平成26年診療報酬から 今後の理学療法士のあり方を考える 山王リハビリ・クリニック PT-OT-ST.NET 代表 友清直樹
自己紹介 友清直樹(ともきよ なおき) ■山王リハビリ・クリニック 疾患別リハビリ(外来)・通所介護・通所リハビリ 友清直樹(ともきよ なおき) ■山王リハビリ・クリニック 疾患別リハビリ(外来)・通所介護・通所リハビリ 訪問リハビリ・訪問看護・メディカルフィットネス ■PT-OT-ST.NET 代表 ■日本理学療法士協会 広報部部長(H23〜24年) 広報戦略特別委員会 委員(H23〜24年) 職能局理学療法士グランドデザイン策定事業委員 (H23〜24年) 広報啓発業務執行委員 第50回日本理学療法学術大会 広報局長 ■公益法人日本バレーボール協会 強化事業部 メディカル委員会 ■NPO法人地域リハビリ生活協会 CIRL理事 ■PT-OT-ST.NET 代表 ~変化をチャンスに!理学療法士として~ 友清直樹 1
廃用症候群に対する リハビリテーション
廃用症候群に対するリハビリテーションの評価の適正化 平成26年度診療報酬改定 廃用症候群に対するリハビリテーションの評価の適正化 廃用症候群に対するリハビリテーションの評価を適正化するとともに、対象患者から他の疾患別リハビリテーション等の対象患者を除く。 廃用症候群に係る評価表の見直し。 廃用症候群に対するリハビリテーション料 改定前 改定後 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ) 235点 180点 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅱ) 190点 146点 脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅲ) 100点 77点 〈対象患者〉 下線部分 を追加 外科手術又は肺炎等の治療時の安静による廃用症候群その他のリハビリテーションを要する状態の患者であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来しているものであって、心大血管疾患リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料、障害児(者)リハビリテーション料、がん患者リハビリテーション料の対象となる患者を除く。
改定後に廃用リハはどうなる? → 疾患毎の施設基準が必要か!? 改定前 改定後 肺炎となり2ヶ月の入院となった。退院後も車いすが欠かせない状態となり当院を紹介され廃用に対する疾患別リハビリ外来リハビリで実施する。 脳血管 (廃用) 呼吸器 リハ E病院にて胃がんで胃下部2/3、十二指腸1/2切除した。 退院後に当院紹介され廃用症候群に対するリハビリ実施する。 がん 狭心症のためバイパス術を施行した。退院後に体力低下を訴えて当院受診。廃用症候群に対するリハビリテーション実施する。 心大血管 → 疾患毎の施設基準が必要か!?
疾患等リハビリテーション料届出施設数
平成22年 診療報酬改定
東京都士会員が所属する全医療施設を対象に 平成 23 年 10 月から 2 ヶ月間実施した。
4月から全国各地(13箇所)で開催予定 *詳細は日本理学療法士協会ホームページへ 診療報酬研修会に理学療法士協会 「がん患者リハビリテーション研修会」 疑義解釈資料の送付について(その1) 疑義解釈資料の送付について(その1) 3月31日 4月から全国各地(13箇所)で開催予定 *詳細は日本理学療法士協会ホームページへ
質の担保はどうあるべきか? 専門性は?
地域包括ケア病棟について
地域包括ケア 病床の役割 ・在宅復帰困難な患者の受入 自宅・在宅医療 緊急患者の受入 在宅・生活復帰支援 高度・急性期医療が必要な患者の受入 在宅復帰困難な患者の受け入れ 地域包括ケア病床 等 地域に密着した病床 高度急性期・急性期 長期療養 在宅復帰 ・在宅復帰困難な患者の受入 ・緊急患者の受入 ・在宅、生活復帰支援 等 有床診療所
急性期後・回復期の病床の充実と機能に応じた評価 平成26年度診療報酬改定 急性期後・回復期の病床の充実と機能に応じた評価 地域包括ケアを支援する病棟の評価 急性期後の受入をはじめとする地域包括ケアシステムを支える病棟の充実が求められていることから新たな評価を新設する。 (新) 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1 2,558点 (60日まで) 地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)2 2,058点 (60日まで [施設基準等] ① 疾患別リハビリテーション又はがん患者リハビリテーションを届け出ていること ② 入院医療管理料は病室単位の評価とし、届出は許可病床200床未満の医療機関で1病棟に限る。 ③ 療養病床については、1病棟に限り届出することができる。 ④ 許可病床200床未満の医療機関にあっては、入院基本料の届出がなく、 地域包括ケア病棟入院料のみの届出であっても差し支えない。 ⑤ 看護配置13対1以上、専従の理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士1人以上、専任の在宅復帰支援担当者1人以上 ⑥ 一般病棟用の重症度、医療・看護必要度A項目1点以上の患者が10%以上 ⑦ 以下のいずれかを満たすこと ア) 在宅療養支援病院、イ) 在宅療養後方支援病院(新設・後述)として年3件以上の受入実績、ウ) 二次救急医療施設、エ) 救急告示病院 ⑧ データ提出加算の届出を行っていること ⑨ リハビリテーションを提供する患者について、1日平均2単位以上提供していること。 ⑩ 平成26年3月31日に10対1、13対1、15対1入院基本料を届け出ている病院は地域包括ケア病棟入院料を届け出ている期間中、7対1入院基本料を届け出ることはできない。 ⑪ 在宅復帰率7割以上 (地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ) ⑫ 1人あたりの居室面積が6.4㎡以上である (地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1のみ) 看護職員配置加算:看護職員が最小必要人数に加えて50対1以上 看護補助者配置加算:看護補助者が25対1以上 救急・在宅等支援病床初期加算:他の急性期病棟(自院・他院を問わず)、介護施設、自宅等から入院または転棟してきた患者について算定
地域包括病床の施設基準 リハビリテーションを提供する患者については、 1日平均2単位以上提供していること。 入院区分 看護 人員要件 入院時重症患者の比率 リハの提供 在宅復帰率 算定日数 点数 含む消費税改定分 1 看護13:1 専従のPT、OT又はST1人以上 かつ 専任の在宅復帰支援担当者1人 A項目1点以上10%以上 1日2単位以上 70%以上 60日まで 2558点 2 2058点 リハビリテーションを提供する患者については、 1日平均2単位以上提供していること。
急性期PT病棟配置について
疾患別リハの単位数に縛られない、予防理学療法としての新たな働き方。 基本的な考え 理学療法士の新たな職域:入院に伴う諸問題の予防 疾患別リハの単位数に縛られない、予防理学療法としての新たな働き方。 多職種協働、安全管理、廃用・褥瘡予防、患者・家族との情報共有がキーワード。 資料 平成26年度3月15日平成26年度診療報酬改定に向けた協会活動の紹介 公益社団法人 日本理学療法士協会 職能課 野崎展史より
資料:日本理学療法士協会職能課 4月7日 http://www.japanpt.or.jp/
資料:日本理学療法士協会職能課 4月7日 http://www.japanpt.or.jp/
疑義解釈その3(4月10日)より
運動器リハビリについて
*(1については、病院または有床診療上に限る。)の文脈は削除 無床診療所でも運動器リハビリ1は算定可能。
その他
医療・介護の連携の評価について 介護保険によるリハビリテーションへの移行支援 平成26年度診療報酬改定 医療・介護の連携の評価について 介護保険によるリハビリテーションへの移行支援 維持期の脳血管疾患等、運動器リハビリテーションを受けている入院患者以外の要介護被保険者等について、医療保険から介護保険への移行を促進させるため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)との連携により、医療保険から介護保険のリハビリテーションに移行した場合の評価を行う。 (新) 介護保険リハビリテーション移行支援料 500点(患者1人につき1回限り) [算定要件] 入院患者以外の要介護被保険者等について、医療保険における維持期のリハビリテーションから介護保険のリハビリテーションに移行した場合に算定する。 「介護保険リハビリテーション移行支援料の算定留意事項」より 当該患者が、当該医療機関内で維持期のリハビリテーションから介護保険によるリハビリテーションに移行した場合は算定できない。
疑義解釈その2(4月4日) 問)入院時訪問指導加算における訪問は、回復期リハビリテーション病棟に配置されている専従者が行うのか。 答)当該保険医療機関に勤務する者が行う。なお、病棟専従配置のものが行うことは不可。
205点 175点 105点 85点 245点 180点 200点 170点 100点 脳血管疾患 運動器 心大血管 呼吸器 【平成26年度】 脳血管疾患 運動器 心大血管 呼吸器 施設基準Ⅰ 245点 (廃用:180点) 180点 205点 175点 維持期リハ(*1) 221点 (廃用:162点) 維持期リハ 163点 施設基準Ⅱ 200点 (廃用:146点) 170点 105点 85点 維持期リハ(*1) 180点 (廃用:131点) 維持期リハ(*1) 154点 施設基準Ⅲ 100点 (廃用:77点) 維持期リハ(*1)90点 (廃用:69点) 維持期リハ(*1) 脳血管リハ1 245点−呼吸175点 =70点 70点×18単位×21日×12ヶ月=317万 1点×18単位×21単位×12ヶ月=45360円 ① 廃用疾患等リハビリの点数引き下げ ② 脳血管疾患等リハビリ以外の疾患別リハの点数引き上げ 28
これからの社会保障 理学療法について
1.入院医療について<在宅復帰の促進> 自宅等退院患者割合 在宅復帰率の導入 在宅復帰率の導入 平成26年改定 平成26年改定 平成26年度診療報酬改定 1.入院医療について<在宅復帰の促進> 高度急性期・急性期 地域包括ケア病床・回復期等 在宅復帰機能強化加算を算定している療養 に限る 自宅等退院患者割合 の導入 7対1の自宅等退院患者割合: 75%以上 平成26年改定 在宅復帰率 回復期リハ病棟1: 7割以上 回復期リハ病棟2: 6割以上 在宅復帰率の導入 地域包括ケア病棟: 7割以上 平成26年改定 居宅 居住系(特定施設・グループホーム等) 家庭 在宅復帰支援型の老健 等に限る 診療所等 老健 【参考】在宅復帰率(介護保険) 在宅復帰支援型の老健 > 5割 上記以外※ >3割 ※在宅復帰・在宅療養支援機能加算を算定する場合 長期療養 外来・訪問サービス等 在宅復帰支援型の老健 等に限る 在宅復帰率の導入 療養:在宅復帰率50%以上の評価 平成26年改定
地域包括ケアシステムイメージ 介 護 医 療 住まい 通院 通所 訪問介護 ・看護 生活支援・介護予防 平成26年度診療報酬改定 地域包括ケアシステムイメージ 医 療 生活支援・介護予防 住まい 通院 通所 老人クラブ・自治会・介護予防・生活支援 等 地域包括支援 センター・ ケアマネジャー 訪問介護 ・看護 介 護
今から5年間が重要!! 地域包括ケアシステムに向けて 年号 西暦 H26 2014年 H27 2015年 H28 2016年 H29 2017年 H30 2018年 H31 2019年 H32 2020年 H33 2021年 H34 2022年 H35 2023年 H342024年 平成 33 2025年 診療報酬 改定 ○ 介護報酬 参議院選挙 32
今後の課題・検討事項 疾患別と障害別? 理学療法の職域拡大は是か非か? 理学療法士の急増は是か非か? 出来高払と包括払いは是か非か? 医師の指示は? 理学療法の質の担保と差別化をどうするか?
「あるべき姿への挑戦」 一人ひとりがこれからの社会にしっかりと向き合うこと大切です。 そして、これからの危機を他人ごとではなく 自らのこととして捉え、一人ひとりがあるべき姿の理学療法 あるべき姿の社会を実現するために行動が必要です。 そして理学療法士として、あるべき姿の社会を 共に創造していきたいと思います。 ご清聴ありがとうございました。 2014年4月20日 友清直樹