木下基、Manyalibo J. MatthewsA、秋山英文

Slides:



Advertisements
Similar presentations
基礎セミ第 14 章 内視鏡 (1-3) 12T5094E 龍吟. 目次 内視鏡の分類 光ファイバーのしくみ 内視鏡の光学系 まとめ.
Advertisements

レーザーとは 応用プロジェクト I レーザ誘起化学反応の直接追跡 (担当:勝村庸介、工藤久明、石川顕一) 石川顕一.
基礎セミ第7章 (1-4) 偏光のしくみと応用 12T5094E 龍吟. 目次 光の偏光とは? 複屈折とは? 偏光を作り出すもの (偏光プリズム、偏光板、位相板)
静脈画像を鍵とする暗号化手 法に関する研究 大山研究室 安藤のぞみ. 研究の背景、目的 近年、バイオメトリクス認証が注目されて いる 静脈は身体内部の情報 → 偽造に強い 環境に左右されることが少ない 利用者の心理的抵抗が軽減される オープンなネットワークへのバイオメトリ クス認証の適用 : Double.
Lock Acquisition 国立天文台 新井 宏二 4th DECIGO WG 2006/5/11.
JASMINE レーザー干渉計型高精度角度・長さ変動モニターの研究開発 計画のための
高精度画像マッチングを用いた SAR衛星画像からの地表変位推定
データ取得・解析ソフトウェア CRD分光法用プログラム 各¥600,000より (A/D変換ボード付の選択可)
バーニア効果を用いた 外部共振器型半導体レーザー
情253 「ディジタルシステム設計 」 (2)modem2
ファブリ・ペローエタロンを用いた リング型外部共振器付半導体レーザーの 発振周波数制御
東京工業大学 機械制御システム専攻 山北 昌毅
電磁気学C Electromagnetics C 7/1講義分 光導波路と光共振器 山田 博仁.

前回の内容 結晶工学特論 第4回目 格子欠陥 ミラー指数 3次元成長 積層欠陥 転位(刃状転位、らせん転位、バーガーズベクトル)
基礎ゼミ 光学のすすめ 第15章 光を用いた情報機器
宇宙重力波検出器用レーザー光源の光ファイバーを用いた安定化
宇宙重力波検出器用レーザー光源の光ファイバーを用いた安定化
LCGT Collaboration Meeting (2010年2月15日)
佐藤修一A ,高橋竜太郎A ,阿久津智忠B ,
ー 第1日目 ー 確率過程について 抵抗の熱雑音の測定実験
光の干渉.
Development of High-power fiber amplifier
前回の内容 結晶工学特論 第5回目 Braggの式とLaue関数 実格子と逆格子 回折(結晶による波の散乱) Ewald球
計画研究ク 重力波天文台用高性能光源の開発
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/20講義分 共振器と導波路 山田 博仁.
低周波重力波探査のための ねじれ振り子型重力波検出器
東大・新領域・物質系 大前宣昭,三尾典克 2010年6月15日-16日 LCGT Face-to-Face
ナノデザイン特論2 レーザーの基礎
量子ビーム基礎 石川顕一 6月 7日 レーザーとは・レーザーの原理 6月21日 レーザー光と物質の相互作用
電波の伝わり方
P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 伝送線路のFDTD解析 P4.2 H4.1 P4.1 H4.1
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/19講義分 共振器と導波路 山田 博仁.
電磁気学C Electromagnetics C 6/12講義分 光導波路と光共振器 山田 博仁.
28 PICマイコンを用いた能動騒音制御系の制御性能
大学院物理システム工学専攻2004年度 固体材料物性第7回 -光と磁気の現象論(2)-
位相カメラの進捗状況 京都大学修士1回 横山 洋海.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
電磁気学C Electromagnetics C 6/8講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
中性子干渉実験 2008/3/10 A4SB2068 鈴木 善明.
測距技術 ー 2波長干渉計による歪計測 ー 寺田聡一 産業技術総合研究所.
一つのテーマの全体を通して遂行するには様々な力が必要
LCGT and QND experiment at NAOJ
高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発
高エネルギー陽子ビームのための高時間分解能 チェレンコフビームカウンターの開発
ベル研出張報告 木下 基 稲田 智志.
光スイッチングデバイス.
宇宙線ミューオンによる チェレンコフ輻射の検出
小型衛星パスファインダーによる総合的試験
電磁気学C Electromagnetics C 5/29講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
明大理工,通総研A 木下基、福田京也A、長谷川敦司A、細川瑞彦A、立川真樹
レーザー干渉計制御のデジタル化 中川憲保,新井宏二A,佐藤修一A,高橋竜太郎A,
両端単純支持梁の フィードフォワード外乱抑制制御系における 指向性アクチュエータの効果
産総研・計測標準 寺田聡一 東大地震研 新谷昌人、高森昭光
第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
電力フィードバック回路の調整による 熱音響発電機の発振余裕の最大化
KAGRA用 アウトプットモードクリーナの開発Ⅳ
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/28, 7/5講義分 光導波路と光共振器 山田 博仁.
マイクロ波生成プラズマの分光測定 環境計測 高橋 順三.
LCGT and QND experiment at NAOJ
外部共振器型半導体レーザー装置の製作 物理工学専攻 小菅 洋介 (M1) 〔指導教員: 熊倉 光孝〕
音響伝達特性モデルを用いた シングルチャネル音源位置推定の検討 2-P-34 高島遼一,住田雄司,滝口哲也,有木康雄 (神戸大) 研究の背景
DECIGOの光学設計の検討 第17回DECIGOワークショップ 2018.11.1 川村静児(名古屋大学)
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/2講義分 共振器と導波路 山田 博仁.
振動体の振幅を一定とする 振動発電機負荷のフィードバック制御 長岡技術科学大学 ○ 永井 和貴 齋藤 浄 小林 泰秀
マイクロ波測定により、プラズマ密度、揺動計測を行いプラズマ閉じ込めについて調べる。
圧電素子を用いた 高エネルギー素粒子実験用小型電源の開発
F行列 電気回路の縦続接続を扱うのに常に便利、電気回路以外でも広く利用 A B C D V1 V2 I2 I1
T-型量子細線レーザーにおける発振および発光の温度特性
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

木下基、Manyalibo J. MatthewsA、秋山英文 バーニア効果を用いた外部共振器型半導体レーザー 東大物性研、CREST(JST)、ルーセント・ベル研A 木下基、Manyalibo J. MatthewsA、秋山英文 発表内容  1.背景・目的  2.原理  3.広帯域周波数可変外部共振器型半導体レーザーの提唱  4.Transfer Matrix法を用いた光学シミュレーション  5.まとめ・今後の展望

100 GHz間隔のグリッドに対応した任意の周波数で発振する 光通信用広帯域波長可変レーザーが必要。 背景:光通信システム 波長多重伝送(WDM)システム 光アド・ドロップ(OADM) 波長可変 光源 任意の波長を追加 ADD 波長可変 光源 ~ ~ DROP バックアップ用 固定波長光源 波長可変 光源 波長別 ルーティング 任意の波長に変換 光クロスコネクト(OXC) 100 GHz間隔のグリッドに対応した任意の周波数で発振する 光通信用広帯域波長可変レーザーが必要。

目的:光通信用の広帯域波長可変レーザーの開発 100 GHz間隔のステップ型周波数可変レーザー 100 GHz Laser 周波数 今回 外部共振器型半導体レーザー バーニア効果 を用いたレーザーの提唱 Transfer Matrix法による発振スペクトルのシミュレーション

複合共振器の干渉状態を制御することで広帯域波長制御が可能 原理:バーニア効果 l1発振状態 l2発振状態 個別のモード 一方の波長グレーティングが変化 複合モード 片方の共振条件 を調整 発振状態 共振条件が一致した 波長で発振する l1 l1 l2 複合共振器の干渉状態を制御することで広帯域波長制御が可能

広帯域波長可変外部共振器型半導体レーザー 位相調整領域付 半導体レーザーチップ コリメート レンズ エタロン Gain Phase HR膜 AR膜 外部反射鏡 共振器の縦モード エタロン ビート × transmittance transmittance transmittance frequency frequency frequency エタロンと外部共振器の縦モードによるバーニア効果を利用 位相調整領域の屈折率変化によって発振周波数を制御 特徴

光学要素から成る構造(レーザーなど)を行列の積で表現 Transfer Matrix法 ある光学的要素による入・出力光の関係を行列で表現 Er+ = tEf+exp(-ikL) M Ef+ Ef- = rEf+ + tE- Er+ = tEf+‐rEr- Er- r t L Ef+ Er- Ef- = Er-exp(-ikL) P P M 反射型 伝搬型 光学要素から成る構造(レーザーなど)を行列の積で表現 出力を計算

レーザーの構造を行列の積で表現し、自然発光から出力を算出する 計算モデル レーザーの構造を行列の積で表現し、自然発光から出力を算出する E M 発光 G P P1 P2 出力 Ef+ Er+ Ef− Er− rH 帰還光 外部ノイズ H Transfer Matrix方程式 出力

利得関数 利得飽和の効果と発散抑制の項を導入 ←利得飽和 利得 閾値 ←ピークの発散を抑制 Intensity – Gain 曲線 (超過分は発光に換算) 閾値 ←ピークの発散を抑制 :利得領域長 :両端面の反射率 FWHM:レーザー線幅(典型的な値) :エタロンの透過率 FSR:モード間隔 Intensity – Gain 曲線 レーザー特有の出力‐利得曲線が得られた。 Intensity (a.u.) 以後、 を使用する。

SMSRと可変チャンネル数の兼ね合いを考える パラメーター 出力の計算結果 (左右で外部共振器のFSRが異なる) 1 THz 1 THz SMSR 可変域 Intensity (a.u.) Intensity (a.u.) frequency (a.u.) frequency (a.u.) エタロンと 外部共振器のFSR差 大 小 SMSR 高い(良) 低い(悪) (Side Mode Suppression Ratio) 少ない(悪) 多い(良) 可変チャンネル数 SMSRと可変チャンネル数の兼ね合いを考える

最適化 SMSRと可変チャンネル数の兼ね合い 外部共振器のFSR=19.74 GHz 可変ch数=16ch, SMSR=35.6 dB (FSR=100 GHz, finesse=5)のエタロンを使用 SMSR > 35 dBとなるところを選択 外部共振器のFSR=19.74 GHz 可変ch数=16ch, SMSR=35.6 dB

位相調整領域の屈折率を変化させることで、 100 GHz × 16ch の広帯域周波数変調が可能である。 計算結果 広帯域周波数変調の様子 発振周波数 (THz) SMSR (dB) 位相調整領域の屈折率 位相調整領域の屈折率を変化させることで、 100 GHz × 16ch の広帯域周波数変調が可能である。 (=12.8 nm)

改良案 シングルモードにするために、 任意の領域のみで発振させる 狭周波数帯域反射ミラーを使用すると・・・ 1つのモードのみで、 1 THz Intensity (a.u.) frequency (a.u.) 反射率 周波数 1つのモードのみで、 発振させることが出来る。 しかし、モードによって強度尖頭値や SMSRにバラつきが生じる可能性がある。 197

寛容性-屈折率&エタロン入射角 位相調整領域の屈折率による エタロンの角度による 発振周波数・SMSRのゆらぎ 発振周波数・SMSRのゆらぎ 0.3 GHz 発振周波数 発振周波数 0.24 GHz 35 dB 5×10-5 0.005° SMSR > 35 dB の寛容範囲 位相調整領域の変化量 < 5×10-5 エタロンの角度の変化量 < 0.005° (0.3 GHzの周波数シフト) (0.24 GHzの周波数シフト)

まとめ バーニア効果に基づく広帯域周波数可変外部共振器型半導体レーザーを提唱した。 Transfer Matrix法によって、発振スペクトルを計算した。  ・パラメーターの最適化を行った。  ・屈折率変化に対する広帯域周波数変調の様子の推定を行った。   (SMSR > 35 dB で、100 GHz × 16 ch)  ・屈折率、エタロンへの入射角の寛容性を推定した。   (Dnp < 5×10-5, Dq < 0.005° for SMSR > 35 dB) 今後の展望 位相調整領域付半導体レーザーチップの作成 外部共振器の作成 周波数制御実験