Geneticsから Epigeneticsへ

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Geneticsから Epigeneticsへ 澁谷 徹 “Tox21”研究所

EEG研究会でのアンケート結果 検出法(8) :牛島先生 発癌との関係(5) :牛島先生 基礎的解説(3) :塩田先生 検出法(8) :牛島先生 発癌との関係(5) :牛島先生 基礎的解説(3) :塩田先生 遺伝・生殖毒性との関連(3):大迫,長尾先生 活性酸素との関連性(3) :葛西,河井先生 (EEG) Genome不安定性(2)? 経世代影響(2) :長尾, 大迫先生 Risk評価、HDAC阻害剤、Epigenetic Toxicology、 (それぞれ1) 投票総数 30

遺伝学と発生学 ● 遺伝学と発生学は別々に発展してきた. “Genetics” VS ” Epigenesis(後生遺伝学)” ● 遺伝学と発生学は別々に発展してきた.     “Genetics” VS ” Epigenesis(後生遺伝学)” ●  “Epigenetics”の概念(Waddington,1942).     「遺伝子と環境との組み合わせによって生物の表現型が決定される」. ●  Watson-Crick のDNAモデル(1953)      DNAの構造決定:「複製と発現」の2面性を明快に説明. ● Genome解析時代 DNA塩基の解読終了→遺伝子数は生物種間でそれほど異ならない. ● 生物の発生は多数の遺伝子の統合的な発現の結果である.        Transcriptome, Proteome dataの蓄積 ●  遺伝学 ⇒ Genetics から Epigenetics へ.    遺伝子の構造解析から発現解析へ ⇒“Post Genome”時代 3

Epigenetics “Epigenetics”は「環境と遺伝子による表現型の修飾である」.      Epigenetic Landscape 〔Waddington, 1942〕 発生過程および個体の生命維持のため,高度に制御された遺伝子発現Systemである.     「ゲノムの高度活用戦略」 〔佐々木裕之,2009〕 生物個体にとっては遺伝子情報の配列以上に,その発現が重要である.

Epigenetic Mechanisms : Peter A. Jones, et al. (Nature, 2008) Non-coding RNAs Epigenetic Mechanisms : Peter A. Jones, et al. (Nature, 2008)

環境エピゲノミクス 臨床医学における[疾患胎児期発症説」 Barker 仮説 (1968) ⇒ 胎児期毒性の重要性 がんの発生機序の解明      ⇒ 胎児期毒性の重要性 がんの発生機序の解明    「がんの発生には突然変異と環境エピゲノミクスが関与.     ⇒ Epimutagenの検出法の確立  経世代影響の存在は?    ⇒ Skinner (2005)論文の衝撃    遺伝子発現の撹乱による毒性の発現の統合的考察        ⇒毒性学は大転換が必要である.         ⇒“Epigenetic Toxicology”の確立へ

Geneticsから Epigeneticsへ Genetics ⇒Mutagenicity⇒Mutagen Epigenetics ⇒Epi-Mutagenicity⇒Epimutagen                   (Holiday, 1990) 化学物質には”Mutagenicity” と “Epi-      Mutagenicityとを持つものが多い.    ⇒Epimutagenの検出法の確立    ⇒これらを合わせて評価する必要がある.

Epi-Mutagenic Potency Epigenetic Toxicologyの概念図 (Shibuya and Horiya,2009) Epi-Mutagenic Potency Biological Time Mutagenic Potency

日本におけるエピジェネテックスの研究体制

人生とは畢竟、遺伝と環境と偶然だ。 (芥川龍之介) 人生とは畢竟、遺伝と環境と偶然だ。 (芥川龍之介)