世界金融危機と国際通貨体制 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.

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ユーロ圏危機 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論 ユーロ為替相場の動向 マクロ金融論
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マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチ. マクロ金融論 ポートフォリオ・アプローチの 特徴 内外資産が不完全代替( ← 為替リス ク) 分散投資(ポートフォリオ)によって リスクを軽減可能。 経常収支黒字累積 → 外国資産流入 → 国 際ポートフォリオ → 為替相場.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
『マクロ金融特論』 ( 2 ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論
1 (第 14 週) 第5章 間接金融の仕組 み § 1 銀行の金融仲介機能 ( p.91 ~ 98 ) ① 仲介機能 ② 情報生産機能 ③ 資産転換(変換)機能 ④ 銀行貸付けにおける担保の役割 § 2 貸付債権の証券化とサブプライム問題 ( p.99 ~ 104 ) § 3 銀行以外の金融仲介機関.
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
1 国際金融市場 伝統的金融市場 オフショア市場 ユーロ市場 デリバティブ市場. 2 国際金融市場の意義 資金過剰部門から資金不足部門への, 国際的な資金の調達や運用が行われる 場 個別経済次元 ①再生産に関わる資本 の節約や有給貨幣資本の動員 ②ヘッ ジ,投機,裁定のための取引 ③手数 料稼ぎ 国民経済次元.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
QE 出口戦略 利上げ先行型. 前提 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 主張 1 超過準備対策として利上げは有効である 主張 2 保有資産の売却は経済に悪影響を与える 主張 3 利上げは経済の安定に寄与する 以上三点により、 QE 出口戦略利上げ先行 型を主張します.
第 6 章 金融政策と金融規制・ 金融監視政策の関係 07 BA 035 W 板津昌宏. 多くの中央銀行の金融政策の目的は 中央銀行はどの様な金融政策を行うべきか? 物価の安定を通じた経済の安定物価と雇用の安定 資産価格の安定を目的に掲げる国はな い.
世界金融危機と国際通貨体制 マクロ金融論2010.
世界ソブリンバブル衝撃のシナリオ 第8章国債バブル崩壊のシナリオ
第5章 どのように 国際的に 資金が 流れるのか 加藤 栞.
21世紀のアメリカ経済 藤女子大学人間生活学部 内田 博
アジア共通通貨導入の是非 否定派 蔵内 小柴 鶴間.
15 パクス・アメリカーナの時代 1 アメリカの戦後構想とIMF体制 2 IMF体制の成立と発展,ドル危機 3 固定相場制の崩壊と変動相場制
1. Departamento de Consultoria e Assessoria
(第7週)第2章(3) 前回のおさらいとキーワード: ■ システミック・リスク ■ セーフティー・ネット ・ 競争制限的規制
為替相場制度の理論と実証 MBA国際金融2015.
藤女子大学人間生活学部 内田博 現代資本主義分析
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
第3章 実態経済に大きな影響を及ぼす金融面の動向
グローバル・インバランスと世界金融危機の中の国際通貨問題
通貨統合 第5回 国際金融論.
金融市場ミクロ班.
3 外国為替市場と  外国為替相場 1 外国為替相場 2 為替取引と為替相場 3 為替相場の決定理論.
国際収支と為替相場 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
マネーサプライを増やせ! 岩田・伊藤・浜田・若田部・勝間
量的質的金融緩和は 日本にとってプラスか? 否定派.
ECの成立へ マーストリヒト条約の成立 通貨統合
第2章 バブル崩壊後における経済の長期停滞の原因をどうみるか
国際収支と為替相場の基礎的概念 MBA国際金融2015.
『手に取るように金融がわかる本』 p.202~p.223 part1~5
EUにおける通貨同盟(ユーロ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 2016/5/13 EU入門.
14 パクス・ブリタニカの盛衰 1 国際金本位制とポンド体制 2 両大戦間期の国際通貨体制と通貨ブ ロック 3 戦後IMF体制とポンドの凋落
日本のバブルと米国の サブプライムバブルとの比較
第8章 国際収支と国際投資ポジション 対外経済関係の鳥瞰図.
スペイン財政支援の是非 <否定派> 田中・棚倉・川村・石塚.
第7章 どのように為替レートを 安定化させるのか
固定為替相場制度 vs. 変動為替相場制度 マクロ金融論2010.
金 融 統 計 金融市場の基本概念 金融統計の体系 マネーサプライ統計 金利統計 資金循環分析 証券投資分析.
EU統一金融監督機関設立の是非 肯定派 神野 光祐 工藤 祐之介 長谷川 雄紀 山下 真弘.
『マクロ金融特論』 (4) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論2016.
セルビア共和国 経済・構造改革 ー挑戦と達成ー
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
金融の基本Q&A50 Q41~Q43 11ba113x 藤山 遥香.
ギリシャはユーロを離脱するべきか ~肯定派~
4 国際通貨 1 国際通貨の基礎理論 2 国際通貨の機能と選択 3 管理通貨制度下の国際通貨 国際金融2002(毛利良一)
金融の基本Q&A -Q21~Q24-  小瀬村愛子.
手に取るように金融がわかる本 PART6 6-11 09bd139N 小川雄大.
国際経済学入門 10 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2013年12月23日
『マクロ金融特論』 (3) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論2016.
為替介入 MBA国際金融2016.
量的金融緩和政策・出口戦略と為替相場 MBA国際金融2016.
通貨統合と最適通貨圏 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016.
マクロ経済学初級I 第4回.
最近の中国と通貨に関する動向 08ba231c 松江沙織.
『ギリシャはユーロから          離脱すべきか?』 【否定派】 長谷川 雄紀 田中 道信 山本 恵美.
世界金融危機とアジアの通貨・金融協力 日本国際経済学会関東支部研究会2010年1月9日.
国際貿易の外観.
サブプライム問題と 世界の金融危機 演習1 水津 安井 小川.
国際金融・為替リスク管理 一橋大学大学院経営管理研究科 小川英治 2018/11/16 一橋大学財務リーダーシップ・プログラム.
V. 開放経済のマクロ経済学.
V. 開放経済のマクロ経済学.
日本の経常収支黒字  → 外国に失業輸出? 高齢化の進展 → 日本の国内貯蓄超過の減少         → 日本の経常収支黒字は減少へ.
元高の原因を追求    九州産業大学 金崎ゼミ 張 雷 徐 雲飛 .
岩本 康志 2013年5月25日 日本金融学会 中央銀行パネル
2009年7月 為替相場講演会資料 株式会社三菱東京UFJ銀行/東アジア金融市場部
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年1月18日
IV 長期における貨幣と価格.
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世界金融危機と国際通貨体制 一橋大学商学部 小川英治 マクロ金融論2016

グローバル・インバランスから世界金融危機へ マクロ金融論2016 グローバル・インバランスから世界金融危機へ グローバル・インバランス=世界的な経常収支不均衡 アメリカ ①1990年代後半:ITブームによる民間設備投資増 ②2001年~2003年:財政赤字 ③2000年代半ば:住宅投資増 アジア:貯蓄過剰⇒アメリカ国債購入 石油輸出国オイルマネー⇒欧州金融機関⇒アメリカの住宅投資(サブプライムローンの証券化商品) ⇒アメリカの住宅バブル崩壊が①欧州金融機関のB/Sを毀損し、②英・アイルランド・スペインの住宅バブル崩壊

マクロ金融論2016 グローバル・インバランス 原典:IMF, World Economic Outlook, October 2015

穏やかなドル高とユーロの暴落 リーマン・ブラザーズ・ショック(2008年9月)以降、穏やかなドル高とユーロの暴落。 マクロ金融論2016 穏やかなドル高とユーロの暴落 リーマン・ブラザーズ・ショック(2008年9月)以降、穏やかなドル高とユーロの暴落。 リーマン・ブラザーズ・ショックがインターバンク市場でカウンターパーティ・リスクを顕在化。 特に、サブプライム・ローン関連の証券化商品の損失によってバランスシートの悪化した欧州金融機関がドル資金を調達できない。 ユーロ圏の域内取引はユーロが利用可能だが、域外取引にはドルが必要。

マクロ金融論2016 ユーロとポンドの対ドル為替相場

EUにおけるインターバンク市場取引 世界金融危機時(2008年8月~2008年10月) マクロ金融論2016 EUにおけるインターバンク市場取引 世界金融危機時(2008年8月~2008年10月) ⇒サブプライムローン証券化商品の焦げ付き(信用リスクの所在が不明)。 ⇒カウンターパーティ・リスク(信用スプレッドが4.5%へ)が欧州金融機関のドル流動性調達を困難に。 【基軸通貨ドル体制下でのユーロの無力が露呈】 ⇒対応:FRBからECBへ通貨スワップ取極めを通じたドル流動性供給、そして、ECBから金融機関へのドル流動性供給

マクロ金融論2016 世界金融危機時の米ドル流動性不足 住宅価格バブルの崩壊によってサブプライムローンの問題が発生した。サブプライムローン及びMBSなどの証券化商品に資金運用していた米国の金融機関とともに欧州の金融機関のバランスシートの資産サイドが毀損した。 そのため、欧州の金融機関は、カウンターパーティ・リスクのために欧州の銀行間金融市場において米ドル流動性を調達することが困難となった。カウンターパーティ・リスクとは、銀行間金融取引において取引相手の金融機関がどれほどの不良債権化した証券化商品を保有しているかについて不確実性を意味。 米国ではFRBが中央銀行として米ドルを供給できるが、欧州ではECBなどが中央銀行として米ドルを供給することに限りがあったために、米ドル流動性の供給不足となった。そのため、外国為替市場でドルに対する超過需要が発生していた。

信用スプレッド 信用スプレッド=安全資産(国債)との金利差 信用スプレッド=LIBOR-US TB金利 マクロ金融論2016 信用スプレッド 信用スプレッド=安全資産(国債)との金利差 信用スプレッド=LIBOR-US TB金利 ⇒信用スプレッドを信用リスク・プレミアムと流動性リスク・プレミアムに分解。 ・信用リスク・プレミアム=LIBOR-OIS金利 ・流動性リスク・プレミアム=OIS金利-US TB金利 LIBOR=London InterBank Offered Rate (無担保) OIS=Overnight Index Swap (有担保)

LIBOR (USD,3mo)とOIS金利(USD,3mo)とUS TB金利(USD,3mo) マクロ金融論2016 LIBOR (USD,3mo)とOIS金利(USD,3mo)とUS TB金利(USD,3mo) Data: Datastream

信用スプレッドと信用リスク・プレミアムと流動性リスク・プレミアム マクロ金融論2016 信用スプレッドと信用リスク・プレミアムと流動性リスク・プレミアム Data: Datastream

マクロ金融論2016 米ドル流動性不足に対するFRBの対応 FRBは、米ドル流動性不足を解消するために、政策金利であるFF金利をゼロとして量的金融緩和政策を開始するとともに、通貨スワップ協定を締結して、主要諸外国の中央銀行に無限の米ドル供給を行った。 そして、ECBなどの中央銀行は、欧州の金融機関に対して、FRBによって供給された米ドル流動性に基づいて欧州の金融機関に無限の流動性供給を行った。 =>カウンターパーティリスク及び信用スプレッドが2008年11月以降縮小。 このことは、ユーロ圏やEU域内において域内経済取引のためにユーロが利用されているにもかかわらず、米ドルを域外経済取引の決済通貨として必要としていたことを意味する。

マクロ金融論2016 原典:日本銀行

FRBの量的金融緩和政策 2008年12月16日にFF金利の目標値を0%~0.25%に設定。 マクロ金融論2016 FRBの量的金融緩和政策 2008年12月16日にFF金利の目標値を0%~0.25%に設定。 2008年10月以降、第1次量的金融緩和政策(QE1)を採用。3000億ドルの国債と1.25兆ドルの住宅抵当担保証券(MBS)と1750億ドルのその他証券を購入することによって、マネタリーベースを2008年9月の3000億ドルから2010年3月には2.1兆ドルに急増。 2010年11月から2011年6月にかけて第2次量的金融緩和政策(QE2)を採用。6000億ドルの長期国債を毎月750億ドル、購入するものであった。それによって、マネタリーベースは2011年6月には2.64兆ドルに達した。 2012年9月より第3次量的金融緩和政策(QE3)を採用。2012年12月まで毎月400億ドルのMBSと450億ドルの長期国債(合計850億ドル)を購入し続け、マネタリーベースを増加。2014年10月終了。

マクロ金融論2016 日米欧の政策金利 Data: Datastream 14

マクロ金融論2016 米国マネタリーベース Data: Datastream

マクロ金融論2016 世界金融危機の国際通貨システムへの影響 短期的には、ドルの信認失墜よりもドル流動性不足(インターバンク市場におけるドル資金取引の欠如)が深刻。⇒ユーロに対してドル高 長期的には、アメリカ政府の金融機関への資本注入が財政赤字を深刻化。⇒アメリカの経常収支赤字を拡大⇒ドルの全面安(但し、欧州も同様の状況にあり、依然として、ユーロ安が続く。)          ↓ 短期的には、金融機関への資本注入によるバランスシート健全化とともに、中央銀行によるインターバンク市場へのドル資金の(無限の)供給によって対応(米国連邦準備銀行制度と各国中央銀行と通貨スワップ協定)。 今後、上記の長期的な問題が露呈するだろう。

基軸通貨とは、 ドル基軸通貨体制とは、 ブレトンウッズ体制における各国通貨価値のアンカー(ドル・ペッグ) マクロ金融論2016 基軸通貨とは、 ブレトンウッズ体制における各国通貨価値のアンカー(ドル・ペッグ) 国際貿易取引及び国際資本・金融取引における決済通貨(⇒通貨の交換手段としての機能が重視。通貨の価値貯蔵手段として機能が軽視。) ドル基軸通貨体制とは、 ドルが唯一の基軸通貨である体制(ブレトンウッズ体制)

ブレトンウッズ体制における基軸通貨ドル(1944年~1971年) マクロ金融論2016 ブレトンウッズ体制における基軸通貨ドル(1944年~1971年) 金 $ £ 円 DM

マクロ金融論2016 ブレトンウッズ体制崩壊直後(1973年~1978年) 金 $ £ 円 DM

マクロ金融論2016 共同フロート制(EMS)(1979年~1998年) 円 $ EMS ECU EMS通貨の加重平均値 £ DM F.Fr

マクロ金融論2016 ユーロ導入後の国際通貨制度(1999年~) 円 $ EU28 EU19 € £

ガリバー型国際通貨システムにおける基軸通貨ドルの慣性 マクロ金融論2016 ガリバー型国際通貨システムにおける基軸通貨ドルの慣性 国際通貨の交換手段としての機能は、一般受容性と関係する。一般受容性においてはネットワーク外部性が作用する。規模の経済が働く。 規模の経済が働く市場では、有効な通貨競争が行われにくい。(ガリバー型国際通貨システム) 基軸通貨ドルに慣性が作用する。

ドル基軸通貨体制vs.複数基軸通貨体制 ドル基軸通貨体制: 交換の効率性が高い。 マクロ金融論2016 ドル基軸通貨体制vs.複数基軸通貨体制 ドル基軸通貨体制:  交換の効率性が高い。  通貨独占状態のため、アメリカの対外通貨政策(ドルの対外価値の安定)にガバナンスが働かない。 ⇒アメリカの対外通貨政策の規律付けが必要。 ⇒米国連邦準備制度は、世界各国の中央銀行に対する「最後の貸し手」としての役割を果たす必要がある。 複数基軸通貨体制:  交換の効率性が低い。  通貨競争によって対外通貨政策(通貨の対外価値の安定)に規律が働く。 ⇒基軸通貨国間において、世界各国の中央銀行に対する「最後の貸し手」としての役割の協調。