卒業論文:日本のフェアトレードと推進と改善 国際経済学部国際経済学科4年 川井健彦 2004/10/23
目次 第1章 フェアトレードの概要 2.1 ぐらするーつ 3.1 TWINとCafé direct 第4章 結論 日本と海外の比較 第1章 フェアトレードの概要 1.1 フェアトレードの定義 1.2 フェアトレードの歴史 1.3 フェアトレードの現状 第2章 日本のフェアトレード団体・店 2.1 ぐらするーつ 2.2 シャプラニール 2.3 オルター・トレード・ジャパン 第3章 海外のフェアトレード 3.1 TWINとCafé direct 3.2 Ten Thousand Village 3.3 マックス・ハベラー・スイス 3.4 海外の団体の比較 3.5 大手企業のフェアトレード商品の導入の状況 第4章 結論 日本と海外の比較
第1章:フェアトレードの概要 1.1 フェアトレードの定義 フェアトレードのポリシー(フェアトレードカンパニー参照) 1.1 フェアトレードの定義 フェアトレードは、NGO団体が行ってきた緊急救援や資金援助では発展途上国の経済的な自立を促すことができないため誕生した貿易方法である。 フェアトレードのポリシー(フェアトレードカンパニー参照) ①フェアトレードとは途上国の人々と公正な貿易ができるように行うことである。 ②昔からの技術を使い、環境に易しい貿易を進め、持続的な取引ができるようにする。 ③仕事において、性別・文化・人種で差別しない。 ④経営・会計・生産の情報を公開すること。
1.2 フェアトレードの歴史 1940年代・・・フェアトレードがアメリカのNGO団体から誕生する。 1950年代~1960年代・・・ 1.2 フェアトレードの歴史 1940年代・・・フェアトレードがアメリカのNGO団体から誕生する。 1950年代~1960年代・・・ 発展途上国の独立に伴い、先進国の中で南北問題に注目す るようになる。 1960年代~1970年代・・・ ヨーロッパ諸国でフェアトレード団体が相次いで誕生し、途上国 でも生産者団体が誕生する。 1980年代~1990年代・・・ 国際的な組織が誕生する。例:EFTA,IFAT,FLO,NEWS 1990年代・・・日本にもフェアトレード団体の数が増えてくる。
1.3 フェアトレードの現状 フェアトレード製品の売り上げにおい て、海外特に欧米諸国はとても高い。 理由 1.3 フェアトレードの現状 フェアトレード製品の売り上げにおい て、海外特に欧米諸国はとても高い。 理由 海外では消費者によるフェアトレード の認知度が高い。 ・・・ イギリス84%、スイス84%、オランダ66%、ベルギー62%の消費者がフェアトレードマークの表示した商品の存在を知っている。 イギリス68%、スイス64%の消費者がフェアトレード商品を買う傾向がある。 またヨーロッパではスーパーマーケットが一般の販売店よりも積極的に取り扱っている。 図表1世界各国のフェアトレード製品の売上(フェアトレード・ラベル・ジャパン参照)
第2章 日本のフェアトレード団体・店図表2 組織形態 商品 販売方法 組織の考え方 ぐらするーつ シャプラニール 第2章 日本のフェアトレード団体・店図表2 ぐらするーつ シャプラニール オルター・トレード・ジャパン 組織形態 ・有限会社 ・NGO団体の中の一つの部門 商品 ・伝統的な製品・技術の利用。 ・手工芸品等の日用雑貨や食品。 ・手工芸品中心。 ・食品中心。 販売方法 ・直営店。 ・インターネット。 ・カタログによる通信販売。 ・広告小規模。 組織の考え方 ・現地生産者との関係を重視。 ・賃金は現地生産者の人・生産者団体が決定。
日本の3つのフェアトレード組織の比較 組織の形態・・ぐらするーつは有限会社、シャプラニールはNGO団体の中のひと つの部門、オルター・トレード・ジャパンは株式会社。 ぐらするーつとオルター・トレード・ジャパンはシャプラニールに比べ会社という観点から利益を得ることを少なからず考えている。 商品・販売方法・・3つの組織とも伝統的な技術・環境を考慮した商品を取り扱っ ていて、資金の関係もあまり大々的な広告活動は行っていない。 販売方法では通信やカタログを使っている。また、ぐらするーつ とシャプラニールは直営店を持っているが、オルター・トレード・ ジャパンは生協と取引を行っていて、直営店がない。 日本において、消費者に身近な店であるスーパーマーケットとの取引が少ないこと、また大々的な広告活動ができないことも認知度の低さの理由と考えることができる。
第3章 海外のフェアトレード図表3 組織形態 商品 販売方法 仕事内容 組織の考え方 Café direct (イギリス) 第3章 海外のフェアトレード図表3 Café direct (イギリス) Ten Thousand village (TTV) (アメリカ) マックス・ハベラー・スイス (スイス) 組織形態 ・Twinを含む4つの団体の出資により設立。 ・キリスト教会の団体のもと、非営利組織として活動。 ・6つの慈善団体により設立。 商品 ・コーヒー等のホットドリンク。 ・直営店。 ・生産者からの輸入と販売。 ・食品中心。 販売方法 仕事内容 ・出資者である4つの団体のホームページやCafé directと取引している独立した食料品店。 ・スパーマーケットとも取引をしている。 ・フェアトレードラベル認証機構のため、マックス・ハベラー・スイス自体は販売していない。 ・取引相手は生協や大手スーパーマーケット。 組織の考え方 ・フェアトレードはチャリティーではなくビジネスの面を持っている。 ・最低価格を決めている。FLOの最低価格基準の他に独自の基準を持つ。 ・少数グループ等不利な団体と優先して取引を行う。 ・最低価格は決めていない。 ・FLOの決めた最低価格基準に従い、価格を決めている。 ・政府の援助
海外の3つのフェアトレード組織の比較 組織形態・・Café direct、マックス・ハベラー・スイスは複数の団体の出資に より設立した団体である。TTVはキリスト教の団体から設立した。 複数の団体が出資しているため、資金面では余裕がある。また宗教の面からもフェ アトレードという仕組みはアメリカで受け入れやすいと考えることができる。 商品・販売方法・・Café directはホットドリンクが対象商品である。マックス・ハベラー・ スイスは食品が中心である。TTVは手工芸品が中心である。 Café direct、マックス・ハベラー・スイス、は大手のスパーマーケッ ト取引をしている。TTVは直営店とフェアトレード店の卸も行っている。
大手企業のフェアトレード商品導入の状況 スターバックスを例に大手企業のフェアトレード導入の現状を探る。 スターバックスを例に大手企業のフェアトレード導入の現状を探る。 スターバックスのフェアトレードコーヒーを導入した経緯 1995年 スターバックスは米国・グアテマラ労働教育プロジェクトからの プレッシャーを受け、スターバックスのコーヒー供給業者に向け た行動基準を作る。しかし、生産農家についての情報公開を拒 否した。 2000年2月 ABCテレビがグアテマラのコーヒー農園での児童労働の酷さ と、スターバックスでも販売している事実を報道し、NPO・学生 団体が抗議や株主への働きかけを強めた。 2000年10月 フェアトレードコーヒー導入をスターバックスが承認。 2000年11月 コーヒー供給業者が行動規定を守っているかについて情報公開をき めた。 2002年10月 日本国内でもフェアトレードコーヒー販売を開始。 日本でのフェアトレードコーヒーの販売はアメリカ・カナダ等に次いで世界で5番目で ある。今のところ、アメリカを含め豆だけに限っており、店内で飲むコーヒーのメ ニューにフェアトレードコーヒーはない。スターバックスではフェアトレードコーヒーがコーヒー販 売の3%を占めている。
第4章 結論 日本と海外の比較 日本 海外 組織形態・・個々の団体が立ち上げた会 社や店が多い。 商品・・・ 伝統的な技術・環境を守って 第4章 結論 日本と海外の比較 日本 組織形態・・個々の団体が立ち上げた会 社や店が多い。 商品・・・ 伝統的な技術・環境を守って 作った商品。取り扱う商品は食 品、伝統工芸品。 販売方法・・販売方法は多様であり、カタログ、インターネット、直営店、卸、学校の文化祭、イベント。ただし、スーパーマーケットのような一般の人々が目に入るところでの販売は少ない。 海外 組織形態・・複数の団体が協力して会社 や店を設立している。 商品・・・ 伝統的な技術・環境に配慮し た商品。取り扱う商品は食品を 多く取り扱っている。 販売方法・・インターネット、直営店、卸 等。大手のスーパーマーケッ トと取引をしている団体が多 い。
日本のフェアトレードの推進と改善 フェアトレードの認知度において、欧米に比べ日本は低い。 フェアトレードの認知度において、欧米に比べ日本は低い。 理由: スーパーマーケットのような大手企業との取引が少ない。 資金不足による大々的な広告活動ができない。 大手企業にもっと取り扱ってもらえるように働きかけする必要がある。 企業の利点 1 有機栽培などの高品質のコーヒー豆を取り扱うことができること。 2 フェアトレード商品を扱っているということで、地域貢献をしていると自社をアピールすることができる。 フェアトレード自体の消費者への認知が必要。 企業のマイナス点 1 フェアトレード商品は市場の価格より高い。 2 フェアトレード商品を取り扱うための基準がある。 複数の団体の出資による会社を設立した方が資金面で苦しまなくなる。 市民団体・消費者がスターバックスの例のように企業に働きかけをする。 消費者にとっての利点・・・伝統的な製法使用し、高品質であること。 消費者が何を欲しているのかというマーケティングの必要性。