サプライチェーンの観点から見た 石油タンカー輸送について

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サプライチェーンの観点から見た 石油タンカー輸送について 流通情報工学専攻 香月 裕樹 鶴田 三郎 黒川 久幸 サプライチェーンの観点から見た石油タンカー輸送について 香月が発表します。

石油輸送の重要性 1997年 1次エネルギーの種類 エネルギーは国民生活と経済活動において非常に重要な要因であります。 これは世界の一次エネルギーの供給の割合を表したものです。 世界全体を見ると、黄色の石油が大半を占めていることがわかります。 また、日本を見ると約半分が石油に依存していることがわかります。 (第1次石油危機の時、日本は約77%を石油に依存していましたが、エネルギー安定供給のために石油の依存度を下げる政策が行われてきました。しかし、この図からもわかるように依然として石油の依存度は高いということがわかります。) このため、日本にとっては石油輸送は重要であるといえます。 したがって、石油輸送を行うためのタンカー船隊の検討が重要であり、このための研究を行うことは必要と言えます。 1997年

研究の目的 石油サプライチェーンモデルを構築 効率的な運航を考える際の意思決定支援 船会社は石油企業との契約によりタンカーの運航を行っています。 タンカーの配船は通常、石油会社の輸送需要を満たすように配船をしています。 そのため、船会社が効率的な運航を行うためには石油企業の行動を把握して、運航形態を決める必要があります。 そこで、本研究では船会社のために石油企業の行動推定を基に必要船腹量を算出することができる石油サプライチェーンモデルを構築することを目的としています。 そして、このモデルを用いて、効率的な運航を考える際の意思決定支援を試みました。

検討を行う際の考慮事項 <石油企業の行動> <船会社の行動> 石油企業の行動をサプライチェーンとして捕らえる 世界全体として捕らえる 原油・製品価格の変動を考慮 <船会社の行動> 石油企業の行動を考慮 石油サプライチェーンモデルを作る際には、次のことを考慮しなければなりません。 石油企業は調達-精製-販売という1つの流れで行動を決定しているため、石油調達、製品販売を別々に捕らえるのでなく、1つのサプライチェーンとして捕らえる必要があります。 また、石油市場は量的に世界規模で連動しているため、世界全体で石油企業の行動を捕らえる必要があります。 さらに、石油企業は利益を追求しており、原油価格、製品価格の変動は非常に重要な要因となっているため、価格の変動を考慮する必要があります。 船会社の行動については 石油企業の行動を推定できる必要があります。 また、航路や港湾の水深や荷役能力などの石油輸送の現状を考慮する必要があります。 これらのことを考慮してモデルを作成しました。 航路水深などの石油輸送の現状を考慮

モデルの全体像 <石油サプライチェーンモデル> <原油・製品輸送モデル> 原油・製品輸送量を算出 <船腹量算出モデル> 船腹量を算出 この石油サプライチェーンモデルは、原油・製品輸送モデルと船腹量算出モデルの2部により構成されています。 船会社は石油企業の輸送需要を基に配船を行っているため、石油企業の行動を推定するためのモデルとして、原油・製品輸送モデルを構築しました。 そして、石油企業の行動を基にして、輸送を行うための船腹量求める船腹量算出モデルを構築しました。 これからそれぞれのモデルを説明します。 船腹量を算出

原油・製品輸送モデル 初めに原油・製品輸送モデルについて説明します。

原油・製品輸送モデルの構成 船腹量算出モデルへ 原油・石油製品輸送量算出 <原油・製品輸送モデル> 原油価格の平均を求める 新製品価格の算出 原油生産地・製油地の制約、 石油製品需要など 比較 船腹量算出モデルへ 原油・製品輸送モデルは、原油価格や製品価格、生産地の原油生産量、などのデータを与えることによって、原油調達量と製品販売量を求めます。 そして、この結果を基に、調達してくる原油価格の平均を求めます。 この価格に連動して製品価格は変化するため、後で説明する回帰式に平均価格を代入して新しい製品価格を算出します。 この新しい製品価格と初期条件で与えた製品価格との比較を行い、価格差がある場合は初期製品価格を新製品価格で置き換え、再度計算を行います。 この計算を価格との差がなくなるまで繰り返し、差がなくなったときの価格を最終製品価格とし、輸送量・調達地域を決定します。

石油製品価格の推定 新しい製品価格の算出方法について説明します。 1961年から1997年までの原油価格とレギュラーガソリン、灯油、軽油の石油製品価格の関係を回帰式により求め、石油製品価格を推定することとしました。 これに原油の平均価格をXに代入して新しい製品価格を算出します。

ネットワーク表現 ・・・ ・・・ …. ・・・ 油種 (30) 台湾 中国 MUR 東海岸 AXL 西海岸 DUR ARL 欧州 DUR 石油製品の種類 欧州 DUR (16) 中東 OMA ・・・ …. ・・・ TPS 日本 ・・・ (30) SLC 本モデルでは全世界の石油企業の行動を把握するために、原油・製品輸送をネットワークとして表現しました。ネットワークとして表現することにより、サプライチェーンとして表現することが可能となりました。 原油の調達価格は性状などにより価格が異なるため、リンクごとに設定を行っています。 本研究では、原油価格と輸送価格を含んだCIF価格により表現を行っています。 また、原油の性状などにより、調達することができない原油についてはリンクを外すことで表現しています。 製品販売については市場や大陸を考慮して、取引のない所についてはリンクを外すことによって表現しています。 これらのことを数理計画問題として定式化しました。 中国 WTI ANS 台湾 原油生産地(5) 製油地(9) 消費地(10)

目的関数 PT :総利益 IC :収入 OP:原油調達費用 OR:原油精製費用 OS:石油製品輸送費用 リンクの輸送量を求める為には、企業の利益が最大となるような輸送量を求める必要があります。 各企業は利益を最大となるように行動を取ると考えられます。 原油調達価格や石油製品価格には企業間差違が小さいため、各企業は同一の行動を取っていると考えることができます。 そこで、本研究では全世界の製油企業を1つの企業として扱うと仮定しました。 目的関数である総利益は収入から原油調達費用、原油精製費用、石油製品輸送費用を引いたものであらわすことができます。 収入は販売価格と製品の数量の積で求めることができます。販売価格は各消費地ごとに異なります。また、先ほど述べたように、製油地の原油調達地域や価格により変化します。 原油調達費用は原油調達価格と調達量の積で求めることができます。調達価格は調達地により異なります。 製油費用は製油費用と精製量の積で求めることができます。製油費用は各製油地により異なります。 輸送費用は輸送費用と輸送量の積で求めることができます。輸送費用は仕向地により異なります。 OR:原油精製費用 OS:石油製品輸送費用

モデルの妥当性 原油・製品輸送モデル 現状の石油輸送を表現できるモデルと言える このモデルに1997年の必要データを与え、実績値と比較・検証を行ったところ、原油輸送・製品輸送ともに現状と良く一致していました。 したがって、原油と製品輸送の検証の結果から、今回のモデルは現状の石油輸送を表現できるモデルであると言えます。

船腹量算出モデルについて 次に船腹量算出モデルについて説明します。

船腹量算出モデルの構成 <原油・製品輸送モデル> <船腹量算出モデル> 必要隻数の算出 最大就航回数の算出 船腹量の算出 原油輸送量 原油調達地域 <船腹量算出モデル> 前提条件 前提条件 輸送量 積載量 港間距離 航海速力 荷役日数 必要隻数の算出 最大就航回数の算出 原油・製品輸送モデルにより、原油輸送量と原油調達地域を求めることができたので、荷役日数、航海速力、港間距離、積載量を与えることによって、船腹量の算出を行いました。 船腹量の算出

検証のための手順 実績船腹量の算出 計算で求めた船腹量の検証 検証を行う手順として実績船腹量の算出を行い、その後計算で求めた船腹量の検証を行います。

実績船腹量の算出 実績船腹量 <所有データ> 全世界の海上荷動量 平均就航回転数 全世界の必要船腹量 各リンクの年間輸送量 モデルの検証を行うために、各リンクの船腹量というデータが必要となりますが、このような形でのデータがありません。 そこで、データとしてある全世界の海上荷動量、全世界の必要船腹量、各リンクの年間輸送量より実績船腹量を推定することにしました。 全世界の海上荷動量と必要船腹量より平均就航回転数を求めます。 そして、各リンクの年間輸送量の実績値をこの平均就航回転数で割ることによって各リンクの実績船腹量としています。

計算で求めた船腹量の検証 現状の船腹量を表現できるモデル 全体での比較 14.1% 全体での比較 14.1% この実績船腹量と計算で求めた船腹量を比較すると、全体の実績船腹量との誤差は14.1%となります。 各リンクを見ると、欧州-米国間で誤差が大きいものの、他の地域間では誤差が10%程度であり、日本を見ると、誤差は2%程度となっています。 この結果はリンクごとの輸送機関における量を決定する、機関選択モデルとして捕らえることができます。 他の研究の機関選択モデルでは、誤差は30%程度になっているのは珍しくありませんが、今回のモデルは悪いところでもそれより良いため、今回のモデルは十分な精度であると言えます。 現状の船腹量を表現できるモデル

日本向けタンカー船隊の検討 原油価格が変動した場合について 運航費を考慮した場合について 船型が変化した場合 待船時間が変化した場合 石油サプライチェーンモデルで、石油企業の行動を考慮した、現状のタンカー輸送を表現することができました。 そこで、本研究では初めに原油価格が変化した場合について日本向けタンカー船隊の検討を行いました。 次に運航費を考慮して、 船型が変化した場合 待船時間が変化した場合 船速が変化した場合 について検討を行いました。 船速が変化した場合

原油価格が変動した場合 について 初めに原油価格が変化した場合についてタンカー船隊の推定を行いました。 ここでは、日本と最も原油取引が多く、石油関連業界が日常的に注目し、 かつ過去に日本の国民生活に大きな影響を与えたアジア向け中東原油価格が変化した場合について検討を行いました。

検討結果(船腹量について) この図はアジア向け中東原油価格変動による日本向け船腹量変化を示したものです。 横軸に原油価格の変動、縦軸に日本向け船腹量をあらわします。 赤線のサービス船腹量は、世界のサービス量のギャップが9.9%であるので、日本向けについても同様と仮定し、算出したものです。 この図の船腹量の変化を見ると、原油価格が下がる場合もしくは価格上昇量が2$/KL未満である場合は、必要船腹量には変化はみられません。 しかし、原油価格が2$/KL程度上がると、石油企業がコスト最小を図って調達先を大きく変更する可能性があることがわかります。

検討結果(船型について) この図はアジア向け中東原油価格が変動した場合の原油調達地・必要船腹量の変化を表したものです。 横軸は原油価格の変化を表し、縦軸は船腹量を表します。 この点線は現状のタンカー契約形態を表しています。長期契約が約7割でスポット契約が3割となっています。 この結果を見ると、アフリカからの調達が増えるため、必要船腹量は増加することがわかります。 長期契約分では実線のようにアジア向け中東原油価格が上昇しても、中東からの原油調達は最低約1000万トンの船腹量が必要であることがわります。 中東からの一定量の輸送需要が存在することから、このルートでは、輸送コストを下げるためにタンカーの大型化を検討することは意義のあることといえます。 スポット契約分は原油調達先が中東からアフリカへと大きく変わる可能性があります。 そのため、中東の港だけでなく、アフリカの港に入港できる船型のタンカー需要が高まることが予想されます。 また、輸送距離が伸びることから、さらに船腹量の不足が生じる可能性があります。

運航費を考慮した場合 について コスト削減のためにはタンカーの大型化の検討が有意義であることがわかりました。 しかし、適切なタンカー船型や必要隻数について検討は行っていません。 この検討を行うためには、運航にかかる運航費や船費、資本費などの費用が必要となります。 そこで、運航費用を考慮し、効率的なタンカー運航ついて検討を行いました。

船型が変化した場合 まず、最適船型の検討を行うため、船型が変化した場合について感度分析を行いました。 横軸に船型を表し、縦軸に総費用と必要隻数を表しています。 なお、マラッカ海峡の水深の影響がある場合とない場合について検討を行っています。 この図から、制約がない場合は赤線のように船が大型化するほど総費用が下がっていくことがわかります。 しかし、現状ではマラッカ海峡の水深の影響があるため、現実は青線のような傾向があり、28万トン以上になるとマラッカ海峡を通狭することができずロンボック、マカッサル海峡経由となり、航海距離が伸びるため、費用が高くなることがわかります。 この費用差は約200億円となります。 また、必要隻数を見ると、約10隻の差があります。 この差をなくすための1つの例として、長さ、深さは現状のタンカーと同様であるが、 幅を広くすることにより積載量を増やす幅広船が考えられます。 この幅広船だと、マラッカ海峡を航行することができないという制約を解消することができ、約200億円以上の費用効果をもたらす可能性があります。 また、コンテナ船と違い、ガントリークレーンなどの荷役機器による制約を受けないため、現実可能であると考えられ、非常に有効な手段であると思われます。

待船時間が変化した場合 次に、費用に影響を与えている待船時間について、感度分析を行いました。 この図は待船時間が変化したときの総費用の関係を表したものです。 縦軸は現状との総費用差を表し、横軸は待船日数を表しています。 平均待船時間は6.1日です。 この図を見ると、待機船時間を1日短くすると、約25億円の費用効果があることがわかります。 また、船型が大きくなると費用差の傾きは小さくなり、待船時間の影響が少なくなることがわかります。 待船日数の潮汐待ち時間の調整は不可能ですが、ETAは調整可能です。 そこで、このETAを調整することのよって、船社の総費用の削減は可能であると言えます。

船速が変化した場合 最後に新型船の船速の検討を行うため、船速について感度分析を行いました。 この図は船速が変化した場合の総費用と必要隻数差の変化を表したものです。 この図の青丸内を見ると、船速の変化による必要隻数の減少が1隻の場合は、総運航費用は上昇していることがわかる。これは船速の上昇による燃料費の増加の方が隻数の減少による費用削減より、費用がかかってしまうと言うことを意味している。 費用を下げる方法として、次の2つが考えられます。 1つは現状より必要隻数は増えるが、燃料消費量は船速の3乗に比例するため、船速を落とすことにより燃料消費量を下げ、総費用を下げる方法が考えられます。 もう1つは、燃料消費量は増えるが、逆に船速を上げ、就航回転数を上げることにより、必要隻数を減らして、総費用を下げると言う2つの方法が考えられます。 船速を検討する際には、燃料消費量の削減と必要隻数の削減による費用削減方法にはトレードオフの関係があるため、兼ねあわせて検討する必要があると言えます。

まとめ(1) 現状の輸送航路や輸送需要を表現することができ、これに合わせた運航形態の検討が可能 企業の行動をサプライチェーンとして捕らえ、原油、製品価格 を考慮し、輸送量を求める原油・製品輸送モデルを構築した この結果を基に、石油輸送の現状を考慮し、航路ごとの船腹量 の需要の推定を可能とする船腹量算出モデルを構築した。 現状の輸送航路や輸送需要を表現することができ、これに合わせた運航形態の検討が可能 まとめです。 企業の行動である、調達-精製-販売をサプライチェーンとして捕らえ、 原油、製品価格を考慮し、輸送量を求める原油・製品輸送モデルを構築しました。 この結果を基に、原油輸送の現状を考慮し、航路ごとの船腹量の需要の推定を可能とする船腹量算出モデルを構築しました。 このモデルより、現状の輸送航路や輸送需要を表現することができ、これに合わせた運航形態の検討をすることが可能となりました。

まとめ(2) <原油価格が変化した場合> 原油調達先が中東からアフリカへとシフトする可能性があること言える。 原油価格が変動しても、中東からの原油調達には一定量の輸送需要が存在すると言える。 このモデルを用いて、アジア向け中東原油価格が変動した場合について、日本向けタンカー船隊について検討を行いました。その結果から、 中東の原油価格が2$/KL以上上昇すると、石油企業は輸入先をアフリカへと変更する可能性があることがわかりました。 この場合アフリカの港に入港できる船型のタンカー需要が高まることが予想され、 こうした事態への対応をあらかじめ検討する必要があると言えます。 原油価格が変化しても、中東からの原油調達には約1000万トンの一定量の輸送需要が存在することがわかりました。 輸送コストを下げるためにタンカーの大型化を検討することは意義のあることと言えます。

まとめ(3) <費用を考慮した場合> 船を大型化すると現状より約200億円の費用削減の可能性がある。 待船時間を1日短くするとどの船舶でも約1~2%総費用が安くなる可能性がある。 船速の変化により、総費用を下げる方法には2つの方向性が考えられる。 費用を考慮して検討を行った結果、 船を大型化すると現状より約200億円の総費用を削減できることがわかりました。 待船時間を1日短くすると、どの船舶でも約1~2%総費用が安くなる可能性があることがわかりました。 また、船型が大型化するほど待船時間の影響が小さくなることがわかりました。 船速を変化により、総費用を下げる方法には2つの方法が考えられることがわかりました。 以上で発表を終わります。

日本の中東依存度の推移

海上荷動量・必要船腹量 (単位:百万トン)

タンカー新規発注量と運賃指数 運賃指数 新規発注量

タンカー船型別隻数 (1999年度)

ノードの一覧

過去の石油危機の概要

原油価格と製品価格の関係

日本の石油依存度の推移

日本の中東依存度の推移

日本の石油備蓄の推移

原油価格差

タンカーの建造年数と隻数の関係

タンカーの建造年数と隻数の関係

排水量・速力と燃料消費量の関係

研究の課題 どこから調達すれば良いのか? (石油企業の行動) どこの地域からどれぐらいの量の石油を調達・ 販売すれば良いのか検討できなければならない どれだけの船舶が必要なのか? (船会社の行動) この研究課題として、 ・どこから調達すれば良いのか? ・どれだけの船舶が必要なのか? という2つの課題が挙げられます。 そのため(クリック) ・どこの地域からどれぐらいの量の石油を調達・販売すれば良いのか?を検討できなければいけません。 また、調達・販売を行うために(クリック) ・どれぐらいの船腹量が必要なのか? を検討できなければいけません。 そのため、これらを検討するためのモデルとして石油サプライチェーンモデルを作成しました。 調達・販売を行うためにはどれぐらいの船腹量が 必要なのか検討できなければならない

収入・原油調達費用 IC :収入 石油製品販売価格 石油製品販売量 OP:原油調達費用 原油調達費用 原油調達量

製油費用・製品輸送費用 OR:精製費用 精油費用 原油調達量 OS:製品輸送費用 製品輸送量 製品輸送費用

制約条件(1) 1. 原油生産地の油種供給可能量の制約 油種供給可能量 2. 製油地の原油処理能力の制約 原油処理能力

制約条件(2) 3. 精製量の制約 石油製品特率 精製量 4. 需要量の制約 需要量

原油・製品輸送モデルの検証 船腹量算出モデルへ 原油・石油製品輸送量算出 <原油・製品輸送モデル> 原油価格の平均を求める 新製品価格の算出 原油生産地・製油地の制約、 石油製品需要など 比較 船腹量算出モデルへ このモデルによって、各輸送量を算出できるかの検証を行うために、ノードのデータとして原油生産地の生産量の上限や製油地の原油取り扱い量の上限を、リンクのデータとして、原油調達価格や輸送費用のデータを与えました。 製品価格は変動するため、初期値のデータとして、年平均値を与えています。 これらのデータは1997年のデータを使用しています。 これらのデータを与え、原油・製品の輸送量を求め、1997年の原油・製品輸送量の実績値との比較・検証を行ないました。

原油輸送の検証 1997年原油輸送実績値との比較 これは原油輸送について、1997年の原油輸送実績値と、計算により求めた結果との比較を行ったものです。 (こちらは原油生産地を表わし、こちらは製油地を表わします。 これらは各リンク間の原油輸送実績値と計算結果の誤差を表わしたものです。) 各リンクを見ると、現状の取引量との誤差は5%以下であるので、原油輸送については非常によく一致していると言えます。

製品輸送の検証 1997年製品輸送実績値との比較 現状の石油輸送を表現できるモデルと言える また、製品輸送についても同様の比較を行いました。 (こちらは製油地を表わし、こちらは消費地を表わします。 これらは各リンク間の製品輸送実績値と計算結果の誤差を表わしたものです。) 各リンクの誤差は2%以下であるので、製品輸送についてもよく一致していると言えます。 したがって、原油と製品輸送の検証の結果から、今回のモデルは現状の石油輸送を表現できるモデルであると言えます。 現状の石油輸送を表現できるモデルと言える

原油価格の変動 平均価格 (原油価格は、年平均価格より±30ドル/KL程度は通常変化しています。 そのため、価格変動により、必要船腹量がどのように変化するかについて感度分析を行いました。 また、特に変動幅が大きかった湾岸危機や第1次石油危機と同様の価格になった場合についても検討することにしました。 その結果、次のことがわかりました。)

運航費の構成 タンカー運航にかかる総費用は運航費、船費、資本費の合計で表すことができます。 (運航費はタンカー運航時にかかる費用であり、燃料費、港費により構成されています。 船費はタンカーを運航可能な状態に保つための費用であり、船員費、トン税、修繕費、保険料、船用品費、潤滑油費、固定資産税、雑費、店費(一般管理費)により構成されています。 資本費はタンカーの建造から竣功までにかかる費用であり、タンカーの建造費や金利、登録料、艤装員費などの乗出費用により構成されています。 )

検討を行うための各種設定(1) <運航費> 燃料費 港費 排水量、速力の関係より船型別に燃料費を算出 船型別に港費を算出 費用については次のように設定を行いました。 運航費の燃料費については排水量と船速の関係より船型別に燃料費を算出することができるようにしました。 港費については、日本と海外の港で船型別の港費を算出できるようにしました。

検討を行うための各種設定(2) <船費・資本費> 船費、資本費についてはそれぞれについてのデータが存在しないため、一般的なタンカー総費用の割合を基にそれぞれの費用を船型別に算出できるようにしました。

幅広船の有効性 幅広船が有効!! 船の大型化は有意義である 幅広船の検討を行うための1つの指標!! これらより、幅広船の検討は有意義であると言えます。 (1980年~1987年に建造された船舶は、ほとんどがシングルハルタンカーです。 これらの船は環境問題や寿命によりダブルハルタンカーへ切り替え始めています。 したがって、総費用削減のために、幅広船へと買い換えられる可能性があると言えます。) 現在、幅広船についてはかなりの大きさまでの建造は技術的に可能な状況となっています。 しかし、船型の応じたプロペラを作ることが難しいため、燃料消費が悪くなり、輸送費がかかってしまいます。 したがって、幅広船を考えるには燃料費との兼ね合いによって検討を行う必要があると言えます。 本研究はこの検討を行うための1つの指標となっていると言えます。 幅広船の検討を行うための1つの指標!!