高梨 直紘、平松 正顕 (東京大学) and www.tenpla.net 2005.10.27-28 @代々木オリンピックセンター 「21世紀型科学教育の創造」 天プラの活動戦略とその成果 高梨 直紘、平松 正顕 (東京大学) and www.tenpla.net
【 天プラとは? 】 目標:最新の天文学をより多くの人へ ・2003年に高梨&平松(当時M1)が立ち上げた組織 ・天文学の普及を目指し、メーリングリストを中心に活動 ・メンバーは現在140名超 ・学生や科学館・プラネタリウムのスタッフが初期メンバー (当初は、プラネタリウムと協力した天文学普及を想定)
【 天プラのメンバー 】 「天文学とプラネタリウム」ML 加入者:158名 内訳:大学生・大学院生:79名 科学館・プラネタリウム関係者、その他:79名 メンバー分布:学生 メンバー分布:科学館関係者その他 他、イタリア、ハワイに各1名。
【 天文学は特殊 】 生活を物質的に豊かにしない天文学 ・基礎科学の中でも、特に“役立たず”な天文学 「非一様宇宙を伝播する重力波波形の分散」 「カーブラックホール・エルゴ領域に架かる 磁気的橋の爆発的膨張と相対論的ジェット形成」 「多波長光度曲線で探る近傍Ia型超新星の諸性質」 ・純粋な知的好奇心を満たしてくれる天文学 ・天文学の存在意義をいかに理解してもらうか 天文学会予稿集より抜粋 しかし!!
与えられた条件/環境を活かし、上記の方針に沿った活動を展開 【 天プラの活動方針 】 [基本方針] 新しい普及ルートを切り拓く ・ 様々な専門性を持った人間のコラボレーション ・ 既存の概念にとらわれない発想 ・ やってて楽しい活動を ← かなり重要 与えられた条件下で、いかに活動するか 与えられた条件/環境を活かし、上記の方針に沿った活動を展開
【 天プラの3活動 】 交流活動 天文学の普及に興味を持つ学生・科学館関係者などが 互いに交流を深めることで、活発な普及活動の土台を 形成する。 天文学の普及活動 学生と科学館などの協力により、講演会/天文教室や 展示・グッズ開発など様々な活動を展開する。 普及活動の普及活動 様々な普及活動を展開すると同時に、参加者の興味に 応じた普及活動の提案を行い、天プラの輪を広げる。
【 交流活動 】 天文学とプラネタリウム ML 天プラの活動の核となるメーリングリスト。 活動の紹介、意見交換など プラネタリウム見学会 実際のプラネタリウム番組・ 科学館展示を見学。そもそも プラネになじみのない学生に 現場を知ってもらい、意見交換 とアイディアの醸成を図る。 右:葛飾区郷土と天文の博物館での 見学を終えて。このような席から 驚異的(?)なアイディアが生まれる!
【 天文学の普及活動 】 ◆ 各地の講演会・天文教室への協力 相模原市立博物館 こども天文教室 (JAXA/ISAS 博士課程学生) 明石市立天文科学館 友の会 座談会 (京都大学 修士課程学生) 明石市立天文科学館 天文進路相談会 (京都大学 修士) 葛飾区郷土と天文の博物館 プラネタリウムゲスト出演 (東大修士) 入間市児童センター 天文講演会 (東大 修士課程) さいたま市宇宙劇場 天文講演会 (東大博士課程学生) 高井戸第二小学校 出張観望会 テーマとしては、 最先端天文学の成果の紹介 天文学研究の実際(観測体験記) etc. 現場にいる学生こそがリアリティを 持って伝えられる内容
【 天文学の普及活動 】 ◆ 各種グッズ・ソフトウェアの提案・作成 天文タイピングゲーム 「宇宙打(ソラウチ)」の開発・公開 ◆ 各種グッズ・ソフトウェアの提案・作成 天文タイピングゲーム 「宇宙打(ソラウチ)」の開発・公開 プロジェクトリーダー:清水 隆史(元日本大学) ・ 関連画像・イラストを表示し、遊びながら 天文用語に触れる。 ・ ランキング機能/単語ゲット機能を付加し、 遊び要素も重視。 ・ 単語に関する簡単な解説と関連ウェブページ へのリンクも用意し、自発的なさらなる探求も 促すことができる。 公開から10ヶ月で12万アクセス突破 天プラ ウェブページ内で公開中。
【 天文学の普及活動 】 ◆ 各種グッズ・ソフトウェアの提案・作成 Astronomical Toilet Paper (ATP) の開発 ◆ 各種グッズ・ソフトウェアの提案・作成 Astronomical Toilet Paper (ATP) の開発 ・ トイレットペーパーに天文情報を印刷。 ・ 科学館等のトイレに設置、お土産にも。 ・ 試作品第1刷 100ロール→配布&反響を回収 ・ 製品版 10000個 販売完了。追加発注。 → 科学館、オンラインショップで販売。 ・ 複数の新聞、WEBでも報道 ついに完成した ATP 第1号。 分子雲から星が誕生し、惑星を作り、ガスを放出して 死に至る過程をイラストと文章で解説し、輪廻する 星の一生をトイレットペーパー上に再現。 *ATP試作品は、日産科学振興財団 理科・環境教育助成 による助成事業です。
【 普及活動の普及活動 】 ◆ 各種研究会などで発表 若手の会 夏の学校 (2003 / 2004 / 2005) ◆ 月刊天文誌『星ナビ』上でのコラム連載 若手の会 夏の学校 (2003 / 2004 / 2005) 日本天文学会 年会 (2004 / 2005) プラネタリウム関連団体 (JPS / AJPA / プラ研) 総会・研究協議会 (2003 / 2004) 天文教育普及研究会 (2004) IAUアジア太平洋地域会議 (2005)
【 活動の成果 】 アウトリーチ手法として一定の成果あり (特に、ふだん縁がない層に効果あり) ◆ 新聞・TVなど ◆ 雑誌など 毎日新聞、毎日小学生新聞、毎日中学生新聞 産経新聞、読売新聞、東京新聞 NHK首都圏ネットワーク、武蔵野三鷹ケーブルTV 三菱電機DSPACE、Yahoo! Japan 子供の科学、小学館 DIME、サイゾー、Cabiネット アウトリーチ手法として一定の成果あり (特に、ふだん縁がない層に効果あり)
【 活動資金 】 ボランティア活動を支える資金の不足 ・アイディアはあれど、お金はあらず →各種助成金への応募 ・財団法人助成財団センター ・財団法人助成財団センター ・天プラは日産科学振興財団から助成 →基本的に研究者への助成中心 学生や一般の立場からの応募枠拡大を希望 ・自由な裁量で使えるお金を →寄附制度の充実を
【 研究活動との両立 】 普及活動と研究活動 (学生の場合、特に言える事) ・“研究者”は研究が出来てなんぼ ・伝えたいものを持っていないと、浅い ・バランスを取りながらやるのはなかなか大変 →研究活動と普及活動のバランス感覚は大事に →一方で、普及活動も研究活動の一環と見なされるべき 例えば、National Science Foundation (USA)などは、 10%は普及活動に使うことが義務づけられている
【 当事者主権 】 非専門家こそがこれからの主役 ・“必要なサービスを、必要なだけ受ける権利” ・必要なサービスは、非専門家(当事者)こそが知っている →研究者だけが市民を啓蒙するのではなく、 市民も研究者を啓蒙するのが理想 ・様々な立場の人間の協力による科学コミュニケーション 新しい形・発想の普及活動はまだまだ考えられそう!