第10章 焼結体の構造 焼結体の構成:粒子、粒界、気孔 焼結体の物性を左右する微細構造パラメーター:

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第2章.材料の構造と転位論の基礎. 2-1 材料の種類と結晶構造 体心立方格子( bcc ) 稠密六方晶格子( hcp ) 面心立方格子( fcc ) Cu 、 Ag 、 Au 、 Al 、 Ni 等 Mg 、 Zn 、 Ti 等 Fe 、 Mn 、 Mo 、 Cr 、 W 、 大部分の鋼 等 充填率.
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第12章 機械構成部品の性質 燒結技術の応用 昔し:溶解や鋳造の困難なセラミックス、高融点金属(W、Mo、など)、高融点化合物(WC、TiCなど) 近代: *青銅系燒結含油軸受け(多孔性を利用)。 *鉄系の含油軸受け 燒結技術が応用される理由は: *小型部品の大量生産 *合金粉の開発に伴って、予備焼結体を熱間鍛造により、真密度に近い大型部品の量産化.
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第10章 焼結体の構造 焼結体の構成:粒子、粒界、気孔 焼結体の物性を左右する微細構造パラメーター: 第10章 焼結体の構造 焼結体の構成:粒子、粒界、気孔 焼結体の物性を左右する微細構造パラメーター:  粒子、粒界、気孔の量、大きさ、それらの組織中での幾何学的分布  不純物(原料、添加剤から)は粒界や表面に偏析する場合が多い。

焼結体の構造模式図

10.1 粒界 単結晶、ガラス体に粒界が存在しない。 粒界:結晶方位の異なる二つ以上の粒子の間にあって、粒内の原子配列の規則性や電子のポテンシャルなどに不連続を生じる領域である。 粒界の厚み:温度、時間、雰囲気、原子の移動度に依存する。

粒界の一般的な性質: (1).原子、イオンの粒界拡散は粒内より一般的に速い。 (2).粒界の融点は粒子より一般に低い。 (3).不純物が偏析または局在しやすい。 (4).電磁気的、機械的、光学的性質が粒子と異なる。 (5).電子の捕獲中心が多く存在し、ポテンシャル   バリアーが形成されやすい。

1.ZnO- Bi2O3系バリスター 電流—電圧の非線形性を示す 低抵抗n型半導体であるZnOが粒子で、粒界層がBi2O3という微細構造をもった焼結体である。 2.BaTiO3焼結体(チタン酸バリウム)抵抗発熱体 キュリー温度を境に、低温側で低抵抗、高温側で高抵抗になる。 PTC(positive temperature coefficient)効果 必要条件:粒子:強誘電性の半導体;粒界:絶縁体 3.窒化ケイ素Si3N4 ガスタービンなどの高温機械材料(耐摩耗性、耐熱衝撃性、耐酸化性)

バリスター

10.2気孔 開気孔:表面まで通じたもの 閉気孔:孤立したもの 燒結過程に伴って 開孔→閉孔 気孔率(porosity)(体積分率) 全気孔率:開気孔率+閉気孔率 気孔の存在:マイナス要因になる場合が多い *電気的には気孔部分が高抵抗になる *機械的強度低下をもたらす *光学的な散乱中心として働く *熱伝導を阻害する

10.3結晶粒 *大きさと分布は重要である。粒子の成長を抑えると、微細な結晶粒子の集合になる。(異常粒成長もある。) *結晶軸の向き具合で、誘電体や磁性体などの性質が異なる。 配向度: 大きい:ある方向に結晶軸がそろった場合 小さい:結晶軸が無秩序に分布している。

第11章 多孔体材料 多孔体材料:細孔(空隙)の性質を最大限に生かす目的で作られた材料 11.1多孔体の機能 第1種:細孔量、細孔表面積が大きいことが必要条件 第2種:細孔の分布と形状が本質的に問題となる

11.2触媒担体  触媒を担持させ、触媒の活性や選択性、耐熱性などの機能向上  表面積大きなセラミックス多孔体:SiO2、Al2O3ゼオライト、活性炭など  細孔分布は広く、不均一である。 ゼオライト:狭い細孔分布をもつ:結晶構造に大きな空洞が存在するためである。

ゼオライト

11.3多孔質ガラス ホウケイ酸アルカリガラスは熱処理によってアルカリホウ酸組成、SiO2組成 それに酸を加えると⇒SiO2の骨格を残す⇒多孔質ガラス 10〜数千Åに変化させることができる。 応用:フィルター:分子を分ける(H2-H2S)

多孔質ガラス

11.4軽量体 建築材料:気泡コンクリート、軽量骨材、泡ガラス建材、各種バルーン、フライアッシュなど 軽量以外:断熱性、耐熱性、吸音性  気泡の大きさ:Å〜mmまで  形状も様々である。 ALCコンクリート板(Autoclaved Lightweight Concrete) 11.5多孔質金属材料 電極材料、フィルター、耐磨耗など

粒界ガラス相

セラミックフォーム

炭素バルーン