XeガスとGEMを使って高いエネルギーのX線を捕らえる

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荷電粒子の物質中でのエネルギー損失と飛程
Status Report of Thick GEM Development
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XeガスとGEMを使って高いエネルギーのX線を捕らえる 1/17 XeガスとGEMを使って高いエネルギーのX線を捕らえる 2005/11/14 (2005/11/18 修正) 織田 勧

動機 医療用に使われるX線イメージングをリアルタイムで良い精度でできるとうれしい GEM+Xeが良いのでは 2/17 動機 医療用に使われるX線イメージングをリアルタイムで良い精度でできるとうれしい 結果がすぐ出てほしい 検査がすぐ終わってほしい 小さな癌とかをみつけたい 浴びる放射線量が少なくて済んでほしい GEM+Xeが良いのでは GEMを使えば良い位置分解能が出るはず 原子番号Zの大きなガス(Xeとか)だと光と相互作用する確率が大きい 実用化できれば、医療技術の進歩に貢献できるし、お金がたくさん入ってくる

Xeガスを用いたX線測定 ・ GEM検出器の医療機器(レントゲン写真撮影、放射線治療の ビームモニターなど)への応用 3/17 Xeガスを用いたX線測定 犬塚さん 日本物理学会 年次大会 2004年3月 ・ GEM検出器の医療機器(レントゲン写真撮影、放射線治療の   ビームモニターなど)への応用       → 100keV程度のγの検出&2次元イメージング ・ Xe(分子量131.29)を輻射体&増幅ガスとしたGEM検出器            Ar Xe       Absorption length 100m 1m ・ セットアップ: < 10-3Torr 55Fe MFC Xe(90%) MFC CO2(10%) ターボポンプ

増幅率の電圧依存性 4/17 VGEM=395V VGEM=400V VGEM=405V VGEM=410V A.Orthen et al. 犬塚さん 日本物理学会 年次大会 2004年3月 VGEM=395V VGEM=400V VGEM=405V VGEM=410V A.Orthen et al. NIM A512 (2003) 476

犬塚さんのCNS Annual Report 5/17 犬塚さんのCNS Annual Report CNS Annual Report 2003 (2004) 67.

本当に高いエネルギーのX線を測れるのか? 検出効率はどれくらいになるか? 位置分解能はどれくらいになるか? 6/17 本当に高いエネルギーのX線を測れるのか? 検出効率はどれくらいになるか? 位置分解能はどれくらいになるか? エネルギー分解能はどれくらいになるか? これを知るためには、 X線が物質と相互作用する確率はどれくらいか? (入射X線を捕らえられる確率、エスケープピークのできる確率) 光電効果によって出てくる一次電子の飛程はどれくらいか? イオン・電子対はどのくらいできるのか? を知る必要がある。

7/17 減衰係数 m/r エネルギーが一定の強度I0の光が、密度がrで厚さがd(x=rd)の物質中を通った後に、強度がIになったとすると、その物質の減衰係数m/rは、 と定義される。 m/rの単位はcm2/gなどで、密度(状態による)で割れば、強度が1/eになる距離(減衰長1/m)がわかる。 詳しくは、http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/cover.html等を参照。 減衰係数のデータも上記ウェブページより入手できる。

Kr(Z=36)とXe(Z=54)の減衰係数 今の場合は、たぶんm/renではなくm/rを使えばいいはず(要確認) 8/17 http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/ElemTab/z36.html http://physics.nist.gov/PhysRefData/XrayMassCoef/ElemTab/z54.html

逆数(l=1/(m/r)) で与えられることもあるね 9/17 逆数(l=1/(m/r)) で与えられることもあるね http://pdg.lbl.gov/2005/reviews/passagerpp.pdf

キセノンの場合 例えば100 keVで、標準状態のキセノンガスの減衰長は 10/17 M1 L1 L2 L3 K殻吸収端 キセノンの場合 例えば100 keVで、標準状態のキセノンガスの減衰長は m/r = 2.011 cm2/g r = 131.29 g / 22.4 L = 0.00586 g/cm3 1/m = 1/(0.00586 g/cm3)/(2.011 cm2/g) = 85 cm (長い!) だから、メッシュとGEMの距離が10cmだとその領域で光電効果+コンプトン散乱を起こす確率は p=1-exp(-10/85)=11% (小さい)

アルゴンの場合 例えば、6.0 keVで、標準状態のアルゴンガスの減衰長は 11/17 K殻吸収端 アルゴンの場合 例えば、6.0 keVで、標準状態のアルゴンガスの減衰長は m/r = 259.3 cm2/g r = 39.948 g / 22.4 L = 0.00178 g/cm3 1/m = 1/(0.00178 g/cm3)/(259.3 cm2/g) = 2.17 cm (短い) だから、メッシュとGEMの距離が3mmだとその領域で光電効果を起こす確率はp=1-exp(-3/21.7)=13% (小さい) 減衰係数はエネルギーに大きく依存している 途中のエネルギーは内挿補間するか、グラフから読み取る X線がエスケープしてしまうかどうかも似たようにもとめられるはず。パッドの形状とか考慮しないといけないけど。

エネルギー損失の式とrange 電子以外の荷電粒子の物質中でのエネルギー損失はBethe-Blochの式でだいたい計算できる 12/17 エネルギー損失の式とrange 電子以外の荷電粒子の物質中でのエネルギー損失はBethe-Blochの式でだいたい計算できる 低いエネルギーでは良くわからない(bg<0.1) (陽)電子のエネルギー損失の式はLeoの2章に載っていたはず いま知りたいのは~100keV以下での電子のエネルギー損失 電子が止まるまでに動く長さ(range)を知りたい Rangeがパッドの大きさより十分小さくて、必要な位置分解能と一緒なら良いのだけど、そうなっているかな?

電子のrangeを計算 してくれるプログラム 13/17 電子のrangeを計算 してくれるプログラム http://physics.nist.gov/PhysRefData/Star/Text/contents.htmlに電子、陽子、アルファ粒子のrangeを計算してくれるプログラムがあります 電子ならestar Stopping powerも計算してくれます グラフでも、テキストでも表示してくれます 100keVの電子のXeガス(r=0.00549 g/cm3)中でのrangeはR=0.0267 g/cm2だから、距離にしてR/r=4.86cm (長すぎ!全然止まらない!) 30keVなら、R/r=0.66cm 10keVなら、R/r=0.11cm ドリフト電場の影響も結構あるだろうけど。。。

Principles of operation of multi wire proportional and drift chamber 14/17 どれくらい電子とイオンの対ができるのか? n=E/w E : 一次電子のエネルギー w : mean energy for ion-electron pair production ~25eV nの揺らぎはÖnだけど、Fano factorも考慮しないといけない 実際には、5.9keVのX線でイオン電子対がアルゴンの混合ガスで200個あまりできる場合でエネルギー分解能は10%強くらい Principles of operation of multi wire proportional and drift chamber F. Sauli

本当に高いエネルギーのX線を測れるのか?たぶんだめ! 15/17 本当に高いエネルギーのX線を測れるのか?たぶんだめ! ガスだと密度が小さすぎる! 検出効率は低い(医療用には大きな欠点)高圧ガスまたは液体キセノンで改善できるかな? Rangeが大きいX線の入射位置は簡単には求まらない エネルギー分解能はそこまで必要ないかもしれない Auger効果が起こらなければ、ほぼ必ずエスケープピークになってしまう GEMでなくても良いのでは。。。 こんなのが良さそうだと思いました(次ページ)

PEM-PET Detector Components 16/17 PEM-PET Detector Components Scintillator Array 2x2x15mm LYSO Pitch 2.1mm 20x15cm 3 2 PSPMT Array H8500 PSPMT 4x3 Array Resitive Readout R.R. Raylman et al., Development of a Dedicated Positron Emission Tomography System for the Detection and Biopsy of Breast Cancer, IEEE-MIC 2005

Xe+GEMの参考文献 NIM A 419 (1998) 418. NIM A 433 (1999) 471. 17/17 Xe+GEMの参考文献 NIM A 419 (1998) 418. NIM A 433 (1999) 471. NIM A 443 (2000) 164. NIM A 454 (2000) 130. NIM A 471 (2001) 215. NIM A 478 (2002) 377. NIM A 481 (2002) 200. NIM A 493 (2002) 8. NIM A 504 (2003) 88. NIM A 512 (2003) 476. 調べたのは2003年10月なので、その後、新たに論文が出ていることでしょう http://www.sciencedirect.com/science/journal/01689002