音楽による影響と 事象関連電位との関連 大正大学 人間学部人間科学科3年 宮内 悠
身の回りの音楽 私たちは生活している中で様々な音楽を耳にしている 例えば… ウォークマンから流れる音楽 病院で流れる音楽 ライブ会場で流れる音楽 運動会で流れる音楽 街中やお店で流れるBGM テレビから流れる音楽
音楽には人の感情を高める効果、リラックスさせる効果がある 音楽の効果 運動会で流れる音楽 感情を高める効果 音楽には人の感情を高める効果、リラックスさせる効果がある 病院、保健室で 流れる音楽 リラックスさせる効果
興奮やリラックスの状態の時にα波、β波という脳波を測定するが、本研究では、微細な脳波である事象関連電位を測定して、音楽がもたらす効果を調べる 本研究の概要 リラックス効果 感情を高める効果 音楽がもたらすこの2つの効果が 人の表情から相手の人間性を判断する時に どのような影響をもたらすかを調べる 興奮やリラックスの状態の時にα波、β波という脳波を測定するが、本研究では、微細な脳波である事象関連電位を測定して、音楽がもたらす効果を調べる
脳波とは ヒトの頭部に2つの電極をつけ、その間に生じたわ ずかな電位差(電圧) この電位差はとても小さいが、脳波計で数万倍に 増幅する リズムを持った波 脳の電気活動
脳波の分類 最も代表的な分類は周波数による分類 α波の帯域を中間周波帯域 それよりも周波数が低い波:徐波 周波数が高い波:速波 それよりも周波数が低い波:徐波 周波数が高い波:速波 脳波は 周波数が低いと高振幅 周波数が高いと低振幅 背景脳波:持続的、自発的な脳波 α波:安静閉眼状態で振幅も連続性も高い β波:緊張、興奮の状態
もう一つの脳波:事象関連電位 事象関連電位(Event-Related Potential:ERP) さまざまな物理的、心理的な出来事(事象)に関連 して出現する脳電位を指す テレビを見ているときに携帯が鳴る 注意に関係する電脳位の出現 ERPは背景脳波に比べ、振幅が小さく1試行ごとに観察 するのは難しい。 ではどのように計測するのだろうか? 加算平均法を使用!
このノイズを相殺することで検討したい事象に時間的に関与した電位を抽出することができる。 加算平均法 記録された脳波は 信号(特定の事象に時間的に関連したERP) ノイズ(事象とは無関係に生じる背景脳波) からなっている このノイズを相殺することで検討したい事象に時間的に関与した電位を抽出することができる。
加算平均法 刺激の提示 この時点ではノイズと 合わさっているため 反応が分かりづらい 加算平均、つまりいくつもの 信号を足して平均することで 反応が浮かび上がる
着目した事象関連電位 顔刺激に対して敏感に反応を示す 事象後の170ms後に生じるERP N170成分 陰性(ネガティブが上)
脳波の電極図 脳波の7部位(O1、O2、T5、T6、Fz、Cz、Pz) この7部位は先行研究により N170成分が検出されやすいといわれている この7部位から測定
脳波と音楽の効果 ヒトは顔から様々な人格特性を読み取っている。 この表情判断における脳波のはたらきが音楽によって 活性化された環境で変化するかどうかについて検討 信頼できそう 信頼できなさそう
? 感情判断と音楽 人の顔を見て協力、非協力を判断する際に 音楽の影響を受けるのだろうか。 これに着目して音楽による影響を見る 音楽の影響を受けるのだろうか。 これに着目して音楽による影響を見る 顔刺激に対して敏感に反応を示すN170成分
本実験の概要と目的 概要 顔の構造的符号化を反映するとされるN170成分を 指標 目的 表情判断における音楽効果の検討 人物の協力者、非協力者の見極めが音楽の効果に よって変化するか否かを比較
方法 対象者 大正大学の男子学生6名(平均年齢20.3歳、sd=1.1 歳) 音楽刺激 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ ハ短調「悲愴」 ベートーヴェンのピアノ・ソナタ ハ短調「悲愴」 ラグビーニュージーランド代表が試合前に自分たち を鼓舞するために踊る民族舞踊ハカの音楽 実験に用いた顔写真 谷田ら(2003)の実験で用いられた顔写真
結果(音楽の種類) 7部位における刺激提示後音楽条件別に刺激要因、顔写 真性別要因を用いて2要因の分析を実施。 N170成分 7部位における刺激提示後音楽条件別に刺激要因、顔写 真性別要因を用いて2要因の分析を実施。 分散分析の結果、Pzにおいて音楽条件と顔写真性別要 因の交互作用が有意であった(F(1,4)=7.78, p<.05)。平均 電位を用いて分散分析を行なった結果、O2、Fz、Cz にお いて音楽条件の主効果が有意であった(O2: F(1,4)=21.88, p<.01,Fz: F(4,1)=10.88, p<.05,Cz: F=(1,4)=11.38, p<.05)。 また Fz では刺激要因の主効果にも有意な差がみられた (F(1,4)=22.45, p<.01)。 音楽条件においてソナタ条件より ハカ条件の方が判断の際に 影響を及ぼすものと考えられる
N170成分における写真人物の協力行動と各部位の平均電位(標準偏差) 結果(音楽の種類) N170成分における写真人物の協力行動と各部位の平均電位(標準偏差) Pzにおいて音楽条件と顔写真性別要因の交互作用が有意で あった(F(1,4)=7.78, p<.05)。 写真内人物の 協力行動 協力者写真 非協力者写真 男 女 Fz ソナタ -4.55(3.24) -4.66(2.91) -3.90(0.83) -5.84(2.17) ハカ 0.38(1.46) 1.11(9.85) 0.92(3.13) 0.43(2.56) Cz -2.74(1.46) -3.60(0.58) -2.60(0.56) -5.13(1.78) 1.41(3.59) 1.61(2.92) -2.67(6.42) -1.44(6.73) Pz 4.49(5.43) 4.18(4.67) 5.67(3.17) 1.98(4.24) -1.15(6.73) 2.42(0.45) 1.93(2.75) 6.17(2.74)
現在:修行中 測定練習 来月から、音楽なし(増井さん発表)と実験を行う 図8 図5(右図 出典 堀,2008)
ご清聴 ありがとうございました