保健室の薬品管理 学校薬剤師 大曽根清朗
学校薬剤師って…? 幼稚園、小学校、中学校、高等学校には、学校医、学校歯科医と共に、学校薬剤師を必ず置くことになっています。(学校保健法第16条) 学校薬剤師の仕事は、学校の環境衛生について検査をしたり、児童・生徒の快適な学校環境をつくるために、色々と指導、助言を行っています。
保健室及び理科室の薬品点検 保健室の薬品についての使用上の注意や保管上の注意などについて指導、助言を行います。また、理科室の毒・劇物薬品や引火物などは適正に保管されているか、地震などの災害時の対応はどうか、また、不用薬品の廃棄については適切に処理するよう指導しています。
備蓄薬品保管・管理状況調査 (7月~8月) 『 在庫点検の徹底 』 『 不用・不明在庫の処分 』 年間計画等により、確実に実施すること 『 在庫点検の徹底 』 年間計画等により、確実に実施すること 『 不用・不明在庫の処分 』 不用・不明薬品リストを毎年作成 →教育委員会を通じて、業者に回収を依頼 不明薬品になると、処分費用が高額になる →ラベルの腐食に注意!
保健室及び理科室の薬品点検 http://www.gunyaku.or.jp/gunyaku/gakuyaku/gakumain.html 保健室の薬品についての使用上の注意や保管上の注意などについて指導、助言をおこないます。また、理科室の毒・劇物薬品や引火物などは適正に保管されているか、地震などの災害時の対応はどうか、また、不用薬品の廃棄については、水質汚濁防止法などに従って処理するよう指導しております。 【留意事項】 ●内科的疾患では、特に学校医の指示を受けずに、むやみに内服薬を服用させない。 ●児童・生徒の既往症や現病歴は、できる限り詳しく調査(保健調査等)記録を整備しておく。 【薬品開封時の注意】 1)開封年月日を容器に必ず記入のこと。 2)使用期間・有効期限は必ず記入のこと。 3)開封後は使用上の注意事項にのっとり保全に万全の処置をとる。 添付文書や使用上の注意をよく読み、また、学校薬剤師の指導を求めることが大切である。 http://www.gunyaku.or.jp/gunyaku/gakuyaku/gakumain.html
保健室の医薬品等の管理 学校には、学校保健安全法第7条により保健室の設置が定められており、その備品においては、「学校保健法及び同法施行令等の施行にともなう実施基準について(昭和33 年6 月16 日付け文体保第55 号文部省体育局長通達)」の通知の中で、具体的な品名が記載されている。 また、保健室の医薬品は、学校における児童、生徒、職員の救急処置等に使用されるもので、その品目(内服薬、外用剤等)は、おのずから限定される。しかし、遠足、修学旅行、登山等の学校行事や総合的な学習の時間での野外活動の携行用救急医薬品及び歯科用薬品(歯の染色剤等)を備えている学校もある。 なお、消毒剤等の衛生材料においても、適切な管理が必要である。
① 購入にあたっての注意 ア 品目の選定にあたっては、学校の種別や規模、地域の実状等を考慮し、学校医、学校歯科医、学校薬剤師の指示のもとに決定する。 イ 数量に関しては、繁用の度合いを考慮し、使用期限のあるものや、長期間保存することにより変質したり、効力が変化したりするものもあるので、小包装のものを購入するなどの配慮が必要である。 ウ 購入した医薬品等は容器等に購入年月日を明記する。 エ 医薬品管理簿に記録し、医薬品の適正を図ることが必要である。
② 保管にあたっての注意 ア 医薬品の変質を早める一般的要素は、光、高温、湿度である。したがって、薬品 棚の設置場所として避けなければならないのは、直射日光のあたる場所、暖房器 具の近く、湿気の多い場所である。また、救急箱の管理にも十分配慮すること。 イ 薬品の保管場所には、盗難、無断持ち出しができないように施錠すること。 ウ 医薬品は、内用薬、外用薬を分けて保管する。毒薬、劇薬は他の薬品と区別し、 特に毒薬については常に施錠して保管する。 エ 保管方法に指示のあるものはそれに従う。 例:遮光容器に保存・火気を避けて保存 オ 外観に異常が認められたとき、古くなったものや不審なものは学校薬剤師に鑑定 を依頼し、指示に従う。 カ 衛生材料については、保管場所を明示しておくとともに、定期的に点検し、いつ でもすぐ使用できるように整備すること。 キ 学校薬剤師による「使用薬品管理状況の定期点検」を年度当初に実施できるように学校保健安全計画の中に明確に位置づけしておく。
③ 使用にあたっての注意 ア 小児は、薬物に対する感受性や代謝能力等が成人と異なる面も多く、発疹、発赤、かゆみ、かぶれ等のアレルギー症状を起こすことがある。医薬品(特に内服薬)の使用にあたっては、学校医等の指示をあおぐ。 イ 有効性と安全確保のため、医薬品に添付してある添付文書は、よく読んで理解するとともに、ファイル等に整理保管しておくと便利である。なお、常に最新のものと差し替えておくこと。 ウ 医薬品を服用させるときは、その薬品の服用指示に従うこと。(服用時間・使用量等)また、内服薬は、水またはぬるま湯を用いること。 エ 外用殺菌消毒薬は、患部が汚れていると効力が低下する場合があるので、水道水等でよく洗った後使用すること。 オ 使用期限の記載のある医薬品は、その期限を守ること。使用期限内のものでも保存状態により成分が変化する場合もあるので、不安なものについては、学校薬剤師の指示をあおぐ。 カ 医薬品を他の容器に移すことは、極力避ける。 キ 衛生材料は、用途に応じた適切なものを使用するとともに不潔な取り扱いにならないよう留意すること。
https://www. pref. yamagata https://www.pref.yamagata.jp/ou/kyoiku/700021/kikikanri-hoken/H-sankousiryo-yakuhin.pdf
保健室における知っておくべき薬の知識 日本学校保健会 学校で取り扱う薬・薬品について ――児童生徒が学校で一般用医薬品を使用する場合にはどのようにしたらよいのでしょうか。 ――宿泊行事の時にはあらかじめ薬を用意しておいた方がいいでしょうか。また用意しておいた方がいい薬はどんなものでしょうか。 ――水辺が近い学校など虫が多い土地柄では、虫刺されの医薬品は用意すべきでしょうか。また、注意点は。 ――慢性疾患のある児童生徒の薬の管理はどうすべきですか。 ――手指の消毒剤ですが、開封後の保存方法と期間を教えてください。 ――学校で使用する薬・薬品の保管の注意点を教えてください。 ――保管期限が過ぎたものや、使い残しがあるときの薬・薬品の廃棄の仕方はどうすればいいでしょうか。
学校で取り扱う薬・薬品について ――児童生徒が学校で一般用医薬品を使用する場合にはどのようにしたらよいのでしょうか。 鬼頭: 救急処置に用いる消毒薬以外の一般用医薬品の使用については、原則として事前に保護者の了解を得るようにしてください。なお、一般用医薬品によっては、使用する人の体質を考慮しなければならない場合もあるので、保護者と連絡が取れない場合には使用しないようにしてください。 年度当初に保健調査票などから児童生徒の健康状態に関する情報を得るとともに、学校における一般用医薬品の取扱いなどについて保護者に対し保健だよりなどを活用して周知を図ってください。 また、使用してはならない一般用医薬品などがある児童生徒については、事前に学校に知らせてもらうよう連絡しておくことが肝要です。
――宿泊行事の時にはあらかじめ薬を用意しておいた方がいいでしょうか。また用意しておいた方がいい薬はどんなものでしょうか。 鬼頭: 原則として、児童生徒が必要に応じて一般用医薬品を持参するよう保護者に依頼するとともに、児童生徒にも持参に当たっての注意事項などについて指導してください。 児童生徒の具合が悪くなった場合には、状況に応じた対応が求められます。保護者に連絡をすること、および学校医に相談したり近隣の医療機関に行って受診するようにすることが大切です。 なお、修学旅行などに一般用医薬品を救急用医薬品として持っていく場合には、どのようなものを用意すればよいのか、学校医、学校歯科医または学校薬剤師の指導・助言に基づいて校長が判断して決めるようにしてください。使用に当たっては、学校で一般用医薬品を使用する場合と同様の扱いをしてください。具体的には、教員が一般用医薬品を児童生徒に与えることはできないことに留意してください。
――水辺が近い学校など虫が多い土地柄では、虫刺されの医薬品は用意すべきでしょうか。また、注意点は。 鬼頭: 虫さされの医薬品には、アンモニア系、抗ヒスタミン系のものなど様々な成分のものがあります。虫さされによる危害の程度は、虫や刺された人の体質によって異なります。 従って、虫に刺された場合、一律に虫さされの医薬品で対応するのではなく、その状況に応じて医師に相談したり、保護者に連絡をする等の対応が適切と考えられます。
――慢性疾患のある児童生徒の薬の管理はどうすべきですか。 鬼頭: 慢性疾患のある児童生徒の薬の管理は、原則として児童生徒本人の所持となります。 ただし、以下の場合には保護者の申し出により預かることがあります。 (1) 坐剤や水薬のように冷所保管などの保管条件がある医療用医薬品 (2) 児童生徒本人による管理が困難な場合 預かる場合には、以下の点に留意してください。 <1> 医療用医薬品を預かることは可能でも、一定の条件等を満たさない限り教職員が学校で預かった医療用医薬品を児童生徒に使用することはできないことについて共通理解を図ってください。 <2> 適切な保管場所を確保するとともに、必要時に保管場所から取り出して、教職員が児童生徒に確実に使用させることができる体制が必要となります。 <3> 誰が責任を持って預かるかを決めてください。 <4> 保護者と十分に話し合い、共通理解を図ってください。原則として、保管のみで教職員が使用することはできないこと。また、適切に使用させることができない場合があることを理解してもらう必要があります。児童生徒の保護者が来校し、預かっている医薬品を使用することは可能です。 <5> 保護者に預かり書(依頼書)の提出をお願いします。
――手指の消毒剤ですが、開封後の保存方法と期間を教えてください。 鬼頭: 個々の消毒剤に添付されている説明書をご確認ください。 例えば、塩化ベンザルコニウムを主成分とする消毒剤では、直射日光や火気をさけ、なるべく涼しい場所に密栓して保管すること、容器を移し替えないこと等が記載されています。使用期間については、開封後は、原則として、表示されている使用期限よりも短くなります。詳しくは学校薬剤師等にお尋ねください。
――学校で使用する薬・薬品の保管の注意点を教えてください。 鬼頭: 一般用医薬品には使用期限の表示がありますが、その期限は開封前の期限です。 このため、開封後の使用期限は、種類や保管状態によって異なるので、開封されている一般用医薬品の使用期限については学校薬剤師に相談し、指導・助言を得てください。
――保管期限が過ぎたものや、使い残しがあるときの薬・薬品の廃棄の仕方はどうすればいいでしょうか。 鬼頭: 期限の切れた医薬品は、各自治体で決められた廃棄方法に従って廃棄をしてください。その際、学校薬剤師の指導・助言を得てください。 参考資料) 日本学校保健会ポータルサイト http://www.gakkohoken.jp/modules/special/index.php?content_id=133