メタボリック症候群(MetS)の有無と、成人以降の体重増加とCKDの関連 背景 目的 ? CKD 成人以降の体重増加と慢性腎臓病(CKD)の関連を検討する。 20歳 (18歳) からの 体重増加 2型糖尿病 Ann Intern Med. 1995;122:481 Diabetes Care. 1994;17:961 脳卒中 JAMA.1997;277:1539 冠動脈疾患JAMA. 1995;273:461 Int J Obes (Lond). 2008;32:144 方法 ・2008年特定健診データを用いた横断観察研究。 ・解析対象は40歳~59歳の49,261人(男性43%)。 ・問診表から情報を得て、20歳からの体重増加が10kg以上群と、10kg未満群に分けた。 ・蛋白尿(1+)以上またはeGFR60未満をCKDと定義した。 ・ロジスティック回帰分析を用いた。 成人以降の体重増加は、非肥満者であっても、 糖尿病、冠動脈疾患、脳卒中の独立した危険因子 であることが明らかになっている。 結果 ・体重増加10kg以上の群は、10kg未満群に比べ、CKD有病率が高かった(男性12.2% vs 9.2%, p<0.0001、女性11.8% vs 8.3%, p<0.0001)。 オッズ比 男性 女性 男性 女性 オッズ比 年齢、喫煙、運動、飲酒、腎疾患既往、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症、居住地で補正.エラーバーは95%信頼区間を示す. 図2.サブグループ解析: メタボリック症候群(MetS)の有無と、成人以降の体重増加とCKDの関連 成人以降の体重増加は、メタボリック症候群非該当であっても、CKDに有意に関連した。 モデル1:年齢、喫煙、運動、飲酒、腎疾患既往で補正. モデル2:モデル1+高血圧、糖尿病、高コレステロール血症で補正. エラーバーは95%信頼区間を示す. 図1.成人以降の体重増加とCKDの関連 (ロジスティック回帰分析) 成人以降の体重増加は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症の有無で補正してもなお有意であった。 表1.CKD検出の感度と特異度 男性 女性 感度(%) 特異度(%) 成人以降の体重増加 57 51 38 71 BMI 49 66 29 80 腹囲 63 50 23 85 総括 ✓成人以降の体重増加は、非肥満者であっても、 CKDの独立した危険因子であることが示唆された。 ✓体重変化は、BMIよりも一般の人に理解しやすく、 腹囲よりも測定誤差が少ないため、「20歳から体重 が10kg増えないようにしよう」と伝えることは、国民 にわかりやすく有益なメッセージになると考える。 女性では、成人以降の体重増加が最も感度が高い結果であった。 謝辞 本研究は、平成20~22年度厚生労働科学研究費補助金「今後の特定健康診査・保健指導における慢性腎臓病(CKD)の位置付けに関する検討」の援助を受けました。 特定健診データ収集にご協力いただいた関係者の皆様に心より御礼申し上げます。