解剖生理学 12月16日(木) 炭水化物の消化・吸収 食環境デザインコース 3年 09210211~09210220.

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血糖値の調節 膵臓 肝臓 筋肉 血 糖 脳 インスリン ↑ 200 g/ 日 120g/ 日 乳 酸 乳 酸 グリコーゲン グリコーゲン グリコーゲン グリコーゲン ( 食事 ) 脂肪組織 Plasma Glucose Blood Glucose 尿糖 血糖値は制御された値 であり制御機構が正常 なら全く血糖は上昇し.
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Q:今日のあなたは昨日のあなたと同じか?
First Approach Meeting
1
消化器系のしくみと働き.
糖質(炭水化物) 食 品 働 き 体や脳を動かすエネルギー源 1g= kcal 神経系に働く ポイント から摂取するのがよい。
炭水化物 砂糖,デンプン,セルロースなど DNAの構成成分,膜にも存在(糖脂質) ストレプトマイシン,ビタミンC 主にC, H, Oからなる
食品学とは 食品の成分や成分の変化および食品の特徴について学ぶ学問
ビタミン (2)-イ-aーJ.
 脂質異常症における   食事療法の基本 管理栄養士 森 律子.
脂質代謝.
生物学 第8回 代謝経路のネットワーク 和田 勝.
無機質 (2)-イ-aーH.
脂質 細胞や組織から無極性有機溶媒で抽出することにより単離される天然有機化合物 エステル結合を有し,加水分解できるもの 脂肪,ワックスなど
特論B 細胞の生物学 第2回 転写 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
骨格筋のインスリン抵抗性が肥満の引き金 1 参考 最近、エール大学のグループは、骨格筋のインスリン抵抗性がメタボリック症候群を引き起こす最初のステップであることを報告した。BMIが22-24の男性をインスリン感受性度で2グループに分け、食事(55%炭水化物、10%蛋白質、35%脂肪)を摂取してから、筋肉のグリコーゲン量をMRI(核磁気共鳴画像法)で調べたところ、インスリン感受性群に比べて、抵抗性群ではグリコーゲン生成が61%減少していた。肝臓のグリコーゲン量は2群間で有意差はみられなかった。しかし、肝臓の
活性化エネルギー.
脂肪の消化吸収 【3】グループ   ~
外膜 内膜 R- (CH2)n -COOH R-(CH2)n-CO-S-CoA R-(CH2)n-CO-S-CoA CoA-SH
1)解糖系はほとんどすべての生物に共通に存在する糖の代謝経路である。 2)反応は細胞質で行われる。
栄養と栄養素 三大栄養素 炭水化物(糖質・繊維) 脂質 たんぱく質 プラス五大栄養素 ビタミン 無機質.
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 水素伝達系.
代謝経路の有機化学 細胞内で行われている反応→代謝 大きな分子を小さな分子に分解→異化作用 第一段階 消化→加水分解
緩衝作用.
解糖系 グルコース グルコキナーゼ(肝) ヘキソキナーゼ(肝以外) *キナーゼ=リン酸化酵素 グルコース6-P グルコースリン酸イソメラーゼ
8章 食と健康 今日のポイント 1.食べるとは 何のために食べるのか? 食べたものはどうなるのか? 2.消化と吸収 3.代謝の基本経路
配糖体生成 + ROH ヘミアセタール アセタール メチルβ-D-グルコピラノシド (アセタール)-oside グリコシド
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
第15章 表面にエネルギーを与える 生命と惑星の共進化による惑星燃料電池の形成
たんぱく質 (2)-イ-aーF.
生体分子を構成している元素 有機分子   C, H, O, N, P, S(C, H, O, N で99%) 単原子イオン 
Β酸化 1班:相川、青木、石井、石井、伊藤.
生命科学基礎C 第4回 神経による筋収縮の指令 -伝達 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
個体と多様性の 生物学 第6回 体を守る免疫機構Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
栄養成分表示は、 健康づくりに役立つ重要な情報源 栄養成分表示ってなに? 栄養成分表示を活用しよう① 〈留意事項〉
コレステロール その生合成の調節について 家政学部 通信教育課程 食物学科 4年 大橋 万里子 佐藤 由美子 鷲見 由紀子 堀田 晴 子
炭水化物 (2)-イ-aーB.
高脂血症の恐怖 胃 基礎細胞生物学 第14回(1/22) 2. 胃酸の分泌 1. 胃 3. 消化管(小腸)上皮細胞の更新
たんぱく質、脂質、炭水化物をバランスよくとる
すずかけの木通信 平成29年 11月号 糖質制限は体に良いのか 糖質の問題点 糖化反応 血糖値の上昇
農学部 資源生物科学科 加藤直樹 北村尚也 菰田浩哉
一分子で出来た回転モーター、F1-ATPaseの動作機構 ーたんぱく質の物理ー
コレステロールの合成 と 脂肪酸の合成 これからコレステロールの合成と脂肪酸の合成についての説明をはじめます。★
2 物質の膜透過機構  吸収・分布・代謝・排泄の過程は、生体膜を透過することが基本.
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生命科学基礎C 第8回 免疫Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
炭水化物を多く含む食品 (2)-イ-aーC.
1月19日 シグナル分子による情報伝達 シグナル伝達の種類 ホルモンの種類 ホルモン受容体 内分泌腺 ホルモンの働き.
大豆 栄 養 と 薬 効 たんぱく質、脂質、ビタミンB群が多いなど、その栄養の豊かさから「畑の肉」と呼ばれている栄養食品です。動脈硬化予防や肥満をコントロールする働きがあります。大豆の脂質の多くはリノール酸で、コレステロールを洗い流す作用があり、脂肪異常症の予防に有効です。 注目されている栄養素は大豆サポニンとレシチンです。前者は、血管にこびりついたコレステロールや中性脂肪を洗い流す作用があり、高血圧・動脈硬化・認知症などの予防に役立ちます。
モデル体型ダイエット塾® ワンデーセミナー (社)日本栄養バランスダイエット協会.
カルビンーベンソン回路 CO23分子が回路を一回りすると 1分子のC3ができ、9分子のATPと 6分子の(NADH+H+)消費される.
5大栄養素と水 (2)-イ-aーA.
院長コラム~グレープフルーツと薬物の相互作用~
個体と多様性の 生物学 第6回 体を守る免疫機構Ⅰ 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
アミノ酸の分解とアンモニアの代謝 タンパク質やアミノ酸はどこにでもあるありふれた食材ですが、実は分解されるとアンモニアという、体に非常に有害な物質を産生します。これは、普段われわれが何も気にせずに飲んでいる水が、実はH+(酸)とOH-(アルカリ)で出来ているのと似ているように感じます。今回、アミノ酸の分解に伴って産生されるアンモニアを、生体はどのようにして無毒化しているかを考えましょう。
生物学 第7回 エネルギー代謝 和田 勝.
細胞の膜構造について.
1.細胞の構造と機能の理解 2.核,細胞膜,細胞内小器官の構造と機能の理解 3.細胞の機能,物質輸送の理解 4.細胞分裂過程の理解
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
The Nobel Prize in Medicine 1953
●食物の消化と吸収 デンプン ブドウ糖 (だ液中の消化酵素…アミラーゼ) (すい液中の消化酵素) (小腸の壁の消化酵素)
TCA-cycle 7月1日 25~30番 生化学Ⅱ .
消化器の解剖 消化器系とは、食物を摂取し、分解し、腸管で吸収した後、食物残渣を排泄する器官である。
学習目標 1.栄養代謝機能に影響を及ぼす要因について説明することができる. 2.栄養代謝機能の障害による影響を,身体,精神機能,社会活動の三側面から説明することができる. 3.栄養状態をアセスメントする視点を挙げることができる. 4.栄養状態の管理方法について説明することができる. SAMPLE 板書.
学習目標 1.細胞の構造と機能の理解 2.核,細胞膜,細胞内小器官の構造と機能の理解 3.細胞の機能,物質輸送の理解 4.細胞分裂過程の理解
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
特論B 細胞の生物学 第6回 エネルギーはどこから 和田 勝 東京医科歯科大学教養部.
細胞の構造と機能.
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 電子伝達系.
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解剖生理学 12月16日(木) 炭水化物の消化・吸収 食環境デザインコース 3年 09210211~09210220

炭水化物とは‥‥ 三大栄養素の一つ (炭水化物、たんぱく質、脂質) 人体の主なエネルギー源 多く含まれる食品 米、パン、そば、うどん、パスタ  (炭水化物、たんぱく質、脂質) 人体の主なエネルギー源 多く含まれる食品    米、パン、そば、うどん、パスタ    じゃがいも、さつまいも、砂糖など  炭水化物は、たんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素の1つで、生命の維持・成長に必要なエネルギーを供給し、身体の構成素となる栄養素です。 特に脳や神経系に関しては唯一のエネルギー源となるので、不足すると頭の働きが鈍ってきます。燃焼スピードが速いため、体内に入るとすぐにエネルギーとなってくれます。  炭水化物を多く含む食品は、米やパン、麺といった穀類やじゃがいも、さつまいも等の芋類、砂糖等が挙げられます。

炭水化物は食事組成の約60% 体組成としては1%程度 毎日多く摂取しているが、 日々消費されている。  日々消費されている。    炭水化物は食事組成の約60%を占める栄養素ですが、体組成としては1%程度しか占めていません。 水やたんぱく質、脂質の方が圧倒的に多い割合を占めています。 このように、毎日多くの炭水化物を摂取していますが、それらはエネルギー源として日々消費されています。

炭水化物の分類 糖質 単糖類 二糖類 炭水化物 オリゴ糖 多糖類 食物繊維 炭水化物は大きく分けて「糖質」と「食物繊維」に分けられます。  炭水化物は大きく分けて「糖質」と「食物繊維」に分けられます。 糖質は消化管内で消化酵素によって加水分解を受けて吸収される物質,あるいはそのまま吸収を受ける物質のことをいいます。 また、単糖類、二糖類、オリゴ糖、単糖類に分けられます。 一方、消化・吸収を受けない炭水化物を食物繊維といいます。  

単糖類 それ以上加水分解されない基本的な糖類 そのまま小腸で吸収を受ける ・グルコース(ブドウ糖) ・フルクトース(果糖) ・ガラクトース  ・グルコース(ブドウ糖)  ・フルクトース(果糖)   ・ガラクトース  ・マンノース まず、単糖類は、それ以上加水分解されない基本的な糖類のことです。 グルコースやフルクトース、ガラクトース、マンノースなどが挙げられます。 これらはそのまま小腸に吸収されます。

二糖類・オリゴ糖 二糖類・・・2つの単糖が結合した糖類 ・マルトース(麦芽糖):グルコース+グルコース α-1,4結合   ・マルトース(麦芽糖):グルコース+グルコース      α-1,4結合   ・スクロース(ショ糖):グルコース+フルクトース      α,β-1,2結合   ・ラクトース(乳糖):グルコース+ガラクトース     β-1,4結合 オリゴ糖・・・2~10個の単糖が結合した糖類 二糖類とは、2つの単糖が結合した糖類のことです。 加水分解により1分子から2分子の単糖類を生じます。  砂糖である「ショ糖」は、エネルギー源としてはデンプンと同じですが、デンプンより消化吸収が早く、肥満を招きやすいとされています。 また虫歯にもなりやすいです。糖質を摂る場合はデンプンから摂った方が良いとされるのは、このためです。  「乳糖」は牛乳に含まれています。子供の時は、この乳糖を分解する酵素が体内で自然に作られるのですが、大人になると生成される量が減るか、もしくは作られなくなります。牛乳を飲むと下痢をするような場合は、この酵素が作られていないのかもしれません。 オリゴ糖は2~10個の単糖が結合した糖類のことです。

多糖類 10個以上の単糖が結合した糖類 1種類の単糖が結合したホモ多糖 ・グリコーゲン‥‥動物組織に存在    ・グリコーゲン‥‥動物組織に存在          グルコースがα-1,4結合、 α-1,6結合で連なり、枝分かれ構造    ・セルロース‥‥野菜や木材に含まれる          グルコースがβ-1,4結合で直鎖状に連なったもの    ・キチン‥‥甲殻類の外骨格や藻類の細胞壁に存在          N-アセチルグルコサミンがβ-1,4結合により直鎖状に連なったもの     ・デンプン‥‥小麦粉、米、イモ類          アミロースとアミロペクチンからなる 多糖類とは、10個以上の単糖が結合した糖類です。 グリコーゲンはグルコースがα-1,4結合、 α-1,6結合で連なり、枝分かれ構造をもつ多糖です。 セルロースはグルコースがβ-1,4結合で直鎖状に連なった多糖で、野菜や木材に含まれます。 キチンはN-アセチルグルコサミンがβ-1,4結合により直鎖状に連なった多糖です。甲殻類の外骨格や藻類の細胞壁に存在します。 デンプンはアミロースとアミロペクチンから構成される多糖です。穀類や芋類に多く含まれています。  

消化とは‥‥ 食物中の栄養素を分解して吸収されやすい形にする過程のこと 物理的消化 化学的消化 生物学的消化  物理的消化     機械的な運動によるもの。食物を次の部位に送る移動作用。      (歯による咀嚼、胃と小腸での蠕動運動)  化学的消化    消化液中の消化酵素による分解作用。酸による分解、アル     カリによる中和、胆汁との結合・乳化などの作用も含まれる。  生物学的消化      大腸内に存在する腸内細菌による消化。腸内細菌のもつ消化酵素の       働きによって、未消化物や未吸収成分などが発酵または腐敗を受ける。 次に消化について説明します。 消化とは,食物中の栄養素を分解して吸収されやすい形にする過程のことです。 消化には,以下の3つの消化作用があります。 ・ 物理的消化 これは,歯による咀嚼や胃と小腸での蠕動運動など,機械的な運動により,食物を次の部位に送る移動作用です。 ・ 化学的消化 これは消化液中の消化酵素による分解作用です。酸による分解、アルカリによる中和、胆汁との結合・乳化などの作用も含まれます。 ・ 生物学的消化 これは大腸内に存在する腸内細菌による消化のことです。腸内細菌がもつ消化酵素の働きによって、未消化物や未吸収成分などが発酵されたり腐敗されたりします。   次に口腔内と小腸で行われる消化について説明します。

口腔内での消化 唾液に含まれる唾液アミラーゼによる化学的消化 唾液アミラーゼは、多糖類をデキストリンと一部はマルトースまで分解 口腔内での食物の停滞時間は短い 唾液アミラーゼの作用はむしろ胃内での作用時間が長い ・ 口腔内では唾液に含まれる唾液アミラーゼによって化学的消化が行われます。 ・ 唾液アミラーゼは、多糖類をデキストリンと一部はマルトースまで分解します。 ・ しかし,口腔内での食物の停滞時間は短いので,唾液アミラーゼの作用はむしろ胃の中での作用時間が長くなります。

小腸での消化 ① 膵液中の酵素による消化 ② 小腸粘膜細胞にある酵素による 膜消化 →栄養素が分解されながら 吸収される ① 膵液中の酵素による消化 ② 小腸粘膜細胞にある酵素による 膜消化 →栄養素が分解されながら 吸収される ・ 小腸では,膵液中の酵素によって栄養素の消化が行われます。 ・ さらに,小腸粘膜細胞にある酵素による膜消化が行われます。膜消化において栄養素は分解されながら吸収されます。

① 膵液による消化 膵臓から分泌される 膵液に含まれる糖質分解酵素である膵液アミラーゼ 多糖を消化する酵素だが、唾液アミラーゼよりも強力 デンプンをデキストリンとマルトースまで分解 まず膵液による消化についてです。 ・ 膵液は膵臓から分泌されます。 ・ 膵液には糖質分解酵素である膵液アミラーゼが含まれています。 ・ これは多糖を消化する酵素ですが、唾液アミラーゼよりも強力な消化作用があります。 ・ また,膵液アミラーゼはデンプンをデキストリンとマルトースまで分解します。

② 膜消化 二糖類は、小腸では消化されず膜消化を受ける マルターゼ、スクラーゼなどの二糖類分解酵素(膜消化酵素)により、単糖になるまでの最終的な消化を受ける 膜を通過して吸収  (消化の最終段階と吸収の開始に明確な区切りがない) 次に膜消化についてです。 ・ 食物は小腸においてマルトース,スクロース,ラクトースなどの二糖類に分解されますが,二糖類は,小腸では消化され ず、特殊な消化機構である膜消化を受けます。 ・ 二糖類は小腸粘膜表面を覆っているグリコカリックスを通過し,微絨毛細胞膜表面へ到着します。 ・ この膜にはマルターゼ、スクラーゼなどの二糖類分解酵素(膜消化酵素)が存在し,この酵素により、単糖になるまでの最終的な消化を受けます。そして単糖になると,膜を通過して吸収されます。 ・ただし,消化の最終段階と吸収の開始には明確な区切りがありません。

吸収とは‥‥ 消化された栄養素を消化管の粘膜から体内に取り入れること 能動輸送 ・エネルギー(ATP)を使う   ・濃度差に依存しないため吸収速度が速い 受動輸送   ・エネルギーを必要としない   ・濃度勾配に依存するため、膜の内外で 濃度が同じになると吸収できない 次に吸収について説明します。 吸収とは,消化の結果、低分子の物質に変化した栄養素を消化管の粘膜から体内に取り入れることを言います。   吸収には以下の2種類の機構があります。 ・ 能動輸送 能動輸送ではエネルギー(ATP)を利用します。また,濃度差に依存しないため、吸収速度が速いです。 能動輸送されるものとして,グルコース、L-アミノ酸、ビタミンB12などが挙げられます。 ・ 受動輸送 受動輸送ではエネルギーを必要としません。また,濃度勾配に依存するため、膜の内外で濃度が同じになると吸収できません。受動輸送には単純拡散と促進拡散があります。

単糖の吸収 腸管腔→小腸粘膜細胞 ①ナトリウム依存性グルコース輸送体(SGLT)により Na+と共に取り込まれる ⇒能動輸送 ②ナトリウム非依存性グルコース輸送体(GLUT5)に より濃度勾配にしたがって取り込まれる ⇒受動輸送(促進拡散) ※フルクトースは②のみ 単糖の吸収について説明します。 炭水化物の場合,二糖類・オリゴ糖・多糖類などが単糖類に消化されると,小腸粘膜細胞へ吸収されます。 吸収の方法はSGLTによってナトリウムイオンと共に取り込まれる能動輸送と、GLUT5によって取り込まれる受動輸送の2種類です。 ☆図を見せる。

ナトリウム非依存性グルコース輸送体(GLUT2)            小腸粘膜上皮細胞  ナトリウム非依存性グルコース輸送体(GLUT2)  により放出                 ↓               毛細血管                 門脈                 肝臓 小腸上皮細胞に取り込まれた単糖は、GLUT2によって毛細血管に入り、門脈を経由して肝臓に運ばれます。 単糖はこの2種類の輸送体によって吸収されます。 ★

② ① ☆①がSGLT、②がGLUT5です。この図のようにSGLTはナトリウムイオンが細胞内に流れ込むときに一緒に単糖が取り込まれます。 グルコースとガラクトースは、①と②の輸送体から取り込まれることができますが、フルクトースは②の輸送体でのみ取り込まれます。 ★このとき、細胞内に取り込まれたナトリウムイオンの濃度を調節するためにナトリウムポンプが不可欠です。

代謝 吸収された糖質は、主としてエネルギー産生のために消費される グルコースは、解糖系、クエン酸回路、および電子伝達系で代謝→ATP産生 次に『代謝』について説明します。 小腸粘膜細胞で吸収された糖質は、主にエネルギー産生のために消費されます。 (糖質の中で最も重要で基本的な)グルコースは、解糖系、クエン酸回路、および電子伝達系の順で代謝し、ATPを産生します。 糖質は消化吸収されやすく、体内で速やかに代謝されて細胞のエネルギーとして利用されます。 特に神経細胞と赤血球はグルコースを主要なエネルギー源としています。

解糖系 →・NADH2分子 乳酸生成or電子伝達系へ ・ATP2分子 (ATP4-ATP2=ATP2) グルコースからピルビン酸、または乳酸までの過程 細胞質基質で行われるリン酸化反応 嫌気性状態では、乳酸が産生される 生成された乳酸は、肝臓へ送られてグルコースに変換 →・NADH2分子      乳酸生成or電子伝達系へ   ・ATP2分子      (ATP4-ATP2=ATP2) C C 解糖系とは、炭素数6個のグルコース1分子から2分子のピルビン酸、または2分子の乳酸を産生する代謝の過程をいいます。 この反応は細胞の細胞質気質で行われるリン酸反応で、筋肉細胞のように酸素が不足している嫌気性状態では、ピルビン酸が乳酸デヒドロゲナーゼによって還元されて乳酸が産生されます。 生成された乳酸は血液中に放出された後、肝臓へ送られてグルコースに変換します。 (肝臓でのこの反応は“糖新生” といい、基本的には解糖系の逆反応であるといえます。乳酸がグルコースへと変換された後はまた血液中に放出され、筋肉に戻って利用されます。) →グルコースを分解するためにATP(アデノシン三リン酸)を2分子消費するため、実質的にはATP2分子とNADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド )2分子が生成されます。 またNADHはこのあと、ピルビン酸からの乳酸生成に使用されるか、または電子伝達系でATPの産生に使われます。 C C

クエン酸回路 解糖系で生成したピルビン酸は、ミトコンドリア内のクエン酸回路で代謝される ピルビン酸1分子から・・・ ・NADH 4分子 ・FADH2 1分子 ・GTP 1分子    →ATP1分子に変換 電子伝達系へ 解糖系により生成したピルビン酸は、ミトコンドリア内のクエン酸回路(トリカルボン酸回路、TCA回路)で代謝されます。 ピルビン酸1分子からは還元型補酵素のNADHが4分子とFADH2が1分子、高エネルギーリン酸のGTP(グアノシン三リン酸)が産生されます。NADHとFADH2は電子伝達系へと運ばれ、GTPは同じ細胞内で直接ATPに変換されます。

電子伝達系 連続的な酸化還元反応によって電子の移動が生じて酸化的リン酸化が行われる経路のこと ミトコンドリア内膜の電子伝達の複合体などからなる。 NADHとFADH2は電子の運び屋   →電子+H++酸素=水   →ATP産生 (NADH→ATP3分子、         FADH2→ATP2分子) 次に電子伝達系について説明します 電子伝達系とは、連続的な酸化還元反応によって電子の移動が生じて酸化的リン酸化が行われる経路のことで、ミトコンドリア内膜の電子伝達のための複合体などからなります。 解糖系やクエン酸回路で生成された還元型補酵素のNADHとFADH2(還元型フラビンアデニンジヌクレオチド)は電子の運び屋として働き、水素原子を酸素と反応させて水をつくりATPが産生されます。 その際のエネルギーでミトコンドリアのマトリックスからH+を外にくみだし、くみ出したH+がチャンネルを通ってミトコンドリアに再流入するエネルギーでADPをリン酸化してATPにします。これが“酸化的リン酸化”です。 この時、ミトコンドリア内膜の外側では内側に比べてプロトン(H+) の濃度が濃くなっており、プロトン勾配が生じています。このプロトン勾配が駆動力となりATPは合成・産生されています。

ATPの生成 グルコースの酸化分解過程 解糖系 C6H12O6 →2C3H4O3+4[H]+2ATP……(1) クエン酸回路 解糖系    C6H12O6 →2C3H4O3+4[H]+2ATP……(1) クエン酸回路   2C3H 4O3+6H2O →6CO2 +20[H]+2ATP……(2) 電子伝達系   24[H]+6O2 →12H2O+34ATP …… (3) (1)+(2)+(3)   C6H12O6 +6O2+6H2O → 6CO2 + 12H2O + 38ATP  →グルコース1分子からは、36分子ないし38分子のATP産生 ATPは解糖系で2ATP、解糖系でピルビン酸が2分子生成されるためクエン酸回路では2ATP、電子伝達系では34ATP生成される。 よってグルコース1分子からは36、最大で38分子のATPが産生されます。

まとめ 糖質は消化酵素によって単糖に消化される SGLTやGLUTの輸送体によって血液中に取り込まれる 解糖系、クエン酸回路、および電子伝達系で代謝  →ATP産生 糖質は消化・吸収・代謝が早い  →エネルギーとしてすぐに利用される  糖質は消化酵素によって単糖に消化されます。 消化された単糖は輸送体によって血液中に取り込まれ、門脈を経て肝臓に取り込まれます。 この糖は解糖系、クエン酸回路、および電子伝達系で代謝され、ATPを産生します。  こうして糖質から作られるエネルギーは消化・吸収・代謝が早いため、エネルギーとしてすぐに利用されます。