難病のある人に必要な 就労支援の内容 ~地域関係機関の「餅は餅屋」の連携関係によって、難病のある人の職業生活と疾患管理を支える~

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難病のある人に必要な 就労支援の内容 ~地域関係機関の「餅は餅屋」の連携関係によって、難病のある人の職業生活と疾患管理を支える~ 独立行政法人高齢・障害者支援機構 障害者職業総合センター 研究員  春名由一郎

難病のある人の就業実態 不明 非就業で就業希望なし 就業している(45%) 難病がある人(回答者全体) 非就業で 就業希望あり (26%) 就業原則 禁止 (8%) 医師から の就業禁止無し(18%) 非就業で 就業希望あり (26%)

難病のある人にとって必要な、医療等と雇用の連携 難病相談・支援センター ハローワーク 病気を隠して就職→体調悪化→退職、の繰り返し 難病のことは分からない。 「その他の障害」での支援になる。雇用率制度は使えない。 20時間以上働けるなら、ハローワークに来てください。 就業支援はできない。 難病のある人を雇用する企業はないですよ。 障害者雇用率制度の改正が必要。 福祉的就労の場を作る必要。 雇用率にカウントされない人を企業が雇用するメリットはない。 病気のある人を企業は雇用できない。 医療面と生活面の問題の対応が先。 無理して働く必要はない。 「やっぱり仕事は無理」と諦める

モデル事業での突破口 ハローワーク 難病相談・支援センター 「無理のない条件での、職探しを誰が支援してくれるのですか?」 障害者手帳の有無にかかわらず、専門援助部門では、個別的で継続的な職探しを応援できます。 条件にあう職場開拓もできます。 本当に無理のない仕事の条件を教えて下さい。 事業主に対して、雇用管理の説明や、難病のある人の雇用についての啓発などもできます。 事業主の継続的支援と、本人の自己管理の応援をお願いします。 難病のある人の就業希望を、先入観なく受け止めて応援します。 一人ひとりの希望と、病気に応じた条件を、ハローワークに伝えるために、時間をかけて就労相談をします。 面接への同行や、企業の安心のための情報提供を行います。 就職後、問題があったらいつでも相談できる場所となります。 一人ひとりにあった無理のない条件の個別的な職探しでの協力

モデル事業で、ハローワークが手助けした職探しの成果(1) 強み、興味 就労条件 実際の職場 車好き、ボランティア 軽作業 福祉施設の送迎運転手(短時間) 惣菜づくり 立ち作業を避ける スーパーの惣菜部門(5時間4日勤務) デザイン ウェブサイトの管理、デザイン、ホームページ更新 生け花(教授) 無理のない仕事 福祉施設2ヶ所での「生け花教室」(新規開講)

モデル事業で、ハローワークが手助けした職探しの成果(2) 強み、興味 就労条件 実際の職場 印刷業の経験 疲れない仕事 印刷会社の校正 営業や販売 職場の病気理解 薬品会社での雑貨販売(障害者雇用、正社員) (面接会に参加) (心臓移植後) ドラッグストアの品出し(職場配慮あり)

労働支援と医療支援の連携の重要性 急性疾患 慢性疾患 予防 早期発見 診断 治療 リハビリテーション ・経過観察 ・継続的受療 ・自己管理 死亡 慢性疾患 死亡 感染等 潜伏期 発症 治癒 後遺症 疾患の慢性化 予防 早期発見 診断 治療 リハビリテーション ・経過観察 ・継続的受療 ・自己管理 ・生活支援 ・就労支援(無理のない仕事と配慮)

「クローン病」への「職場内支援」のポイント 勤務中の自己管理への職場の配慮 病気や障害にかかわらない人事方針 仕事上の相談にのる同僚・上司 職場内の休憩や疾患管理ができる場所の配慮 社内の親睦会などへの参加のしやすさ 通院への配慮 勤務中の休憩を取りやすくする コミュニケーションに時間をかける配慮 上司・同僚の病気や障害への正しい理解

「クローン病」への「地域支援」のポイント 必要な環境整備について会社側に伝えること 役に立つ医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談すること* 患者団体、難病連(難病相談会)に相談すること 保健所(保健師)に相談すること 役に立つ学校の教師や進路指導担当者に相談すること*

難病のある人には、「職業的問題」がどの程度あるのか? 0% 20% 40% 60% 80% 100% 潰瘍性大腸炎 モヤモヤ病 全身性エリテマトーデス 多発性筋炎・皮膚筋炎 サルコイドーシス クローン病 網膜色素変性症 再生不良性貧血 混合性結合組織病 シェーグレン症候群 ベーチェット病 重症筋無力症 強皮症 神経線維腫症 多発性硬化症 パーキンソン病 脊髄小脳変性症 現状 0% 20% 40% 60% 80% 100% 潰瘍性大腸炎 モヤモヤ病 全身性エリテマトーデス 多発性筋炎・皮膚筋炎 サルコイドーシス クローン病 網膜色素変性症 再生不良性貧血 混合性結合組織病 シェーグレン症候群 ベーチェット病 重症筋無力症 強皮症 神経線維腫症 多発性硬化症 パーキンソン病 脊髄小脳変性症 支援後の見通し 20%以上が「問題あり」とした職業的課題 半数以上が「問題あり」とした職業的課題

企業の不安を解消し、安全配慮上の問題を解決する 適切な環境整備や支援を前提とすれば、安全に健康に職業生活が送れる。 企業の安全配慮義務の内容を具体的に示す。 仕事のできない病人を雇用するわけではない。 いつでも必要な社会的バックアップがある。 企業だけで支援を抱え込む必要はない。 難病があっても、本人は自分のできること、できないことを理解して自己管理できる。 仕事の内容によって完全な職業人になれる。

難病相談・支援センターとハローワークとの連携(1) 難病相談・支援センターでの相談受付から、ハローワークでの職探しへの素早い橋渡し 就業希望者を抱え込まずに、ハローワークでの職業検索を支援し、希望の仕事を最低5つはプリントアウト。 再び、難病相談・支援センターで無理なく安全な「働くイメージ」について、医療専門職も交えて検討 無理なく安全に働ける就業希望の条件を明確にして、ハローワークに職探しを依頼する。 職種、勤務場所・時間、必要な配慮や支援内容等。 企業に安心して紹介できる条件の整備。

病気や「できないこと」だけを伝えるのではなく、 具体的な職探しの条件や、企業への説明に必要なことを、具体的に明らかにする。

難病相談・支援センターとハローワークとの連携(2) 就職活動時や職場定着期に、難病相談・支援センターが医療的支援を調整 企業、本人、ハローワーク等の不安や課題への対応。 就業継続期に、いつでも相談できる地域の核の確保 就職後の体調の悪化、職場の人間関係等で就業継続ができなくなる前に、予防的に対応する。 就業支援ニーズのある難病のある人を、地域支援につなげる核の形成とアウトリーチ 難病相談・支援センターでの「就労相談・支援」のPR。関係機関へパンフレットを置く。

障害者雇用支援制度の利用への障害者手帳の要/不要 手帳が必要 障害者雇用率への算定対象(職安) 職場適応訓練(職安) 各種助成金 特定求職者雇用開発(職安) 障害者介助等(雇用支援機構) 障害者作業施設設置等(雇用支援機構) 手帳は不要 職業相談(職安、職業センター、就業・生活支援センター) 職場定着支援(〃) ジョブコーチ支援(職業センター) 職業準備支援(〃) 職務試行法(〃) トライアル雇用(職安)

「餅は餅屋」の連携 ~難病のある人の「職業生活と疾患管理の両立」ニーズに応えるという共通目標~ ハローワーク等労働機関 就職セミナー 職業相談 職業訓練 求人情報提供 個別職場開拓 雇用率達成指導 事業主への説明 制度の活用 定期的フォローアップ 福祉施設、医療機関等 難病のある人の理解 支援課題の検討 職場実習 職場見学 同行支援 生活支援 生活、医療面の継続的支援 職業準備 職探し 職場適応 事業主支援 就業継続

適切な環境整備があれば仕事ができると思うか? 非就業者全体 絶対に仕事ができる(12%) 仕事ができると思う(38%) わからない(23%) 仕事はできないと思う(17%) 絶対に仕事はできない(10%)

どちらが真実を伝えているか? ~できないことを述べるのは簡単だが・・・ 「私はクローン病です。これは難病に指定されている腸疾患です。定期的に通院する必要があります。腹痛があったり、トイレに頻繁に行かなくてはいけないことがあります。入院の可能性もあります。障害者雇用率にはカウントされません。難病を理解して雇用して下さい。」 「私は、大学ではデザインを学んで、前職ではホームページ制作も経験しました。ウェブデザインには自信があります。持病がありますが、御社にはフレックス制度があるので特に心配ないと、医師の手紙もあります。」 「職場での配慮の仕方や雇用管理についてお困りの点があれば、様々な無料の支援が提供されます。」

「難病患者の就業支援」から 「難病のある人の就業支援」へ 「病気で働けない人の雇用への理解を企業に求める。」  ⇒ 「自己管理ができる職業人と企業のマッチングを目指す。」 「難病だから、軽作業、事務、短時間の仕事を探す。」 ⇒ 「その人の強みや興味を生かせる、無理なく安全な仕事を探し、創る。」 「障害者手帳がないから、就業支援は行えない。」 ⇒ 「個別的で継続的な職探しや、事業主の安心につながる支援を行う。」

特定疾患患者の自立度

主な難病の患者就業状況

病気と障害 疾患・失調 機能障害 活動制限 (能力障害) 参加制約 (社会的不利) 難病(診断名):パーキンソン病、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス・・・・130疾患(以上) 病気と障害 疾患・失調 機能障害 活動制限 (能力障害) 参加制約 (社会的不利) 感覚障害、肢体不自由、内部障害、知的・精神障害 勤務時間制限、業務制限、就業条件の制限・・・ 疲れやすさ、皮膚障害、痛み、外貌・・・

難病のある人の障害認定状況 1級 2級 3級 6級 5級 4級 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 再生不良性貧血 潰瘍性大腸炎 特発性血小板減少性紫斑病 混合性結合組織病 強皮症 全身性エリテマトーデス 神経線維腫症 重症筋無力症 サルコイドーシス 多発性筋炎・皮膚筋炎 モヤモヤ病 クローン病 ベーチェット病 パーキンソン病 多発性硬化症 網膜色素変性症 脊髄小脳変性症 1級 2級 3級 6級 5級 4級

障害者手帳の「ある」難病の例 視覚障害 肢体不自由 小腸機能障害、直腸機能障害 網膜色素変性症、ベーチェット病 ●中途障害 視覚障害 網膜色素変性症、ベーチェット病 肢体不自由 脊髄小脳変性症、パーキンソン病、多発性硬化症 小腸機能障害、直腸機能障害 クローン病、潰瘍性大腸炎 ●病気の進行 ●病気の変動 ●通院、自己管理の必要 ●合併障害 ・感覚+身体+痛み等 ・肢体不自由+内部障害 ・全身の肢体不自由等 ●障害の理解しにくさ ・障害への薬の効果 ・体調変化の要因

障害認定されていないが、職業上の困難が起こり得る例 ●全身性エリテマトーデス(SLE) 機能障害 疲れやすさ、日光過敏 関節の痛み、腹痛、全身の痛み 皮膚障害、相貌の変化 免疫機能障害、膵臓機能障害、肝臓機能障害、等 活動制限、参加制約 定期的通院の必要性 過労、ストレス、寒冷、発汗等の避けるべき条件、等 ●膠原病 ●重症筋無力症 ●潰瘍性大腸炎 ●クローン病 ●神経線維腫症 ●表皮水疱症 ●先天性免疫不全症候群 ● 1型糖尿病 ●もやもや病 ●再生不良性貧血

難病のある人は、地域に就業の相談先がほとんどない

難病のある人の就業についての相談先の有用性

手帳の有無によって左右される相談先の有用度

身体障害者手帳を所持しない人 取得できるのに未取得の場合 認定基準に該当しない場合 手帳制度を知らない、認定されないと思い込んでいる/過去に認定を渋られた、「自分は障害者ではない」 「6級ではメリットがないので取得していない」 認定基準に該当しない場合 疲れやすさ、皮膚、日光過敏、ストレスに弱い、関節痛、腹痛・・・ ⇒雇用率制度によらない支援の活用 職業紹介、職業リハビリテーション、雇用管理の指導、医療・保健・福祉等の制度やサービス

IBD(クローン病、潰瘍性大腸炎)患者の職業問題 比較的若い男性に多い 大半は事務職や専門技術職を中心に就業している。 就職後の発病時に退職するものが半数近くいるが、その大半は2年以内に再就職している。 職場での配慮として、休暇や短時間勤務・フレックスタイム等柔軟な勤務体制、能力に応じた昇進機会や賃金保障、適職紹介や職場配置を求めている。

全身性エリテマトーデス 全国で4万人以上。若い女性に多い。 ステロイド剤、免疫抑制剤により、病気のコントロールが向上している。 紫外線(海水浴、日光浴、スキーなど)、風邪などのウイルス感染、怪我、外科手術、妊娠・出産などで悪化 悪化した場合の症状:全身倦怠感、疲労しやすさ、関節炎、発疹、日光過敏症、臓器障害等

若年性パーキンソン病 40歳未満で発症:パーキンソン病全体の10%(全国で約12,000人) ON/OFF症状の理解のされ難さ 薬が効いている時は普通の生活、職業も問題がない ジスキネジア: 「L-ドーパ」の副作用 体が勝手にくねくね動く、字がかけない、千鳥足、貧乏揺すり様、知的能力には全く問題がない カウンセリングの必要性 患者団体等でのピアカウンセリングがないと、自主退職、うつなどが多発する 病気の進行にあわせた、数年をかけたキャリア計画

重症筋無力症 全国で5,000~10,000人;女性が2倍(10~30歳代で発症) 特に夕方や疲労時に、まぶたが落ちてくる、物が二重に見える、声がかすれる、筋力低下、呼吸困難、嚥下障害、疲労しやすさ 日内変動(朝が調子がよく、夕方に悪くなる;朝から調子が悪いこともある) 夏が疲れやすい、低気圧・季節の変わり目で悪化 胸腺摘出手術後3年程度、病状が不安定

重症筋無力症の人の勤務例 看護師 夜勤、時間外勤務の禁止 徒歩通勤 管理者だけが病名を知っている 規則正しい勤務が可能なリハビリ科 徒歩通勤 管理者だけが病名を知っている 突発休や早退(職場内休憩を認めないため)があるが、他の看護師と同程度 薬のふたをあけたり、アンプルを切るなどの力のいることは同僚に依頼する