開発援助のための国際資金とHIVへの見方

Slides:



Advertisements
Similar presentations
ジェンダーと近代 第12回 2005/01/16. 今後の予定 1 月 16 日(月) 1 限 第12回 本日の講義 1 月 18 日(水) 1 限 最終テスト <月曜代講 日>
Advertisements

なぜ貧しい国はなくならないの か 第 1 章 開発経済学とは何か 1. まず定義から始めよう 筆者による定義 「貧しい開発途上国 の貧困削減に貢献する 戦略を研究する学問分 野」 2.
Copyright © 2009 Pearson Education, Inc. Publishing as Pearson Addison-Wesley 第 4 章 人口と経済成長.
ジェンダーから世界を読む ジェンダーの概要
~国民経済的な視点から見た社会保障~ 2000/6/14 木下 良太
植民地制度による資本経済の中のジェンダー変化・ 消費主義の中のジェンダー変化
21世紀の東アジアと日本 柿澤弘治 大阪市立大学国際シンポジウム 
問題の 原因 → 結果 → 現地での対策構想 化学物質の投入 森林の消失.
線路ぎりぎりに建てられた移住労働者の家(バンコク)
~ネパールの事例を通して~ 2003年9月10日 国津小学校 元青年海外協力隊員 野田 珠輝
120 四本柱 麻生太郎外務大臣と語る 日本外交の 分 外交フォーラム イン 仙台 平成一九年六月十日 仙台国際センター.
2008年5月23日(月)   人口経済論 第5回            2008年5月23日(月)
人口経済論 第4回 2006年5月15日(月)   人口経済論 第4回            2006年5月15日(月)
地域社会論 第5回 Ⅴ.国際環境 11月9日.
少子高齢化 고유진.
東南アジアの伝統農法 農耕の型 p27~p35 3種類の米耕作 焼畑農業 氾濫での直播 苗(稲)を鋤かれた、あぜがある田圃に移植する
総合演習(国際理解教育) 学籍番号10341229 法学部法学科 森 健志.
Raymond Baker (レイモンド・ベーカ?). ハーバード大卒. 1961年にナイジェリアへ. 会社のCEO
ケニアで見たもの ~アフリカ、HIV/AIDS,女性~
4.意思決定の問題 タイ東北部、コンケーン県パーカム村の大豆栽培
なぜ貧しい国はなくならないのか 第2章 貧困は減っているのか
第5章 東アジアから何を学ぶか?.
再分配政策(3) 公共政策論II No.6 麻生良文.
2005年5月9日(月)   人口経済論 第4回            2005年5月9日(月)
第7章 途上国が「豊か」になるためにすべきこと
3.さまざまな保健活動 母子保健活動 日本赤十字社の写真 素材集-保健活動 「室蘭市役所ホームページ」 UNICEFの写真 素材集-保健活動
デフレの正体―経済は「人口の波」で動く 補講 高齢者の激増に対処するための「船中八策」 山下 真弘
なぜ貧しい国はなくならないのか 第3章 なぜ貧困を撲滅できないのか?.
世界に広がるフランス語: 5大陸で話されるフランス語ーその経緯と現実
少子高齢化について 商学部 2307068 李海燕.
  世界の地域           05210163.
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
長崎大学熱帯医学研究所 長崎大学医学部歯学部附属病院(熱研内科) 有吉紅也
生物多様性の危機 「精神のモノカルチャー」の説明 経済開発が削減した知識体系・ローカルな知識: 生態系と共同体との間の体系
国際社会と税 南九州税理士会.
金融の基本Q&A -Q21~Q24-  小瀬村愛子.
ICEM のHIV/エイズへの対応と取り組み
HIV/エイズと開発 HIVは伝染病。 病原体はヒトT細胞白血病III型ウイルス。
エイズとその予防.
資源ナショナリズムについて 2012/01/20 長谷川雄紀.
学習目標 1.成人期の性生活と健康障害の関連を理解する. 2.成人が健康障害時にパートナーとの関係において性生活を営んでいることを知る. 3.性生活に関連した健康障害の予防と治療に関わる保健医療の場と職種を理解する. 4.性生活に関連した健康障害を考慮した看護方法を理解する. SAMPLE 学習目標.
HIV/エイズ:事実と神話 ・HIVは伝染病。病原体はヒトT細胞白血病III型ウイルス。
2007年10月14日 精神腫瘍学都道府県指導者研修会 家族ケア・遺族ケア 埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 大西秀樹.
第2回 福祉の現在・現在 厚生労働省(2018) 障害者白書 厚生労働省(2016) これからの精神保健福祉のあり方に          関する検討会資料.
キーワード 絶対的な貧困 相対的な貧困 伝統社会 誘発されるニーズ 干渉主義(外からの干渉) 1
先週からの続き ~ 産業革命以後のジェンダー
社会的包摂への課題 -雇用システムの変動と 若年世代に着目して-
開発援助のための国際資金とHIVへの見方
国際分業と途上国の経済 先進~後進国関係の背景
世界の食糧問題 ~国際社会という視点から慢性的飢餓に どう立ち向かうか~
南アフリカオランダ改革派教会のエイズに対する取り組み
2019/4/8 ストリートチルドレン 村瀬絵里奈 寺島友広 武田剛.
グローバリゼーションと 人の移動 移民・難民問題.
西洋諸国で働いていた女性と男性と中産階級の構成 ヨーロッパの初期中産階級 発生に伴う「女性」・「男性」の定義:
恋愛の社会学 筆者:山田昌弘 (中央大学文学部教授。専門=家族社会学)
ジェンダー別経済活動と先進国・途上国の相違
今日の説明の流れ 1.開発の問題としてのHIV ⇒ 2.HIV:神話と事実や経緯 ⇒ 3.現在、世界のHIV状態 ⇒ 4.HIVと貧困 ⇒
ミースの「国際分業と女性」 国際分業 キーワード I A.歴史背景: B.説明:
ポリオ撲滅への  資金と経過 第3ゾーンEPNC 松本祐二
様々な研究プロジェクトに参加したい学生の準備
財政-第24講 6.社会保障財政(5) 2008年7月1日 第2限.
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)について
ジェンダー・開発・HIV 経済・国際市場による開発
ジェンダー学:様々な分野の中のジェンダー分析の対象
Pro Life Journey into the Heart of Asia
「成長の延長線」を引き継げない 日本だからこそ、 子どもの育ちの支援を加速する - 世界と日本の子どもの近未来を俯瞰する -
民営化とグローバリゼーション 国家の役割は何か.
2019年7月 主な流行推計スライド.
コミュニティを 主体に 権利を擁護し 障壁を打ち破り 必要な人にサービスを届ける GLOBAL AIDS UPDATE 2019.
Presentation transcript:

開発援助のための国際資金とHIVへの見方 HIV危機を直面しているインドへの訪問中Microsoftのゲイツ社長 アジア太平洋HIV/エイズ国連特別大使 Sadik 医師 世界銀行の Wolfensohn頭取: ゲイツ夫妻の財団はインドのエイズ防止のために1億ドルを寄付 Newsweek 02.12.28 「HIVは人間安全保障への最大の長期的な脅かし である」 HIVは「開発への脅威、いや、我々は直面している最大の脅威    である」

HIV/エイズと開発:世界のエイズ感染率 合計 約43,000,000人 2005年12月現在 1,200,000人  1,000,000人 1,500,000+ 600,000人 8,000,000人  1,500,000人 15,000人 30,000,000人

地域 成人と小児感染者数 成人の感染率 サハラ以南 アフリカ 29,400,000 8.8% 北アフリカ・中近東 550,000 0.3% 南アジア・東南アジア 6,000,000 0.6% 東アジア・太平洋 1,200,000 0.1% ラテンアメリカ 1,500,000 カリブ海 440,000 2.4% 東ヨーロッパ・中央アジア 西ヨーロッパ 570,000 北米 980,000 オーストラリア・ニュージーランド 15,000 合計 42,000,000人 1.2%

HIVによる世界への脅威 アジア本土 5,355,000人  中国 600,000人  インド 3,800,000人  タイ 755,000人(2.5%) ヴェトナム130,000~200,000人  ミャンマー 180,000~400,000 (48,300,000人口) カンボジア170,000 (2.7%)   

将来の推定感染者数 インド 20 単位:100万人 2010年 15 2002年 10 中国 エチオピア 5 ロシア 0 単位:100万人  20 単位:100万人 2010年 15 2002年 10 ナイジェリア 中国 エチオピア 5 ロシア 0

HIV伝搬の経緯 時間の流れに従った伝搬の経路 発見:1978年(フランスとアフリカ)⇒ 81年(北米)⇒ 全世界 (ただし、1950年代から存在していた?) II.  診療報告による地理的な広まり     1.中央・東アフリカ・カリブ海 ↓↓ 2.北米、ヨーロッパ       ↓↓ 3.南アフリカ、南アメリカ、南アジア、東南アジア 診療が行われていない場所では、正式な情報も手に入れない。 病院に行けない貧者も、私立のクリニックに行く患者も     数に加えられていない。

HIV/エイズ:事実と神話 ・HIVは伝染病。病原体はヒトT細胞白血病III型ウイルス。 麻薬注射は第2伝搬となる

HIV/エイズとローカルコミュニティへのインパクト: 伝統社会における構想 HIV/エイズとローカルコミュニティへのインパクト: 新たに必要となる支援・福祉 治療がないので、免疫を強める寿命を伸ばす方法 HIVで両親を亡くした子供への援助 HIVで成人の子供を亡くした老人への援助 薬が手に入れないところでの食事生活, 伝統的な薬草の使用 住民助け合いグループ

先進国と途上国の間のHIV・エイズ: 貧困と関係があるのか? 移動する仕事が多い 性的慣行に関する情報は手に入れない 日雇い労働や季節労働で家族から離れる 近代化につれて、男女不平等(賃金差別、世帯内役割分担)が生じている

発展途上国とHIVのリスク・ファクター ・ 貧困層とHIVのリスク・ファクター 複数の性的相手をもつ慣行、特に同時に。 パートナーと、性的慣行について 話しができない 交渉できない   合意しない ために、セーフ・セックス(安全なセックス)が 3. よく移動する仕事・生活をもつ。これは、    貧困層の出稼ぎ労働と関わってくる。 できない

HIVと開発: HIVリスク・高い感染率と貧困との関わりはどこにある? 近代開発と貧困化:自給持続可能な生活が困難になり、開発のための道路建設など公共土木、プランテーション小作労働に依存する。このような季節労働・移動労働の問題は      ①所得が足りないが、他の選択肢がない  ②家から離れた所に行くとHIVリスクが高まる 貧困のサイクル: 土地がない ⇒ 生産ができない ⇒ 貯金ができない     ⇒ 子供の高等教育の学費を払えない ⇒ 小作農や出稼ぎ労働しか選べない ⇒ 移動労働のリスクにさらされる ⇒ HIV ⇒ 医療コスト、失業コストなどで債務が蓄積していく 貧困層の中の「貧富」格差が広がる 

土地無し貧困、低教育、移住労働、HIVの悪循環 教育を受けていないため、高賃労働も 入手できない 土地をなくす・土地がない 生産ができない・ 物を売れない 支出や債務が蓄積していく 子 教育を受けていないため、高賃労働も 入手できない 子供の高等教育の 学費を払えなくなる 親 HIV  とその コスト 貯金ができない HIVリスクにさらされる 出稼ぎ労働・移住労働

移住労働とHIV 移住労働はHIV感染のリスクとなるのはなぜか? 出稼ぎ先・移動先での誘惑: 家、家族、相手から離れる。日常生活、価値観、人との絆から 離れる 周りを知らないし、相手としてもよく知らない人。その人の他の性的相手やその人数もしらない 移動先の職場・現場での、人との深い関係、長期的な      関係の不可能性 移動先の職場・現場 頻繁的に相手をかえる習慣 毎週末に(決まっている日に)出る報酬の一部を         受けたい、飲み屋、麻薬、売春に紹介する仲介が        待っている 週末にストレス開放となる飲みに行く・遊びに行く      習慣で団結をし、ピアー・プレッシャーによる         知らない人と性的関係をつくる

ハイ・リスク・グループや職業の順位(職業別など) 発展途上国とHIV/エイズの感染率 ハイ・リスク・グループや職業の順位(職業別など) タイなどHIV第2、第3波の段階 日雇い・季節やとい労働者 農業 (特に小作農) 失業者 個人店舗経営者 小児(親による感染) 主婦 公務員 囚人 漁業者 オフィス・ワーカー ※下線の所は、出稼ぎ・移住する 他の途上国 HIV第1波(推計) 軍隊 運輸 麻薬注射常用者 建設(日雇い・季節) 性産業者とその顧客 親による感染された小児 小作農(季節労働) カラオケ・エンターテーナー 個人店舗 乞食、ストリート       チルドレン

HIVに関わる発展途上地域のコミュニティコスト 親のいない、所得のない子供達が低学年から直接働きに行く場合、低賃金労働しかかかれない 20・30代の生計を担う夫婦が亡くなると、    世帯の 支えはスキルや健康が優れていない     老人に残される HIV患者が働けないし、看病する人も仕事に     出かけないために、二人分の所得がなくなる 国民医療保険制度のない国で、病院への交通費     や医療費は自費で払われる。患者が共同体から    の援助を求める

亡くなった娘の写真を見せるタイ北部の年配の女性。 残された婿の所得に頼っている。

働きながら頑張ってノン・フォーマル教育による高卒と同じ資格をとった。 19歳で結婚して、20歳で長男が生まれた。 夫に感染され、27歳で亡くなったガンヤパンさん。 看病するために自分の仕事をあきらめた母は読み書きができないために、 HIVの影響を受けた家族への援助があることを知らなかった。

“南アジアにおいては、15歳~24歳の年齢層の感染者は、62%が女性である。HIVポジティヴ 女性の90%は 既婚女性である。” (国連開発プログラム 2002年より)