自己健康管理のポイント 高齢者の 山 本 纊 子 医療法人並木会 並木病院院長 藤田保健衛生大学名誉教授

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今 日 の ポ イ ン ト今 日 の ポ イ ン ト 糖尿病人口は予備群を含めると 2,050 万人1.1. 糖尿病は血糖値が高くなる病気 ただし自覚症状がほとんどありません 2.2. 血糖値が高い状態を「高血糖」といいます3.3. インスリンの作用が弱くなったために高血糖に なったのですが、高血糖は必ず改善できます.
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自己健康管理のポイント 高齢者の 山 本 纊 子 医療法人並木会 並木病院院長 藤田保健衛生大学名誉教授 医療法人並木会 並木病院院長 藤田保健衛生大学名誉教授 山 本 纊 子 愛知県医師会健康教育講座2010年2月25日

健 康 と は 単に疾病でないのみでなく、 身体的、精神的、社会的に 健全である状態をいう

疾病(病気)にはどういうものがあるか 感 染(炎症) 中 毒 アレルギー・自己免疫異常 循環障害 代謝異常(非遺伝性) 外 傷 変 性 感 染(炎症) 中 毒 アレルギー・自己免疫異常 循環障害 代謝異常(非遺伝性) 外 傷 変 性 代謝異常(遺伝性) 腫 瘍

感染症(炎症)

頻度の高い感染症 皮膚炎 髄膜炎・脳脊髄炎 角膜・結膜炎 鼻炎・上気道炎 外耳道炎・中耳炎 口内炎・胃腸炎 腎盂腎炎・膀胱炎 生殖器の炎症

感染症の基礎知識 病原体(抗原)の侵入 生体防御機構 自然免疫 食細胞 NK細胞 などで対抗 好中球 獲得免疫 T細胞 B細胞

感染症対策の基本 *病原体の侵入を防ぐ *自己の免疫抵抗を強化する *適切かつ早期の治療 *充分な経過観察

中毒・依存

*一般食品 *アルコール *ニコチン(たばこ) *各種薬品 工業用薬品 農 薬 治療のための薬 *一酸化炭素・家庭用ガス

アレルギー・自己免疫異常

皮膚 ー蕁麻疹、湿疹、強皮症、乾癬 神経 ー多発性硬化症、ギラン・バレ症候群 呼吸器 ー喘息、間質性肺炎 消化器 ー潰瘍性大腸炎、ルポイド肝炎 腎臓 ーIgA腎症、ループス腎炎 関節 ーリウマチ 筋肉 ー多発筋炎、皮膚筋炎、筋痛症 血管 ー大動脈炎、側頭動脈炎 全身性ループスエリテマトーデス、結節性動脈周囲炎 混合性結合組織病、ベーチェット病、サルコイドーシス

循環障害

梗塞ー 脳、脊髄、肺、消化器、 腎、末梢神経・・・・・ 出血ー 脳、脊髄、消化器、腎、 膀胱、卵巣、子宮・・・・・

循環障害を来す状態 梗塞 出血 血管 閉塞 破裂 血液 凝血し易い 止血し難い 血圧 低血圧 高血圧

血管の変化 動脈硬化 アミロイド血管障害 先天異常 自分の血管の状態を知る

三次元CT ( helical CT ) 16列MSCTによる 頸動脈3D画像 ( 135kv /130 mAs ,   0.5s ,1.0 mm x 16 ,   HP 11、   276 mm を  約13秒で検査.)

血管の状態を知るには? ヘリカル CT セルジンガー法 MRA

動脈硬化性病変 粥状硬化 Menckeberg型動脈硬化

動脈硬化性細小動脈病変 硝子様変性 類線維素性変性

動脈硬化の3大原因 高血圧 糖尿病 高脂血症 *いずれも病気として意識され難い *意識される時には合併症が出現 *硬化を直す方法は今のところない

高血圧のコントロール 糖尿病のコントロール  高脂血症のコントロール  食事療法  運動療法  心理療法 

アミロイド血管障害 類線維素性変性 高血圧性脳出血好発部位以外で出血

アミロイド血管障害の頻度  % 60 ● 50 40 ● 30 ● 20 10 ● 0 60 70 80 90 歳

なぜアミロイド血管が破綻するか? *急激な血圧変化 *急激な血液成分の変化 水分 血糖 電解質 止血・凝固系の異常 アミロイド貯溜は防げないが誘因の回避は可能

血液の変化 *ヘマトクリットの上昇(赤血球の増加) *白血球・血小板の増加 *高血糖 *その他血液の流動性低下・粘度の上昇 *心臓や血管からの塞栓子

血圧の変化 *随時血圧 * 24時間血圧 *家庭血圧 どの方法でチェックするか? 1分間の脈拍数 70 × 60 × 24 = 100800 1日の脈拍数

高血圧 *寒冷 *高ナトリウム食 *精神・身体的ストレス *入浴直後 低血圧 *高温 *食後 *入浴後

入浴時血圧 収縮期血圧 拡張期血圧 120 100 80 60 40 前 5 10 15 20 後 分 mmHg ● ● ● ● ● ● ●

内頸動脈狭窄・閉塞症

血圧コントロール 降圧するか否か

脳血管障害の急性期は 反応的に血圧が上昇 脳血管障害に詳しくない医師は反射的に降圧薬使用

代謝異常(非遺伝性?) 高脂血症 高コレステロール血症 高中性脂肪血症 Ⅱ型糖尿病 高血糖 低血糖 自分の検査値を正確に知る

生活習慣病 *高血圧症 *糖尿病 *高脂血症 *喫煙による異常 *アルコールによる異常

これらの管理は誰がする? 医 師? 会社安全衛生? 配偶者? 自分で!

外 傷 *顕性外傷 *非顕性外傷 あみろいど 症状が起きた時直近の生活に思いをめぐらす

外傷を防ぐには 危ないことをしない 急がない・慌てない 日頃の運動機能訓練 自分が思っているほど体は若くない (年寄りの冷や水)

変 性 代謝異常(遺伝性) 発症予防は不可能に近い 進行し、今は治療法もない 病状にあった身体的管理 心の自己管理

腫 瘍 発症予防は不可能 但し、喫煙、多量飲酒等を回避すれば発病率は低下 定期健診(ドック)が有用 発症したら 信頼できる医師に定期的に受診

心的変化に対応するには 老いては子に従え 上手な薬の使用は解決策 身体の老化は不可避と知る 新しいことに対する学びの姿勢 家族とのふれあいを大切に 素直に気持ちを表出 上手な薬の使用は解決策 薬に頼りすぎない 薬を毛嫌いしない 薬の副作用をよく知る(効果を選ぶか) 身体の老化は不可避と知る 今あるままを享受ー嘆く時間は無駄と知る *何かのきっかけで気づく、 日頃からの心がけ *見方を変える

健康自己管理の基本 動物としての原則を忘れない 年齢相応を理解する 定期的な健康チェック 適量かつバランスの良いの食事 適切な運動 適度の睡眠 年齢相応を理解する 個人差あり 定期的な健康チェック ドックの利用 自分の健康状態を客観的に評価

願わくば 健康で長寿 体の健康を損ねたら 頭を働かす 体と頭の健康を損ねたら 笑顔で生きる