班員:伊地智亮輔・木邑真理子 澤田あずさ・平本綾美・渡辺海 教員:石野雅也・隅田土詞 TA:木河達也

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班員:伊地智亮輔・木邑真理子 澤田あずさ・平本綾美・渡辺海 教員:石野雅也・隅田土詞 TA:木河達也     澤田あずさ・平本綾美・渡辺海 教員:石野雅也・隅田土詞    TA:木河達也

実験の目的 (担当:澤田) ←MPPCという光センサー * MPPC = Multi-pixel photon counter 実験の目的          (担当:澤田) MPPCを使って、(空気中の)光速を測ること。 ←MPPCという光センサー * MPPC = Multi-pixel photon counter

実験の原理 (担当:澤田) LED~光センサーまでの距離をLとし、光が届く時間をTと する。 実験の原理          (担当:澤田) LED~光センサーまでの距離をLとし、光が届く時間をTと する。 LをL’に変えたとき、TがT’になったとすると、光速は、 c=(L’-L)/(T’-T)で求められる。 MPPC

続き P0 P1 P2 P3 P4 実際には、MPPCを位置P0~P4 の5箇所に付け替えて測定を 行った。 T L 実際には、MPPCを位置P0~P4 の5箇所に付け替えて測定を 行った。 右のようにグラフにプロットした とき、光速は直線の傾きの逆数 として求められる。 P0 P1 P2 P3 P4 レール ~1.2m LED MPPC

実験装置      (担当:渡辺) クロックジェネレーター LED 光センサー(MPPC) レール・スケール・オシロスコープ

レール・スケール P0 P1 P2 P3 P4 ・レールは機器を固定するためのねじ穴があるものを使用   レール・スケール ・レールは機器を固定するためのねじ穴があるものを使用 ⇒これにより機器を固定してずれるのを防いだ。 ・スケールは1mm単位までの目盛があるものを使用。 ⇒0.1mmの長さまで目視で測定した。 P0 P1 P2 P3 P4 レール ~1.2m LED MPPC

クロックジェネレーター (NIM,TTL) LEDに入力 オシロスコープに入力 NIM規格信号: 0Vならオフ、-0.8Vならオンとする信号 こうして規格を決めることによってオンオフという1ビットの情報として処理できるため、今回のように信号を受けたか受けていないかを判別したいような実験に有利。

LED ・発光ダイオード ・半導体技術によって発光する機器 ・ここにはTTL信号を入力し、発光させた。 正孔と電子が衝突したときに出る余分なエネルギーが光子となって飛び出す。 熱によって光る従来の電球より、瞬時に光を出すLEDの方がこの実験に適している。

  光センサー(MPPC) ↑MPPCの光を検出する面 ↑今回の実験で使ったMPPC

MPPCの作動原理 MPPCを構成するAPD(アバランシェフォトダイオード)の概念図 70V   MPPCを構成するAPD(アバランシェフォトダイオード)の概念図 (五味慎一『半導体光検出器MPPCの性能評価システムの構築』から引用) MPPCはAPDという小さな光電子増倍管がいくつも(本実験では100個のもの)集まってできている!            APDの仕組み ・P型半導体(正孔が多いタイプ)とn型半導体(電子が多い)が合わ    さった構造 ・図の右のように電圧をかけたときに正孔と電子が移動することに   よって電圧が生じる。 ・正孔と電子がなくなった部位に光子が入りこむと、そこで電子が励  起されて電圧によって加速、さらに電子を励起させる。(およそ10の6乗倍程度の個数になる)

MPPCの利点と欠点 MPPCのメリット MPPCのデメリット ←従来の電子増倍システムの概略図 (wikipediaより引用) MPPCのメリット MPPCのデメリット ・増倍率のばらつきが小さい、従来の光電効果を利用する増倍機器より光子数が分かりやすい。 ・真空管が必要ないので場所も金もとらない。 ・電子が移動する距離がみじかいので応答速度が速い。 ・熱電子によるノイズが断続的に入ってしまう。 ・半導体の結晶格子の欠陥につかまってしまった電子がアフターパルスとして発信されてしまう。 ・光子数が多すぎると一つのAPDにいくつも光子が入ってしまって正確な数が分かりにくい。

オシロスコープ オシロスコープはデジタルタイプのものを使用。    オシロスコープ オシロスコープはデジタルタイプのものを使用。 データがデジタル化されているので画面を読む必要がなく、USBメモリにそのまま転送することが可能。

実験・データ (担当:木邑) 試し実験から本実験に至るまで、どのような実験を行ったかと、それに伴うデータをまとめた。 8月6、7日:試し実験 実験・データ        (担当:木邑) 試し実験から本実験に至るまで、どのような実験を行ったかと、それに伴うデータをまとめた。 8月6、7日:試し実験 8月8、9日:本実験 MPPC X Y Z

8月6日(月) P0 P1 P2 P3 P4 この日は、P2とP4のデータを測定。 MPPCは光を感知する能力が非常に高いので、外からの光を遮断するために装置を黒いビニールシートで覆って実験を行った。 ΔLの最大:約1.2m, ΔTの最大:約4.0ns P0 P1 P2 P3 P4 レール ~1.2m LED MPPC

8月6日(月) しぼり(Iris)を用いて光量を調節した。

8月6日(月) 波形を右図のようなとがった形にするため、パルス波の幅を小さくした。

8月6日(月) 時間の測り方 ・図の2つのたて線の間の時間を読み取った。 紫色:NIM信号 カーソル位置は立下り50%の中腹     カーソル位置は立下り50%の中腹  黄色:MPPCが感知した光の波形     カーソルの位置は立上り50%の中腹 ココ

8月6日(月) 反省点 Chart 1 X(mm) Y(mm) Z(mm) 直線距離(mm) 時間の差(ns) P2 721.7 3.9 1.1 711.512 P4 1335.1 4.4 1.0 1324.906 -2 反省点 ・時間を目視で測っていて、USBにとったデータから求めた時間ではないのであまり正確ではないということ。 ・Irisを最大限しぼったために、光の経路が制限されているのではないか。⇒遮光フィルターを使おう。 ↓フィルター

8月7日(火)・8月8日(水) 改善点 SAMPLE 反射波を防ぐため、P1~の測定では、装置に黒い遮光テープを貼った。 平均 改善点 反射波を防ぐため、P1~の測定では、装置に黒い遮光テープを貼った。 フィルターを優先して使う 途中でオシロスコープの平均モード(128回)も取り入れた。

8月7日(火)・8月8日(水) Chart 2 P0 P1 P2 P3 P4 直線距離(mm) 87.1 397.4 722.2 1023.2 1336.2 時間の差(ns) -26.1 4.6 6.5 9.2 Iris なし 少し フィルター 4枚 2枚 Scale(CH1) 200mV/50.0ns Scale(CH2)

いざ本実験へ! 8月7日(火)・8月8日(水) 反省点 ・MPPCで感知した光の波のピークの高さにばらつきがある。←入ってくる光子の数が観測する場所によって違う。 ・P4のデータが、Irisを用いて測定した方は良いデだったが、フィルターを用いた方はあまり良くなかった。⇒Irisを優先して使うことに。 グラフがガタガタすぎてとても解析する気になれない。 いざ本実験へ! ↑ Chart 2の5点を解析して得たグラフ

本実験(8月8日(水)&9日(木)) 距離 P0:X,Y,Zを測定 P1:X,Yを測定 P2~P4:Xを測定 Iris 出来る限りしぼる  本実験(8月8日(水)&9日(木)) 距離 P0:X,Y,Zを測定 P1:X,Yを測定    P2~P4:Xを測定 Iris 出来る限りしぼる フィルター Irisで足りなかった場合に使う Trigger -400mVで固定 Delay NIM信号を約60ns遅らせた    ⇒高い時間精度(0.02ns)で、画面上の     2つの波を同時解析できる! モード 全て平均(128回)で固定 立上り時間 波の立上りの高さの10%~90%をオシロスコープで測定 ピークまでの高さ 300~500mVでそろえる

本実験(8月8日(水)&9日(木)) スケール ・CH1 たて:100mV/1マス よこ:5ns/1マス Chart 3 P0 P1 P2 P3 P4 直線距離(mm) 86.2 397.9 722.8 1023.2 1326.3 時間の差(ns) 0.8 2.3 3.3 4.6 立上り時間(ns) 12.0 13.2 12.7 12.6 ピークまでの高さ(mV) 500 550 300 250 スケール ・CH1 たて:100mV/1マス  よこ:5ns/1マス ・CH2 たて:200mV/1マス  よこ:5ns/1マス

解析・手法          (担当:伊地智) オシロスコープで観測したデータについて観測電圧の最高 値のちょうど50%の電圧を測定したときの時刻をはじきだす プログラムを使い、LEDにシグナルを送った時刻との差をとり 観測時間とした。(回路におけるロスの時間を含む以上到達 時間ではない。) 50% ここの時刻を計測

←P0の到達時間のガウスfitting 時間の中央値と誤差を算出 Δt=σ/√(イベント数)

P1 P2 (S) (s) P3 P4 (s) (s)

P0からP4の測定時刻をプロットし、一次関数でfitting。 c(m/s)=1/1000p Δc(m/s)=Δp/1000(p2) このグラフから計測される光速は c±Δc=2.69±0.03(*108 m/s) と理論値より一割ほど低い さらに、このグラフだと各点の直線からのばらつきが多いという問題がある

なぜ光速の測定値が理論値より小さくなったか? 実験の考察          (担当:平本) なぜ光速の測定値が理論値より小さくなったか? 1.フィルターの影響 2mm フィルターをガラスと仮定 屈折率:1.51 ⇒1.02mmの光路差

・フィルターをつけたのはP0とP2 ・フィルターをつけると実際の光路は見かけ より長くなる このことからフィルターの影響を考えて光速を計算し直すと ⇒ c=2.686×108(m/s) となり、小数第3位以下にしか影響を及ぼさないことがわかる よってフィルターのせいではない。

2.光量が少なく、ノイズなど望まない 波の影響が出た? 光速の理論値を越えてしまった・・・   波の影響が出た?  ・P0とP1は平均のピークが約500mVで3photon   くらいあり、5点のなかでは光量が多い  ・P0とP1だけで光速を求めてみよう ⇒ c=(3.33±0.20)×108(m/s) 光速の理論値を越えてしまった・・・

3.Voltageでデータを選別 ・それぞれの地点で観測された電圧の中央値 を小数点以下第3位まで求め、第3位を切  ・それぞれの地点で観測された電圧の中央値     を小数点以下第3位まで求め、第3位を切   り捨てた電圧以上を計測したイベントのみ   使って光速を求める。 少し理論値に近づいた 中央値付近以上の電圧を観測したイベントのみを使ったグラフ ⇒ c=(2.71±0.05)×108(m/s)

P0が特にグラフの直線から離れているため、 P0が特にグラフに悪影響を与えている可能性が あるとしてP0以外の点を用いてグラフを作成 直線が各点のエラーバー内部を通っており統計的には理想的 しかし光速が c=2.49±0.06(×108 m/s) と理論値よりかなり遅い。 P0以外の4点からなるグラフ

4.全イベントを使い、立上り時間補正 を加える。 ・補正:0番の12.0nsを基準に、 {(立上り時間)-12.0}/2   を加える。 ・補正:0番の12.0nsを基準に、   {(立上り時間)-12.0}/2  の補正を各点に加えて解析。 ・これを1次関数にfitting   立上り時間による補正を加えたグラフ ⇒ c=(2.96±0.04)×108(m/s) となり、値は理想的だがグラフは ガタガタになってしまった。 地点 立上り時間 時間補正 P0 12.0 P1 未計測 P2 13.2 -0.6 P3 12.7 -0.35 P4 12.6 -0.3

5.異なる2点で光速を測ってみた ・P1を含む2点で出した光速が c=2.48~3.54×108(m/s) とブレが大きかった。   とブレが大きかった。  ⇒P1のデータがおかしいのでは?  ・P1を除いたとき、    c=(2.72±0.05)×108 (m/s)   となった。

6.反射波の影響を調べてみた ・P4:1回反射の場合 0.089×2(cm)伸びる。 Δt=6×10-4(ns) ・P0:1回反射の場合 LED MPPC 3cm そんなに影響しない

7.立上り時間にばらつきがあるので、 立上りの20%の時刻を到達時刻として 解析し直した 立上がり時間と到達時刻の関係

全イベントでの光速  全イベントでの光速   C=(3.13±0.04)×108(m/s)

平均voltage以上のイベントでの光速 C=(2.97±0.10)×108(m/s)

考察のまとめ 考察7が最も適切 ⇒つまり、小さな光速の値が出た原因は ①立上がり時間のばらつき ②光子の量が少ないこと のふたつが考えられる

改善点としては ①立上がり時間のばらつき 立上がりの20%程度の時刻を光子の到達時 刻とするとよい。 ②光子の量が少ない Irisの調整によって10photon程度までMPPC が検出する光子の数を増やすと、ノイズの量 も少なく、さらに正確な光速の値を得ること ができると考えられる。

Thank you for listening.