M.E.ポーターの競争戦略論 M.E.ポーターの競争戦略論は、「競争優位」に関する理論的フレームワークを提示した基本的理論である。SCPパラダイムという考えをもとに持続的な競争優位を確立するための戦略である。 SCPとは、市場構造(structure)、企業行動(conduct)、業績(performance)の略語であり、市場構造と企業行動が業績を決めるという考えである。 13-MC002 ウ・ナ
S:市場構造 これらの競争要因を分析すれば、自社の長所と短所が分かるとともに、業界が利益を生みやすい環境なのか否かを明らかにできる。
「新規参入の脅威」:業界に新たに参入する企業がいくつも出てくれば販売価格の低下や製品提供コストの上昇などにより、企業の収益率は低下してしまう。新規参入のしやすさは、業界の参入障壁の程度によって分析ができる。 「供給業者」と「顧客」の「交渉力」:売り手、すなわち供給業者は、常に自分たちの製品をより高く売りたいと考えている。買い手、すなわち顧客(消費者)もまた、常に良い商品をより安く購入したいと考えている。この恒常的な欲求に対して、「売り手」と「買い手」がどの程度の力をもっているのかを分析する必要がある。 「代替品」:別の製品に取って変わられる機能やサービスを提供する製品のことである。代替品が現れると価格設定に上限が設けられてしまい、業界の収益性のポテンシャルが押さえつけられてしまう。 「業界内の競合」 :既存のライバル企業との競争関係。競争の激化に伴い、業界内における自社のポジションと他企業の出方を分析する必要がある。
この3つの基本戦略を巧みに使い分けることによって独自のポジションを選択していくことが可能となる。 C:企業行動 3つの基本戦略 ①コストリーダーシップ戦略:低コストで競争優位を確保しようとする戦略。 ②差別化戦略:製品やサービスを他社と異なるものにして競争優位性を確保しようとする戦略。 ③集中戦略:特定分野に経営資源を投入して競争優位性を確保しようとする戦略。 この3つの基本戦略を巧みに使い分けることによって独自のポジションを選択していくことが可能となる。
まとめ 産業組織論を基礎とするポーター理論は市場構造が企業行動を決定し、企業行動がその業績を決定するという考え方である。そして、市場構造(5つの原因)が分析できれば企業の業績も分かるはずだと考えていた。従って、ポーター理論は外部要因によって企業の業績は決定されると論じた。しかし、市場と競争環境が変化し続ける現代社会では同じ環境の中で同じ業界でも成功する企業と成功しない企業がある。ここではポーター理論を使って説明できない。それは各企業で、それぞれ内部の環境や組織が違うからである。従って、外部要因だけではなく、内部要因も大事ではないかと思われる。