080625「あり方」事務局 我が国における総合的な 水産資源・漁業の管理のあり方 (中間報告).

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080625「あり方」事務局 我が国における総合的な 水産資源・漁業の管理のあり方 (中間報告)

検討の基本的な考え方と手順 基本的考え方:水産資源・漁業の管理は、それぞれの国や地域における社会的・生態的特性に合った方策がとられるべき。 → 我が国の漁業制度の効果と課題を明らかにし、水産業の特性に適した水産資源・漁業の管理のあり方について、政策立案者に選択肢を提供することを目的とした。 検討手順は5段階 (1)目的・理念の明確化(~4月末) (2)長所及び問題の同定と相関関係の分析(4月末~5月末) (3)政策の基本的方向性と政策選択肢の立案(5月末~7月上旬) (4)政策選択肢の相対評価(7月上旬) (5)具体的な課題に基づく再整理(~7月末) 節目には検討過程を水研センター内に公表、各研究分野からの意見を反映。 業界関係者や消費者代表、水産内外の学識経験者など、幅広い分野の方々にご講演を頂き、「総合的視点」をとりこむ。 今後、(1)理念や、(4)相対評価の作業の参考に資するため、国民や漁業関係者を対象にアンケート調査を実施する。

我が国における総合的な水産資源・漁業の管理のあり方 理念:将来の望ましい水産業の姿 我が国における総合的な水産資源・漁業の管理のあり方 ・我が国の水産業が具備すべき属性について、本検討会では16 の属性を同定した。その内容は、A 資源・環境保全の実現(資源・環境政策面)、B 国民への食料供給の保障(食料政策面)、C 産業の健全な発展(産業政策面)、D 地域社会への貢献(地域政策面)、E 文化の振興(文化・科学技術政策面)、の5 つに分類することができた。 ・水産資源・漁業の管理は、これら5分類16属性を考慮した総合的政策でなければならない。 ・これらの理念は、後ほど、政策選択肢の相対評価の際に使用する。 ・(詳しい内容は、補足スライドにあり)

現在の水産業の長所・利点 ・現在の水産業が有している長所や利点を、理念に基づいて分類。 ・もちろん、全ての海域、漁業種でこれらの長所・利点が実現しているわけではない。また、これらの一部は、次に紹介する短所・問題点の裏返しでもある。よって、水産資源・漁業の管理方策を検討する際は、これらの長所を伸ばす効果とともに、問題解決のための施策が、これらの長所へ与える負の影響をも考慮する必要がある。

現在の水産資源・漁業管理の問題相関図 ・様々な問題の要因と、各理念との相関関係を図であらわしたもの。 ・ボトルネック(矢印の出入りが集中しているところ)を解決すると、波及効果が期待でき、施策の費用対効果の面で効率的。

優先的に取り組む課題の同定 水産政策の基本的方向性を検討 ・資源管理のグランドデザイン及び説明責任・透明性の不備、 ・制度的柔軟性の不足、 (問題相関図で同定された因果関係の分析をもとに、様々な問題の要因の中から、優先的に取り組むべき課題の組合せを抽出) 水産政策の基本的方向性を検討  ・資源管理のグランドデザイン及び説明責任・透明性の不備、  ・制度的柔軟性の不足、  ・科学的知見・モニタリング精度の不足、  ・流通システムの分断・不全  → 理念A、Cを中心に、効率性の高い効果(波及・相乗効果)   (理念B、D、Eには大きな効果が期待できない)。  ・特定資源への操業の特化(未利用資源の有効活用不足も含む)  ・生産地での販売意識・衛生意識の低さ  ・多面的機能面の支援不足  ・国土形成における漁業集落・漁港の位置づけが不明確  ・国際管理機関の欠如・機能不全  ・対外戦略の不在  → 最低限度、全ての理念がカバーできる。 ・これらの諸課題への対策として、水産政策の基本的方向性を検討した。 ・(詳しい内容は、補足スライドにあり)

今後の水産政策の 8つの基本的方向性 総合政策としての水産資源・漁業の管理(目的・手法・評価) 資源・漁業管理のグランド・デザインの明確化 制度的柔軟性の向上 流通システムの改善 科学的知見・モニタリング精度の向上 国際的管理体制の構築 生態系の特性と消費者ニーズの双方に対応した生産体制の構築 水産業・漁村の多面的な機能の評価

様々な価値観を考慮し、 3つの政策選択肢を作成 1)グローバル競争シナリオ: 産業の経済的(貨幣的)効率性を重視  → 漁業は利潤の最大化、それ以外の部分は国が責任をもって管理。 2)生態的モザイクシナリオ: 資源・環境保全における地域(コミュニティー)の役割を重視  → 沿岸漁業は公的役割をふくめた地域の中核、沖合は産業効率を重視。 3)国家食料供給保障シナリオ: 食料供給の公共性重視  → 国際需給等に関係なく、安定した価格で安全な水産物を国の責任として供給することを重視。 ・具体的な政策を議論する場合、誰が利潤をえるべきか(C)、創出された富をどの地域に還元するべきか(D)、漁村文化や景観などの非交換価値(非貨幣価値)をどの程度重要視するべきか(E)、などの、価値観の問題が深く関わる。これは、科学的に一意に決まるものではなく、本来国民の選択にゆだねられるべき性質のもの。 ・さらに、C、D、E、の重みの付け方次第で、A、Bの効率的な施策内容も変わってくる。 ・よって、様々な価値観の違いを考慮した、3つのシナリオを作成した。

各政策選択肢の相対評価: それぞれに利害得失がある ・検討委員が各自、それぞれのシナリオおよび現状を10点満点で評価したものの平均。 ・グローバル競争シナリオは、理念C (経済面)で大幅な改善が期待できるが、理念D(地域面)E(文化面) で大幅な悪化が予想 ・生態的モザイクシナリオでは、理念A~E 全てに関して中規模の改善が期待。 ・国家食料供給保障シナリオでは、では、理念B(食料安保面) で大幅な改善があるが、理念C(経済面)はほとんど改善なし。 ・今後、政策コストや国民ニーズ等も含めた更なる検討を加えていく予定。

水産資源・漁業管理の課題 技術規制的手法(漁期・漁場漁法規制等) 資源・漁業の多様性 の活用 資源変動・不確実性への対応 順応的管理、資源と漁獲能力のバランス 合理的な漁獲の推進 小型魚保護、投棄・混獲の低減等 合意形成とインセンティブ 漁業者の協力重要。努力が報われる漁業に 漁業構造の改革 コスト構造の見直し、次世代型漁船の開発 地域社会の維持・発展 重要性の再認識 沖合漁業と沿岸漁業の調和ある発展 漁業の将来像、グランドデザインが必要 資源状態モニタリングの必要性 資源評価精度の向上

最終報告(3月末)にむけた 今後の課題 水産科学以外の学識経験者や消費者代表による講演、国民アンケートなどに基づく「総合的な視点」の導入。 長所・利点や問題点の妥当性等について「具体事例」に基づく議論。 諸管理手法の特徴や利点・欠点を踏まえた「ベストミックス」の検討。 政策選択肢の評価について「国民のニーズ」を踏まえた検討。 「低水準にある資源の回復・管理」についてのより詳しい検討 海洋基本法など「関連法規」との関連の整理。 11