テキストベースの会議における議論の効率化に関する研究 福田剛士 fukuda@sfc.wide.ad.jp
本研究の目的 ネットワークを用いたテキストベースの会議において収束的な議論を効果的に行えるツールを設計し、実装する 収束的な議論=グループのメンバーが意見をすり合わせ、結果として同一の結論を共有することが求められる議論 グループ内での意思決定 グループ内でのコンセンサスの形成
本研究が想定する議論の環境 全員がテキストベースのツールを用いて議論 全員が非対面(分散している) 同期(リアルタイムのやりとり) 規模は10人程度
問題意識 なぜテキストベースの会議ツールなのか 現状では最も効果的なコミュニケーション手段 だが問題もある 障害者(=聴覚障害者)と普通の人が共存する環境 双方の円滑なコミュニケーションが不可欠 現状では最も効果的なコミュニケーション手段 全てのメンバーが共通の基盤の上で作業できること どのメンバーに対しても過剰な負荷をかけないこと どのメンバーに対しても特殊な技能(手話、点字、etc)の修得を要求しないこと 通訳や介助者が不要 だが問題もある
テキストベースの議論の特徴(1) 主に言語によるコミュニケーション 非言語的要素(身振り、手振り、表情、声の調子)は削ぎ落とされる 同時に複数人が発言可能 発言の速度がタイピングの速度に制約されるため、口頭よりスループットが落ちる
テキストベースの議論の特徴(2) 発散的な議論には向いている 収束的な議論には不向き 議論の混乱に弱い ブレーンストーミング 自由連想法 グループにおける意思決定 グループにおけるコンセンサスの形成 議論の混乱に弱い 議論が混乱すると文脈の把握や収拾が難しい
本研究で解決する問題点 現在のテキストベースの議論では このことが議論の時間を長くする一因 議論の混乱(堂々巡りなど)を防ぐ仕組みがない 議論が混乱した場合、本筋に戻ることを助ける仕組みがない このことが議論の時間を長くする一因 特に収束的な議論では無視できない
本研究におけるアプローチ 前述の環境において、効率的に議論を進めるためのツールを実装する 議論と並行して議論の内容を整理し、共有する仕組みを作る 議論と並行して議論の内容を整理することで、議論の混乱を予防する 混乱したとき議論を本筋に戻すのにも役立つ
システムの要件 議論を行うチャンネルを提供する 議論と同時進行で、参加者が同時進行的にログを編集できる 同一のツールで同時に両方の機能を提供 議論はIRCベース 議論と同時進行で、参加者が同時進行的にログを編集できる 同一の編集画面を共有する 参加者全員が書き込める 共同で議題や問題点、既決事項などを書き込んで議論の内容を整理 同一のツールで同時に両方の機能を提供
システムの仕組み 議論チャンネル ログ編集 議論とログの記録 IRCを利用してメッセージの送受信・表示 チャンネルの管理 参加者の把握 一つのチャンネル(=議論)に一つの編集画面 議論とログの記録
システムのインターフェース メンバ一覧 議論の表示 議論での発言の入力 ログの入力・表示
システムの実装(1) 通常のIRCクライアントによる通信 B クライアント サーバ A C ユーザ D A: ユーザの入出力
システムの実装(2) 本ツールによる通信とログの編集・共有 X: 議論処理部 Y: ログ処理部 Z: インターフェース C サーバー A X D ユーザ Z B E Y A: 議論への入出力 B: ログへの入出力 C: 制御用メッセージ D: 議論用チャンネルのメッセージ E: ログ用チャンネルのメッセージ
評価方法 実際に想定する環境で利用する 以下の条件での議論の過程、および議論に要した時間を比較することで本ツールの有効性を評価する IRCのみでの議論 本ツールを用いた議論
質疑