経営統計 ビジネス予測を中心に (FMV: My Computer: home: My_Documents: intro_b_stats2

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経営統計 ビジネス予測を中心に (FMV: My Computer: home: My_Documents: intro_b_stats2 経営統計 ビジネス予測を中心に (FMV: My Computer: home: My_Documents: intro_b_stats2.ppt) 小島 平夫 経営統計学担当 経済学博士 (九州大学), M. B. A. (米国カーネギーメロン大学) http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/

以下の順で話を進めます (クリックして,各スライドへ飛ぶことができます) 企業経営とビジネス予測<企業財務情報の将来予測>との関わり合い 統計学エッセンス:国際経営データを例に ビジネス予測の技法:Excelによる おわりに:参考文献,など

企業経営とビジネス予測<企業財務情報の将来予測>の関わり合い ビジネス予測が組み込まれた,経営の流れ 『経営学総論』新版(以下、テキスト)第8章 p.108 の図1: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/figs.html#A1 上図では,経営を,以下の四つから成るシステム,として捉える: インプット(投入) 経営資源 経営プロセス(経営資源を処理する過程) 詳細は,テキスト第2章以降で概説 アウトプット(産出/成果) フィードバック(修正のための経営コントロール) 経営を,Plan - Do - See - Feedback として捉えると: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/figs.html#A2

統計学エッセンス (1) 「エッセンス」の詳細(経営データの表、そのデータを使った統計分析例、など)は、テキストあるいは次のウェブページに載せてます: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/EssentialsStats.html 経営データとは:国際経営データを例に(テキスト pp.110-111) 表1 海外進出日本企業の売上高データ:横断面データ(2000年度実績) データを整理する<1>:データの中心を調べる(テキスト pp.111-112) 平均値(=算術平均),中央値,最頻値 データを整理する<2>:データのばらつきを調べる(テキスト p.112) 分散,標準偏差,範囲

統計学エッセンス (2) データを整理する<3>:データの度数分布表,ヒストグラムを作り描く(テキスト p.112) データの分布の様子: 左右対称? 尖(とが)っている? 歪(ゆが)んでいる? 理想:Yes, No, No:正規(せいき)分布 分布の様子を目視観察する

統計学エッセンス (3) 時系列データを整理する<4>:中心を調べる(テキスト pp.112-113) 表2 日本企業(電気機械)のアジア現地法人経常利益データ:時系列データ Excelでグラフを描いてみよう: 幾何平均(前掲の算術平均とは違う!) 年平均増加率,年平均成長率を求めるときに必要 算術平均では,正しい平均増加率は計算できない 表2について,経常利益の年平均増加率を計算 (百万円) 年度 1997 1998 1999 2000 144,239 136,163 265,020 310,661

統計学エッセンス (4) データを整理する<5>:二つのデータ間の関係を,相関係数で調べる[=関係分析] (テキスト p.113) 表1 海外進出日本企業の売上高データ:横断面データ(2000年度実績) 表1の(A)北米現地法人売上高と(B)アジア現地法人売上高を二つの異なるデータについて,それらの関係を調べる 相関係数は,直線関係の度合いを示す: 曲線関係の度合いを調べることはできない!! 表1(A)と(B)の関係が直線的なのか,曲線的なのか,を調べるには, (A)と(B)を縦軸,横軸に置いた相関図(散布図)を描くことが肝要!

統計学エッセンス (5) 確率,確率変数,確率分布(テキスト pp.113-115) ビジネス予測は,結果が不確定な将来(=次期)を予測する作業 一般に,結果が不確実な事象(例えば,次期売上高が上昇する,という事象)は,確率を使ってその起こりやすさ,起こりにくさを考えることができる 理論的には,いくつかの条件を満たす実数であれば,それは確率と呼ぶことができる 私たちが主観的に想定する数字でも,それらの条件さえ満たせば確率となる 確率変数:将来の結果が不確定な変数 確率分布は,結果がどういう値で起こりやすい,起こりにくいのか,を目に見える形で示してくれる 「確率変数の確率分布」 既述の正規分布は,確率分布のひとつ 理論と実際の両面で,重要! 注:データのヒストグラムは,既に生起したデータの起こりやすさ,起こりにくさを示している

統計学エッセンス (6) 統計的推測(テキスト p.115) 母集団 この母集団の一部=標本 母平均について仮説検定 日本企業の海外現地法人すべて(世界各地域を網羅)の売上高 この売上高の平均=母平均:これは,未知 この母集団の一部=標本 未知の母平均を推測,推定するために,母集団から標本抽出(標本の無作為抽出) この標本について計算される平均=標本平均 標本平均そのもの=母平均の点推定 標本平均を使って幅のある推定=母平均の区間推定 母平均について仮説検定 帰無仮説:母平均=2,000,000(百万円) 対立仮説:母平均<2,000,000(百万円) 仮説検定:標本平均を使って,帰無仮説を検定する;帰無仮説は否定されるのか?否定されれば,対立仮説が受け入れられる.

統計学エッセンス (7=最後) 回帰分析(テキスト pp.115-116) 関係分析:日本企業北米子会社の売上高(表1の(A)欄)は,日本国内の本社売上(例えば表1の(C)欄)が増えるとき,どんな動きを見せているか? 単回帰分析 単回帰式:Yi = α + βXi + ai Yi:北米子会社の売上高 Xi :本社売上高 β:本社売上高Xiが1単位(表1では1単位=百万円)増加した場合,北米子会社の売上高Yiがどのように変化するのか,を表す 重回帰分析 Xiに加えて,Wi ,Zi(例えば「北米での広告宣伝費」など)も考慮に入れる 重回帰式: Yi = α + βXi + γWi + δZi + ai

ビジネス予測<企業財務情報の将来予測>の技法について,以下の順で,話を進めます はじめに: 企業の財務情報とはどんなものか,どこにあるのか なぜ,その将来予測(ビジネス予測)をおこなうのか 実際に,ビジネス予測をおこない,公表している企業は:キャノン 誰が,予測を担当するのか 将来のいつまでを,予測するのか どのように,予測をおこなうのか <ビジネス予測技法の核心> 予測から見えてくる将来の特徴は何か;予測の精度は高いのか 精度の高いビジネス予測をどのように活かすのか 将来が現実となったとき,予測と現実との乖離は小さいか;その乖離にどう対応していくか おわりに

はじめに: 企業の財務情報とはどんなものか 企業の財務情報: 決算書(商法では計算書類,証券取引法では財務諸表) 有価証券報告書(冊子) 有価証券報告書(有報,ともいいます) 有報の実例(最新のもの) :キヤノン http://www.canon.co.jp/ir/

はじめに<続> : 企業の財務情報とはどんなものか 財務諸表 貸借対照表: 資産;負債,自己資本 損益計算書: 売上高,費用,利益(=売上高ー費用) http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/hirao/course_busstats.html#A1 財務諸表の実例:キヤノン『有報 』pp.35-96 前のスライドのリンクで 第一部「企業情報」第5「経理の状況」

はじめに<続>: 企業の財務情報はどこにあるのか 各企業のホームページ:キヤノンなど 日経NEEDS FinancialQuest(会員制):日本最大規模の経済総合データバンクから企業財務や証券データをExcelに取り込んで利用することができます。企業財務をデータベースから利用する場合はこちらを確認をしてください。 西南学院大学図書館2階学術情報検索室,1階情報検索PCで利用可能です。 図書館ウェブサイトからアクセスし、「利用マニュアル (PDFファイル)」もダウンロードできる(ただし学生教職員のみ):http://www.seinan-gu.ac.jp/library/portal/org.html ダウンロードした財務データ実例(トヨタ自動車と本田技研工業の連結決算Excelファイル): http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/Hideshima_REPORT1.xls

なぜ 財務情報の将来予測 (ビジネス予測) をするのか 企業経営をひとつの流れとして捉える: Plan - Do - See - Feedback はじめに,予測/計画あり: まず,予測情報の作成,「経営計画」立案,から始まる 私の話は,Plan, See, Feedback に沿うように,進めます 企業経営の流れ図: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/plan-do-seeV.gif 日本では,経営者に予測情報の公表を義務づける制度がある 予測情報が株価に影響を与える可能性 予測情報の公開制度の意義 参考文献:後藤雅敏『会計と予測情報』(中央経済社)

実際に,ビジネス予測をおこない, 公表している企業は:キヤノン 平成18年 (2006年) 12月期 決算説明会での,2007年業績予想(2007年1月29日;説明者=専務取締役経理本部長 田中 稔三): http://www.canon.co.jp/ir/conf2006/index.html キヤノンは, 売上高,利益などの業績予想(計画値)を,目標において経営計画を立て, その計画に沿うように,今年,様々な意思決定をおこなうことになるでしょう

誰が ビジネス予測を担当するか 経営計画担当者:経営計画の策定 販売担当者:売上高の予測 生産担当者:生産高(台数,個数など)の予測 統計学,統計分析専門家 会計,財務担当者 販売担当者:売上高の予測 生産担当者:生産高(台数,個数など)の予測 環境保全担当者: 環境経営,環境会計 環境保全コスト,環境保全効果の予測 環境活動の目標と実績 実例:パナソニックコミュニケーションズ(福岡市博多区美野島4丁目) http://panasonic.co.jp/pcc/eco/ 経営・製品の質管理関係者 質向上の目標とすべき国際基準:http://www.iso.ch/iso/en/iso9000-14000/index.html

将来のいつまでを 予測するのか 短期予測をしたいとき: 中期予測をしたいとき: 来週いっぱい 来月 次の四半期 次の半年間 次の1年間 今後3年間

どのように 将来予測するのか おおまかな方法 緻密(ちみつ)な方法 Excel(エクセル)を使う 身近かで,図を使って,分かりやすい しかし,荒っぽい (rough) 予測 実例で,やってみましょう:Excel でビジネス予測 緻密(ちみつ)な方法 RATS(ラッツ)など,を使う 専門的で難しく,経験を要する しかし,より細やか (sophisticated) 予測 西南学院大学商学部経営学科協議会『経営学総論』 「経営統計」の章で取り上げていますので,そちらを参考にして下さい

Excel で ビジネス予測 <ステップ0> 将来売上高を予測する ステップ 0: 短期予測を目的とする 将来=これからの1年3か月 (2002年第1四半期〜2003年第1四半期) 過去から現在まで=1995年第1四半期〜2001年第4四半期

Excel で ビジネス予測 <ステップ1> ステップ 1: 現在までの売上高情報を入手する 企業の情報源(既に触れました): 企業ウェブサイト,有料の企業情報データベース,など 産業/業種別の無料情報源:財務省ウェブサイト (A) 四半期毎データのURL http://www.mof.go.jp/ssc/kihou.htm 業種は,製造業と非製造業まで分けられています (B) InternetExplorer 5.01以上または NetscapeNavigator 7.0 以上を使った,最新のURL http://www.fabnet2.mof.go.jp/ 業種がより細分化された時系列データを入手できます。 注意:上記ウェブサイトへのアクセスは、Windows OSに限定されています(Macintosh OSには未対応) 。 以下では, (A) を用いて,産業=製造業,と設定し,その売上高予測を行います。 (B)による,より詳細な業種についても,同様に行える。

Excel で ビジネス予測 <ステップ2> ステップ 2: 現在までの産業別売上高を表(次のスライド)にする 現在まで: 対象産業 1995年第1四半期〜2001年第4四半期 補足:日本経済の景気変動(好況、不況のサイクル) :1985-2006年 http://w3.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/JpnsBusCycle.pdf 後掲スライドの「補足」も参照。 日本経済の平成2次不況(平成金融不況)=4/1997-4/1999 その引きがねの一つとなった世界金融状況: Asian currency crisis (that started in July, 1997) -> Russia (August, 1998) -> Latin America -> Indurstrial nations 以下を参照: Asian currency crisis: https://w3.seinan-gu.ac.jp/~kojima/hirao/recent_asianstockpr.html 日本経済、ほか:https://w3.seinan-gu.ac.jp/~kojima/hirao/excel_highlights.html 後掲スライドで、<ステップ3>のグラフも参照。 日本経済のITバブル崩壊不況=2000年第4四半期-2002年第1四半期 対象産業 製造業 資本金が10億円以上の企業 100億円~  =巨大企業 10~100億円 =大企業 1~10億円  =準大企業 ~1億円    =中小企業

Excel で ビジネス予測 <ステップ2続>

Excel で ビジネス予測 <ステップ3> ステップ 3: 現在までの産業別売上高(ステップ2の表)をグラフにする:次のスライド 留意点1:日本経済の平成2次不況(平成金融不況) =4/1997-4/1999 その引きがねの一つとなった世界金融状況: Asian currency crisis (that started in July, 1997) -> Russia (August, 1998) -> Latin America -> Indurstrial nations 以下を参照: https://w3.seinan-gu.ac.jp/~kojima/hirao/recent_asianstockpr.html https://w3.seinan-gu.ac.jp/~kojima/hirao/excel_highlights.html 留意点2:日本経済のITバブル崩壊不況=2000年第4四半期-2002年第1四半期

Excel で ビジネス予測 <ステップ3続>

補足: 過去20年間の不況期 長期20年間(1982年第1四半期〜2001年第4四半期)で,現在までの日本経済の景気循環を概観しておく 4つの不況期: 円高不況期 1985年第3四半期-1986年第4四半期 平成1次不況期 1991年第1四半期-1993年第4四半期 平成2次不況期(平成金融不況) 1997年第2四半期-1999年第2四半期 ITバブル崩壊不況期 2000年第4四半期-2002年第1四半期

Excel で ビジネス予測:実例 <補足:長期20年>

Excel で ビジネス予測 <ステップ4> ステップ 4: 現在までの売上高に依りつつ,将来予測をする ビジネス予測技法の核心 二つの方法: Excel(エクセル)の「関数」を使って予測 いろいろなビジネス予測方法が,「関数」として,用意されています データの傾向を利用する「トレンド関数」,など Excel(エクセル)の「グラフ」を使って予測 視覚的に分かりやすい 以下では,こちらを使います

Excel で ビジネス予測 <ステップ4続> 「グラフ」で,ビジネス予測 ステップ4ー1: ステップ4ー2: まず,現在までの売上高に沿って,直線と曲線を描く ステップ4ー2: 次に,それらの直線と曲線を将来に延長するような形で,将来売上高予測を描く 次のスライドにグラフ(4ー1,4ー2について) 後のスライドで,将来売上高予測の特徴を見ます

Excel で ビジネス予測 <ステップ4終>

予測から見えてくる 将来の特徴は何か 売上高将来予測の特徴(前スライドの図で調べます) 直線で予測すると 曲線で予測すると 現在までと同様に,将来売上高は平たんで,伸び悩む 曲線で予測すると 現在までと違って,将来売上高は上昇の傾向を示す

予測の精度は高いのか どちらの予測が,精度は優れているか 将来が未知の状況下では,現在までの「予測誤差」を使って比較 予測誤差=予測値ー現実値 現在までの平均(平均二乗誤差 MSE,など)を計算し,これが小さい方が精度が高いということになり,望ましい: 直線: MSE =1,062,082,267 曲線: MSE =1,010,857,369 したがって,精度のより高い,曲線を使った将来予測を採用したいと思います

(精度のより高い曲線の)売上高予測を,どう活かすか 曲線のビジネス予測:「これまでと違って,将来売上高は上昇する」 この楽観的予測は経営計画に活かされ,したがって,将来に関する様々な経営意思決定に影響を与える: もう一度,企業経営の流れ図 http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/plan-do-seeV.gif の頭ら辺を見て下さい: 生産量設定 新製品の研究開発 販売:広告宣伝,価格設定 人的資源管理:賃金,配置転換,採用人事 環境保全,経営・製品の質管理のための経営管理システム改善

それでは,将来が現実となったとき, 予測とその現実との乖離はどの程度か ここの話は,経営の流れ図 http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/plan-do-seeV.gif で: 下の方(See のところ)に対応 実例を,図 (次のスライド)で見てみましょう 将来の現実は,全体的には,伸び悩んでいるようです その限りでは,直線予測(緑)も,いいみたいです しかし,将来の現実の後半は,伸びる様子がうかがえる その点,曲線予測(赤)は,その上昇トレンドをうまくとらえています

それでは,将来が現実となったとき, 予測とその現実との乖離はどの程度か <続;終> それでは,将来が現実となったとき, 予測とその現実との乖離はどの程度か <続;終>

予測と現実との乖離に どう対応していくか ここの話は,経営の流れ図 http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/plan-do-seeV.gif で: 最下部から先頭に戻る(Feedback のところ)に対応します 現実との乖離(過大予測,過小予測)は,次回の新たなビジネス予測の際に,そして,次回の経営計画策定に,反映されなければならない: 今回,売上高の過大[小]予測であったならば 次回は下[上]方修正するような予測と経営計画策定が望ましいと考えられます これは,上図の先頭に戻り(フィードバック),経営コントロール(修正行動をとるための制御)を行うこと,にほかなりません このようにして,再び,経営の流れ図先頭の予測/計画に戻って,新たな企業経営の流れが始まることになります

おわりに 参考文献リスト: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/Refs.html この経営学総論「経営統計」スライドは,以下で閲覧できます: http://www.seinan-gu.ac.jp/~kojima/intro_business/ このURLでアンダーバー(_)に注意:/intro_business/ このウェブページで,intro_b_stats2.ppt をクリックしてスライドショーを閲覧 このファイルはWindowsで作成しました。できましたら,Macintoshではなく, Windowsでご覧ください 閲覧できない,などの問い合わせは,小島宛てにどうぞ:kojima@seinan-gu.ac.jp