山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介

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10 年後、 (VLBI) 電波観測で AGN の何を知りたいか? 大学側のから視点 藤沢健太(山口大学) AGN ジェット研究会 2011/09/27 @三鷹.
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硬 X 線で探るブラックホールと銀河の進化 深沢泰司(広大理) 最近の観測により、ブラックホールの形成と 銀河の進化(星生成)が密接に関係することが わかってきた。 ブラックホール観測の最も効率の良い硬 X 線で 銀河の進化を探ることを考える。 宇宙を構成する基本要素である銀河が、いつ どのように形成され、進化してきたか、は、宇宙の.
かなた望遠鏡・フェルミ衛星によ る活動銀河核の多波長同時連携観 測 伊藤亮介、深沢泰司、かなたチー ム、 フェルミ LAT コラボレーション 多色同時観測 広島大学.
口径合成によるメーザー源の 時間変動の観測 SKA に向けて 岐阜大学 高羽 浩. 東アジア VLBI 網の 22GHz 日本 野辺山 45m 、鹿島 34m 、 高萩、日立、つくば、山口 32m 、 VERA20m× 4 北大、岐阜大 11m 、水沢 10m 韓国 KVN20m× 3+測地 20m.
かなた望遠鏡による NGC2264の可視赤外同時観測
星形成領域NGC2264における AA Tau 型星の可視赤外同時観測
太陽多波長フレアデータ解析研究会 NSRO-CDAW10 ピーク時のループトップ電波源(2周波)の高さ (統計解析)
高感度 VLBI 時代の QSO ターゲットを考えた
HETE-2のバースト観測ネットワーク マウイ 副地上局 パラオ 副地上局 シンガポール 主・副地上局 赤道
W31A領域に付随する 水蒸気メーザーによる3次元的速度構造
大学VLBI連携・東アジアVLBI観測網の22GHz観測ワークショップ 2010/11/12
第6回 制動放射 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
論文紹介06: 最近のγ線観測とGLASTとの関連
VERAによるミラ型変光星 R UMaの年周視差計測(改)
晩期型星T-Lepに付随する 水メーザースポットを用いた年周視差測定 ~系内MIRA型変光星周期-絶対光度関係の測定に向けて~
フレア星EV Lacの 超低分散高速分光観測
ガンマ線連星LS 5039におけるTeVガンマ線放射とCTA
「Constraining the neutron star equation of state using XMM-Newton」
GRS 等におけるジェット噴出と X 線強度変動の相関
100KeV以上のeventのHXRと電波の power-law indexの比較 NSRO
須藤 広志 高羽浩、川口則幸、 他光結合VLBIグループ
NICT 鹿島ー小金井基線VLBIを用いたSgr A*強度モニター観測
Nova in M31: b b: 山中雅之(広島大)、新井彰(京産大)、かなた望遠鏡グループ
米倉 覚則 (茨城大・宇宙科学教育研究センター) Y. YONEKURA (Ibaraki U.)
高周波観測 大田 泉 (甲南大学理工学部) 空気シャワー電波観測ワークショップ2014@甲南大
トランジット法による低温度星まわりの地球型惑星探索と大気調査
High-amplitude, long-term X-ray variability in the solar-type star HD 81809: The beginning of an X-ray activity cycle? F. Favata, G. Micela, S.L. Baliunas,
2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出
最高エネルギー宇宙線ソース 同定のロードマップ ~理論的な展望~
茨城 32 m 電波望遠鏡(高萩局・日立局)の整備状況
すざく衛星による、2005年9月の太陽活動に起因する太陽風と地球大気の荷電交換反応の観測
グリシン前駆体、メチレンイミンの多天体探査
神戸大大学院集中講義 銀河天文学:講義6 特別編 観測装置の将来計画
XTE/ASM, PCA, HEXTEの感度と観測成果
フレアにおける Haカーネルと 硬X線/マイクロ波放射
内山 泰伸 (Yale University)
Taurus-Auriga association
HⅠ輝線を用いた 高銀緯分子雲の観測的研究
B型星の非動径振動 増田盛治 (国立天文台岡山) B型脈動星について HIDESによるSPBsの観測.
Fermi Bubble と銀河中心の巨大構造
SAX J1748.2−2808 からの 3 つの鉄輝線と593 秒周期の発見
SFN 282 No 担当 内山.
大学VLBI連携の成果 藤沢健太(山口大学)
かなた望遠鏡/TRISPECによる変動天体観測
かなた望遠鏡を用いたブレーザーの 可視偏光変動の研究
大学VLBI連携の現状と将来 藤沢健太(山口大学)
巨大電波銀河 3C 35 の「すざく」による観測 磯部直樹 (京都大学, kyoto-u. ac
マイクロ波と硬X線での プリフレア相の様子
COSMOSプロジェクト: z ~ 1.2 における星生成の環境依存性 急激な変化が起こっていると考えられる z ~1 に着目し、
(GAmma-ray burst Polarimeter : GAP)
水メーザー観測による 銀河中心核とブラックホールの研究
S3: 恒星とブラックホール (上田、野上、加藤)
ANIRによるM型星まわりの トランジット地球型惑星の観測 国立天文台 成田憲保.
論文紹介 Type IIn supernovae at redshift Z ≒ 2 from archival data (Cooke et al. 2009) 九州大学  坂根 悠介.
CTA報告19: CTA時代におけるSNR研究
太陽フレアと彩層底部加熱に関する 観測的研究
S5(理論宇宙物理学) 教 授 嶺重 慎 (ブラックホール)-4号館409 准教授 前田 啓一(超新星/物質循環)-4号館501
ALMAの偏光観測とサイエンス 永井 洋 (国立天文台ALMA推進室).
クエーサーの内部構造はどうなっているのか? マグナム望遠鏡の威力
下降流(Downflow)の観測と磁気リコネクション
超高光度赤外線銀河(ULIRGs)中に埋もれたAGNの探査
星間物理学 講義1の図など資料: 空間スケールを把握する。 太陽系近傍から 銀河系全体への概観、 観測事実に基づいて太陽系の周りの様子、銀河系全体の様子を概観する。それぞれの観測事実についての理解はこれ以降の講義で深める。 2010/10/05.
第12回 銀河とその活動現象 東京大学教養学部前期課程 2017年度Aセメスター 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
スターバースト銀河NGC253の 電波スーパーバブルとX線放射の関係
ALMAへの期待 -埋れたAGNの探査から-
10/19 GMCゼミ.
COSMOS天域における赤方偏移0.24のHα輝線銀河の性質
地上分光観測による金星下層大気におけるH2Oの半球分布の導出
すざく衛星によるSgr B2 分子雲からのX線放射の 時間変動の観測
中性子星/ブラックホール連星の光度曲線の類似性
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山口大学電波グループ ブレーザー電波データの紹介 藤沢健太(山口大学) 2009年8月10-11日 「かなた」ミニWS

ブレーザーの単一鏡観測 経緯 天体 ポインティング調査やVLBI観測補助に、時々、AGNの単一鏡フラックス観測を行っていた これを科学的な研究に使いたいと考えていた 広島大学から声を掛けていただき、本気でやる気になった が、2008年は望遠鏡駆動システム不調でほぼ何もできず 2009年4月に問題が解決、以後順調に観測実施(今年度は学生も多いので、観測が容易になった) 天体 笹田真人さんに紹介していただいた9天体 No IAU 名 別名 1 0048-097 2 0133+476 MisV1436 3 0454-234 4 1502+106 5 1807+698 3C 371 6 2251+158 3C454.3 7 0716+714 8 0851+202 OJ 287 9 0219+428 3C 66A 2009年4月~6月に取得したデータ紹介

山口32m電波望遠鏡による 変動天体のモニター観測 2012/03/07-08 ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」@広島大学 山口32m電波望遠鏡による 変動天体のモニター観測 藤沢健太(山口大学) 1.AGNのフラックスモニター観測と結果 2.メタノール・メーザの強度変動観測

山口32m電波望遠鏡 (旧山口第4アンテナ)

1.AGNのフラックスモニター観測と結果

AGNの短期・本質的強度変動 1 PKS 1510-089 Variation with time-scale of 20-30 days JVN 8GHz FLUX DENSITY (JY) Yamaguchi 32m Single-dish 8.4 GHz VLBIで測定したフラックス密度の時間変化です。 8GHzではトータルフラックスの変化に沿ってVLBI結果も減少し上昇しており フレアを検出できました。4エポックのVLBIの値は・・・・・・ 22,43GHzはコアのフラックスがモニター開始から上昇している一方、 ジェット成分はほぼ一定 22 GHz VERA 22GHz VERA 43GHz 43 GHz Day of Year 2010

AGNの短期・本質的強度変動 2 OT 081

特定の周波数にだけ現れた変動 山口の8GHzモニターと同時にVLBAで多周波観測(アーカイブデータ) ここだけ強く変動! 山口の8GHzモニターと同時にVLBAで多周波観測(アーカイブデータ) 5, 8, 15 GHzにだけ変動が見えた!?

2.メタノール・メーザの強度変動観測 長期・大規模モニター Cep Aの強度変動とメーザの励起 バースト現象の発見

山口32mによる長期大規模モニター観測 200個以上のメタノール・メーザ天体を毎年観測し、変動を調べた 2004 2005 2006 2007 18236-1205 Flux density [Jy] 19410+2336 Flux density [Jy] ・コンポーネント同定の仕方 18421-0348 Flux density [Jy] LSR Velocity [km/s] 10

Cepheus Aで観測されたごく短期の強度変動 Sugiyama et al. (2008) ・ スポットは空間的に1000AU以上離れている スペクトル成分で異なる強度変動 通算日224~250日では、I, IIの成分が減少、III, IV, Vは上昇 通算日250を境に傾向が逆転 時間スケールは20日程度 変動のタイミングは3日以下で同期

~2匹目のどじょうを探して~ ごく短期変動の系統的探査 山口32mで毎日観測 2009年7~10月 108日間に62回観測 22天体を対象 強度が大 スペクトル複数成分

結果 ほとんどの天体は、予想した程度の変動

MONR2 G188.95+0.89

G232.62+0.99 G9.62+0.20

W33A G11.49-1.48

G18.34+1.77 G23.43-0.18

G23.01-0.41 G25.70+0.04

G28.30-0.38 G29.95-0.02

G35.20-0.74 W48

W49N CepA

NGC7538 ほとんどの天体は、予想した程度の変動

バースト天体 G33.64-0.21 距離4kpc、光度1.2x104太陽光度・・・普通の大質量星形成領域 1成分だけが急激な強度変動を示した! 1日で25→190 Jyに増大、観測中に2回発生

・1日以下でフラックス密度が7倍 ・時間スケール5日で減少 ・他の成分はまったく変動しない

スポットの空間分布 バーストスポットは端にある 70AU離れたスポットは変化しない 参考データ(先行観測) EVN (Bartkiewicz et al. 2009) JVN

提案:磁場のエネルギー解放 バーストした領域で磁場エネルギーが解放 → 解放されたエネルギーで周囲のガス・ダストを加熱 → 解放されたエネルギーで周囲のガス・ダストを加熱 → 加熱されたダストの赤外線放射がメタノール分子を励起 → メーザの急激な増大   エネルギーが宇宙空間に散逸する時間スケール~5日 宇宙における磁場のエネルギー解放現象 太陽のフレア、形成中の小質量星周囲のフレアなどの例がある このようなフレアでは高エネルギー粒子を生成する 大質量星では磁場のエネルギー解放に伴うフレアは観測例が無い… 「かなた」で同時モニターを行っていたら、近赤外でバーストが起きるのが見えたか・・・?