極低濃度ラドン測定システムの開発 外間智規,山澤弘実,森泉純(名古屋大・工) 竹内康雄,池田一得(東京大・宇宙線研) ○田阪茂樹(岐阜大・情報メディアセンター) 共同利用研究経費 旅費 25万円+α 名古屋⇔茂住(外間智規) 4回・37日間 東京大学宇宙線研究所 平成21年度共同利用研究成果発表研究会 2009年12月18日(金曜日)
研究目的 背景: 技術的課題: 純水中極低濃度ラドン測定システム開発 →1mBq/m3 SK実験の太陽ニュートリノ事象の主なBG 純水中222Rn壊変生成物214Biのβ線 「純水中ラドン起源BG解明と低減」 ニュートリノ事象の解析閾値を下げる 技術的課題: 純水中極低濃度ラドンの脱気 脱気ガス中のラドン濃縮 高感度ラドン濃度測定 純水中極低濃度ラドン測定システム開発 →1mBq/m3
研究方法 新規ラドン測定システム:1)-5) 1)純水中ラドンの脱気: 液ガス分散型気液混合器の脱気効率、流量依存性 2)脱気ガスの除湿: 4種類の除湿方法の除湿効率、除湿維持時間 3)活性炭にラドンを濃縮: 吸着効率、吸着維持時間 4)活性炭のラドンを脱離: 脱離効率、加熱温度 5)静電捕集型高感度ラドン検出器で測定: 濃度校正、湿度依存性 SK純水中ラドン濃度測定結果
5)静電捕集型高感度ラドン検出器で測定 静電捕集型Rn検出器の概要 典型的なパルス高分布 2009/11/30-2009/12/11 Volume:70liter Photo Diode 350 mm 500 mm 214Po 212Bi 218Po Count/channel/d 210Po 212Po channel 214Poの計数率から222Rn濃度に変換 214Po領域はノイズが少ない 他のα線エネルギーと重ならない 218Poに比べ捕集効率が高い 226Ra(PYLON社製78.3Bq)線源で校正 CF=1.935±0.003[CPD/(mBq/m3)] Absolute Humidity=0.011(g/m3) ・検出部に PINフォトダイオード 使用しα線エネルギーを弁別 ・容器内壁を電解研磨し低BGを実現 ・静電捕集電圧-2kV,容積は68.7 L ・検出限界は6 mBq/m3
1)水中ラドンの脱気 Fa Qw=Qa(1+α) Fw Qs:液体シンチレーション法 Qw:水中ラドン濃度算出式 Fa 電離箱 Qa Fa:Air流量 Fw:Water流量 α:溶解度0.24 Qa:電離箱Rn濃度 液ガス分散型 気液混合器 1.3 1.2 試料水 Qs Qs:液体シンチレーション法 による水中Rn濃度の絶対値 Fw QwとQsの比較により脱気効率を校正 実験条件 試料水1.8L/min 岐阜大学地下水 10000Bq/ m3 脱気用ガス1.6-1.8L/min 室内空気 10Bq /m3 気温:24.8℃ 脱気効率: Qw/ Qs Fa 脱気用ガス 排水
2)脱気ガスの除湿 4つの除湿方法 高効率:約-60℃ 長時間:2日間 の除湿が可能 活性炭への水吸着: Rnの吸着効率低下の原因 脱気ガスを高効率・長時間 除湿する手法が必要 気液混合器 パーマピュア ドライヤー Mg(ClO4)2 電子除湿器 露点計 純ガス 2 L/min ガラス製U字管 水分トラップ 冷凍機 エタノール(-90℃) 除湿方法 直後の露点温度(℃) 1)電子除湿器 0.4 2)パーマピュアドライヤ -5.2 3)過塩素酸マグネシウム -37.2 4)ガラス製U字管 -56.0 4つの除湿方法 高効率:約-60℃ 長時間:2日間 の除湿が可能
-90℃冷却活性炭のラドン吸着効率の経時変化 3)活性炭にラドンを濃縮 -90℃冷却活性炭のラドン吸着効率の経時変化 実験条件 試料空気:坑内空気 (100 Bq/m3程度) 露点:-55℃ 流量:2 L/min 活性炭:粒状炭24 g Baking:250℃1時間 Rn検出器 No.2 Rn検出器 No.1 流量計 (Air) 露点計 活性炭入り ½”銅U字管 エタノール(-90℃) 吸着効率 活性炭:三菱化学カルゴン㈱ ダイヤソープG4-5(ヤシガラ系) 0.99 0.90 CPH1:検出器No1での214Po計数率 CPH2:検出器No2での214Po計数率 D :器差 吸着効率: 1ー CPH1 CPH2・D 0. 80 36時間 10 20 30 40 50 60 70
4)活性炭のラドンを脱離 活性炭の吸着ラドンを脱離:脱離効率、加熱温度 (実験手順) ①系内にラドンを注入後循環 (活性炭はバイパス) Rn源 活性炭 Rn検出器 流量計 (空気) 露点計 ポンプ 電離箱 銅フィラメント 圧力計 エタノール (-90℃) ヒーター (実験手順) ①系内にラドンを注入後循環 (活性炭はバイパス) ②活性炭(-90℃)にラドンを吸着 ③活性炭を加熱しラドンを脱離 ① ② ③ (実験条件) ・活性炭:粒状炭10 g ・流量:2 L/ min ・露点:-55℃ 250℃ 100℃ 214Po(CPH) 加熱温度(℃) 脱離率 20 0.58 100 0.92 250 0.99 20℃ 活性炭中のラドンは250 ℃で脱離
SK純水中ラドン濃度測定 3)濃縮 2)除湿 1)脱気 4)脱離 ID OD 5)測定 SKタンク 4 m 流量計 (Air) 露点計 電子除湿器 流量計 (Air) パーマピュア ドライヤー 露点計 流量計 (water) ポンプ (water) 水温計 銅フィラメント 水分トラップ エタノール-90℃ ガラス 容器 活性炭 12g 1.8 L/min 1)脱気 ヒーター 4)脱離 給水 エタノール (-90℃) 2.0 L/min 気液混合器 銅フィラメント 水分トラップ ポンプ (Air) 4 m 2.2 L/min 圧力計 ラドン検出器 0.5μm フィルター ID OD 5)測定 純空気 排水 SKタンク
Total Volume Pure Water(m3) SKタンク内の純水中Rn濃度測定結果 Water RUN 9h 7h 5h 7h 9h 5h Blank RUN Total Volume of Air(m3) Total Volume Pure Water(m3) 脱離後のRn濃度: Water RUN:比例して増加 Blank RUN:ほぼフラット Rn検出器BG: 5mBq/m3 活性炭Rn放出: 19mBq/m3 OD純水中Rn濃度(本研究) 7.1±0.6(mBq/m3) SK-1戻り水Rn濃度(1999) <5.7(mBq/m3)
まとめ 純水中極低濃度ラドン測定システムの確立 OD純水中Rn濃度の測定結果: Rn濃度:7.1±0.6(mBq/m3) 極低レベル放射能の活性炭 今後の計画 12時間のWater RUN 1(mBq/m3) ID純水中Rn濃度