認知科学ワークショップ 第2回 記憶(1)
記憶に与える要因としての言語の役割 記憶の変化 変化に与える要因 多くの視覚的記憶は、細部は切捨てられて基本的な要旨のみが記憶として貯蔵される 例えば、10円玉を想起して見て下さい。 但し、記憶の変化も不規則的なものではなく規則的なところがある 変化に与える要因 最近、目撃したものの影響 言語の影響
記憶に与える要因としての言語の役割 言語の役割 ではなぜ言語は記憶に影響?! 記憶時に同時に言語ラベル(名前)を与えると記憶に影響を与えることがある 例えば、Carmichael et al. (1931)の研究を参照 ではなぜ言語は記憶に影響?! 言語と記憶は密接に関わっており、多くの場合、音で記憶することが多い(電話番号など) 音で覚えることの方が視覚的に覚えることよりも得意(言語情報>視覚情報)
Carmichael et al. (1931)
Carmichael et al. (1931)
実験する時の注意点 参加者の選択 倫理の問題 内容を知っている人や同じ実験を受けたことがある人は出来るだけ避ける 協力して頂いた方には必ず感謝の気持ちとお礼を言うこと 倫理の問題 強制的に実験に参加させない(Informed Consent) 同意書の内容(実験内容全てを伝える必要はないが、最低限の情報は教えること)
実験する時の注意点 教示の仕方 実験の場所 実施中の注意 どの参加者にも同じ言葉、同じ教示を使用する(ただし実験条件によって教示が異なる場合は別) 被験者が十分理解したか必ず確認する 実験の場所 集中しやすい静かな場所を探そう! IT環境を統制する(同じ系統のパソコンetc) 実施中の注意 携帯電話のスイッチを切る 時間を統制する
実験する時の注意点 実施後も大事! その他 おすすめ! 実験の内容を他の人に教えないようにお願いする 2~3人などグループで実験を行う場合、参加者間で影響し合わないように気をつける おすすめ! グループ内で共通のマニュアルを作成する 実験を行う前にもう1度実験手順を確認する
デザインのヒント 本当に言語は視覚的記憶に影響を与えるのであろうか? 実験に与える要因として 実は割と正確に覚えている人も多かったのでは・・? 実際に試して見よう! 実験に与える要因として 絵画の性質・数 母集団の性質 評価方法
実験のやり方: パワーポイント版を使ってみる パワーポイントはけっこう使えます ビデオや静止画を提示するのに便利 →それぞれの刺激の提示時間を一定にしたり、マニュアルで操作したりできる 授業URL(資料のダウンロード用) http://cogpsy.sfc.keio.ac.jp/imai/ 授業ページ→ワークショップ
実験用パワポファイルの作り方 表紙と背表紙(終了の合図)を作る 刺激提示用のスライドを作る インターバル用のスライドを作る(空白) [挿入]→[図]→[ファイルから]→画像を選択 インターバル用のスライドを作る(空白) 表紙と背表紙以外(刺激とインターバル)を選択し、画面切り替え設定を行う [スライドショー]→[画面切り替え]→[画像切り替えのタイミング]→[自動的に切り替え]→秒数を設定
カーマイケル実験を パワーポイント版で行うには 被験者を3つのグループに分け、ランダムに条件を振り分ける(ただし、男女比や学部が3つの条件でほぼ同じようになるよう注意) 被験者一人ずつ施行(ひとつのパソコンのモニターを複数の被験者でシェアしてはダメ)
やり方1 パワーポイントのスライドショーを実行 (ひとりの被験者にはA,B,Cのどれかひとつのみ) 一回のスライドショーが終わったら回答用紙に書かせる 一回目の施行で思い出せた絵の数は3つのバージョンのうち、言語があるバージョンとないバージョンで異なるだろうか
やり方2 12の絵のうち、すべて思い出すまで試行を繰り返す 被験者が書いた絵を条件ごとに比べてみる 全部を思い出すことができるようになった回数は言語あり条件と言語なし条件で異なるか 被験者が書いた絵を条件ごとに比べてみる 言語ラベルが記憶をラベルの指す典型的な物体にイメージに近くなるよう、歪めているだろうか