A practical project for the international environmental cooperation 国際環境協力への実践プロジェクト A practical project for the international environmental cooperation プロジェクト履修学生:孫 楊、仲村 慎一、 キョウ 秀民、胡 舜尭、タリ プオフティ、柏木 信明、 呉 迪、 陳 啓宇 プロジェクト担当教員:王 青躍 関連学外組織:上海大学、国立環境科学研究所、上海市疾病予防控制センター他 都市部微小粒子状物質の挙動とその変異原性調査 Investigation on behavior and mutagenicity in urban fine particles プロジェクト No.10 現在、世界範囲内がんによる死亡率が上昇を続けている。環境大気中の浮遊粒子に存在する発がん性物質については、多種類の物質である。首都圏へと繋がる交通網が多い埼玉県は、自動車由来の汚染物質が高濃度の地域であり、健康に大きいな影響を与えている。また、日本の越境汚染問題と関連地域である中国への調査も重要である。 本プロジェクト では、中国上海市において、上海大学(呂 森林教授)と連携し、現地での大気環境調査や技術交換などを実施した。現地で捕集したサンプルを日本に持ち帰って、変異原性試験を行った。 Abstract The mortality rate due to world range cancer keeps rising now. As for the carcinogen that exists in the suspended particulate in ambient aerosol , it is many kinds of materials. Ambient fine particles attribute to SPM which are mainly contributed by automobile exhaust source have been reported to cause serious health effects. In this project, investigation of atmospheric environmental and technology interchange were conducted by cooperated assistant professor Lu shenlin at shanghai University. Collected filters were brought on Japan and analyzed with Ames testing. 実験方法 Ames試験: 微生物を用いた変異性試験は初期過程 である変異細胞が生成するイニシエー ション(initiation)過程を検出できるから、 TA98とTA100菌株へ導入して、芳香族ニトロ 化合物や芳香族アミンに高い感受性と特異性を もつ、YG1024菌株と併用して、変異原性の有 無を確認した。 捕集地点および期間: (1)中国・上海市 地点および期間:上海市(都市部道路端)2009年1月16日~1月19日 捕集時間:24時間(19時~翌日19時まで) 捕集装置: PM2.5 Thermo Scientific setup (Fig. 1(a)) 吸引流量は1.13 L/min (2)日本・さいたま市 地点および期間:埼大県道57号(都市部道路端)2009年4月21日 ~5月14日 捕集時間:167時間 (10時~7日後9時まで) 捕集装置:アンダーセンハイボリウムエアサンプラー(AHV) 吸引流量は566 L/min (Fig. 1 (b)) (a) (b) Fig. 1 a) PM2.5 Thermo Scientific setup and b) AHV PM2.5測定装置およびアンダーセンハイボリウムエアサンプラー (AHV)による微小粒子の捕集 陰性 陽性 Fig. 2.The result judgm -ent on Ames testing Ames 試験結果の判定 変異原性の測定: Amesらの方法に準じ、マイクロサスペンジョン法にて、日本と中国で捕集した大気サンプルではサルモネラ菌TA98, TA100およびYG1024に対し、S9 mix+, S9 mix- の条件下で変異原性(国立環境研究所 中島大介研究員からの協力)を確認した。 実験結果 Ames試験の結果: TA98, TA100,YG1024菌株を用い、マイクロサスペンジョン法にてSh.とSt.の変異原性を示した。YG1024菌株をニトロピレン、アミノピレンに高感受性を示すため、サンプルはその菌株に対し変異原性が見られた。このことから、サンプル中には窒素化合物に由来するニトロピレン等の変異原性物質の存在が示唆された。変異原性が見られたSh.と St.の変異原性を比較するため、復帰変異コロニー数と空気の体積との関係から一次回帰式を求め、サンプル1 m3当たりの復帰変異コロニー数を計算した。Sh.の1m3のコロニー数の平均値はSt.より約6.5倍高いことが見られた。また、YG1024菌株に対し、S9mix+の条件下で自然復帰変異コロニー数よりSt.約4倍、Sh.約13倍程度の変異原性活性が見られた。 微小粒子の変動と変異原性との影響の検討: 環境大気中の浮遊粒子に存在する発がん性物質については、PAH、ヘテロサイクリックアミンやPCB、ダイオキシン等の有機ハロゲン化合物など多種類の物質について研究され、報告されてきた。 微小粒子の変異原性の特徴を明らか上で各共存化学成分は変異誘発性の相互影響することから、今後、多環芳香族炭化水素(PAH)、ニトロアレーンの成分測定を行う。 Fig.2. Ames testing results list (2009) St55: Saitama 5/5~11, St421: Saitama 4/21~27,St428: Saitama 4/28~5/4; SH116: Shanghai1/16,17, SH117: Shanghai 1/17,18, SH118: Shanghai 1/18,19. 変異原性試験結果 *St:さいたま市 Sh:上海市 今後予定 上海市の大気中における代表的な変異原物質の濃度分布および季節変化、寄与特性の研究について詳しい調査の必要があるため、日本の技術を生かせて、上海市変異原性物質の同定とともにこれらの毒性による健康影響を明らかにして行く。 参考文献 1.Michelle L. Bell, Francesca Dominici, Keita Ebisu, Scott L. Zeger, and Jonathan M. Samet (2007): Spatial and Temporal Variation in PM2.5 Chemical Composition in the United States for Health Effects Studies, Environmental Health Perspectives 115,989–995 2.B.N.Ames, L.McCann and E.Yamasaki, Methods for detecting carcinogens and mutagens with the Salmonella/mammalian microsome mutagenicity test, Mutation Res.,31, 347-364,1975