河川工学 -河川構造物- 昼間コース 選択一群 2単位 関根・朝位 選択一群 2単位 関根・朝位 http://www.suiri.civil.yamaguchi-u.ac.jp/ kido@yamaguchi-u.ac.jp
1)堤防の種類 2)護岸工法 護岸 根固め 水制 3)床止め 帯工 落差工 4)水門・樋門・樋管 5)堰・ダム
試験に出すよ 堤外地 複断面水路 低水路・低水敷 右岸:下流に向いて右手側が右岸 左岸:下流に向いて左手側が左岸 堤内地:堤防を挟んで河川と反対側の区域,堤内地の流水を内水という. 堤外地:堤防に挟まれた河川側区域,堤外地の流水を外水という. 試験に出すよ 堤外地 複断面水路 低水路・低水敷
堤防(levee):洪水や高潮による氾濫を防ぐため河道に沿ってつくられる河川構造物.耐久性・維持の簡便性・低コスト(堤防は一般に延長が長くなる)が要求される. 輪中 輪中堤 遊水池 導流堤・背割堤 霞堤 副堤(前堤) 本堤 副堤(控え堤) 越流堤 締切堤 廃川 横堤 堤防の種類
本堤(main levee):流水の氾濫を防ぐため河道に沿って築造される堤防. 副堤(secondary levee):本堤の破堤に備えて本堤背後に築造される堤防.洪水氾濫の拡大防止.控え堤.前提は堤外地の耕作地を守る. 横堤(wing levee, cross levee):大きな幅の高水敷を耕作地として利用している場合に,それらを洪水時の高流速から守るために,本堤や高台からほぼ直角につくられる堤防. 背割堤(high water separation levee):河川の合流点に設けられる堤防で,合流する2河川をある区間分流させるために用いられる.(流速や水深など性質の異なる2河川がいきなり合流すると,合流点の河状が不安定になる. 2河川を円滑に合流させる.) 導流堤(training levee, jetty):流れや土砂の方向を望ましい方向に導く堤防.
輪中堤(ring levee, polder levee):特定の地域を洪水から守るためその周囲を取り囲んでくつられた堤防.木曽川下流域(岐阜県側)の輪中堤が有名. 霞堤(open levee):堤防の下流端を開放し,次の堤防の上流端を堤内地へ延長し上流の堤防と重複するようにつくられる.洪水時には開放部から水が堤内地へ逆流するが,その流速は小さい.また水を一時霞堤にため込むことにより「洪水調節効果」を発揮する.急流河川で盛んに用いられる.不連続堤. 鬼怒川(きぬがわ)上流部が有名
越流堤(deversoir):堤防の一部を低くし,洪水の一部をそこから調整池,遊水池に流入させる.越流部は越流に耐える構造にする必要がある. 締切堤(closing levee):支川,派川,旧川,廃川を締め切るとき(締め切られる河川の)河道を横断してつくられる堤防. 特殊堤:堤防は一般に土砂で築造される(経費が安くなる)が,土地利用の状況によりコンクリート擁壁や鋼矢板を用いる場合がある.土砂堤防以外の堤防を特殊堤と呼ぶ. 高潮堤:河口付近で堤防の高さが計画高潮潮位および波浪の打ち上げ高さにより決められる堤防.
余裕高 計画高水位 天端 表のり肩 裏のり肩 川表 川裏 堤外地 堤内地 表小段 裏小段 表のり 裏のり 表のり先(尻) 法尻 堤脚 裏のり先(尻) 堤防敷 堤防高 犬走り 堤防断面と各部の名称
堤防高さ:計画高水位に余裕高(free board)を加えた高さ 計画高水位の算定における不確定要素のカバー、洪水時巡視や水防を実施する場合の安全性の確保、流木等落下物への対応のため余裕高が加えられる。 天端幅:浸透に対するする安全性および常時の巡視や洪水時の水防活動など河川管理のために必要な幅を考慮して決められるが、通常は計画高水流量に応じた基準値が用いられる。急流河川では10m
のり(法)勾配:堤体のすべりに対して決められる。表のりも裏のりも勾配1:2(2割勾配)よりも緩やかにする。最近は親水性を考慮し1:5程度の緩斜面となっている。都市河川では1:0.5(5分勾配)にすることが多い。 2 1 1:2勾配 小段:のり面の崩落を防ぎ、施工を容易にする。 犬走り(berm):裏地盤との接合を調整しのり先をそろえる。 堤体内の浸潤線(seepage line)が裏のり面に達すると、裏のり面のすべりが生じやすくなる。 天端幅を大きくしたり、裏小段を設けて断面を大きくする。 堤体を大きくできない場合は、ドレーンを設けて浸潤線を低下させる。 ドレーン
http://www.tonejo.go.jp/teibou.htm 従来型堤防 高規格堤防(スーパー堤防) 利根川・荒川・江戸川・多摩川・淀川・大和川で整備中 http://www.tonejo.go.jp/teibou.htm
護岸はその機能により4つの部分に分けられる。 のり覆工(のりおおいこう):河岸・堤防ののり面を被覆する。 護岸(revetment):堤防や河岸は一般に土砂で構成されているのでそのままでは、流水や波により浸食・崩壊する恐れがある。堤防や河岸を保護するために設置される河川工作物を護岸という。 護岸はその機能により4つの部分に分けられる。 のり覆工(のりおおいこう):河岸・堤防ののり面を被覆する。 のり止め工 :のり覆工ののり先につくり、のり先を固定する。 根固め工 :のり止め工の全面に接触してつくる。護岸破壊を防ぐ。 根固め水制 :護岸全面の河床洗掘防止、水流の制御。 護岸は施工される位置によって次のように分けられる。 堤防護岸 :堤防に直接施工される護岸。 高水護岸 :高水敷の高さより上部に施工される護岸。 低水護岸 :低水敷を保護するために低水路に設けられる護岸。 H.W.L L.W.L 堤防護岸 のり止め工 根固め工 低水護岸 高水護岸 裏護岸 高水敷 のり覆工 芝
護岸工法 護岸には強度、耐久性、屈撓性(たわみ性)、経済性などの性質が求められる。 のり覆工 芝付け:堤防には芝付けが行われ、表のりには全面に芝(総芝)を張る。 裏のりには部分的な芝付け(筋芝、市松芝)が行われる。 流速が遅い(1~2.5m/s)場合は芝付けだけで覆工を兼ねることができる。 張り護岸:勾配1:1よりもゆるやかな護岸 護岸材料に石材やブロックを用いる。護岸材料のすきまにモルタルまたはコンクリートをいれたものを練り張り護岸といい、いれないものを空張り護岸という。 積み護岸:勾配1:1よりも急な護岸 張り護岸と同様。 籠工護岸:鉄線蛇籠、竹籠、柳籠に栗石や玉石を詰めてのり面に敷設するもの。安価で施工も容易。災害復旧などの応急工事に広く用いられる。強度は大きくない。
のり止め工はのり覆工を直接支える基礎工であるとともに洗掘に対してのり覆工を保護し、裏込め土砂の吸い出しを防ぐ。 のり止め工はのり覆工を直接支える基礎工であるとともに洗掘に対してのり覆工を保護し、裏込め土砂の吸い出しを防ぐ。 土台、しがら工、詰杭工、矢板工、わく工などがある。 根固め工(foot-protection works):のり止め工の全面に設置して護岸基礎の洗掘を防ぎ、洗掘が生じた場合にはその進行を妨げる役割を果たす。根固め工はすぐには壊れないように屈撓性(くっとうせい;たわみのこと)が求められる。 捨石、蛇籠、沈床、わく,護岸ブロック等の工法がある。 根固め水制: 根固め工に水制を併用したもの。急流河川の水衝部のように流勢がつよく洗掘の激しいところに用いられる。 水衝部(水当たり) 根固め水制 根固めの屈撓性
粗朶(そだ)沈床 粗朶は、刈り取ったカシやクヌギの枝のこと。同工法は、明治初期にオランダから伝わった。束ねた木の枝を五層に重ね、その上に石を置いて岸辺に沈める。木や石のすき間は小魚などのすみかになり、かつては利根川など全国の主要河川で用いられていた。 現在は多自然型工法として見直されている. 粗朶沈床施工時 完成後(9ヶ月) http://www.skr.mlit.go.jp/nakamura/river/gaiyo/mahoroba/maho9.html
水制(spur dike): 河岸から河川中央部向けてつくられる構造物。 水制の働き ・流れに対する抵抗を増して流速を減少させる(流速減少作用)ことにより、水流による河床低下を防ぐ。 ・流れに対する障害物となり流れの方向をかえる(水はね作用)ことにより、防護しようとする場所に水流を当てない。 不透過水制 水制の中を流れが透過しないもの。 水制の上を水が流れるもの→越流水制 水制の上を水が流れないもの→非越流水制 コンクリートブロック水制 透過水制 水制の中を流れが透過するもの。 水制は粗度(河床の抵抗)の効果を有し流勢を弱めて、土砂の堆積を促す。透過水制の効果は長期的に現れる。 杭だし水制、わく水制、牛水制(伝統工法の一つ、最近見直されている。)
水制は護岸と併用されることが多いが、水制を複数で設置すると、水制間に土砂が堆積し、水制だけで堤防の安全性を確保できる場合がある。河岸を自然に近い状態にする事ができる。 流れの向き 水制 幹部水制 ワンド 河岸 頭部水制 堆積 洗掘 流れの向き 河岸 下向き水制 直角水制 上向き水制 日本では直角水制が多い。ついで上向き水制(上流側に15°)
床止め(ground sill):急流河川や緩勾配河川でも局所的に勾配が急である場合に、流水の作用による河床や高水敷の変動を防ぎ河道の安定をはかるため河川を横断して設けられる構造物。床止め(床固め)ともいう。 落差のあるものを落差工、ないものを帯工という。 床止めの機能 ①高水敷の浸食を防ぐ。 ②河床の浸食を防ぐ。 ③河床勾配を緩やかにして、流速を小さくする。 ④流れを安定させる。 ⑤河床の局所的な深掘れを防ぐ。 ①②⑤の機能が必要なとき主に帯工が用いられる。 ③④の機能が必要なとき主に落差工が用いられる。
横断方向(川幅方向)に設置するため上流と下流の生態系を分断してしまう。近年は魚道などを設ける場合が多い。 床止め(落差工) 急勾配。速い流速のために河床が洗掘され河床の低下が発生。 勾配を緩くし、流速を小さくする。 高水敷 高水敷 低水路 帯工 横断方向(川幅方向)に設置するため上流と下流の生態系を分断してしまう。近年は魚道などを設ける場合が多い。
水門・樋門・樋管:堤防を横断して設置される構造物。水門は開渠の状態で堤防を横断し、樋門・樋管は暗渠の状態で堤防を横断する。 水門(gate):自然堤防地帯やデルタなどの低平地で合流する小支川への本川の背水を遮断(逆流防止水門)、河口部の高潮による水位上昇の影響の遮断(防潮水門)、本川から派川への流量調節(分流水門)などの目的でつくられる。 樋門(sluice way)・樋管(sluice):堤内地の排水や用水の取水のために設けられる。 川 水門 川 地面 樋門・樋管
可動堰:水位や流量の調整ができる堰。ゲートを持つ堰は水門と呼ばれることもある。 堰(weir):農業用水・上水道用水・工業用水・水力発電用水など各種用水の取り込み、派川や放水路への流量配分、舟の交通のための水深確保、河口部の塩水遡上や高潮遡上の防止の目的で河道を横断して設置される構造物。 可動堰:水位や流量の調整ができる堰。ゲートを持つ堰は水門と呼ばれることもある。 固定堰:水位や流量の調整ができない堰。 ダム(dam):河川を横断する構造物で流れを遮断し、その上流部に貯留させる施設。治水(洪水調節)、発電、利水などが目的。目的が一つだけのダムを専用ダム、目的が二つ以上のダムを多目的ダムという。 河川管理施設等構造令(国土交通省令)第3条で、流水を貯留する目的で築造された高さ15m以上の構造物と規定している。
http://damsite.m78.com/ http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/index.shtml 治水→ダムは空が良い、利水→ダムは満杯が良い 治水と利水の多目的ダムは貯水池の容量配分が行われる。 洪水時満水位 常時満水位 洪水時制限水位 最低水位 洪水調節 容量 洪水期 利水容量 非洪水期 有効容量 総貯水容量 堆砂量 サーチャージ容量 http://damsite.m78.com/ http://wwwsoc.nii.ac.jp/jdf/index.shtml
宿題 護岸,根固め工,水制を説明しその機能について考察せよ. 教科書以外の参考書,文献,ホームページなどを積極的に利用してレポートを仕上げること.ホームページの単なるカットアンドペーストは不合格とする(自分で考えるということをしていない). 提出期限:次回の講義時に回収