心理統計学 II 第7回 (11/13) 授業の学習目標 相関係数のまとめと具体的な計算例の復習 相関係数の実習
2変数間の直線的な関係の有無を簡単に数値で表す方法 2変数間に直線的な関係があるかどうかを簡単に数値で表すのが、第6章で学ぶ相関係数 (Pearson’s product-moment coefficient of correlation、略して correlation) である。
相関係数の性質-1 (1) 2つの変数 x と y の相関係数は、しばしば、 つぎのように書かれる: つぎのように書かれる: (2) 相関係数は、マイナス1の値からプラス1の値 までの範囲の値を取る:
相関係数の性質-2 相関係数が、負の場合負の相関、ゼロの場合無相関、正の場合正の相関がある、という。 負の相関 無相関 正の相関 ・ ・ ・
相関係数の定義とその性質 ピアソンの相関係数は、テキスト p.29の(6.1)式に示したように、共分散と2つの変量それぞれの標準偏差を用いて表される 共分散 標準偏差の積
共分散の定義と計算式 共分散は、テキスト p.29 の (6.2) 式に 示したように、次式で定義される:
相関係数の計算の手順-その1 定量的2変数データが、つぎの5名の被験者の (x, y)=(抑うつ性、気分の変化)の得点であるとする: (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7)
相関係数の計算の手順-その2 また、気分の変化の平均値は、 まず、抑うつ性の平均値は、 上記5名の(抑うつ性、気分の変化)データ (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7) で、 まず、抑うつ性の平均値は、 また、気分の変化の平均値は、
相関係数の計算の手順-その3 抑うつ性の得点の分散は、 そこで、標準偏差は、
相関係数の計算の手順-その4 気分の変化の得点の分散は、 そこで、標準偏差は、
相関係数の計算の手順-その5 最後に、両変数の共分散は、上記データ 最後に、両変数の共分散は、上記データ (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7) から、まず得点の積和の平均を計算すると、
相関係数の計算の手順-その6 つぎに、2変数の平均値の積を計算すると、 そこで、2変数の共分散は、
相関係数の計算の手順-その7 そこで、相関係数は、2変数の標準偏差が であったことに注意すれば、
相関係数の有意性検定の方法(1) ここで得られた相関関係は、あくまでも上記5名の標本についての抑うつ性と気分の変化の2変数間のデータ (18, 15), (3, 5), (10, 13), (12, 8), (8, 7) に関するものでしかない。 一方、多くの場合我々の関心はこの特定の5名の標本に関する当該2変量間の相関関係にあるのではなく、この5名の標本が得られたもとの集団、すなわち母集団における相関関係にある。
相関係数の有意性検定の方法(2) 通常、われわれの母集団における相関関係に対する関心は、「母集団での相関係数、即ち母相関係数がゼロ(無相関)かどうか」にある。 これに関する帰無仮説(母相関係数がゼロ)は、テキスト p.29 の最後の行にあるもので、つぎのように書く: この帰無仮説が正しいかどうかを、標本で計算された標本相関係数をもとに検定するのが、相関係数の有意性検定と呼ばれるものである。
相関係数の有意性検定の方法(3) 相関係数を計算したら、テキスト p.30 の (6.3) 式、すなわち に、相関係数 r およびサンプル数 N を代入し t を求める。
相関係数の有意性検定の方法(4) これを、うえの具体例の場合に当てはめると、 R=0.83, N=5 なので、
相関係数の有意性検定の方法(5) 検定には、うえの t が、母相関係数がゼロなる帰無仮説のもとで、自由度 ν=N-2 なる t 分布に従うことを利用する(テキスト p.30)。 うえの例では、t-分布の自由度は、 ν= N – 2 = 5 – 2 = 3
相関係数の有意性検定の方法(6) つぎに、岩原テキストの p.434 の t 分布表のν=3, P=0.05 に対応する棄却点の値 3.182 を読み取る。 一方、先程計算した t =2.58 を思い出そう。 この時、t=2.58 < 3.182 なので、このような場合、我々は、帰無仮説(母相関係数がゼロ)を採択する。
相関係数の有意性検定の方法(7) 相関係数についての帰無仮説が採択される 時、われわれは「相関係数は有意でない」とい う。 時、われわれは「相関係数は有意でない」とい う。 一方、もし標本から計算された t 値が、棄却 点の値 3.182 以上ならば、我々は帰無仮説 (母相関係数がゼロ)を棄却する。 この時われわれは、「相関係数は5%水準で 有意である」という。
相関係数の計算と検定の実習 岩原テキスト末尾の乱数表から、各自のデータを抽出し、相関係数の計算と検定をおこなってみよう。 今日は、標本数は10とし、各自の学籍に対応する岩原テキストの乱数の位置から数えて6つ下から始まるデータを用いよ。データは10対の (x, y) の値である。すなわち (x1, y1), (x2, y2), … , (x10, y10)。 x に対応する10個は p.445から、y に対応する10個はp.446の同位置から取り出し、それぞれうえから順に対データとみなすこと。 検定の全体的危険率 α* は、0.05とせよ。