学主専攻4年次 野澤寛.
日本の会計制度とは テキスト第4章 田宮治雄 1. 会社の種類 (テキスト pp ) 会計学の主な対象 株式会社 株主有限責任 株主は払い込んだ金額以上の責任を負わない 企業内部に関する適切な情報提供がなければ, 無限責 任社員がいる会社形態と比較して投資リスクが高い 情報開示の役割が重要.
業務プロセスマップ 【 17 】連結納税申告業務 「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
1 この章で学ぶこと: ①なぜディスクロージャー? ②変化する日本企業! ③会計が変わり経営が変わる! 第 10 章 ディスクロージャー ケース/ TDK.
業務プロセスマップ 【 9 】単体決算業務 「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」.
住民基本台帳ネットワークシステムの 利用状況等について
《Ⅴ 解説》 35.監査調書様式体系の全体像 【監査の基本的な方針】 【詳細な監査計画】 【リスク評価手続】 【リスク対応手続の立案】
会計取引の認識と測定に必要な 情報システム
Anthony and Govindarajan Management Control Systems
社会福祉法人の財務諸表等開示システムの概要等①
~トータルファイリングシステム~ 2004年3月5日 白井葉子.
【23】貸付金管理_会社機能 融資 【グループ向】 融資 融資 残高管理 融資条件 見直 23.1 融資申請 23.2 融資決定 23.3
ERPとして必要な統合管理機能を有し、内部統制等の様々なニーズに柔軟に対応
会計情報システムの構造と 帳簿管理・会計報告システム
売上原価会計 SAP Best Practices.
上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回)
Webサイト運営 09fi118 橋倉伶奈 09fi131 本間昂 09fi137 三上早紀.
監査とは テキスト第8章 田宮治雄.
第11回 商法Ⅱ 2007/01/15.
一般労働者派遣事業の 新規許可 許可有効期間の更新 を申請する事業主の方へ 厚生労働省 三重労働局 職業安定部 需給調整事業室
経営情報論B⑩ 情報技術と組織革新①(第9章).
フランスの年金調整会議 年金調整会議は、2000年に創設された。常設の団体であり、メンバーは国会議員、経営者・労働組合の代表、専門家、国の代表である。その主たる目的は、フランスの年金制度を監視すること、年金に関連する公的政策への勧告をすることであり、専門的知識と全ての参加者による協議に基づいている。
ソリマチ 会計王14NPO法人スタイルの 特徴と活用方法 日 時:2013年9月30日(月)
減損会計に対する         税務の対応 坂本ゼミナール 2018/9/18.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
情報を一元管理できる 柔軟な台帳アプリケーション
【1.1 事業(調査)目的】 1 8.1 (別紙1) 提案書雛型 本事業(調査)の目的について 記述内容
第22回 商事関係法 2006/01/ /11/8.
第8回 商法Ⅱ        2006/11/ /11/8.
リスクポートフォリオ 京都大学大学院 小林研究室 修士2回 関川 裕己.
(2003年4~6月期) 図表10-1 GMRヘッドの世界シェア (出所) レンドフォーカス社調べ。
複式簿記とは テキスト第2章                田宮治雄.
新会社法と会計参与制度 ~中小会社における会計参与の役割~ 立教大学坂本ゼミナール .
株式公開成功事例002 1.経緯 ベンチャー立上から十数年経過し業績順調、もう一段上のステージを求めてIPOチャレンジ 2.結果
第14回 IFRSと会計情報システム.
類型:● 注)応募する類型を記載してください。 <企画タイトル> <提案社一覧>.
会計情報システム論 コースアウトライン.
個人情報保護法案整備の背景 情報処理の普及 (インターネットの普及) プライバシーの権利 個人情報の保護の必要 脅威 事故
第1章 日本の統計制度 ー 経済統計 ー.
発注者側サイト操作説明書 作成日:2004年6月 Ver1.0 初版 改 訂:2005年9月 Ver1.2 株式会社 コニファ.
財務サイクルと情報フロー                田宮治雄.
世界の会計基準とは テキスト第5章 田宮治雄.
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
システム監査学会・監査基準分科会 合同研究会 平成19年4月6日 公認会計士・公認システム監査人 藤野正純
上級アドミニストレータ連絡会 関西研修会 平成18年11月25日 公認会計士・公認システム監査人 藤野正純
総合政策学部3年 鋤先麻美 環境情報学部3年 生田目啓
「経理・財務サービス スキルスタンダード研究開発事業」
会計学概論 講義の概要 田宮治雄.
第11回 内部統制.
海運ソリューションセミナー 船主向け決算予測システム TRANS-Ownerのご紹介
管理会計 1回目 会計情報の管理とは.
1業務の実施方針等に関する事項 【1.1調査内容の妥当性、独創性】
パッケージソフトウェア利用コンピュータシステム構築委託契約書 パッケージソフトウェア、OS、第三者ソフトウェアの使用許諾契約
会計業務の概要 会計情報システムの対象業務.
1業務の実施方針等に関する事項 【1.1事業実施の基本方針、業務内容等】
第10回 商法Ⅱ 2006/12/11.
【1 事業の内容及び実施方法】 1.1. 事業内容(実施方法を含む) 薬品配管施工設計・保守点検架台製作
この章で学ぶこと: ①決算書の作成プロセス ②期中取引と決算整理事項 ③決算政策とは
職能資格制度 1970年代以降普及 ⇒ 職務遂行能を力によって従業員を職能資格に分類し、職能資格を基準に 〈利点〉 〈問題点〉
職能資格制度 1970年代以降普及 ⇒ 職務遂行能を力によって従業員を職能資格に分類し、職能資格を基準に 〈利点〉 〈問題点〉
資格取得スキルⅠb (ITパスポート試験対策講座)
クラブ覚書(MOU)について クラブの参加資格認定の要件
第9章 会計原則 ケース/アサヒビール・ 日本航空・資生堂
内部統制とは何か.
個人情報に関する基本方針 基本方針 具体的な取り組み 相談体制
Presentation transcript:

内部統制の充実と会計情報システム 監査・税務調査への対応

内部統制 下記を目的として、経営者や従業員により遂行される組織的なプロセス 会計情報システムも内部統制の充実に重要な役割を担う 業務の有効性・効率性の確保 財務諸表の信頼性の確保 関連法規の遵守 会計情報システムも内部統制の充実に重要な役割を担う 企業外部からのチェックが制度化されている 会計監査(公認会計士の主要な仕事) 税務調査(国税局や税務署の仕事) 情報システムの視点からは会計監査や税務調査に対応する機能と重なる

会計監査と税務調査の目的 会計監査 税務調査 財務諸表など開示される財務情報の信頼性の確保 企業と利害関係がない公認会計士(監査法人)が実施する 税務調査 申告書が真実であることを確認し、課税の公平を担保する

会計監査の役割

税務調査の役割

情報システムの進展に関連して考慮すべき点 帳簿の電子化への対応 証憑類の電子化への対応 情報生成過程の非可視化への対応 承認手続の電子化への対応 エンドユーザー・コンピューティングへの対応

帳簿の電子化 紙の帳簿などを保存する必要がなくなる 税務 税務当局の承認を前提としてみとめられる 承認の条件 真実性、可視性が確保される 即時見読可 「一貫して電子計算機を使用して作成する」こと 結果だけを電子化したものは承認しない 企業情報のディスクロージャー 実質的に電子化された帳簿が受け入れられる 会社法も電子化されたファイルを帳簿として容認

手作業による会計処理と帳簿の関係

情報システムと帳簿の関係

帳簿の電子化の要件  迅速に帳簿のプリントができる体制の確保 税務調査については 過去にさかのぼり 同様の機能が必要

帳簿の電子化の要件 痕跡の残らない帳簿メンテナンスの禁止 アクセスコントロールの充実は内部統制からの要請 プログラム単位,ユーザー単位に 帳簿の参照を許諾

赤黒方式による修正 赤黒方式 伝票の訂正や削除が必要な場合 直接書き換えや削除をせず,誤った伝票すべてを取り消す伝票を作成し(赤伝)、改めて正しい伝票(黒伝)を加えること 担当者が書き損じた場合などに,上司の承認前であれば直接の書き換えや削除が認められる 税務上は1週間以内 目的は訂正の履歴を後から追跡可能にすること 電子データは修正や削除の跡が残らないことへの対応 同じ取引について訂正の履歴をリンクして一覧できる場合などは、赤黒方式でなくとも認められる

月次決算 多くの企業は月ごとに帳簿を締め切り,損益計算書などの決算書を作成している 法律的な義務はない 帳簿を電子化すると,締切後にも簡単に修正ができ,しかもその痕跡が残らない 月次決算の結果が信用できなくなる 締切後には修正をしないことを原則とする 万一修正した場合にはその事実がすべて明らかになるような機能を会計情報システムが備えていることが必要

法定保存年限 紙による帳簿や書類と変わらない 法定保存年限  紙による帳簿や書類と変わらない 会社法が求める帳簿(元帳、仕訳帳) 決算期後10年 税法が求める帳簿書類 申告書提出期限後7年 この期間内は要求があればプリントできる体制が必要 日常はオフラインのメディアに待避しておく 情報システムを更新した場合には、旧システムを保存しなければならない場合もある COM(Computer Output Microfilm)でも可

総勘定元帳と補助元帳の実質的な一致確認 帳簿間の整合性の保証

証憑類の電子化への対応 EDI(電子データ交換)の普及は、 必然的に証憑類の電子化を招く 電子データ保存の 義務化(税法)

電子化された証憑の管理 取引の痕跡は受送信したデータ 取引データの改ざんを防止し、紙による証憑と同等の信頼性を獲得するための方策が必要 プリントしたものは、取引の痕跡の写し(いくらでも複写可能) 税法では,紙による保存も可 取引データの改ざんを防止し、紙による証憑と同等の信頼性を獲得するための方策が必要 電子データを厳格に管理する規定を作り、規定通りに運用する(内部統制の強化) 保存期間:大法人(資本金1億円以上) 7年          棚卸資産に係る取引のデータは5年          中小法人:5年

電子化された証憑類の管理

情報処理過程の可視化 第三者による確認 処理内容を把握し、妥当性を評価できる態勢 システムドキュメントの整備 適切なドキュメントの更新 情報システム内部で定められた処理が行われ、財務諸表など開示資料に結びついていることを確認する手段の準備 中間処理過程の可視化 処理過程の一貫性を確認できる報告書の体系 適切な中間ファイルの保存

情報処理過程の可視化 システムドキュメントの整備

情報処理過程の一貫性確保 要請に基づき速やかに レポートを作成する態勢 指定された部分: 明細表を作成し 要約表に反映する その他の部分: 明細表の作成は省略し、 要約表に反映させる

中間ファイルの保存 現実的にはプリントイメージ (編集プログラムのアウトプットファイル)で 保存する企業が多い

ワークフロー 仕事の流れに沿って機能が設計されているアプリケーションシステム 業務とデータ入力の一体化をシステム全体で進めるための道具 情報システムと働く人との双方向の情報のやり取りの連続 仕事をしやすい機能 承認ルートの電子化 ドリルダウンによる明細情報までの段階的な追跡 多機能への柔軟なリンク セキュリティーと使いやすさのバランスが大切

支払申請書の電子承認

電子承認 わが国でも税務当局の承認を得て実施可能 多くの企業では支払申請書をプリントし、上司が承認して押印する手続を継承しているとみられる ERPなどではワークフローに組み込まれている 多くの企業では支払申請書をプリントし、上司が承認して押印する手続を継承しているとみられる 支払申請書が証憑(領収書等)の貼付用紙を兼ねる

証憑貼付台紙として利用される申請書

エンドユーザー・コンピューティング 開示情報の正確性の確認に不可欠な場合、 会計監査/税務調査の対象となりうる 利用者が開発したシステムといえども、組織的に管理する必要がある 情報処理過程の可視化が必要 最低限のドキュメントの確保 プログラムの概要 変更の目的 表計算ソフトは、計算表そのものが情報生成過程をかなり説明している

システム監査に関わる確認事項

内部統制報告書 内部統制(再掲) 企業は有価証券報告書と併せて内部統制報告書を開示しなければならない 概要 下記を目的として、経営者や従業員により遂行される組織的なプロセス 業務の有効性・効率性の確保 財務諸表の信頼性の確保 関連法規の遵守 企業は有価証券報告書と併せて内部統制報告書を開示しなければならない 概要 企業グループ(連結ベース)の財務情報を適正性を確保する体制を経営者が評価し、報告書を作成する 監査法人が監査を行い、証明を添付する

内部統制と会計情報システム 会計情報が企業の実態を忠実に表現しているか 信頼を獲得するための企業の姿勢と行動 会計情報を作り上げる過程が適切か 人の誤りを抑制し,もし発生した場合に影響を最小限度にとどめる工夫ができているか 不正が介在する余地がないか 内部牽制制度が組み込まれ,適切に機能しているか 会計監査人が粉飾を見抜くことができる仕組みができているか 信頼を獲得するための企業の姿勢と行動 内部統制報告書の開示で利用者に内部統制の仕組みと運用状況を伝える 会計情報システム・セキュリティー機能の質 アクセスコントロールの充実 証憑類の電子化対応 情報処理過程の可視化  など

帳簿の電子化の要件(再掲) 痕跡の残らない帳簿メンテナンスの禁止 アクセスコントロールの充実は内部統制からの要請 プログラム単位,ユーザー単位に 帳簿の参照を許諾

電子化された証憑類の管理(再掲)

情報処理過程の可視化(再掲) システムドキュメントの整備