極低濃度ラドン測定システムの開発 外間智規,山澤弘実,森泉純(名古屋大・工) 竹内康雄,池田一得(東京大・宇宙線研)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
気体サンプリングと分析の基礎から最前線 2011 年 6 月 17 日 北とぴあ ガスクロマトグラフィー研究懇談会 委員長 ( 独)産業技術総合研究所 前田恒昭
Advertisements

ガス飛跡検出器による暗黒物質探索実験 京大理 身内賢太朗 平成21年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会 1 実験概要 年研究報告 (New generation WIMP search with an advanced gaseous tracker experiment)
独法化に伴う作業環境測定の実施に関する技術的考察
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
較正用軟X線発生装置のX線強度変化とスペクトル変化
微細水ミストによる気温低下量および日射影響に関する実験的研究 出居 祐哉 岡田 尚久 指導教員 成田 健一
利点 概要: ナノ電極の作製法 高分子膜による逐次被覆 ガラス封入白金線のHFによる溶出 器用さに依らない高い成功率 (3/4)
内部導体装置Mini-RT 真空容器内に超伝導コイルを有する。 ポロイダル方向の磁場でプラズマ閉じ込め。 ECHでプラズマを加熱。
環境中のポリ塩化ナフタレンの分析手法開発に関する検討
太陽ニュートリノのための スーパーカミオカンデIII 低エネルギーバックグランド低減の研究
Super-Kamiokandeのラドンによるバックグラウンドについての研究 日本物理学会2013年秋季大会 高知大学 2013年9月21日
極低濃度ラドン測定システムの開発 平成25年度東京大学宇宙線研究所共同利用研究成果発表会 2013年12月20日
「宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究」 2015年領域研究会
本時の目標 電気エネルギーの変換のしくみを理解し、適切な利用方法が選択できる。
放射線(エックス線、γ線)とは? 高エネルギー加速器研究機構 平山 英夫.
分光結晶を用いた蛍光XAFSシステムの開発
パッシブエアーサンプラーにおける各ピークのサンプリングレート 算出の試み
エマルションチェンバーによる 高エネルギー宇宙線電子の観測
2次元蛍光放射線測定器の開発 宇宙粒子研究室 氏名 美野 翔太.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
Astro-E2衛星搭載 XISの データ処理方法の最適化
大橋 英雄 東京海洋大学 海洋科学部 海洋環境学科
標準模型のその先へ ゲテモノ探し セッションⅤ:ナビゲーショントーク     名古屋大学 中 竜大.
放射光実験施設での散乱X線測定と EGS5シミュレーションとの比較
蓄積イオンビームのトラップからの引き出し
住宅用調理レンジを対象とした 排気フードの廃気捕集率に関する研究
目的 イオントラップの特徴 イオントラップの改善と改良 イオンビームの蓄積とトラップ性能の評価
Discharge in N2-O2 mixture
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
飛行時間法を用いた2次イオン 質量分析器の設計及び開発
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <空気調和設備> 空調機内の空気状態変化
治療用フィルムによる線量分布測定の 基礎的検討Ⅱ
GeneratorのX線スペクトル解析 私は、generatorのX線スペクトルを測定し、解析をしました。 宇宙物理実験研究室 星 理沙.
電圧をかけると流れる不思議な流体 と その現象を応用した機械の開発
直流コロナ放電照射による水中のROS生成
レーザーシーロメーターによる 大気境界層エアロゾル及び 低層雲の動態に関する研究
ダークマター検出器の だあくまたん 低バックグラウンド化・高感度化 京大理 中村 輝石 NEWAGE実験 暗黒物質 探索実験「NEWAGE」
RIビーム開発とISOL利用 原子力機構     長 明彦.
福島第一原発事故による放射能汚染測定器の開発
X線CCD検出器 ーCCD‐CREST(deep2)ー の性能評価と性能向上 (京阪修論発表会)
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
NaIシンチレーターを使った 放射線検出システムの開発
最近の宇宙マイクロ波背景輻射の観測 銀河の回転曲線 回転曲線の測定値 NASAが打ち上げたWMAP衛星が観測
コケを用いた屋上緑化の ヒートアイランド緩和効果に関する屋外実験
ダークマター検出器の だあくまたん 低圧ガスでの動作パラメータの最適化 京大理 中村 輝石 NEWAGE 低圧ガス ラドン除去システム
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
永久磁石を用いた高出力マイクロ波 放電型イオン源の開発
誘導体化を用いた フッ素テロマーアルコールの高感度分析 ○竹峰秀祐 環境省 環境調査研修所.
気体を用いた荷電粒子検出器 内容: 1.研究の目的 2.気体を用いた荷電粒子検出器 3.霧箱でのα線の観察 柴田・陣内研究室 4.今後の予定
水ジェットキャビテーションによる 有機物分解効率の向上に向けた基礎研究 2002年12月26日
京大理 身内賢太朗 平成20年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
京大理 身内賢太朗 平成22年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
冷却活性炭による ダークマター検出器の高感度化
報告080710 東大 ICEPP 森研 M2 金子大輔.
ガスの低圧化による ダークマター検出器の高感度化
KOPIO実験のための中性子不感型光子検出器の開発(2)
京大理 身内賢太朗 平成18年度東京大学宇宙線研究所 共同利用研究成果発表会
京都大学 身内賢太朗 谷森達・窪秀利・株木重人 Jパーカー・西村広展・ 上野一樹・黒沢俊介・岩城智・高橋慶在
イミダゾリウム系イオン液体(3)ー分子性液体(2)混合溶液の二酸化炭素溶解度(1)
TOBAの現状と今後の計画 坪野研輪講 2012年2月22日 岡田健志.
Au蒸着による酸化物熱電変換素子の内部抵抗低減化効果
電子ビームラインの構築と APDを用いた電子計測試験
国際宇宙ステーション搭載 全天X線監視装置搭載用CCDカメラ開発の現状
スーパーカミオカンデ、ニュートリノ、 そして宇宙 (一研究者の軌跡)
キャビテーションを応用した水質浄化方法に関する研究
ダークマター検出器の 地上実験進捗 だあくまたん 京大理 中村 輝石 ダークマターとは NEWAGE実験 ラドン除去(低バックグラウンド化)
ASTRO-E2搭載CCDカメラ(XIS)校正システムの改良及び性能評価
5×5×5㎝3純ヨウ化セシウムシンチレーションカウンターの基礎特性に関する研究
TES型カロリメータのX線照射実験 宇宙物理実験研究室 新井 秀実.
シンチレーションファイバーを 用いた宇宙線の観測
Presentation transcript:

極低濃度ラドン測定システムの開発 外間智規,山澤弘実,森泉純(名古屋大・工) 竹内康雄,池田一得(東京大・宇宙線研) ○田阪茂樹(岐阜大・情報メディアセンター) 共同利用研究経費  旅費 25万円+α 名古屋⇔茂住(外間智規) 4回・37日間 東京大学宇宙線研究所 平成21年度共同利用研究成果発表研究会 2009年12月18日(金曜日)

研究目的 背景: 技術的課題: 純水中極低濃度ラドン測定システム開発 →1mBq/m3 SK実験の太陽ニュートリノ事象の主なBG  純水中222Rn壊変生成物214Biのβ線 「純水中ラドン起源BG解明と低減」  ニュートリノ事象の解析閾値を下げる 技術的課題:  純水中極低濃度ラドンの脱気  脱気ガス中のラドン濃縮  高感度ラドン濃度測定 純水中極低濃度ラドン測定システム開発     →1mBq/m3

研究方法 新規ラドン測定システム:1)-5) 1)純水中ラドンの脱気: 液ガス分散型気液混合器の脱気効率、流量依存性 2)脱気ガスの除湿: 4種類の除湿方法の除湿効率、除湿維持時間 3)活性炭にラドンを濃縮: 吸着効率、吸着維持時間 4)活性炭のラドンを脱離: 脱離効率、加熱温度 5)静電捕集型高感度ラドン検出器で測定: 濃度校正、湿度依存性 SK純水中ラドン濃度測定結果

5)静電捕集型高感度ラドン検出器で測定 静電捕集型Rn検出器の概要 典型的なパルス高分布 2009/11/30-2009/12/11 Volume:70liter Photo Diode 350 mm 500 mm 214Po 212Bi 218Po Count/channel/d 210Po 212Po channel 214Poの計数率から222Rn濃度に変換 214Po領域はノイズが少ない 他のα線エネルギーと重ならない 218Poに比べ捕集効率が高い 226Ra(PYLON社製78.3Bq)線源で校正  CF=1.935±0.003[CPD/(mBq/m3)]  Absolute Humidity=0.011(g/m3) ・検出部に PINフォトダイオード    使用しα線エネルギーを弁別 ・容器内壁を電解研磨し低BGを実現 ・静電捕集電圧-2kV,容積は68.7 L ・検出限界は6 mBq/m3

1)水中ラドンの脱気 Fa Qw=Qa(1+α) Fw Qs:液体シンチレーション法 Qw:水中ラドン濃度算出式 Fa 電離箱 Qa Fa:Air流量 Fw:Water流量 α:溶解度0.24 Qa:電離箱Rn濃度 液ガス分散型 気液混合器 1.3 1.2 試料水  Qs Qs:液体シンチレーション法   による水中Rn濃度の絶対値 Fw QwとQsの比較により脱気効率を校正 実験条件 試料水1.8L/min  岐阜大学地下水  10000Bq/ m3 脱気用ガス1.6-1.8L/min  室内空気  10Bq /m3 気温:24.8℃ 脱気効率: Qw/ Qs Fa 脱気用ガス 排水

2)脱気ガスの除湿 4つの除湿方法 高効率:約-60℃ 長時間:2日間 の除湿が可能 活性炭への水吸着: Rnの吸着効率低下の原因 脱気ガスを高効率・長時間 除湿する手法が必要 気液混合器 パーマピュア ドライヤー Mg(ClO4)2 電子除湿器 露点計 純ガス 2 L/min ガラス製U字管 水分トラップ 冷凍機 エタノール(-90℃) 除湿方法   直後の露点温度(℃) 1)電子除湿器       0.4 2)パーマピュアドライヤ   -5.2 3)過塩素酸マグネシウム  -37.2 4)ガラス製U字管        -56.0 4つの除湿方法  高効率:約-60℃  長時間:2日間 の除湿が可能

-90℃冷却活性炭のラドン吸着効率の経時変化 3)活性炭にラドンを濃縮 -90℃冷却活性炭のラドン吸着効率の経時変化 実験条件 試料空気:坑内空気 (100 Bq/m3程度) 露点:-55℃ 流量:2 L/min 活性炭:粒状炭24 g Baking:250℃1時間  Rn検出器 No.2 Rn検出器 No.1 流量計 (Air) 露点計 活性炭入り ½”銅U字管 エタノール(-90℃) 吸着効率 活性炭:三菱化学カルゴン㈱ ダイヤソープG4-5(ヤシガラ系) 0.99 0.90 CPH1:検出器No1での214Po計数率 CPH2:検出器No2での214Po計数率  D :器差 吸着効率: 1ー CPH1 CPH2・D 0. 80 36時間 10 20 30 40 50 60 70

4)活性炭のラドンを脱離 活性炭の吸着ラドンを脱離:脱離効率、加熱温度 (実験手順) ①系内にラドンを注入後循環 (活性炭はバイパス) Rn源 活性炭 Rn検出器 流量計 (空気) 露点計 ポンプ 電離箱 銅フィラメント 圧力計 エタノール (-90℃) ヒーター (実験手順) ①系内にラドンを注入後循環     (活性炭はバイパス) ②活性炭(-90℃)にラドンを吸着 ③活性炭を加熱しラドンを脱離 ① ② ③ (実験条件) ・活性炭:粒状炭10 g ・流量:2 L/ min ・露点:-55℃ 250℃ 100℃ 214Po(CPH) 加熱温度(℃)    脱離率    20       0.58  100       0.92  250       0.99 20℃ 活性炭中のラドンは250 ℃で脱離

SK純水中ラドン濃度測定 3)濃縮 2)除湿 1)脱気 4)脱離 ID OD 5)測定 SKタンク 4 m 流量計 (Air) 露点計 電子除湿器 流量計 (Air) パーマピュア ドライヤー 露点計 流量計 (water) ポンプ (water) 水温計 銅フィラメント 水分トラップ エタノール-90℃ ガラス 容器 活性炭 12g 1.8 L/min 1)脱気 ヒーター 4)脱離 給水 エタノール (-90℃) 2.0 L/min 気液混合器 銅フィラメント 水分トラップ ポンプ (Air) 4 m 2.2 L/min 圧力計 ラドン検出器 0.5μm フィルター ID OD 5)測定 純空気 排水 SKタンク

Total Volume Pure Water(m3) SKタンク内の純水中Rn濃度測定結果 Water RUN 9h 7h 5h 7h 9h 5h Blank RUN Total Volume of Air(m3) Total Volume Pure Water(m3) 脱離後のRn濃度: Water RUN:比例して増加 Blank RUN:ほぼフラット Rn検出器BG: 5mBq/m3 活性炭Rn放出: 19mBq/m3 OD純水中Rn濃度(本研究)  7.1±0.6(mBq/m3) SK-1戻り水Rn濃度(1999)  <5.7(mBq/m3)

まとめ 純水中極低濃度ラドン測定システムの確立 OD純水中Rn濃度の測定結果: Rn濃度:7.1±0.6(mBq/m3) 極低レベル放射能の活性炭 今後の計画 12時間のWater RUN 1(mBq/m3) ID純水中Rn濃度