第10章:成層圏突然昇温など --惑星波動による平均東西風変化の例-- 10−1: EP-フラックスによる解析

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第10章:成層圏突然昇温など --惑星波動による平均東西風変化の例-- 10−1: EP-フラックスによる解析 Andrews McIntyre(1976)によって導入された、変換された(transformed)オイラ—平均で惑星波動の振る舞いをみることがよくなされる。 準地衡風系では(cf. Edmon et al., 1980, JAS) 熱力学の式で、擾乱の効果が見えないこと(非断熱が鉛直循環を直接駆動する形)、運動の方程式において東西平均風加速の項が、波の2次量であるEP flux (Eliassen-Palm flux)の発散によって表現される(凖地衡風ではu’w’とか dU/dz 等の項が落ちる)。 この量は惑星波に伴う東風運動量を南北、鉛直に運ぶ指標で、pseudo-運動量フラックスとも呼ばれる。 運動量フラックスの発散によって、風(運動量)が直接変化することを示していて、物理的に理解しやすい表現になっている。また残差子午面内循環は、近似的に重心の平均的な南北、鉛直の運動を記述していると考えられている。

Lagrange平均的な見方との対応: Andrews and McIntyre(1978, JFM)によると、オイラー平均では、粒子の入れ替わりが起こるので、流体粒子の変位を考慮したLagrange的平均の粒子の移流が重心の移動として都合がいいとしている。 この粒子変位を     とすると、Lagrange 的平均は のように定義される。 平均を東西方向にえらべば、Lagrange平均は 平均の子午面風はTaylor展開することで、 のようになる。右辺1項はこれまでのEuler的平均を意味する。右辺2項はStokes Driftとよばれる。 変位は                        のような連続の式を満たすので、 定常な波の場合、 さらに を用いると、 のように、*のついた残差循環とLagrange的南北循環は等しいので、解析可能な残差循環が用いられる。

惑星波のEliassen-Palm フラックスを図にのせておこう。有効な手法で、解析でよく使われている. ー>波の振幅と位相の表現から、波の運動量の流れという考え方か 図:定常planetary wave のEliassen-Palm flux。1963年から1969年までの1月で波数1である。 Sato(1980, J. M. S. J. )より、年によりかなり振る舞いが異なる

西風中 U(y,z) の定常惑星波動の伝播の様子、モデル中での波動エネルギの流れ、定常では 10−2:成層圏突然昇温について 西風 東風 西風中 U(y,z) の定常惑星波動の伝播の様子、モデル中での波動エネルギの流れ、定常では 冬の成層圏の基本的な平均東西風は西風である ー>東風に変わるときがある

突然昇温の現象について例示しよう。図は北緯80度、10hPaの1978年10月から1979年5月までの東西に平均した温度の時間変化を示したもの。冬から春への温度変化のなかで(低温からだんだん温度が上がりつつあるとき)、時々急に温度が上がっている。この様な突然の温度増加現象を成層圏突然昇温と呼んでいる。英語ではstratospheric sudden warming 。また極の高温は温度風の関係から東風になる可能性があるので(夏の状況)、10mb以下で60度から極向きに温度が増加して東風が出来るとそれを major stratospheric warming 、と呼んでいる。かなり不規則で(北半球では2年に一回程度)、どの年にmajor warmingが起こるか分かっていない。対流圏の年々の状況にもよるであろうし(惑星波の生成問題?)、また赤道下部成層圏の準2年振動と関係があるともいわれてはいる(これは波の伝播問題と関わるであろう?) 表:majorな突然昇温の起こった年、Andrews et al.(1987)より 1978 1979

1979年突然昇温の平均東西風時間変化、Andrews et al.(1987)の教科書 12月8日/78年 1月25日 2月26日 2月6日 3月3日 前ページ図に対応したときの平均東西風変化の様子、それぞれ12月8日、1月25日、2月6日、2月26日、3月3日である。12月8日は冬のはじめで西風が強い。1月25日および2月6日は温度が上がっており、それにともない極域に東風が吹いているが10mbでは東風になっていないので minorとしている。また2月26日には10mbで東風になっているのでこれはmajor warmingとなっている。

s=1の振幅 s=2 平均東西風 時間ー緯度断面図: 2/6 2/26 12月 1/25 1/25 2月 major warming 2/26

図:1979年の突然昇温のときの10mbの温度と高度の分布。Andrews et al.(1987)の教科書より。 warm 20N cold 40N 180 major warmingに対応した、10mbでの Planetary wave の振舞いを図に示す。日にちはそれぞれ2月17日、2月19日、2月21日、2月26日、3月1日、3月5日の温度(5度おき、dashed curve)とハイト(0.2kmおき)を示す。はじめ気圧場の水平構造は極渦が引き延ばされて、楕円のような構造になっていて、渦の中心が少しpoleから離れている。それにアリューシャン高気圧が付随している。(b)では(a)のような惑星波の構造が少し変形しつつある。ー>次へ a : 2月17日 図:1979年の突然昇温のときの10mbの温度と高度の分布。Andrews et al.(1987)の教科書より。 b : 2月19日

c : 2月21日/1979年 warm (c)で大きな変化が起こっている。低気圧の渦が2つに分離されたような形になり、極が高温になりつつある。(d)では極が高温になり、また極が高気圧になっている。極の高気圧にともない東風が吹く。そしてしばらく時間(数日、放射の緩和時間)がたった後また冬の状態(完全ではないが)に戻る。 180 240 cold e : 3月1日 warm high f : 3月5日 d : 2月26日

数値実験による説明:波動に関する時間発展の式(形は線形) このような現象を、Matsuno (1971)によるPlanetary wave の鉛直伝播と、その波と平均東西流(および平均温度場)との相互作用の観点から見てみよう。概略を述べると以下のようになるであろうか。あるとき対流圏においてPlanetary wave が増幅される。この増幅の機構は対流圏の現象(特にblocking)と関係があるらしいが明確にはなっていない。ともかく惑星波が強まってその波が鉛直へ伝播していく。上方に伝播し波の振幅は密度factorによりさらに強められる。そのときtransientな波の効果により平均流を変化させる。波が定常であればEliassen-Palmの定理により何の変化ももたらさない。しかしいまは波が急に増幅したので、定理は破綻して、東西平均流は変化していく。 数値実験による説明:波動に関する時間発展の式(形は線形) Zonal mean equation:(東西平均場が時間的に変化する式) のような式をcoupleして解いてある。擾乱が東西平均場を変え(下の方の式)、変わった平均場を擾乱が感じて(上の方の式)…  のように発展していく。

数値実験: モデル振幅 点線は観測 高度 西風 下部境界での惑星波動の振幅変動、t=0から波を強制する 波数1の振る舞い ゼロwind-lineが下方に伝播 東風 緯度 計算された波動振幅の時間変化、β平面モデルで初期は一定の風(33m/s)の場合、shadeの部分が東風、30度と90度に壁で、60度での様子 初期 t=0(初期条件)における平均東西風

時間変動の様子: 高度 時間 60Nの平均東西風の時間変化、西風であったところから東風が生成されている。波数1の強制 波数2の場合の波の振幅の時間変化 -> 下図と対応 温度下降 高度 初期条件からの極の温度の時間変化、成層圏は温度が上昇、中間圏は温度下降している、波数1の場合。 平均東西風の時間変化、波数2の場合は低い高度で東風が強い

水平の構造: 10日後 t=0で波をforcing 緯度 平均東西風の時間変化、波数2の場合 緯度 西風 東風 水平パターンの時間的変化の様子(30km)、波数2の場合、極の低気圧が高気圧に変わっている。 波の振幅の時間変化、凖線形の為かcritical level が動き過ぎのよう

上方伝播に限ったオイラー平均的説明:惑星波に伴って、熱輸送がある。北側で上昇流が作られ、Eliassen-Palmの定理の破れ(下図の場合は臨界層)のために連続の式から南北風は北風、それにコリオリが働いて、東風をつくる。 中間圏の方では上昇流で温度下降 熱輸送の効果の方が勝って温度上昇 波の鉛直伝播 北側の温度変化 対応した東西風変化

成層圏warmingのLagrange平均的な見方: 突然昇温を惑星波動が鉛直に伝播して平均東西風と相互作用をしている状況を、波にともなう流体粒子の変位に伴った平均をするLagrangian 平均の立場で説明する(Matsuno and Nakamura, 1979, JAS); 南北循環は 惑星波が臨界層(今の場合はU=0に対応)に伝播しつつあるとき(線形の定常波のとき波は吸収される)のLagrange的な子午面循環は以下の図のようになる。Critical Levelでは北向きとなっている。 オイラー平均(場所に固定した東西平均)における子午面循環(流線関数と鉛直流) 臨界層(U=0) 東風 U=0 西風

対応した平均東西風と温度の時間的変化 北側 昇温

EP フラックスのLagrange的解釈:鉛直伝播する定常な惑星波動では(Matsuno and Nakamura, 1979) 西向き 波はここまできていない 東向き+ 西風 のような形になる。 東風加速 最後の項は、惑星波の鉛直変位   にともなう応力をしめす。 平均東西風として、西風が吹いている。図のA点で、矢羽はEの方(西風)をむいている。下のほうから定常惑星波が伝播している。波にともなって流体粒子面は凸凹している(図のB点に対応しており、定常惑星波動にともなう鉛直変位のx微分が+のとき圧力偏差は+になっているので、その積は+となる)。その鉛直微分はAでは波がなく、Bで波が伝播しているとすればz-微分は - (負)となり、力として -加速(東風加速、西風を減速)のようになっている。 南風 北 変位は解析できないので、EP-flux Divergence、残差循環で評価される。

破線は波数1が主 実線の矢は波数2の寄与 EP-フラックスによる解析:図は前述の1979年major warmingのときのもので矢印は前に述べたEliassen-Palmのフラックス。 加速は 簡単には右辺のEliassen-Palm flux の発散が平均東西風を変化させると思う。図には収束による加速 ものっている。時間的に非常に複雑な変化を示している。21日あたりは波が収束的で東風加速になっている。一方、28日ではEP-fluxは発散になっており、西風加速になっている。

2002年の南半球は特別の年:南半球で観測史上初めてのMajor Warmingがおこった 01年(は平年的)と比較する 10−3:南半球の突然昇温 2002年の南半球は特別の年:南半球で観測史上初めてのMajor Warmingがおこった 01年(は平年的)と比較する 2002年 1/0ct-15/Oct 太い実線は1979-2002平均の東西風の季節変化(影は標準偏差)、Hio and Yoden, 2005, JASから 東西風 2002年 16/Aug-30/Sep 鉛直EP-fluxと平均東西風の関係の各年のscatter plot、2002年は鉛直EP-fluxが強く、平均東西風が弱い 細線が2002年、鉛直EP-fluxが10月に大きな値をもっている

近年の南半球(オゾンホール)の様子(1998-2003年、 9月25日のみ)、全オゾン 2000 1999 2001 2002 2003 基本的構造は南極で少なく、オーストラリアの南の方で多いという波数1的パターンが多い。 オゾンホールの形は年によりすこしづつ異なっている。 2002年はかなり形態が異なっている ー> この年に major warming

2002年オゾンホールの急激な変動(9月19-29日) 左図に対応した、南半球の10hPa等圧面高度図(約30kmの高度) 。単位はm、等値線間隔は200mの高さの違い。 オゾン全量 9月19日 9月25日 図は廣岡、森、他 (2004) から 9月23日 9月29日 波数1から、2が卓越している

一方、右図は、2001年での同じ図であるが、比較的ゆっくりした季節変動 2002年(左図)9月の終わり頃(波の形態がものすごく変形した時)、極でオゾンが増大している時期ー>極の方が温度が高温になり、西風が東風に変わっている(Majorの突然昇温になっている)様子で、10hPa(約30kmの高度)における東西に平均した温度、東西風の時間変化(5月 -10月)と、惑星波動の振幅変動を示す。  一方、右図は、2001年での同じ図であるが、比較的ゆっくりした季節変動 温度変化 緯度 東西風が東風にならずに、西風が長い期間吹いている 波動の強さは2002年ほどには強くない 波数2の振幅は小さい 波数k=1振幅 波数k=2 MAY JUN JUL AUG SEP OCT 2002 2001

2002年と2001年のEP flux(矢の長さ)が異なるー>大きな変動をおこす 2002年 2001年 波数k=1 波数k=2 波数k=3 2002年は波の活動が強く、成層圏の中にまで侵入している様子がみえる、上から東西波数が小さいもの(k=1, 2, 3)から並べている(南緯50−70度平均)、色は波のEP-flux 発散の大きさをしめす、矢の右向きは極向きを意味する。

10−4:北半球Majorな突然昇温のタイプ分け Charlton et al., JAS, 2007 突然昇温を2つに分類:displacement型とsplit型、大雑把には、波数1と波数2の違いと思っていいであろう、半々程度の頻度のよう 60-90N東西風アノマリーの時間変化、変化の仕方がsplit型が急のようである 10hPaの高度場、影の部分はPV> 45-75N, 100hPaにおける熱輸送の時間変化、黒はtotalの熱輸送偏差、赤は波数1の熱輸送偏差、青は波数2の寄与、実線は有意性の高い時期  ー>先駆現象であるらしいBlockingとの関係については、例えばMartius et al., 2009, GRL参照

Charlton et al., JAS, 2007 2つのタイプの構造の違い 突然昇温の前段階での東西風偏差の南北構造 突然昇温後の南北構造

10−5:成層圏のArctic Oscillationについて 時間的変動、下方伝播のように見える、赤がweak, warm vortexである、赤□はmajorまたはearly final昇温、90day low-pass filterがかかっている AOの高度別パターン 東西風のAOとの相間図 下方伝播の様子 極で低圧偏差のとき、中緯度では高圧パターン 赤のweak vortexは突然昇温の弱い風に対応していると思っていいであろう、 Baldwin and Dunkerton, 1999から

10-dayのlow-pass filterの場合 Itoh and Harada, 2004, JCでは、第1 mode は同時的 一方、第2モード(成層圏ではs=1の惑星波動)は対流圏から成層圏への上方伝播的に見える 対流圏での先行が目立つように感じる

10−6:Downward controlについて Haynes et al., JAS, 1991 成層圏の中である外力が働いた時の大気の応答についての議論で、時間がt=∞たった時を考える Local なForcingを与えた数値実験の例 のような残差循環についての連続の式が成り立つから、流線関数を導入する u 流れ関数 一方、定常状態での運動方程式は 角運動量mを導入する u 流れ関数 上式の運動方程式は 境界条件は上端の無限で、 ある高度の鉛直流はそれより上にあるFの分布だけできまる。外力は下方のみに影響を及ぼす。極限の式では (a), (b)放射減衰がないときのuと流れ関数の10日後応答、(c),(d)は4日放射減衰で10日後、(e),(f)は20日、30日後の流れ関数 中緯度forcingにより、赤道では上昇流

熱帯圏界面の温度変化について:             Kerr-Munslow and Norton, JAS, 2006, pp1410-1419 90hPa, 10N-10Sでの温度変化、実線が温位変化、dashが鉛直移流の効果、dotは水平移流、dot-dashは非断熱、triple dot-dashがその他 赤道上の温度の1年振動:北半球の冬に低温化、夏に高温化、ECMWF ERA-15 data、1979-2001の平均 残差鉛直移流によって温度が変動、 EPDがV*の変化に対して主 ー>90hPa, 10S-10N平均のEPD季節変化 (10Nー10S) 3点dot-dashが対応:u’w’項、赤道Rossby波によるー>中高緯度成層圏波散逸によるdownward controlとmatchしないと言っている (その場所でのforcingも重要なのだろう) 夏はw*が弱くなる、南半球冬がdownward controlが弱いと思っていいか?