12.動学モデル 連続時間モデルを中心に
線形の差分方程式と複素数 固有値とジョルダン標準形 の応用
例 のとき一般の を求める 結構複雑な動きをする。
解き方(受験テクニック? ) 対応する二次方程式 を解く
の2根をα、βとすると 一般解 初期条件からAとBを求める
解は 複素数が出てくるが各 は実数
行列とジョルダン標準形を使った表現 連立の一階の差分方程式になる
行列を使って書く
一般のm階の定差方程式 m階の差分方程式は、連立差分方程式の特別な場合 一般の連立差分方程式を行列を使って書くと
の解 Aの固有値に重根が無い
解の振る舞い の絶対値がすべて1より小さいときは0に収束 そうでないときは、初期値がたまたま0にいくところに乗っていなければ発散
複素数の積 qは、180度がπになるように取る 極形式の積 絶対値部分はかけられ、角度については、足される
複素数の累乗 絶対値はどんどん大きくなる 絶対値はどんどん0に近づく 正の実数でない くるくる回る
解の振る舞い の絶対値がすべて1より小さいときは0に収束 そうでないときは、初期値がたまたま0にいくところに乗っていなければ発散 結構複雑な動きをする。
非同次の差分方程式 同次の差分方程式 非同次の差分方程式 解き方 1がAの固有値でなければ は解 を持つ このときは、同次の差分方程式 に帰着
例 乗数と加速度 古風な例 t期の国民所得= t期の消費+ t期の投資 消費関数・・前期の消費に依存 投資関数・・前期の国民所得の増加に依存
定常値を求める 定常値周りの同次差分方程式にする
補助方程式 を解く が一般解
数値例 解の経路の例 複素数なので 結構複雑に動く なので0に収束
確率差分方程式 乱数(独立な確率変数)を加える 解の経路の例(平均0、分散0.01の正規分布の乱数を加える)
固定係数の線形連立微分方程式
固定係数の線形連立微分方程式
固定係数の線形連立微分方程式(続き)
元利合計と現在価値の積分表現 利子率が年5% 利子率が年2.5% 年初に100万円貯金すると、年末には、105万円 年初に60万円、6ヶ月後に、40万円貯金 年末の金額は
毎月初めの年率の預金額 月あたりの金利・・・日数の違いは無視する。 年末の複利元利合計 年始が0、年末が1に正規化すると
1日あたりにすると 年率の貯蓄額が連続に与えられているとして、時間をどんどん細かくする
の説明 両辺の対数を取る 対数を 戻す ロピタル・ルールを用いる
結局
時間なのでtにすると に残り の時間の利子が付いて
割引現在価値 連続複利では 現在の1円 = 1年後の 円 各時点で 貯蓄したときの1年後の金額 =0時点で 貯蓄したときの1年後の金額 1年後の 円 各時点で 貯蓄したときの1年後の金額 =0時点で 貯蓄したときの1年後の金額 貯蓄流列の(割引)現在価値 t時点までの現在価値 将来を無限に取るとき
連続モデルのメリット フロー変数(貯蓄・投資など)の時間についての積分がストック変数(貯蓄残高、資本など)になる ストック変数の時間についての微分がフロー変数になる このあたりがメカニカルに出て、混乱することが少ない
時間についての微分 直線上の運動 位置 独立変数が時間のときはこの書き方をする 速度 加速度 力を加えないと等速運動する 加速度を与えるには、力がいる 二次元、3次元では、結構難しい
貯蓄 貯蓄残高 しばらくは、すべて時間の関数なのでtは省略 貯蓄残高の純増加 =その時点での純貯蓄+利子 その時点での貯蓄残高の利子だけを考えればいい 微分方程式の例
資本の蓄積 資本・・・労働以外の生産要素 資本を増やすのが投資 資本が減るのが減価償却 資本の量に比例 資本の増加=投資-原価償却 放射性元素の崩壊型
常微分方程式 一般的な微分方程式 (正規系の)常微分方程式 微分方程式の解 が恒等的に成り立つ fが行儀がよく、定義域が を含む開集合なら を満たす解が一意に存在 初期値 から にしたがって、じわじわ変化
例 貯蓄の蓄積 を初期値とする解は 最初の項が初期の貯蓄残高に利子がついた分で、二項目は、途中の貯蓄に残りの期間の利子がついたもの
右辺を微分する 合成関数微分と微分と積分が反対 微分と積分の入れ替えは、ルベーグ積分の収束についての定理に依存するので、怪しいときは調べる
初期値のチェックと右辺を微分して、解であることをチェックすればいい。 途中で利子率が変わるとき 解は 初期値のチェックと右辺を微分して、解であることをチェックすればいい。 ウェイトをかけない単純和になる。 瞬時ごとに指数的に増加
微分方程式の安定性 線形微分方程式や二体問題のように、陽表的に解けることは少ない。 安定性を検討 の解 が成立するか
変化の法則が時間に依存しない 自律系の常微分方程式 xが定常点 xが変化しない x0が一つ定常点 xがx0より少し大きい xは減少しx0に近づく xがx0より少し小さい xは増加しx0に近づく x0の近くでは、局所的に安定 x0の近くでは、局所的に不安定
例 ソローの成長モデル 資本蓄積モデル 一次同次の生産関数 労働成長率は一定 投資=貯蓄=所得の一定割合 s=限界貯蓄性向=平均貯蓄性向
時間について微分する 両辺の対数を取る 生産関数は一次同次
時間がたつとどんどん k0に近づく
ポントリャーギン原理 ラグランジュ乗数法 ポントリャーギン原理を使う問題 以下(t)は省略
y:位置のようにいっぺんにワープできない 状態変数 x1,..., x1:舵やガソリンの使用量のように瞬時に変えられる 制御変数 例 各時点での燃料消費 もとの問題が最小化問題なら、、特定の時間で、燃料をできるだけ使わないで、対岸に行く
ポントリャーギン原理のレシピ (i)ハミルトニアン(ラグランジュアンの親玉)を作る 最大値問題でラグランジュ乗数の前の符号は+で覚える・・・最小化問題なら、-を付け最大化問題にする ラグランジュ乗数法のときは、ラグランジュアンの符号が変わるだけ 非線形計画法のときは、本で調べる
(i)ハミルトニアン(ラグランジュアンの親玉)を作る (ii)ハミルトニアンを制御変数で微分して0と置く (iii)状態変数に対する微分にマイナスをつけると、その状態変数に対応するラグランジュ乗数の変化になる
ポントリャーギン原理の注意点 以上のレシピ(+以下で説明する横断条件)がポントリャーギン原理 古典的な方法は、変分法で一階の条件がオイラー方程式だが、ポントリャーキン原理のほうが機械的に説ける 正確な条件は例によって本を見る
横断条件(transversality condition) 流れる川を渡って、できるだけ早く、燃費を少なくいくには、舟が岸を出るときも、岸につくときも、岸と垂直にするのがいい???? が与えらない 初期値や終値が特定の関係を満たすなどの場合は、本を調べる
状態変数と制約がたくさんある場合 (i)ハミルトニアンを作る
(i)ハミルトニアンを作る (ii)ハミルトニアンを制御変数で微分して0と置く (iii)状態変数に対する微分にマイナスをつけると、その状態変数に対応するラグランジュ乗数の変化になる
ポントリャーキン原理の直感的説明 微分方程式を時点ごとの制約と考え、ラグランジュアンを作る を部分積分
微分して0でないと大きくも小さくもなる。 (iii)に対応 (ii)に対応 横断条件に対応 が決まっていないと 元は、y(t)は微分方程式で関係していたが、この式では、バラバラ 微分して0でないと大きくも小さくもなる。 (iii)に対応 (ii)に対応 横断条件に対応 が決まっていないと
最適貯蓄 t時点の貯蓄残高 t時点の貯蓄額 t時点の瞬時的な利子率 最初の貯蓄残高・・与件 T時点に貯蓄を食いつぶして死ぬ
t時点の(利子以外の)所得 各時点での消費 所得は、消費されるか貯蓄される 各時点での消費からの効用 生涯効用 将来の消費は時間選好率r>0で割り引かれる
問題 生涯効用の最大化 貯蓄蓄積の方程式、所得は与件
(i)ハミルトニアンを作る (ii)制御変数(c)で微分して0 (iii)状態変数(S)で微分し-をつけるとラグランジュ乗数の微分
以下の体系は、コンピュータで近似計算できる 仮に決める が決まる 少し先の が決まる まで繰り返す が0に近くないときは を変え繰り返す
解析的解法 線形微分方程式 線形微分方程式 になるよう を決める
利子率が一定の場合 は減少関数 なら消費をだんだん減らす なら消費をだんだん増やす
例 最適資本蓄積 マクロ的生産関数・・労働は一定 一国の実物的関係・・利子はつかない 生涯効用の最大化 例 最適資本蓄積 マクロ的生産関数・・労働は一定 一国の実物的関係・・利子はつかない 生涯効用の最大化 前の例は、完全競争市場の個人だが、この例は、 経済全体
(i)ハミルトニアンを作る
(ii)制御変数(c)で微分して0 (iii)状態変数(K)で微分し-をつけるとラグランジュ乗数の微分
解析的解法 対数を取ってtで微分 自律系の連立常微分方程式(右辺は状態変数のみ)
連立微分方程式と位相図 自律系の連立常微分方程式(右辺は状態変数のみ) このタイプの二元のシステムは位相図により、だいたいの振る舞いがわかる
は、一定 限界生産力逓減により減少関数 右はプラスで上がり 左はマイナスで下がる
減少関数なので右下がり 右は、+で右へ、 左は-で左へ
全体としては矢印の ように動きそう 一本だけ定常点Bから 出て行くパスがある 一本だけ定常点Bに入る パス(trajectory)がある。 このタイプの定常点は鞍点
一本だけ定常点Bに入るパス(trajectory)がある。 これ以外のパスでは、資本がどんどん増えたり、減ったりして、うまくいきそうもない。最適なパスはここにのっている 初期の資本が決まると の初期μが決まる 位相図はphase diagramでtoplogyとは関係ない
連立微分方程式の局所的安定性 自律系の連立常微分方程式 位相図を描いて考えるのが一つのアプローチ 定常点付近で線形近似し、線形代数と関係付けるのが以下の話
定常点 この付近で線形(一次)近似
独立変数は略
行列で表す の固有方程式 異なる2根を持つとする(重根のときは厄介)
をジョルダン標準形にする Tは正則行列
初期値
実根のケース X,Yの絶対値がどんどん大きくなる 不安定 X,Yは、trajectoryにのっていない限り、やがては、発散 鞍点に対応 X,Yの絶対値がどんどん小さくなる 安定
実根でないケース 根の公式により共役複素数 やがては発散し不安定 やがては収束し安定 虚部もあるので、一般には回転し、複雑な動き
安定性のRemarks 多次元でも、すべての固有値の実部が負のとき局所的に安定 局所的でない大域的安定には、リヤプーノフ関数を用いる