目標設定のための管理技術 「目標創造法」 演習 目次 １ はじめに １．１ 演習の目的 １．２ 演習の概要 ２ 目標創造法 「目標創造法」 演習 目次 １ はじめに １．１ 演習の目的 １．２ 演習の概要 ２ 目標創造法 ３ ケーススタディ ・シナリオ ・シナリオデータ

はじめに（演習の目的と概要） １．１ 演習の目的 この演習の目的は、目標設定の管理技術である 「目標創造法」を用いて、目標設定手順の理解と ケーススタディによる演習を通じて、実務の場面 で応用できる目標設定技術を習得することである １．２ 演習の概要 この演習は、「目標創造法」を理解し、ケーススタディに よって目標設定手順を体験学習する内容になっている。 演習概要は、以下のとおりである。 ・目標設定の必要性とその背景の理解 ・「目標創造法」における目標設定手順の理解 ・ケーススタディによるワークショップ

目標創造法 （財）日本規格協会 ２１研究会 （Ｒｅｖ．３．５）

管理技術とは （管理技術と固有技術） 管理技術 固有技術 人に関わる技術であり、目標を効率的に達成する方法 例）品質管理、ＩＥ、ＯＲなど 人に関わる技術であり、目標を効率的に達成する方法　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 例）品質管理、ＩＥ、ＯＲなど 固有技術 物に関わる技術であり、作られた製品などに組み込まれる技術と製品などを作るときに使用される技術とがある 例）バイオテクノロジー、電子・機械技術など

管理技術の概念 目　　　標 （あるべき姿） 知　識 技　法 手　法 管理技術 （方法） 現　　　実 （現在の状態）

新管理技術の要件 新管理技術 環境変化 基本的な役割 管理技術の方向 具備すべき技術 ・情報ネットワーク化 ・グローバル化 　－活動範囲の拡大と統合の 　　　推進 ・グローバル化 　－国際的な企業間競争の激化 ・人間重視の生産活動 　－創造的人間が企業を改革 　　　する ・社会・環境の保護 　－守らない企業は犯罪者 　　　として排除される 基本的な役割 ・マネジメントの道具 ・コミュニケーションの道具 ・固有技術を発展させる道具 ・課題達成の道具 新管理技術 管理技術の方向 ・経営重視の管理技術 ・コスト重視の管理技術 ・ヒューマンオリエンティド 　管理技術 ・安全生産の管理技術 具備すべき技術 ・問題の具現化技術 ・技術・知識の継承技術 ・発想支援技術

新管理技術の提案 これから必要な管理技術 企業経営に役立つこと 革新・改革思考 あるべき姿からの発想 目標設定技術 目標創造法

目標創造法 （コンセプト） 経営改善の目標を設定するための方法 施策を具体化するための方向づけと経営改善の度合いを意思決定する際の方法 勘や思いから客観的に設定する。 施策を具体化するための方向づけと経営改善の度合いを意思決定する際の方法 いままでは目標を設定してから施策を考えていた。目標設定の過程で施策も生み出す。 知恵出しの支援技術 目標創造法が呼び水を用意。

目標創造法の基本概念 目標とは 効果軸とは 手段軸とは

目標とは 「目標」とは、その方向（種類）とレベル（度合）で示されたものであり、それを達成するための施策の原点となるもの。 目標の方向は「効果軸」「手段軸」の和 目標のレベルは方向の中の位置づけ 効果軸：改善効果の種類 手段軸：改善手段の種類

目標の概念 効果軸の目標レベル 手段軸の目標レベル 現状 目標の方向 目標のレベル 改良 改革 革新

効果軸と手段軸の概念 経営のインプット 経営のプロセス 経営のアウトプット 経営 効果軸 手段軸 リソース プロセス 製品・サービス 環境

効果軸とは 効果軸 改善効果 主として経済的な視点 事業体を外からながめて評価する 事業体の経営活動の良さを評価する項目

経営効果と効果軸 経営 経営のインプット 経営のプロセス 経営のアウトプット 効果軸 効果軸 効果軸 消費リソースの減少 リソース価格の低減 有効時間の増加 ＬＴ、サイクルタイムの短縮 製品の質・量の増加 サービスの向上 効果軸 効果軸 効果軸 販売能力増 競合能力増 顧客ＬＴ短縮 顧客対応能力向上 プロセス削減 供給能力アップ 生産性向上 リソース性能アップ リソース量増 リソース効率アップ 利益増 売上増 販売価格アップ 販売増量 オーダー量増 需給バランス変更 需要増 市場規模拡大 ＣＳ向上 イメージアップ 製品・サービス価値アップ 製品・サービス機能アップ 原価減 間接費減 直接費減 リソース単価減 単位必要量減 不良低減

効果軸ツリー ※効果軸の階層構造の関係 ：端点効果 利益増 売上増 販売量増 販売価格ｕｐ オーダ量増 需給バランス変更 販売能力増 需要増 （Ｇ＝Ｓ－Ｃ） 売上増 （Ｓ＝Ｐ×Ｑ） 販売量増 （ Ｑ＝ｍｉｎ[Ｏ、Ａｓ］ ） 販売価格ｕｐ （Ｐ＝Ｄ／Ｂ） オーダ量増 （Ｏ＝Ｄ×Ａｖ） 需給バランス変更 （Ｂ） 販売能力増 （Ａｖ） 需要増 （Ｄ＝Ｍ×Ａｃ） 市場規模拡大 （Ｍ） 競合能力増 （Ａｃ＝Ｈ×Ｗ） ＣＳ向上 （Ｈ＝（Ｖ×Ａｋ）／Ｔ） イメージｕｐ （Ｗ） 製品・ｻｰﾋﾞｽ価値ｕｐ （Ｖ＝Ｆ／Ｃ） 顧客ＬＴ短縮 （Ｔ＝Ｎ／Ａｓ） 顧客応対ｻｰﾋﾞｽ向上 （Ａｋ） 原価減 （Ｃ＝Ｉ＋Ｄ×Ａｓ） 製品・ｻｰﾋﾞｽ機能ｕｐ （Ｆ） プロセス削減 （Ｎ） 間接費減（経費） （Ｉ） 直接費減（ﾘｿｰｽ費） （Ｄ＝Ｚ／Ｋ） 供給能力ｕｐ （Ａｓ＝Ｒ×Ａｒ×Ｋ） リソース単価減 （Ｚ） 生産性向上 （Ｋ＝Ｅ（１－Ｙ）／Ｕ） リソース性能ｕｐ （Ａｒ） リソース量増 （Ｒ） リソース効率ｕｐ （Ｅ） 単位必要量減 （Ｕ） 不良低減 （Ｙ）

手段軸とは 手段軸 改善方策 主として生産性の視点 事業体の内部構造に立ち入って評価する 効果の実現に作用する経営要素 実現度合を制御できるもの 端点効果の各々に対して設定される

手段軸の操作（変更） 経営 経営のインプット 経営のプロセス 経営のアウトプット 効果軸 効果軸 効果軸 消費リソースの減少 リソース価格の低減 有効時間の増加 ＬＴ、サイクルタイムの短縮 製品の質・量の増加 サービスの向上 効果軸 効果軸 効果軸 手段軸（カテゴリーと操作（変更）要素） リソース（人、設備、材料） ・量 ・種類 ・性質 プロセス ・構成 ・作業分担 製品・サービス ・内容 ・提供方法 環境 ・移動 ・変質

効果軸／手段軸マップ ※効果軸（端点効果）に対応する手段軸 端点効果 ○：端点効果に影響を与える手段軸

目標創造法の手順 目標設定のための７つのステップ ステップ１ 対象範囲の設定 ステップ２ 効果軸の選択 ステップ３ 手段軸のリストアップ ステップ１ 対象範囲の設定 ステップ２ 効果軸の選択 ステップ３ 手段軸のリストアップ ステップ４ 手段軸の分析 ステップ５ 改善度合の設定 ステップ６ 効果の予測 ステップ７ 目標の設定

目標設定のための手順 事業体 ステップ１ 対象範囲の設定 ステップ２ 効果軸の選択 ステップ３ 手段軸のリストアップ ステップ４ 事業方針、意志 ステップ１ 対象範囲の設定 事業方針、意志 対象範囲 ステップ２ 効果軸の選択 効果軸候補リスト ステップ３ 手段軸のリストアップ 手段軸リスト ステップ４ 手段軸の分析 事業体 効果軸候補リスト 現状データ 手段軸リスト（現状値） 手段軸調査シート ステップ５ 改善度合の設定 手段軸リスト（改善値） ステップ６ 効果の予測 事業体 手段軸リスト（改善値） 制約条件 方針 ルール 代替案リスト ステップ７ 目標の設定 目標設定リスト 施策展開

ステップ１ 対象範囲の設定 概要： 目標設定を行う対象範囲を設定する 活動： （１）目標設定の対象範囲を設定する。

ステップ１ 対象範囲の設定 （１）目標設定の対象範囲を設定する。 ～活動 後工程 （市場など） 対象範囲 ステップ１ 対象範囲の設定 （１）目標設定の対象範囲を設定する。 ～活動 （プロセス） 後工程 （市場など） 製品・ｻｰﾋﾞｽ （アウトプット） リソース （インプット） 対象範囲 対象範囲：事業体、自部門などの活動の範囲であり、 目標設定する活動の領域 活動：活動成果を生み出す一連の行動体系 （生産活動、営業活動、個人作業など）

製造業における業務機能（例） 加工 組立 検査 製品企画 市場分析 基本設計開発 見積管理 詳細設計 設備設計開発 販売計画 顧客 試作・評価 生産準備 生産計画 受注管理 購入先 製造業 卸 小売 消費者 部品仕様 製品・製造仕様 手配計画（ＭＲＰ） 在庫管理（材料・仕掛・半製品・製品） 製造業 外注先 素材 購買管理 製造管理（工程管理） 出荷管理 加工 組立 検査 実績管理／外注管理 買掛管理 原価計算／原価管理 売掛管理 財務会計

製品・サービスを受ける後工程名・顧客・市場名など： 目標創造法［ワークシート１］ 対象範囲の設定 対象範囲の概要 製品・サービスを受ける後工程名・顧客・市場名など： 活動のアウトプット 製品・サービス名： 製品・ サービス 活動のプロセス ビジネスプロセス名： ビジネスプロセス 活動名： 活動のインプット リソース名： リソース

ステップ２ 効果軸の選択 概要： ねらうべき経営効果を明確にする 活動： （１）効果軸候補を効果軸ツリーから選択する。 （２）効果軸候補リストを作成する。

（１）効果軸候補を効果軸ツリーから選択する。 ステップ２ 効果軸の選択 （１）効果軸候補を効果軸ツリーから選択する。 効果軸ツリー（抜粋） 利益増 選択ルート（例） 出発点（例） 売上増 販売量増 販売価格ｕｐ オーダー量増 需給バランス変更 販売能力増 需給増 市場規模拡大 競合能力増 ＣＳ向上 イメージｕｐ 製品・ｻｰﾋﾞｽ価値ｕｐ 顧客Ｌ／Ｔ短縮 顧客応対ｻｰﾋﾞｽ向上 製品・ｻｰﾋﾞｽ機能ｕｐ プロセス削減 狙う効果軸候補

ステップ２ 効果軸の選択 （２）効果軸候補リストを作成する。 効果軸候補リスト 目標創造法[ワークシート２－２]

ステップ３ 手段軸のリストアップ 概要： 効果軸候補に作用する手段軸を明確にする 活動： （１）「効果軸／手段軸マップ」より手段軸を抽出する。 （２）手段軸の優先順位を付ける。 （３）手段軸リストを作成する。

（１）「効果軸／手段軸マップ」より手段軸を抽出する。 ステップ３ 手段軸のリストアップ （１）「効果軸／手段軸マップ」より手段軸を抽出する。 効果軸／手段軸マップ

ステップ３ 手段軸のリストアップ （２）手段軸の優先順位を付ける。 抽出された手段軸を、効果軸ごとにその中 で優先順位を設定する。 ステップ３ 手段軸のリストアップ （２）手段軸の優先順位を付ける。 抽出された手段軸を、効果軸ごとにその中 で優先順位を設定する。 例）効果軸「プロセス削減」 ①構造 ②同期化 ③工程ルート変更 ④一体化 ⑤平準化

ステップ３ 手段軸のリストアップ （３）手段軸優先順位リストを作成する。 効果軸ごとに優先順位付けされた手段軸を ステップ３ 手段軸のリストアップ （３）手段軸優先順位リストを作成する。 効果軸ごとに優先順位付けされた手段軸を 全体で評価し全体の優先順位を付ける。 目標創造法[ワークシート３－２] 手段軸優先順位リスト ■手段軸全体の優先順位 ■効果軸ごとの優先順位

ステップ４ 手段軸の分析 概要： 手段軸の実態を分析する 活動： （１）手段軸ごとの調査項目と調査方法を設定する。 （２）現状調査を行う。 （３）手段軸リストに現状値を記入する。

（１）手段軸ごとの調査項目と調査方法を設定する。 ステップ４ 手段軸の分析 （１）手段軸ごとの調査項目と調査方法を設定する。 目標創造法[ワークシート４] 手段軸調査シート 手段軸： 同期化 手段軸分類： プロセス 調査項目単位候補 手段軸ごとに調査項目、調査方法を設定

ステップ４ 手段軸の分析 （２）現状調査を行う。 手段軸調査シート 調査項目ごとに調査方法に従って 現状調査を行い記入する 手段軸： 同期化 ステップ４ 手段軸の分析 （２）現状調査を行う。 目標創造法[ワークシート４] 手段軸調査シート 手段軸： 同期化 手段軸分類： プロセス 調査項目単位候補 調査項目ごとに調査方法に従って 現状調査を行い記入する

ステップ４ 手段軸の分析 （３）手段軸リストに現状値を記入する。 手段軸リスト 手段軸調査シートより 現状値を評価し記入する ステップ４ 手段軸の分析 （３）手段軸リストに現状値を記入する。 目標創造法[ワークシート５] 手段軸リスト 手段軸調査シートより 現状値を評価し記入する

ステップ５ 改善度合の設定 概要： 手段軸ごとの改善レベルと改善値を設定する 活動： （１）手段軸ごとに改善レベル、改善値を設定する。 （２）投資額、達成期間を設定する。

（１）手段軸ごとに改善レベル、改善値を設定する。 ステップ５ 改善度合の設定 （１）手段軸ごとに改善レベル、改善値を設定する。 改善レベル ※改善レベル：改善、改革の努力度合 ※改善値：努力量

ステップ５ 改善度合の設定 （２）投資額、達成期間を設定する。 手段軸リスト 投資額、達成期間は 改善ﾚﾍﾞﾙごとに設定 改善ﾚﾍﾞﾙ ステップ５ 改善度合の設定 （２）投資額、達成期間を設定する。 目標創造法[ワークシート５] 手段軸リスト 改善ﾚﾍﾞﾙ －：現状維持 ａ：改良ﾚﾍﾞﾙ ｂ：改革ﾚﾍﾞﾙ ｃ：革新ﾚﾍﾞﾙ 投資額、達成期間は 改善ﾚﾍﾞﾙごとに設定

ステップ６ 効果の予測 概要： 手段軸改善レベルを組み合わせ代替案を作成する 活動： （１）手段軸を組み合わせ代替案を作成する。 （２）代替案ごとに効果予測を算出する。

ステップ６ 効果の予測 （１）手段軸を組合せ代替案を作成する。 代替案作成リスト 手段軸リストの改善レベルごとの 組合せパターン ステップ６ 効果の予測 （１）手段軸を組合せ代替案を作成する。 目標創造法[ワークシート６－１］ 代替案作成リスト １．代替案作成 手段軸リストの改善レベルごとの 組合せパターン （例：短期達成型、全社展開型など）

ステップ６ 効果の予測 （２）代替案ごとに効果予測を算出する。 代替案評価リスト 手段軸が作用する効果軸を 「効果軸／手段軸マップ」より ステップ６ 効果の予測 （２）代替案ごとに効果予測を算出する。 代替案評価リスト 目標創造法[ワークシート６－２] ２．代替案評価 手段軸が作用する効果軸を 「効果軸／手段軸マップ」より 再調査して探し出す 代替案ごとに集計 （効果予測計、投資額、達成期間）

「効果軸／手段軸マップ」を用い、手段軸から新たな効果軸を捜す。 ステップ６ 効果の予測 「効果軸／手段軸マップ」を用い、手段軸から新たな効果軸を捜す。 効果軸／手段軸マップ

ステップ７ 目標の設定 概要： 代替案を評価、選択し目標設定を行う 活動： （１）代替案を評価し選択する。 （２）目標設定リストを作成する。

ステップ７ 目標の設定 （１）代替案を評価し選択する。 代替案評価リスト 効果予測の大きいものから評価し、 一つの代替案を選択する ステップ７ 目標の設定 （１）代替案を評価し選択する。 目標創造法[ワークシート６－２] 代替案評価リスト ２．代替案評価 効果予測の大きいものから評価し、 一つの代替案を選択する

ステップ７ 目標の設定 （２）目標設定リストを作成する。 目標設定リスト ■目標案概要：全社統合改革型 ■経営効果 ■効果軸目標 ステップ７ 目標の設定 （２）目標設定リストを作成する。 目標設定リスト 目標創造法[ワークシート７] ■目標案概要：全社統合改革型 ■経営効果 ■効果軸目標 ■手段軸目標 ■課題 ■施策案（メモ） ・効果予測計 ５０００／２年 ・投資額 ３５００／２年 ・経営効果 １５００／２年

ツールとワークシート ツール 効果軸ツリー 効果軸／手段軸マップ ワークシート ＷＳ１：目標設定の対象範囲 ＷＳ２－１：効果軸ツリー選択リスト ＷＳ２－２：効果軸候補リスト ＷＳ３－１：手段軸選択シート ＷＳ３－２：手段軸優先順位リスト ＷＳ４：手段軸調査シート ＷＳ５：手段軸リスト ＷＳ６－１：代替案作成リスト ＷＳ６－２：代替案評価リスト ＷＳ７：目標設定リスト 目標設定報告書

ワークシートとステップ

目標創造法まとめ 目標設定そのものに焦点を当てている 目標設定プロセスが明確 目標設定と同時に施策の方向の決定 目標設定と同時に合意形成 枠組みとコンテンツの提供