2010年11月27日 虐待について何故、 学ばなければならないのか       東洋大学社会学部 高山直樹.

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児童虐待防止に関する研修. 児童虐待相談対応件数 (中央及び幡多児童相談所) 約4.4 倍 児童虐待とは 親または親に代わって養育に携わっている大人 等 (不適切な関わ り) 18歳未満の子ど も 心や身体を傷つけたり、健全な成長や発達を損な う 児童虐待 マニュアル P1.2 参照 気づく.
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演習のまとめ 平成 26 年度埼玉県障害者虐待防止・権利擁護研修(Aコース). 当事者の想いは・・・? グループワークのまとめ① 当事者の想いは・・・? ・訴え出るとさらに虐待がエスカレートするのではな いかという不安、報復への恐怖 ・「お世話になっているから」という負い目 ・「自分が悪いのだ」と思いつめてしまう.
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2010年11月27日 虐待について何故、 学ばなければならないのか       東洋大学社会学部 高山直樹

自分らしく生きられない? 戦後築かれた社会の仕組みの閉塞感→改革 「国民生活に関する世論調査(2008)」  自分らしく生きられない? 戦後築かれた社会の仕組みの閉塞感→改革 「国民生活に関する世論調査(2008)」   ・悩みや不安を抱えている国民(70.8%) 自殺者:32.249人、32.845人(09) 知的障害者入所、精神疾患患者社会的入院抑制・拘束、児童虐待(08:40、639件) 貯める→老いる→呆ける→縛られる 2 2 2 2

オリの中で簡易トイレに座る男性=元職員提供(上右写真) かんしゃくを起こすと止められず他の患者をベッドから引きずり下ろすなど暴 オリに入所者拘束 千葉の無届け介護施設              【毎日新聞朝刊2月20日】 施設が作った手錠でベッドにつながれた男性=元職員提供(上左写真)             オリの中で簡易トイレに座る男性=元職員提供(上右写真)                       *人権に配慮し画像処理しています  家族の同意も得ている。現場を知っている人なら特別なことでないと分かる。  確かにオリはある。入っていたのは交通事故で脳に障害を持つ30歳代男性。 かんしゃくを起こすと止められず他の患者をベッドから引きずり下ろすなど暴       れるため「反省して」とオリにトイレと布団を運んだら喜んでなかに入った。           

高齢者虐待 1万5000件超…死者32人 2009年度最多(厚労省統計①) 高齢者虐待 1万5000件超…死者32人 2009年度最多(厚労省統計①) 高齢者の虐待件数は、1万5691件、08年度より732件、4.9%増えて06年度の統計開始以来最多となった ほとんどを占める「家族や親族による虐待」の被害者の45.7%が介護の必要な認知症で、虐待による死亡者も06年度と並び過去最多の32人に達した 介護施設職員らによる虐待が76件(前年比8.6%増)あり、これも過去最多

高齢者虐待 1万5000件超…死者32人 2009年度最多(厚労省統計②) 高齢者虐待 1万5000件超…死者32人 2009年度最多(厚労省統計②) 家族らによる虐待の被害者は、77.3%が女性で、年齢別では80代が42.2%、要介護認定を受けたお年寄りが68.6% 加害者は、息子41%、夫17.7%、娘15.2%。厚労省は「介護している子供自身が就労できていなかったり、介護のため失業するなどの問題と重なっているのでは」と分析 身体的虐待63.5%、心理的虐待38.2%経済的虐待26.1%、介護の放棄25.5%  

特養さくら苑(東京都東大和市) 職員による性的虐待(2006年8月6日朝日新聞) 特養さくら苑(東京都東大和市) 職員による性的虐待(2006年8月6日朝日新聞)                   一月、夜勤でおむつ交換中の男性職員二人が、認知症の女性入居者(90)の名前を呼んで性的行為を求める言葉をかけた。排泄物のにおいを「毒」「サリン」と侮辱するやりとりも。家族がとった録音テープで発覚した。近く第三者の人権侵害調査委員会を立ち上げる。

利用者の声は届かない!? 苦情解決の仕組み(社会福祉法) 苦情解決責任者、苦情受付窓口、第三者委員 運営適正化委員会(都道府県社協) 「施設が虐待を認めるまで8年間かかりました」被害者の長女振り返る。母の異変に気づき、施設の第三者委員、社会福祉協議会などに苦情を訴えたが「虐待は確認できない」との結果だった。いくつかの虐待疑惑について家族の訴えを受けた都は04年6月、立ち入り調査。だが虐待の裏付けはとれなかった。 苦情解決の仕組み(社会福祉法)  苦情解決責任者、苦情受付窓口、第三者委員 運営適正化委員会(都道府県社協) 行政監査(都道府県) 介護相談員、オンブズパーソン等

契約に関する問題 みなし契約(形式的)、本人不在 介護保険制度:保険あって、サービスなし、選択権がない 基盤整備の課題:本人の選択困難(判断能力、情報力、交渉力) 競争原理が機能しない、質が向上しない、人が集まらない 8

わが国の福祉構造の問題 サービスメニューの数は世界一、しかしメニューに利用者を当てはめる福祉 ○○福祉法に、権利性はなく、各事業ごとの運営に関する基準(最低基準)に具体的なサービスが規定されている 関係者の複雑な利害が錯綜する場所:利用者、家族、行政、職員、住民、法人 苦情解決制度、第三者委員、運営適正化委員会、行政監査が機能不全、オンブズマン・オンブズパーソン格差 9 9

特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準 (平成十一年三月三十一日厚生省令第四十六号) 第十六条  介護は、入所者の自立の支援及び 日常生活の充実に資するよう、入所者の心身 の状況に応じて、適切な技術をもって行われな ければならない。 2 特別養護老人ホームは、一週間に二回以 上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又 は清しきしなければならない。 10

高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯) 年度    全世帯    (千世帯) 高齢者世帯 (千世帯) 全世帯に占める高齢者世帯の割合% 1986(昭61)   37,544   2,362    6.3 1992(平 4)   41,510   3,688    8.9 2001(平13)   45,429   6,599    14.5 2006(平18)   47,333   8,418    17.8 2009(平21)   48,013   9,623    20.0

福祉=幸福=自分らしさ well-being 日本国憲法第13条(個人の尊重) すべて国民は、個人として尊重される。生命  福祉=幸福=自分らしさ well-being 日本国憲法第13条(個人の尊重)  すべて国民は、個人として尊重される。生命  自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政の上で、最大限の尊重を必要とする。 幸福追求 : 主体性→自己決定→自己実現

権利・人権とは何か 権 利:人がその人らしく生きるために欠かせないもの 人 権:人間にとって普遍的な、人としておこなう諸活動の権利 権  利:人がその人らしく生きるために欠かせないもの 人  権:人間にとって普遍的な、人としておこなう諸活動の権利 権利意識:自分の存在を尊重し、自分を活かして生きたいと思う意識 人権意識:他者が権利を奪われている場合に、怒り、主張し、訴えていく意識      

利用者の権利とサービス提供者の責任 地域社会で生活する権利 個別ケアを受ける権利 ケア計画や福祉計画の策定に参加する権利 利用者の権利とサービス提供者の責任                 地域社会で生活する権利 個別ケアを受ける権利 ケア計画や福祉計画の策定に参加する権利 質の高いサービスを受ける権利 自己決定・自己選択する権利 わかりやすい情報(説明)を受ける権利 意見・質問・苦情を表明する権利 プライバシーの保護に関する権利 自己尊重の念と尊厳を維持する権利 14

権利=right ごもっとも! 新明解国語辞典 権利:物事を自分の意思によってなしうる資格 英米語圏においては日常生活用語 新明解国語辞典 権利:物事を自分の意思によってなしうる資格 英米語圏においては日常生活用語 発車オーライ、バックオーライ、all right あなたの言っていることはその通りです      ごもっとも!

高齢者・障害者施設における利用者の声 (NPO法人湘南ふくしネットワークオンブズマン) 家に帰りたい、家族と暮らしたい、孫に会いたい  墓参りや親戚のところに行きたい 生まれたところに行きたい 自由に外出したい、旅行に行きたい、教会にいきたい 話を聴いてもらいたい 大勝軒に行きたい、居酒屋に行きたい ボランティアをしたい、人の役に立ちたい 職員が何でも決めないでほしい 家族のいうことを優先しないでほしい 予算やお金がないからといわないでほしい わがままと決めつけないでほしい 自分の財産の取り扱いに関して相談したい 子どもあつかいしないでほしい

声 を 聴 く 傾聴(声を聴く) 聞く(hear):「聞こえてくる」、自分の立場や経験、感情で利用者のことを評価し、理解しようとする聞き方  声 を 聴 く 傾聴(声を聴く)   聞く(hear):「聞こえてくる」、自分の立場や経験、感情で利用者のことを評価し、理解しようとする聞き方   聴く(listen):利用者の立場に立って、今何を言おうとしているのか、何を伝えようとしているのかを聴き取り、理解しようとする聴き方

虐  待 虐 待:「むごい扱い」 (大辞泉) abuse:「乱用する, 悪用する、口汚くののしる悪態をつく、虐待する、酷使する、乱用、悪用誤用、ひどい悪口、罵倒、(長い間の)悪習、 弊害」(新グローバル英和辞典) 腕力、知力、社会力、武力、権力を持つ者がその力を誤用したために起こる事柄をさす。 児童虐待、障害者虐待、動物虐待、自然破壊、暴力、いじめ、ドメステックバイオレンス

虐待防止についての必要性 職員に支援スキルが必要。そのためには実際的な研修が必要である。 虐待行為は密室で生まれる。第3者が介在する必要がある。 権利侵害は、軽度のものから連続的に悲劇的なものとなっていく、初期の段階で対応することが大切である。そのためには、権利侵害を掘り起こしていく必要がある。 虐待が発生していたら、虐待に対するための権限を持った行政機関と生活に密着した民間の機関が機能分担して対応していく必要がある。

高齢者虐待防止法 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援者等に関する法律(2006) 高齢者虐待とは、養護者及び要介護施設従事者等による高齢者虐待をいう 「養護者」:高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外のもの」であり、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等が該当 身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、経済的虐待、介護・世話の放任・放棄

「養介護施設従事者等」「養介護施設」 「養介護事業」とは 「養介護施設従事者等」;「養介護施設」又は「養介護事業」の業務に従事する者 「養介護施設」:老人福祉法に規定される老人福祉施設(地域密着型施設も含む)、有料老人ホーム ・介護保険法に規定される介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、地域包括支援センター 「養介護事業」:老人福祉法に規定される老人居宅生活支援事業・介護保険法に規定される居宅サービス事業、地域密着型サービス事業、居宅介護支援事業、介護予防サービス事業、地域密着型介護予防サービス事業、介護予防支援事業

平成20年度高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する 支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果 調査方法:全国1,800市町村(特別区を含む)及び47都道府県を対象に、平成20年度中に新たに相談・通報があった高齢者虐待に関する事例、及び平成19年度に相談・通報があり、平成20年度において事実確認や対応を行った事例について、主として以下の項目の質問で構成されるアンケートを行った。

養介護施設従事者等による高齢者 虐待についての対応状況等 平成20年度、全国の1,800市町村(特別区を含む)で受け付けた養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する相談・通報件数は、451件であった。平成18年度は273件、平成19年度は379件であり、72件(19.0%)増加した。 相談・通報者の内訳は、「家族・親族」が34.6%と最も多く、次いで「当該施設職員」が25.7%、「当該施設元職員」が12.4%であった。なお、「本人による届出」は3.1%であった。

虐待の事実が認められた事例 (70件) 「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が31.4%と最も多く、「特別養護老人ホーム」が30.0%、「介護老人保健施設」が15.7%、「訪問介護、訪問入浴介護」が10.0%であった。 虐待の種別・類型は、「身体的虐待」が74.3%と最も多く、「心理的虐待」が30.0%、「介護等放棄」が5.7%であった。 「男性」が29.8%、「女性」が70.2%と、全体の約7割が「女性」であった。 「80~84歳」が27.9%と最も多く、次いで「85~89歳」が26.9%、「90~94歳」が15.4%であった。 「要介護3」が28.8%と最も多く、「要介護4」が26.9%、「要介護5」が11.5%であり、合わせて「要介護3以上」が68.0%と約7割を占めた。

虐待を行った養介護施設従事者等の状況 「30歳未満」が24.4%と最も多く、次いで「30~39歳」が22.1%であり、これらを合わせると「40歳未満」が約5割を占めた。 職種は、「介護職員」が89.5%、「管理者」が5.8%、「看護職員」が1.2%であった。

身体拘束と高齢者虐待 高齢者をベッドや車いすに縛りつけるなど身体の自由を奪う身体拘束は、介護保険施設の運営基準において、サービスの提供に当たっては、入所者の「生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き」身体拘束を行ってはならないとされており、原則として禁止されている。

「緊急やむを得ない場合」に該当する3要件(すべて満たすことが必要) 切 迫 性:利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い場合 非代替性:身体拘束以外に代替する介護方法がないこと 一 時 性:身体拘束は一時的なものであること

留意事項 「緊急やむを得ない場合」の判断は、担当の職員個人又はチームで行うのではなく、施設全体で判断することが必要 身体拘束の内容、目的、時間、期間などを高齢者本人や家族に対して十分に説明し、理解を求めることが必要 介護保険サービス提供者には、身体拘束に関する記録の作成が義務づけられている

虐 待 の 例 外出できないように部屋に施錠 オムツ交換、食事介助をせず、入浴もさせない 暴力、暴言が日常化 虐 待 の 例 外出できないように部屋に施錠 オムツ交換、食事介助をせず、入浴もさせない 暴力、暴言が日常化 熱湯を無理やり飲ませたことによる傷害 職員によるセクシャル・ハラスメントや性的虐待 管理という名目で、年金等を預かり、私的に流用  自尊心の傷つき、経済的困窮、生命の危険

虐待が起こりやすい構造(1) 施設・家庭の密室性(第三者の不在) 虐待は生活の場で身近な人たちによって引き起こされている、表面化しにくい 弱い相手を対象にしている(パターナリズム) 勤務形態,待遇などへの不満 マンパワーの不足・・・疲労の蓄積 虐待している職員を告発しづらい雰囲気

虐待が起こりやすい構造(2) 当事者の置かれている状況 訴え出るとさらに虐待がエスカレートするのではないかという不安    当事者の置かれている状況 訴え出るとさらに虐待がエスカレートするのではないかという不安 誰にどう相談していいのかわからない 虐待を受けているという自覚がない        繰り返される虐待

施設内虐待のとらえ方(1) 虐待問題は「Abuse」「Neglect」の解決に目が向けられる。 しかし大切なことは「Abuse」の周辺にある、虐待かどうかが判断しにくいけれども、決して良いとは言えない「不適切なケア(mal-treatment)」に気づくこと。 「誤ったケア(miss-treatment、miss-care)」をいかになくしていくか、それらをいかに適切なケアに切り替えていくかである。

施設内虐待のとらえ方(2) 施設内虐待に対処するための基本は、虐待事案を起こさないことではなく、「利用者個々に合わせた個別的なケアを提供できる施設ケアを実現すること」である。 予防の段階、ケアの質が疑われる段階、虐待事案が発生した3段階でとらえる。 そのためには、現場職員・中間管理職・管理者の三層で、理念の共有化と実践の現状の共有化が図られた施設運営が必要である。

施設内虐待のとらえ方(3) 「不適切ケア」は逃げ場にはならない 「不適切」はOUTという認識に立つ 自らの言動 同僚・上司の言動への意識化    「不適切ケア」は逃げ場にはならない        専門職としての倫理・責務    「不適切」はOUTという認識に立つ           自らの言動                 同僚・上司の言動への意識化         予防への第一歩

上に立っていることを意識 施設内虐待への対処とは、「虐待をしないこと」ではなく、虐待問題に目を向けていくことを通じて「ケアの質をいかに高めていくかということ」である。 施設内虐待と質の高いケアを連続線上で捉えることが必要。(言い換えると、施設内虐待を考えることは、良いケアを考えることの裏返しである。) 質の高いケア 施設内虐待 方向性

皆さんは 権利擁護の要であり拠点 不安のスパイラルから安心、安全、安定したまちづくり政策の拠点 自らの地域にこだわり、普通の生活を持続できる社会づくりを促進する拠点 地域住民の幸福追求に寄与する拠点 徹底的に利用者の側に立ち、受容、傾聴、共感してくれる専門職専門職が存在する拠点 施設のなかで絶対に虐待を起こさない要としての存在