ぐんま天文台150cm望遠鏡を用いた観測 - 何処まで継続可能か -

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ぐんま天文台150cm望遠鏡を用いた観測 - 何処まで継続可能か - 2010年8月18日 橋本 修, 高橋 英則, 衣笠 健三 ( ぐんま天文台 )

柔軟な運用: 継続観測, 突発天体, 大型サンプル……. 1999年7月開館 11年+ 観測装置の充実 150cm 望遠鏡, 65cm望遠鏡, 観察用望遠鏡, 太陽望遠鏡, etc. GAOES, GLOWS, GIRCS, etc. 約100晩/年 観測可 柔軟な運用: 継続観測, 突発天体, 大型サンプル……. 一方、機器・設備に老朽化が目立つようになってきた 時刻装置の不具合 制御計算機の老朽化、不安定化 各駆動部の劣化 空調設備の劣化 雨漏, 崖崩, 落石, etc.

ぐんま天文台 150cm 反射望遠鏡 + 各種観測装置 CCDカメラ 高分散分光器GAOES ( 黄色い箱 )    波長分解能  R = λ/ δλ~ 100,000 赤外線観測装置GIRCS ( 紫の筒 )  波長 1-2.5μm R = λ/ δλ ~ 900 低分散分光器/撮像装置GLOWS   波長分解能 R = λ/ δλ ~ 400 ( 裏側 )

GAOES Gunma Astronomical Observatory Echelle Spectrograph 分解能 : 75,000 ( スリット幅 1.0 arcsec, 3.2 画素 ) 100,000 ( スリット幅 0.6 arcsec , 2.0 画素, 最大 ) スリット長 : 8 arcsec ( 720 μm ) 検出器 : EEV CCD44-82BI 15 μm × 15 μm 画素 2048 × 4096 画素 冷凍機冷却 エシェル回折格子 : R = 2.8, ~31.6 gr/mm ( ブレーズ角 71 deg ) クロスディスパーザ : (赤) 250 gr/mm ( ブレーズ角 698 nm, 5.0 deg )   (青) 400 gr/mm ( ブレーズ角 415 nm, 4.8 deg )

GAOES による観測例 Be/X-ray binary V725 Tau Metalicity of stars in M45 ε Aur RV Tau type variable 恒星の金属量 炭素星

GLOWS Gunma LOW-resolution Spectrograph and imager Wavelengths : 400 - 780 nm Resolution : 300 ~ 500 Slit width : 1.8 arcsec ( 3 pix ) Slit length : 60 arcsec CCD detectror : SITe 1024 x 1024 pix              ( 24 μm × 24 μm pix ) cooled by LN2 Disperser : grism Calibration lamp : Fe Ar Ne Field of view : 10 arcmin x 10 arcmin Filters : B, V, R, I Spatial resolution : 0.6 arcsec / pix 6

GLOWS による観測例 z = 5.47! SN2006X GRB060927 SN2009dc Var Cas06      ( 多胡イベント )

GIRCS Gunma Infrared Camera / Spectrograph Wavelengths : 1 - 2.5 μm Resolution : 700 ~ 1000 Slit width : 1, 2, 4 arcsec Detector : HAWAII 1024 x 1024 pix              ( 18.5 μm × 18.5 μm pix ) closed cycle cooler 77K Disperser : grisms (for J, H and K bands) Field of view : 6.8 arcmin x 6.8 arcmin Filters : J, H, K, Ks, K’ [FeII], H2, Brγ, CH4, etc. Spatial resolution 0.4 arcsec / pix

上毛新聞 2009-02-05

公共施設のあり方検討委員会 知事の交代 (前知事の事業への批判、廃止を公約) 財政状況の悪化 赤字施設との評価 (3億円 対 500万円) 知事の交代  (前知事の事業への批判、廃止を公約) 財政状況の悪化 赤字施設との評価 (3億円 対 500万円) 存続の検討(博物館や障害者施設等約60施設と共に) 研究機能を放棄すれば経済効率が向上するとする考え方 設立時の基本方針の放棄……….. 今すぐ廃止することを求めないが、経費を削減し、様子を見る。将来の廃止の可能性もある。 この結論に対して知事は激怒したと言われている。 10

群馬県によって「決定」或いは「実行」された」 事項 研究活動から撤退し、教育に主体をおく 2012年度までに人件費を含めた予算を半減する 2012年度までに職員数を半減する 研究職も然り 2009年4月 研究職を2名削減 ( 実施済 ) 2009年4月 長期滞在者用宿舎の廃止 2010年4月 さらに研究職を2名削減( 実施済 ) 2011年4月 さらに研究職を1名(以上?)削減 夜間占有利用の廃止 入館者の増加を実現する イベント, 台外活動の増加 ( 多くは子供向け ) 数値に定量的、客観的評価・根拠なし 11

群馬県によって求められる方向性の特徴 方針は行政(教育委員会)が決定, 上意下達 子供主体。 高等教育, 国際交流には全く興味を示さない。 方針は行政(教育委員会)が決定, 上意下達 子供主体。 高等教育, 国際交流には全く興味を示さない。 むしろ否定的,  或いは無視 研究活動は敵視に近い, 教育と背反すると認識? 知事は個人の研究活動を禁止するとは言っていないと言うが…….. 入館者増に重点, 教育よりもむしろ娯楽化? 150cm望遠鏡の必要性の低下 受付, 清掃業務などの人員も大幅削減 定員削減による移動先は行政職, 非管理職, 研究環境なし もしくは退職   有能な人材から放出 観測研究, 観測実習, 国際共同事業に著しい支障 老朽化する機器, 設備の維持が困難 12

それでも、我々としては何とか150cm望遠鏡の 観測機能を維持・活用したい 協同観測による活用   < 過去の実例 > 国立天文台, 東京大学, 京都大学, 東北大学, 神戸大学, 広島大学, 大阪教育大学, 放送大学, バンドン工科大学, 北京天文台, etc. 「教育」を名目とした観測活動 ( 大学院, 学部等 )    学生や教員は入館者に勘定 ⇒ 観測現場への直接参加 早めの計画確定が重要 ( 最低でも 2 - 3か月前まで )  この望遠鏡の機能を今後も活かすために、 望遠鏡や観測装置ごと何処かの大学や研究施設などに移管、移設することは不可能であろうか………….  13

群馬県知事の発言                    2008-11-11  来年度の予算は、今年度当初予算と比較して約480億円足らない。深刻な状況であり、私もせっかく知事になったのだから、群馬県を守るために思い切った策を行う。ただ、教育として守るべきものは守りたい。しかし、天文台はすぐやめてしまいたい。風呂敷をかけてしまっておきたい。支出がなければよい。10年間の成果で、銀河系の向こうのことを言われても、群馬県には何の得にもならない。国立天文台が欲しいと言ったら、そっくり渡していい。群馬県としてみれば、天文台は国の仕事である。県がやる仕事ではない。県としてやっているのは兵庫県であるが、あそこは子午線がある。だから、象徴的にやっている。群馬がやる意味がない。やめたほうがいい。そのお金を、県の違う分野に振り向けることができる。私が天文台をやめると言ったとしても、反対者は2割もいないと思う。昆虫の森は子どもが来ているから支持者はいる。

ぐんま天文台 本来の理念と基本方針