宇宙地球科学専攻 常深研究室 つね み 平成17年2月16日

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宇宙の「気温」 1 億度から –270 度まで 平下 博之 ( 名古屋大学・理・物理 U 研 ).
硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
2013 年度課題研究 P6 Suzaku によるガンマ線連星 LS I の観測データの解析 2014 年 02 月 24 日 種村剛.
Nagai laboratory.
X線で宇宙を見る ようこそ 講演会に 京大の研究
2000年1月17日版 アストロ E 衛星 文部省宇宙科学研究所
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       光の種類 理工学部物理科学科 07232034 平方 章弘.
国立天文台 太陽系外惑星探査プロジェクト室 成田憲保
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
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宇宙物理研究グループ 紹介.
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
就職活動について 就職担当 平成28年3月卒業予定学生 平成26年10月1日から平成27年9月31日まで
プロポーザル準備/観測準備 ダストをたくさん持つ銀河 の赤外線分光観測の例 国立天文台 今西昌俊.
AOによる 重力レンズクェーサー吸収線系の観測 濱野 哲史(東京大学) 共同研究者 小林尚人(東大)、近藤荘平(京産大)、他
南極からの新赤外線天文学の創成 南極内陸は、ブリザードがなく、非常に穏やかな、地球上で最も星空の美しい場所です。この場所で私たちは新しい赤外線天文学を展開します 宇宙初期の広域銀河地図を作って、私たちの銀河系の生い立ちを解明します 137億年前 100億年前 宇宙の果て 最初の星が生まれ、銀河が成長した時代.
謎の惑星スーパーアースを探れ! 国立天文台・成田憲保.
スケジュール 月曜2限(10:45-12:15),A棟1333号室 10月 11月 12月 1月 2月 10/01 ① 11/5 ⑤
数値相対論の展望        柴田 大 (東大総合文化:1月から京大基研).
みさと8m電波望遠鏡の 性能評価 富田ゼミ 宮﨑 恵.
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
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KEK Summer Challenge 報告
愛媛大学理学部物理学科 & 愛媛大学宇宙進化研究センター 鍛冶澤 賢 理学部物理学科 松山市 (宇宙進化研究センター併任)
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愛媛大学理学部物理学科 & 愛媛大学宇宙進化研究センター 鍛冶澤 賢 理学部物理学科 (宇宙進化研究センター併任) 松山市
太陽を見る 可視光 X線(ようこう衛星) 太陽フレア.
重力・重力波物理学 安東 正樹 (京都大学 理学系研究科) GCOE特別講義 (2011年11月15-17日, 京都大学) イラスト
高木慎一郎(博士2回) X線天文学のこと X線の特徴と宇宙を観測すること 当研究室で研究していること
山形大学理学部物理4年 特殊講義F 「宇宙X線」
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京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オーストラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
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大学院ガイダンス(柏キャンパス) 2011年6月11日 岸本 康宏
Introduction to the X-ray Universe
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
ようこそ Hot Universe へ Fes. 馬場 彩 Contents X線天文学とは?
Telescope Array ~Searching for the origin of the highest energy cosmic ray 私たちの研究の目的 宇宙線って何? 最高エネルギー宇宙線の数が、 理論による予想を大きく上回っていた! 現代物理学の主要な謎の1つ 宇宙空間を光に近い速度で飛び回っている非常に小さな粒子のことです。
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XMM-Newton衛星による 電波銀河 3C 98 の観測
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高地におけるγ線エアシャワー地上観測のシミュレーション
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
X線天文衛星『すざく』の成果 1.5年経過 “すざく” (朱雀) 査読付専門雑誌 32 編 (日本の衛星、大型プロジェクトでは最多)
教育学部 自然環境教育課程 天文ゼミ 菊池かおり
~目では見ることのできない紫外線・赤外線をケータイカメラを使うことで体験する~
中性子星/ブラックホール連星の光度曲線の類似性
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宇宙地球科学専攻 常深研究室 つね み 平成17年2月16日 宇宙地球科学専攻 常深研究室        つね  み       平成17年2月16日 常深、林田、宮田、鳥居    スタッフ 久保、山田(秘書) (PD)並木、穴吹 (D3)川上 (M2)勝田、東海林、田和、西野 ノルベルト、安田 (M1)松浦、宮内、向井

研究内容 X線天文学 X線観測衛星による宇宙の観測的研究 次期X線観測衛星の開発 将来を見据えた新しいX線検出器の開発研究 研究内容 X線天文学 X線観測衛星による宇宙の観測的研究 あすか(日本、93-01) チャンドラ(米、99)、ニュートン(欧州、99)   現在活躍中 Astro-E2 (05-) 超新星残骸、活動銀河核(ブラックホール)、銀河団 次期X線観測衛星の開発 Astro-E2衛星(2005年打上げ予定)搭載用X線CCDカメラの開発と較正試験 国際宇宙ステーション搭載のX線観測装置MAXI用X線CCDの開発と試験 (2007年度打ち上げ予定) 将来を見据えた新しいX線検出器の開発研究 NeXT衛星(日、2011?)、XEUS(欧州、2015?) シンチレータCCD、X線偏光計の開発 地上実験への応用、X線顕微鏡、高精度X線分光技術 背景画像は夜地球

観測する波長で見え方が異なる ↓赤外線      ↓可視光       X線↓

どのくらいまで上に行けば、宇宙が見えるだろうか 地球大気は宇宙を見えなくしている どのくらいまで上に行けば、宇宙が見えるだろうか 電波 可視光 X線 紫外  紫  藍  青  緑  黄  橙  赤  赤外

太陽の可視光像とX線像 可視光で見た太陽像       X線で見た太陽像 宇宙科学研究所ようこうチーム X線:宇宙の特に活動的な現象を観測できる

X線で見た空 (ROSAT)MPE かに星雲 → 肉眼で見た空 半月↑ オリオン 見る目が違うとこんなふうに変わる ←シリウス

銀河団 暗黒物質の分布 可視光のイメージ X線のイメージ 100万光年 温度数千万度の高温ガス 密度10-3個/cc 数十~数百の銀河の集団 まずは銀河団ですが、これは距離およそ8億光年にある、うみへび座A銀河団の可視光とX線によるイメージです。イメージのスケールは100万光年です。銀河団は可視光では数十から数百の銀河の集まりのように見えますが、X線で見ると希薄なガスに取り囲まれていることがわかります。このガスの温度は数千万度という高温でX線でのみ観測することができます。 温度数千万度の高温ガス 密度10-3個/cc 数十~数百の銀河の集団 (http://chandra.harvard.edu/xray_sources/galaxy_clusters.html) X線観測を通して宇宙の構造と進化の探求する

日本のX線天文学の歩み 2007 2005 Hakucho (1979) Tenma (1983) Ginga (1987) NASDA 2007 Hakucho (1979) Tenma (1983) Ginga (1987) ISAS 2005 ASCA (1993) 宇宙航空研究開発機構、理化学研究所、東京大学、東京都立大学、名古屋大学、京都大学、広島大学、、大阪大学 背景画像はHST

Astro-E2衛星(2005年夏打ち上げ予定) 日本5番目のX線天文衛星 高いエネルギー分解能と大きな有効面積が特徴 ブラックホール、中性子星、超新星残骸、活動銀河核、銀河団 ブラックホール周辺の強い重力場、高温プラズマの運動(100km/s)や元素組成の測定 大阪大学では、MIT、宇宙研、京大等と共同でX線CCDカメラの開発、較正を担当 全長5m 重さ1.6t @阪大F508 30cm @宇宙研

4年生の宇宙地球科学特別研究 週1回のセミナー(輪講) 卒業研究 宇宙科学入門、Astrophysical Concepts等 テーマは様々、毎年変わる。複数の候補の中から学生が選択する(連休前後)。 大学院生、スタッフの研究とは独立したテーマ 研究開始(テーマにそった勉強)(7月上旬まで) 一泊合宿で中間発表*(7月上旬-中旬) 研究再開(10月-) 研究発表*(2005は2/3;宇宙進化と共同) *プレゼンテーションの技術の習得を兼ねる

卒研テーマの一例:ガンマ線バーストの残光のロボット望遠鏡による観測 F棟屋上に可視光望遠鏡とドームを設置 ガンマ線バーストの通知がインターネット経由であると自動的に望遠鏡が観測 雨になるとドームが自動的に閉まる 写真提供:物理4年深沢

卒研テーマの一例:活動銀河核からの鉄輝線のスペクトルと時間変動 製作:物理4年川畑亮

4年生の研究室配属の位置づけ 4年生で配属された研究室の大学院に進む必要はない。他大学、他研究室からの入学者も多いし、他大学の大学院へ入学する者も多い。 (少なくとも常深研では)大学院から入学した人も不利にならない。逆に、4年生で配属され別の分野に行った学生も、1年間は無駄になっていない(はず)。 3年生の段階では研究のことは何もわかっていない。4年生卒業してもまだまだ。 4年生の卒研はお試し期間と考えるのも一案。

何を学ぶか? 論理的な思考力、わからないことを追求する熱意、発想の豊かさ 物理学の基礎知識と物理的なセンス 研究の技術 コンピュータの扱いとプログラム技術 文章力、プレゼンテーションの技術 データ解析の知識とソフトの扱い方 英語 天体に関する知識 式変形の巧みさ エレクトロニクス、工作、実験技術 結局何を学ぶかは自分次第

宇宙(物理学)の研究分野に進みたい人へ 理論系 実験系(観測系) 理論構築(例えば新しい宇宙論の構築) 計算、シミュレーション(天体現象の再現、予言) 実験系(観測系) 観測(天体現象の観測とデータ解析) 波長と観測対象で細分化。常深研はX線。 装置開発(新しい観測機器の開発) 大プロジェクトになる傾向。 日常やっていることは素粒子、原子核物理の実験系と似ているが対象が多様(星の数ほど) ここの境界はあいまい 学生実験との違い:新しいことを発見しなければ研究ではない 新しい観測装置、観測方法が発見に結びついた(木星の衛星、ハッブルの法則、2.7K背景放射、パルサー、超新星ニュートリノ)

どの分野か?理論か実験か? もっとも興味を引かれるのは何か? 就職に有利なのはどれか? もっとも将来性があるのはどの分野か? (一般的な企業では)学部卒、修士卒の段階での専門知識には期待していない。博士卒では別。 (大学や研究所では)PD対象の任期制の枠は拡大してきた。さらにその先は? もっとも将来性があるのはどの分野か? 自分の適性に合うのはどこか? ×成績がいいから理論、それほどでもないから実験 実験に付随する雑多な作業を楽しめるか楽しめないか? 実際のデータから発見する喜びを最高のものと思うか、それとも、数学的記述で簡潔に表現される理論を至上のものと考えるか? 物理学=公式を覚えて式変形すればOK? 試験は通っても研究にはならない。新しいことをするのが研究。まず疑問をもつことが重要。 英語やプレゼンテーション能力はいずれにしても重要

常深研究室見学は所定の時刻に (2005年2月21日は1時、2時、3時、4時、5時。他日は適宜) F棟5階、 F515前の廊下に集合 常深研究室見学は所定の時刻に (2005年2月21日は1時、2時、3時、4時、5時。他日は適宜) F棟5階、 F515前の廊下に集合 常深教授と直接面談したい人は2/25(金)11:00にF515に集合 背景はHST画像