慶應義塾大学 理工学部 管理工学科4年 曹研究室 60803571 遠 藤 健 司 第1回輪講 2011.5.10 (火) 慶應義塾大学 理工学部 管理工学科4年 曹研究室 60803571 遠 藤 健 司
自己紹介 氏名:遠 藤 健 司 年齢:21歳 サークル:矢上祭実行委員会 出身地:愛知県名古屋市 趣味:旅行、ドラム、プラモデル 特技:料理 氏名:遠 藤 健 司 年齢:21歳 サークル:矢上祭実行委員会 出身地:愛知県名古屋市 趣味:旅行、ドラム、プラモデル 特技:料理 来年度から日新製鋼(株)で勤務予定
1年間、研究室で研究したいこと 鉄鋼製造におけるSCMについて 国内鉄鋼産業の底上げを図るには… 鉄鋼製造における供給体制(調達~生産~保管~出荷)の最適化 原材料の調達、顧客への製品供給etc…のリスク分散 国内鉄鋼産業の底上げを図るには… 国際化の中で日本鉄鋼メーカーの取るべき戦略の分析(権益確保のための投資、経営統合etc…)
今回取り扱った論文 「鉄鋼業におけるSCM」 谷 崎 隆 士 (株)住友金属小倉 谷 崎 隆 士 (株)住友金属小倉 The operations Research Society of Japan オペレーションズリサーチ:経営の科学 51(3)巻 2006年3月 より
目的 鉄鋼業におけるサプライチェーンの現状把握 鉄鋼メーカーとユーザー間が抱えるサプライチェーンの課題を理解する
論文の構成 鉄鋼業におけるサプライチェーン サプライチェーンにおける顧客の課題と対応策 ORの活用 商社の役割、鉄鋼メーカーと顧客のサプライチェーンにおける関係 サプライチェーンにおける顧客の課題と対応策 機能によってカテゴライズ&モデル化された顧客の課題と解決策 ORの活用 企業内の生産計画の最適化問題へのORの活用
1.鉄鋼業におけるサプライチェーン 顧客グループ サプライヤーグループ 生産計画 注文情報 最終顧客 商社 鉄鋼メーカー 在庫情報 鋼材 部品 物流基地 部品メーカー 鋼材 在庫情報 鋼材 情報の流れ 加工済鋼材 加工メーカー モノの流れ
1.鉄鋼業におけるサプライチェーン 鉄鋼業におけるサプライチェーンの特徴 商社が顧客からの生産計画を鉄鋼メーカー向けの情報に変換している。 鉄鋼メーカーによる鋼材製造後、最終顧客までのリードタイムが長い。 顧客の規模や形態が様々。
1-1.商社での注文対応 顧客からの生産計画を鉄鋼メーカーへの注文情報に変換し、鉄鋼メーカーへ発注する。 物流基地の在庫管理、物流基地から顧客へ向けて鋼材出荷
1-1.商社での注文対応 生産計画 注文情報 商社 顧客グループ サプライヤーグループ 最終顧客 鉄鋼メーカー 在庫情報 鋼材 在庫情報 部品 物流基地 部品メーカー 鋼材 在庫情報 鋼材 情報の流れ 加工済鋼材 加工メーカー モノの流れ
1-1.商社での注文対応 Hn+1,i = Max{Ai-(Zni-Di-Sn+1,i),0} 但し、Max(a,b) = a (if a≦b) b (if a<b) ・Hn+1,i:n+1期の鉄鋼メーカーへの鋼材発注量 ・Ai:安定在庫量(nに依存しない) ・Zni:n期の物流基地の在庫量 ・Dni:物流基地の在庫量 ・Sn+1,i:顧客のn+1期の生産計画量
1-1.商社での注文対応 生産計画 ≠ 納入量 商社は顧客に対する在庫管理の過不足等のリスクヘッジを担っている。
1-2.最終顧客までのリードタイム 最終顧客は最終消費者に近いことから、景気の変動を受けやすく、生産量変動が大きくなる可能性がある。 鉄鋼メーカーから最終顧客までのリードタイムが長いことによる結果 トータル在庫量を小さくすることがSCMの目的
リードタイムが長い! 1-2.最終顧客までのリードタイム 顧客グループ サプライヤーグループ 生産計画 注文情報 最終顧客 商社 鉄鋼メーカー 在庫情報 鋼材 在庫情報 部品 物流基地 部品メーカー 鋼材 在庫情報 鋼材 情報の流れ 加工済鋼材 加工メーカー モノの流れ
1-2.最終顧客までのリードタイム 生産量 過剰在庫 →景気下昇期 鉄鋼メーカーの生産量 納期遅れ →景気上昇期 最終顧客の生産量 年月
1-3.顧客の規模と業態の特徴 最終顧客は、生産計画の精度が高く、納期厳守なので、SCMのメリットが少ない。 部品メーカーは、中小規模が多いため高価な生産設備の導入は厳しい。また、最終顧客の納入指示に対して柔軟な対応をするため生産計画の精度が低い。 加工メーカーは、最終顧客と部品メーカーの納入指示の変動によって、生産計画と生産実績の間に乖離が生じる可能性がある。
2.サプラーチェーンにおける顧客の課題と対応策 顧客タイプ別の課題 最終顧客 最終顧客に部品を供給するメーカー数が多く、全体在庫をコントロールできない。 部品メーカー 中小規模の企業が多く、紙主体の企業間情報提供連携のため転記入力が必要。データチェックに手間がかかる。 加工メーカー 最終メーカーまでのリードタイムが長いため、納期調整の工程が大きい。
2-1.最終顧客の課題と対応策 部品メーカーの在庫状況がタイムリーに把握できない。 IT技術により、部品メーカーの在庫量を日々集計でき、トータル在庫量を把握できるようにした。 最適納入量を計算し、物流基地並びに加工メーカーから鋼材を納入できるようにした。
2-2.部品メーカーの課題と対応策 ハンド入力による異材の発生するリスクや、請求金額と支払金額の不一致等のトラブル。 インターネットによる以下の仕組みの構築 納入指示や出荷実績を安価に伝送できる。 鉄鋼メーカーや物流基地への納入指示をWEB上の在庫情報によって管理できる。 伝送された出荷実績をPCに自動登録できる。
2-3.加工メーカーの課題と対応策 加工メーカーから最終顧客までのリードタイムが長く、納期調整業務の工程が大きい。在庫量が多い。 鉄鋼メーカーの生産進捗と在庫情報並びに物流基地の在庫情報を一貫して管理するSCMデータベースを構築し、生産予定量、在庫量等の集計を自動化。
2.サプラーチェーンにおける顧客の対 応 策 加工メーカー 最終顧客 納入指示・納入予定・出荷実績 在庫・出荷納入指示予定 インターネット SCMデータベース 納入指示・納入予定・出荷実績 出荷 在庫 IT技術 納入指示・出荷実績 在庫 部品メーカー(数十社) 在庫・出荷 検収 支払 鉄鋼メーカー 生産計画 製造 転記不要
3.ORの活用 『業務分析→モデル化→改善・改革の案出』 例えば…企業内の生産計画の最適化問題 ORを実践の場にも応用可能! 定式化 解法アルゴリズムの適応
まとめ 鉄鋼業にはSCMが幅広く取り上げられているが、在庫管理や納期の面で課題が多い。 その対策として、インターネット技術やWEBの本格的な活用が有効である。 問題は、鉄鋼業における顧客をモデル化し、共通の課題を整理かつ抽出して、ニーズに合わせたデータベース(解決策)を構築することが重要である。
次回の予定 鉄鋼業全体のSCMではなく、次は鉄鋼メーカーに焦点を当て、製鉄所におけるSCMに関しての論文を検証し、製鉄所でのサプラーチェーンの現状把握と課題の理解に努める。
最後まで御清聴して頂きましてありがとうございました。