第1回「アインシュタインの物理」でリンクする研究・教育拠点研究会 2008年10月11日 (土) 高エネルギー物理学研究室 清矢良浩

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第1回「アインシュタインの物理」でリンクする研究・教育拠点研究会 2008年10月11日 (土) 高エネルギー物理学研究室 清矢良浩 CDF実験における余剰次元探索 第1回「アインシュタインの物理」でリンクする研究・教育拠点研究会 2008年10月11日 (土) 高エネルギー物理学研究室 清矢良浩

重力相互作用の強さ プランク質量:

重力相互作用の強さ ( = 微細構造定数)       において重力は他の相互作用 と同程度に強くなる

電弱相互作用スケール 電弱ゲージ相互作用の媒介粒子: 電弱ゲージ対称性の破れの質量スケール

階層性問題 >1016 GeVをカバーする安定な理論を構築できるか? なぜ なのか? >1016 GeVをカバーする安定な理論を構築できるか? なぜ         なのか? 標準模型には問題あり(fine tuning, 自然さ問題) 超対称性,テクニカラーなどの新現象の提案

余剰次元の提案 N. Arkani-Hamed, S. Dimopoulos, G. Dvali (ADD) Phys. Lett. B 429 (1998) 263 “大きな”余剰次元(LED=Large Extra Dimension) 4+n次元 L. Randall and R. Sundrum (RS) Phys. Rev. Lett. 83 (1999) 3370 “ゆがんだ”余剰次元 5次元

4+n次元における重力ポテンシャル 真に基本的な重力定数 余剰次元のサイズを   とすると       の巨視的空間では

“大きな”余剰次元=LED (ADD) 小さな   は適当に大きな余剰次元のためであり    は必ずしも小さくない          とおくと のとき

“大きな”余剰次元=LED (ADD) 万有引力の法則の直接検証は 程度 重力相互作用のみ可能な,適当に大きな余剰次元 万有引力の法則の直接検証は        程度 (今は10m程度) 重力相互作用のみ可能な,適当に大きな余剰次元  は検証・排除されていない 電弱スケールと重力スケールは同程度,つまり  基本的スケールは1つのみ

LED (ADD) の現象論 終状態における消失エネルギーの発生 ではブラックホール蒸発 余剰次元内にたくさんの励起モード(Kaluza-Kleinモード) 中性で重力相互作用のみ (n=1の場合) 終状態における消失エネルギーの発生                ではブラックホール蒸発

ゆがんだ余剰次元(RS) 余剰次元方向へ激しく変化する計量 標準模型の粒子 宇宙項

粒子の真の基本的な質量スケールを とすると ゆがんだ余剰次元(RS) 粒子の真の基本的な質量スケールを   とすると とすると 程度で

ゆがんだ余剰次元(RS)の現象論 Massive Kaluza-Kleinモード(RSグラヴィトン) オーダー1の結合定数 (パラメター=     ) 標準模型の粒子への崩壊

物質粒子 電荷 2/3 1/3 1 ハドロン バリオン メソン

物質粒子 1 GeV 100 GeV 質量 mN~1GeV/c2

Fermilab Notes 敷地 ~ 5 km x 5 km

超伝導加速器テバトロン クウェンチしばしば

テバトロン陽子・反陽子衝突器 36 x 36 バンチ (最小)バンチ間隔 = 396 ns (~120 m), 平均1.7MHz 1バンチサイズ: 半径 ~ 30 m, 長さ ~ 60cm バンチあたり:Np ~ 260109, Npbar ~ 60109 (最小)バンチ間隔 = 396 ns (~120 m),   平均1.7MHz ビームエネルギー = 980 GeV 約24時間ごとにビーム廃棄及び入射

反応断面積とルミノシティー 事象数=反応断面積  ルミノシティー =   L (ビーム強度)  断面積の単位の例: pb (ピコバーン)= 1012b = 1036 cm2  ルミノシティーの単位: pb1 など  瞬間ルミノシティー: 1032 cm2/s = 0.1 nb1/s (現在の性能:1時間あたりトップクォーク生成事象数~7)

最大瞬間ルミノシティー Design = 21032 cm2/s 2001.04.01 2008.10.01

積分ルミノシティー Total 5 fb1

陽子・反陽子衝突の描像 電子など “T” = transverse   q, g q, g q, g Hadronization 横運動量    (PT=Psin) “横”エネルギー(ET=Esin) 散乱の激しさを 表す “T” = transverse  q, g q, g 素粒子レベル の反応断面積 ビーム軸 q, g Hadronization クォーク・グルーオン のハドロンへの転化。 方向的に集中した 粒子群(ジェット) として観測。 K 

陽子・反陽子衝突 Process Cross-section Rate (1032 cm-2/s の場合) Inelastic pp Inclusive jets (ET>40) ppbb pp→WX →(e)X pp→tt pp→WH (if MH=115GeV) 60000000000 pb 250000 pb 50000 pb 2500 pb 7 pb 0.2 pb 6.0 MHz 25 Hz 5 Hz 0.25 Hz 0.0007 Hz 0.00002 Hz

陽子・反陽子衝突

CDF = Collider Detector at Fermilab

CDF実験の歴史 日、米、伊の国際協力実験として始まる。 積分ルミノシティー 共同実験者数 1981.1 1984-85 1985.10 1987.1-87.5 1988.6-89.5 1990-92 1992.4-93.5 1993.12-95.8 1995.10-96.2 -2000.秋 2000.秋-01.春 2001.3- 設計報告書 テストビーム 最初の陽子・反陽子衝突 テストラン。最初の物理。 Run 0 Run Ia Run Ib Run Ic 検出器増強 立ち上げ Run II (~20 events) 25 nb-1 4.4 pb-1 19 pb-1 80 pb-1 7 pb-1 ~5000 pb-1 87名 190名 358名 ~750名   スタッフ~450   学生  ~300

CDF Detector Total 1 M channels

CDF検出器 消失横エネルギー

LED探索:γ+消失エネルギー

LED探索:ジェット+消失エネルギー

LED探索結果

RSグラヴィトン探索: 2つのμ粒子の不変質量分布に共鳴を探す プロットは 質量の逆数

RSグラヴィトン探索結果:

RSグラヴィトン探索:

RSグラヴィトン探索結果:

RSグラヴィトン探索結果:

RSグラヴィトン探索:

まとめ LED排除 @ 95% C.L. RSグラヴィトン排除 @ 95% C.L.