第4回 (10/16) 授業の学習目標 先輩の卒論の調査に協力する。 2つの定量的変数間の関係を調べる最も簡単な方法は?

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第4回 (10/16) 授業の学習目標 先輩の卒論の調査に協力する。 2つの定量的変数間の関係を調べる最も簡単な方法は? 2つの定量的変数の間には、どんな関係があり得るか? 2つの定量的変数間に直線的な関係があるかどうかを簡単な数値で表す方法は? 相関係数の定義は? 相関係数の計算方法は?

定量的変数間の関係 を調べる最も簡単な方法 定量的変数間の関係    を調べる最も簡単な方法  例えば、10名の生徒の数学の成績を横軸に、国語の成績を縦軸にとり、右の図のよう な散布図 (scatter diagram) を描く   方法がある。 国語 Y ● ● ● ● ● ● ● ● ● 数学 X

定量的変数の間には、 どんな関係があり得るか (1) 定量的変数の間には、 どんな関係があり得るか (1) 複雑な曲線的関係 U 字型の曲線的関係

定量的変数の間には、 どんな関係があり得るか (2) 定量的変数の間には、 どんな関係があり得るか (2) 右上がりの直線的関係 右下がりの直線的関係

2変数間の直線的な関係の有無を簡単に数値で表す方法 2変数間に直線的な関係があるかどうかを簡単に数値で表すのが、第6章で学ぶ相関係数 (Pearson’s product-moment coefficient of correlation、略して correlation) である。

相関係数の性質-1 (1) 2つの変数 x と y の相関係数は、しばしば、 つぎのように書かれる:    つぎのように書かれる: (2) 相関係数は、マイナス1の値からプラス1の値 までの範囲の値を取る:

相関係数の性質-2 相関係数が、負の場合負の相関、ゼロの場合無相関、正の場合正の相関がある、という。 負の相関 無相関 正の相関 ・ ・ ・

散布図の具体例(卒論データ) ここでは、散布図の例を、実際の適用例で見てみよう。このデータは、千野のホームページの講義テキスト「データ解析/基礎と応用 I」の2.1 節にある、ある卒論ゼミの13名の学生の卒論の成績と3年間の成績、とりわけ、卒論と各年次の成績間の関係を散布図に表したものである。

相関係数の定義とその性質 ピアソンの相関係数は、テキスト p.29の(6.1)式に示したように、共分散と2つの変量それぞれの標準偏差を用いて表される 共分散 標準偏差の積

共分散の定義と計算式  共分散は、テキスト p.29 の (6.2) 式に 示したように、次式で定義される:

相関係数の性質-1(既出) (1) 2つの変数 x と y の相関係数は、しばしば、 つぎのように書かれる:    つぎのように書かれる: (2) 相関係数は、マイナス1の値からプラス1の値 までの範囲の値を取る:

相関係数の計算の手順-その1 定量的2変数データが、つぎの5名の被験者の (x, y)=(抑うつ性、気分の変化)の得点であるとする: (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7)

相関係数の計算の手順-その2 また、気分の変化の平均値は、 まず、抑うつ性の平均値は、 上記5名の(抑うつ性、気分の変化)データ (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7) で、 まず、抑うつ性の平均値は、 また、気分の変化の平均値は、

相関係数の計算の手順-その3 抑うつ性の得点の分散は、 そこで、標準偏差は、

相関係数の計算の手順-その4 気分の変化の得点の分散は、 そこで、標準偏差は、

相関係数の計算の手順-その5 最後に、両変数の共分散は、上記データ  最後に、両変数の共分散は、上記データ (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7) から、まず得点の積和の平均を計算すると、

相関係数の計算の手順-その6 つぎに、2変数の平均値の積を計算すると、 そこで、2変数の共分散は、

相関係数の計算の手順-その7 そこで、相関係数は、2変数の標準偏差が であったことに注意すれば、

相関係数の有意性検定の方法(1) ここで得られた相関関係は、あくまでも上記5名の標本についての抑うつ性と気分の変化の2変数間のデータ     (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7)   に関するものでしかない。 一方、多くの場合我々の関心はこの特定の5名の標本に関する当該2変量間の相関関係にあるのではなく、この5名の標本が得られたもとの集団、すなわち母集団における相関関係にある。

相関係数の有意性検定の方法(2) 通常、われわれの母集団における相関関係に対する関心は、「母集団での相関係数、即ち母相関係数がゼロ(無相関)かどうか」にある。 これに関する帰無仮説(母相関係数がゼロ)は、テキスト p.29 の最後の行にあるもので、つぎのように書く: この帰無仮説が正しいかどうかを、標本で計算された標本相関係数をもとに検定するのが、相関係数の有意性検定と呼ばれるものである。

相関係数の有意性検定の方法(3) 相関係数を計算したら、テキスト p.30 の (6.3) 式、すなわち に、相関係数 r およびサンプル数 N を代入し t を求める。

相関係数の有意性検定の方法(4) これを、うえの具体例の場合に当てはめると、 R=0.83, N=5 なので、

相関係数の有意性検定の方法(5) 検定には、うえの t が、母相関係数がゼロなる帰無仮説のもとで、自由度 ν=N-2 なる t 分布に従うことを利用する(テキスト p.30)。 うえの例では、t-分布の自由度は、     ν= N – 2 = 5 – 2 = 3

相関係数の有意性検定の方法(6) つぎに、岩原テキストの p.434 の t 分布表のν=3, P=0.05 に対応する棄却点の値 3.182 を読み取る。 一方、先程計算した t =2.58 を思い出そう。 この時、t=2.58 < 3.182 なので、このような場合、我々は、帰無仮説(母相関係数がゼロ)を採択する。

相関係数の有意性検定の方法(7) 相関係数についての帰無仮説が採択される 時、われわれは「相関係数は有意でない」とい う。   時、われわれは「相関係数は有意でない」とい   う。 一方、もし標本から計算された t 値が、棄却   点の値 3.182 以上ならば、我々は帰無仮説 (母相関係数がゼロ)を棄却する。 この時われわれは、「相関係数は5%水準で 有意である」という。