健康長寿のための食生活 パート 2 ふじ33プログラム実践教室 管理栄養士の ○○と申します。 管理栄養士の ○○と申します。 今日は、「健康長寿のための食生活」について、お話ししたいと思います。 ところで、「健康長寿」というと、皆さんは、何を想像されますか?(前のほうの人に聞く) 元気でいつまでも、長生きする、というイメージでしょうか。 静岡県は、健康寿命が全国1位になりましたが、健康寿命と平均寿命の違いについて、みなさん、おわかりですよね? 健康寿命と平均寿命の違いについて、説明いたします。 パート 2
平均寿命と健康寿命の差(平成22年 静岡県) 8.35年 10.89年 平均寿命と健康寿命の差(平成22年 静岡県) 8.35年 このグラフは、静岡県の平成22年の平均寿命と健康寿命の値です。 緑色が平均寿命で、オレンジ色が健康寿命です。 平均寿命というのは、0歳の人があと何年生きることができるか、を表した数字です。 一方、健康寿命は、介護や寝たきり等、健康上の問題などで、日常生活が制限されることなく生活できる期間のことを言います。 つまり、平均寿命と健康寿命の差が、不健康な期間、いわゆる介護が必要になったり、寝たきりになったりする期間を意味しています。★ 静岡県は、健康寿命が1位ということは、寝たきりにならず、元気に長い期間生活できている、ということです。 それでも、平均寿命と健康寿命の差は、平成22年で、男性8.35年、女性10.89年でした。 健康長寿のためには、平均寿命と健康寿命の差を短縮したいですよね。 そのためには、健康寿命を延ばし、寝たきりなど、介護が必要とならないようにすれば、よいですよね。 みなさんは、寝たきりなど、介護が必要となる原因の1位は、何だと思いますか? 10.89年 資料:厚生労働科学研究費補助金「健康寿命における将来予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」
介護が必要となった原因 34.8% 50.3% 資料:厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査の概況」 これは、介護保険を申請した人が、どんな理由で介護が必要になったかを示したグラフです。 介護が必要となった原因の1位は、脳血管疾患でした。 生活習慣病を緑色、認知症や、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒をオレンジで示しました。 緑色の生活習慣病が約3割を占めています。★ オレンジ色の認知症や、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒で5割を占めています。★ 認知症は、脳血管疾患も原因の1つですので、介護予防のためには、脳血管疾患の予防が重要です。 50.3% 資料:厚生労働省「平成22年国民生活基礎調査の概況」
「脳血管疾患」の予防(「認知症」の予防) 健康寿命を延ばすためには 介護が必要とならない 「脳血管疾患」の予防(「認知症」の予防) 「高血圧」、「脂質異常症」、「糖尿病」 などの生活習慣病の予防 +「禁煙」 なかでも、「高血圧」は 循環器疾患による死亡の主要な因子 重要なことは、若いころから 「血圧を上げない!」+「禁煙」 ここまでのことを踏まえて、健康寿命を延ばすためには、どんなことに気をつけたらよいかを、まとめてみました。 まず、健康寿命を延ばすためには、介護が必要とならないことが必要です。 そのためには、脳血管疾患や認知症を予防することが大切です。 脳血管疾患の予防には、「高血圧」、「脂質異常症」、「糖尿病」などの生活習慣病と、「タバコ」の、この4つの危険因子を管理することが大切です。 4つの危険因子が適切に管理されれば、脳血管疾患の発症リスク を減らすことができます。 なかでも、高血圧は、循環器疾患による死亡の主な原因ですので、血圧対策が重要です。 血圧を上げないためには、若いころから「血圧を上げないこと」と、「禁煙すること」が、大事なポイントとなります。
減塩は、すでに高血圧傾向の人の血圧を下げるための 治療よりも、生涯を通じての予防としての価値が大きい。 20歳の時 食塩:1日15グラム 食塩:1日8グラム 60歳の時 収縮時血圧 160mmHg 144mmHg 40年後には Ⅱ度高血圧 これは、世界52か所、1万人を対象に行われた、インターソルトスタディです。 加齢による血圧上昇と、食塩摂取量の間には、強い相関が認められました。 ・・・つまり、年を重ねると血圧は上がっていくんですが、その上がり方と食塩をとっている量とには関係があります。 (1日に食塩1gをとることによる年間収縮期血圧上昇量は、0.05812mmHgと、いわれています。) 若いころから、食塩の摂取量が多いと、年を重ねたときに、高くなりやすい。 血圧の高い方が減塩をするのはとても大切ですが、でも、若いころから、減塩する予防効果の方が大きい。 高血圧じゃないから、減塩関係ないから食べていい、ということはないのです。 若いころから、減塩することの大切さがわかったでしょうか? では、血圧を上げないためには、食生活で、どのようなことに気をつけたらよいのでしょうか? 高血圧予防効果 16.3mmHg Ⅰ度高血圧 減塩は、すでに高血圧傾向の人の血圧を下げるための 治療よりも、生涯を通じての予防としての価値が大きい。 参考)佐々木敏.わかりやすいEBNと栄養疫学.同文書院.2005
健康長寿のために! 高血圧を予防する食べ方 高血圧予防1 塩分を取りすぎない 高血圧予防2 野菜も果物も バランスよく食べる 高血圧予防3 食べすぎない 高血圧予防4 飲みすぎない 今日の話で、一番大切なスライドは、これです。 健康長寿のための食生活として、今日は、みなさんに、高血圧を予防する食べ方を覚えて帰ってもらいたいと思います。 まず、1つ目が「塩分をとりすぎない」ということです。 塩分をとりすぎると、なぜ血圧があがるのか?ということですが、塩分には、ナトリウムが含まれています。 ナトリウムをたくさん取りすぎると、通常なら、ナトリウムの余剰分は腎臓により体外へ排泄されます。 でも、腎機能が弱っているときや、腎臓の能力を超えたナトリウムが摂取されると、排泄しきれずに、細胞内のナトリウム濃度が上昇してしまいます。 2つ目は、「野菜も果物も、バランスよく食べる」ということです。 野菜や果物、海藻類には、食物繊維やビタミンの他、カリウムが含まれています。 このカリウムには、血圧を下げる働きがあります。 3つ目は、「食べすぎない」ということです。 肥満になると、血圧は上がります。やせるだけで血圧は下がります。 また、体型はさておき、うす味の食べ物でも、食べすぎれば、塩分をとりすぎることになります。 うす味の味噌汁だからと言って、1日3回飲んでいたら、1日1回だけいつもの味噌汁を飲んでいた時よりも、塩分をとりすぎていた、ということも起こります。 4つ目は「お酒を飲みすぎない」ということです。 アルコールには、血圧を上げる作用があります。 また、お酒のつまみには、塩分の多いものが好まれます。 お酒が好きな方は、飲みすぎないように、考えながら飲みましょう。
ナトリウムと食塩 「ナトリウム」は食塩の一部で、塩分(いわゆる食塩相当量)を計算するときには、ナトリウムに2.54を乗じて算出します。 「ナトリウム」は食塩の一部で、塩分(いわゆる食塩相当量)を計算するときには、ナトリウムに2.54を乗じて算出します。 この栄養成分表示は、カップ焼きそば。 ここには「ナトリウム」の表示しかありません。 この「ナトリウム」を食塩相当量に換算すると… 次に、ナトリウムと食塩の関係について説明します。 ナトリウムは食塩の一部で、塩分を計算するときには、ナトリウムに2.54をかけると計算することができます。 この写真は、カップ焼きそばの栄養成分表示です。 このナトリウムを食塩相当量に換算すると、 1.8×2.54で約4.6gの食塩相当量になります。★ 1日の食塩摂取量の目標値は、前回の食生活の講話の中でもありましたが、男性9g、女性7.5gです。 カップ焼きそばだけで、1日の目標量の約半分の食塩をとってしまいますね。 カップ焼きそばと、大きな梅干しのおにぎりなんて、組み合わせで食べていたら、おにぎりの塩分は3gあるので、ナトリウムの量は、ますます高くなります。 1食で1日分の塩分をとっている人も、いるかもしれませんね。 コンビニやスーパーでインスタント食品を買う時等は、ぜひナトリウム量を見る習慣をもってください。 普段から、塩分をたくさん取っていると、濃い味に慣れてしまいます。 みなさんの、塩分に対する味覚はいかがでしょうか? そこで、いまから、簡単な味覚テストを行いたいと思います。 スタッフのかた、お水を配っていただいても、よろしいでしょうか? 1.8g×2.54=4.572g ⇒ 約4.6g の食塩相当量となります。 <食塩の目標量> (日本人の食事摂取基準2010年版) 1日当たり 男性 9グラム未満 女性 7.5グラム未満
あなたの舌は塩味に対して どのくらい敏感でしょうか? コップの水を一口飲んで、 味わってください。 この塩水の味がわかりますか? 実践その1 あなたの舌をチェック! あなたの舌は塩味に対して どのくらい敏感でしょうか? コップの水を一口飲んで、 味わってください。 この塩水の味がわかりますか? ≪栄養と料理2009 2月号 p13≫
判定と解説 この塩水は、0.15%で調味してあります。 この濃度は、大学生に対して行った「味を識別するテスト」で、80%の正答率が得られた濃度です。 つまり・・・ この塩水を飲んで、塩味を感じられたら、 塩味に対する味覚は、ほぼ正常です! この塩味を感じられたら、塩味に対する味覚はほぼ正常です。 味覚が敏感になると、うす味でも満足できるようになり、楽に節塩できます。 うす味に慣れるには、無理せず、少しずつ行うのが成功のコツです。 まずは、うす味の味噌汁の味に慣れましょう。 塩分摂取量を抑えるには、塩分0.7%程度の味噌汁の濃度がよいと考えられています。 味噌汁1杯につき、味噌は、大匙1/2(9g)を目標にします。 今、味噌汁1杯につき、味噌を大匙2/3使っていたのなら、いきなり減らさずに、気付かないくらい、ほんの少しずつ減らします。 30日くらいかけて、目標の量になるように。 あせらずに、ゆっくりやりながら、慣れることがポイントです。 我慢は続きませんが、うす味をおいしいと考えられれば、長続きします。 監修 女子栄養大学名誉教授 松本仲子
静岡県民は、どのような食品や、どんな料理から、塩分をとっていると思いますか? グループで話し合ってみましょう! 実践その2 グループで考えてみましょう 静岡県民は、どのような食品や、どんな料理から、塩分をとっていると思いますか? グループで話し合ってみましょう! では、次に、静岡県民は、実際に、どのような食品や、料理から塩分をとっていると思いますか? 静岡県では、毎年、国民健康栄養調査、5年に1度は、県民健康基礎調査を行い、無作為抽出で選ばれた県民の方に、食事調査を行っています。 その結果から、どんな食品や料理から、静岡県民は、ナトリウムをたくさんとっているのかを分析しました。 3分、時間を差し上げますので、グループで話し合って、料理と食品のそれぞれを1位を当ててみてください。 ヒント 塩分の多い食品、料理は・・・ 練り製品、 干物・漬物・佃煮、 調味料、 インスタント食品、 パンや麺など小麦粉食品、 レストランや居酒屋のつまみなどの濃い味付け など
食品編 1位 しょうゆ 2位 みそ 3位 食塩 4位 漬物・梅干 5位 だし用調味料 ナトリウムに対する寄与率 料理編 1位 味噌汁 2位 漬物・梅干 3位 うどん、そば 4位 ラーメン 5位 鍋物 食品編 1位 しょうゆ 2位 みそ 3位 食塩 4位 漬物・梅干 5位 だし用調味料 まず、料理編の正解は、こちらです。★ みなさん。いかがでしたか? 料理の1位は、味噌汁でした。 味噌汁は、日本人の多くが、1日1杯は食べているから、塩分の多い料理として上位に挙がってしまうようです。 2位は、漬物でした。 3位、4位、5位のうどん、そば、ラーメンなどの麺類や鍋料理は、スープを飲んでしまうことで、塩分を多く取りすぎてしまいます。 味噌汁は具だくさんにする。麺類のスープは全部飲まないようにする。などに、気をつけると、ナトリウムの摂取量が減らせます。 次に食品編の正解は、こちらです。★ 食品編では、食塩よりも、しょうゆや味噌が上位に挙がっています。 また、5位のだし用調味料も侮れない存在です。 だしを濃くしようと、顆粒調味料を使ったりすると、しらないうちにナトリウムを摂取してしまいますので、注意が必要です。 だしを濃くするのであれば、天然だしを使うようにするとよいですね。 でも、なかなかだしを天然だしをとることが大変という人は、まず、味噌汁は、だしを濃くするよりも、具だくさんにすることをお勧めします。 冷蔵庫に少しずつ残っている野菜や芋などを活用しましょう。 具だくさんの味噌汁を楽しむことで、1日の野菜摂取量350gも達成しやすくなりますし、食物繊維やカリウムもとることができます。 H15静岡県版食品摂取頻度調査票開発に関する研究報告書より
減塩のコツ ≪しょうゆの使い方の工夫≫ ・味付けされたおかずには何もかけない! ・かけしょうゆより、つけしょう油で食べる! ・減塩しょうゆを使う! ≪汁物の減塩の工夫≫ ・汁物は具材を多くする! ・できるだけ天然だしを使う! ・麺類のスープは飲まないで残す! ≪香りやとろみなど料理の工夫≫ ・香辛料(唐辛子・こしょう・わさびなど)などを使う! ・酸味(レモン・酢)や香り(ゆず・しそなど)などを使う! ・とろみをつける! などなど 最後に、減塩のコツをいくつか紹介します。 まずは、しょうゆの使い方の工夫です。 「味付けされた・・・・」 いくら調理する側が塩分のことを考えて薄味ににしても、できあがったおかずにしょう油や塩をかけてしまったら、減塩食を作った意味がなくなってしまいますよね。 「かけしょうゆより・・・」 ちらしずしのとき等、しょうゆをかけて食べることがあるかと思いますが、これも、できたら、お刺身をしょうゆにつけて食べたほうが、減塩になります。 お刺身を食べるときに、わさびをしょうゆにとかさずに、わさびを刺身に乗せて、しょうゆをつけるほうが、わさびの味で減塩になります。 冷ややっこも、薬味をのせる前に、しょうゆをかけたほうが、しょうゆの量が少なくても均一にかかって減塩になります。 「減塩・・・」 これは、普通のしょうゆに比べたら塩分濃度が低いしょうゆです。薄口しょうゆとは違います。 塩分が少ないしょうゆでも、かけすぎたら、結局は塩分をとりすぎてしまうので、気をつけてください。
減塩のコツ ≪しょうゆの使い方の工夫≫ ・味付けされたおかずには何もかけない! ・かけしょうゆより、つけしょう油で食べる! ・減塩しょうゆを使う! ≪汁物の減塩の工夫≫ ・汁物は具材を多くする! ・できるだけ天然だしを使う! ・麺類のスープは飲まないで残す! ≪香りやとろみなど料理の工夫≫ ・香辛料(唐辛子・こしょう・わさびなど)などを使う! ・酸味(レモン・酢)や香り(ゆず・しそなど)などを使う! ・とろみをつける! などなど 次は、なんども出てきていますが、汁物の減塩の工夫です。 「汁物は・・・」 「できるだけ天然・・・」 「麺類の・・・」 汁物料理からとっている塩分が多いことが分かっていますので、ぜひ、心がけてください。
減塩のコツ ≪しょうゆの使い方の工夫≫ ・味付けされたおかずには何もかけない! ・かけしょうゆより、つけしょう油で食べる! ・減塩しょうゆを使う! ≪汁物の減塩の工夫≫ ・汁物は具材を多くする! ・できるだけ天然だしを使う! ・麺類のスープは飲まないで残す! ≪香りやとろみなど料理の工夫≫ ・香辛料(唐辛子・こしょう・わさびなど)などを使う! ・酸味(レモン・酢)や香り(ゆず・しそなど)などを使う! ・とろみをつける! などなど 最後に、香りやとろみなど料理の工夫です。 「香辛料・・・」、「酸味・・・」 焼き魚にしょう油をかけないでレモンをたらすとか、和え物などもしょう油を控えめにして香りの物を多めに入れるとか。 香りで、塩分少なめの味付けでも、満足の得られる味になります。 「とろみ・・・」 これは、うす味でも、食材にからむので、満足する味になります。 みなさんも、すでに取り組んでいることがいくつかあったかもしれないですね。 濃い目の味付けに慣れている人には、いきなりすべてのおかずを薄味にするのではなくて、例えば3品のおかずのうち1品だけを今までの味付け、残り2品を薄味にし、慣れてきたらすべてを薄味にする、、、という風に、少しずつ薄味に慣らすようにするといいと思います。
まとめ“健康長寿のために” バランスよく食べる 高血圧予防1 塩分を取りすぎない 高血圧予防2 野菜も果物も 高血圧予防3 食べすぎない 高血圧予防1 塩分を取りすぎない 高血圧予防2 野菜も果物も バランスよく食べる 高血圧予防3 食べすぎない 高血圧予防4 飲みすぎない おまけ 禁煙、適度な運動、ストレス解消 最後に、もう一度、このスライドです。 食生活の4つのポイントを覚えてお帰りください。 また、食ではありませんが、「おまけ」の項目も、とても大事なので、ここに挙げさせてもらいました。 タバコを吸っていて、やめたいと思っている人は、今日を機に禁煙に挑戦していただくことをお勧めします。
より 人を悪くするのではなく、人を良くするのが食です。 ご清聴、ありがとうございました。 ご清聴、ありがとうございました。