商法1(企業組織) 2016/01/12 会社法1 第6回
本日のお題 株式の譲渡方法 株主名簿 株式の譲渡制限
株式の譲渡
本来の株式は有価証券たる株券に表章されて流通するもの 株式流通の態様 株券不発行 株券発行 振替なし 振替制度採用 制度の採用手続 なし 発起人全員の同意または 取締役会決議(振替128Ⅱ) ※譲渡制限株式は振替不可 定款の定め (会214) 譲渡の 効力発生要件 意思表示の合致 (会127) 意思表示の合致+ 譲受人振替口座簿の記載 (振替140) 意思表示の合致+株券の交付 (会128) 対会社対抗要件 共同申請による 名義書換 (会130,133ⅠⅡ) 原則として総株主通知 (振替152)による名義書換 少数株主権については 個別株主通知(振替154) 譲受人の請求に よる名義書換 (会130,133ⅠⅡ, 会施規22Ⅱ①) 対第三者対抗要件 (会130Ⅰ) (振替口座簿の記載) ※振替161Ⅲ (株券の所持) ※会130Ⅱ 権利者推定 あり(振替143) あり(会131Ⅰ) 善意取得 あり(振替144) あり(会131Ⅱ) 指名債権的 有価証券法理が支配
株券不発行(振替不採用)会社の株式譲渡 会社 名義書換請求 (原則共同申請) 意思表示の合致 譲渡人 譲受人 株式
株券発行会社の株式譲渡 名義書換請求 (譲受人) ①意思表示の合致 ②株券の交付 譲渡人 譲受人
振替制度採用会社 の株式譲渡 総株主通知 名義書換 ①取引成立 振替機関 発行会社 ②振替通知 (振替132) 振替口座 ③ 振替口座 ③ 商法1(企業組織) 2016/01/12 振替制度採用会社 の株式譲渡 総株主通知 振替機関 名義書換 発行会社 ②振替通知 (振替132) 振替口座 ③ 振替口座 ③ 買 売 甲証券会社 (口座管理機関) 乙証券会社 (口座管理機関) 譲渡人 譲受人 証券取引所 ①取引成立 個別株主通知
株式振替制度の概要 基本的には、銀行の口座振替のイメージ(現金を直接相手方に渡すのではなくて、銀行口座の残高の操作で相手方に金銭が渡るという現象の株式版) 譲受人口座の残高の増加が株式譲渡の効力発生要件(振替140。一般承継等は例外) ※振替の申請は譲渡人側が行う 理論的には超過記載(発行済株式総数を口座の残高総数が超過する)可能性があるが、その場合には振替機関等が株式を取得し権利を放棄して調整(その間は超過分だけ一般株主の権利が縮減)
譲渡以外の移転の効力要件 移転の原因 株券発行会社 振替制度採用会社 株券の交付 振替口座への記録 ①一般承継(相続・合併) 不要 不要と解される ②弁済代位(民500,501) ③詐欺等による取消 ④取得請求権の行使 請求権行使要件(必然的に効力発生要件)(会166Ⅲ) 振替申請が請求権行使要件、振替が効力発生要件(振替156) ⑤取得条項付株式、全部取得条項付種類株式、の取得 効力要件ではないが株券提供と対価交付は同時履行(会219Ⅰ③④、Ⅱ) 効力発生要件(振替157ⅡⅣ) ⑥自己株式の処分 不要(会209、128) 必要?(振替140)
株式譲渡の対抗要件
「対抗要件」の意義 「株式の譲渡の対抗要件」 条文の直接の意味は、株主としての地位が譲渡株主から譲受人に移転したことの対抗要件 実質的には、株主が自らの株主としての地位を主張するための要件 ※株主の地位を対抗する相手方は会社(債務者)とそれ以外の第三者が考えられるが、会社法で重要なのは会社に対する対抗の可否 株式譲渡の対抗要件の具備の方法についてはスライド4参照
対抗要件 一般的な権利 株式における対抗要件 基本的な考え方 制度の多様化 指名債権 ・・・譲渡人による債務者への通知 動産 ・・・占有 指名債権 ・・・譲渡人による債務者への通知 動産 ・・・占有 不動産 ・・・登記 有価証券 ・・・占有 ←有価証券を用いると債務者は債権者が誰であるかを把握する必要がなくなる(省力化に資する) 株式における対抗要件 基本的な考え方 株式(株主権)の性質は指名債権に類似するが、古くから株券を用いた譲渡が行われており、有価証券法理に従って処理(無記名証券) ⇒基本的には証券の占有が対抗要件(民469、会130Ⅱ) 制度の多様化 株券不発行会社 ・・・指名債権的処理 振替制度採用会社 ・・・有価証券的処理
株主名簿 株券による処理の限界 株主名簿制度の採用 制度の趣旨 制度の建て付け 権利行使ごとの株券呈示は困難(会社にとっても煩瑣) 会社側から株主へのアクセスが必要な場面が多くあり、多数の変動する株主を逐次把握する必要 ⇒会社が権利者の情報を一括して管理することが必要かつ有益 株主名簿制度の採用 制度の趣旨 もっぱら会社の事務処理の便宜上の制度 →会130Ⅰ 株券の呈示の代替 ⇒本来は有価証券法理が支配 制度の建て付け 株主の住所・氏名を記録して会社に備付け 会社は株主名簿の情報を基準に事務処理をすれば足りる 株主は株主名簿に登載されないと権利行使ができない
株主名簿
株主名簿 株主名簿の記載 記載事項(会121) 備置き(会125Ⅰ) 記載事項証明発行請求(会122) 株主の氏名・住所 保有株式数 株式取得日 株券発行の場合には株券番号 備置き(会125Ⅰ) 本店または株主名簿管理人の営業所に備置き 記載事項証明発行請求(会122) 株券不発行会社においては株主は株主名簿記載事項を記載した書面の発行を請求可(第三者に対して株主であることを証明でするため)
株主名簿閲覧・謄写請求(会125Ⅱ~Ⅴ) 請求権者 請求拒絶事由(会125Ⅲ) 株主 債権者 親会社社員(裁判所の許可が必要) 正当目的の不存在 不当目的の存在 情報漏洩目的 過去2年内の情報漏洩行為 ※H26改正前には競業関係者からの閲覧請求を拒絶できることとされていたが削除された
株主名簿の効力 株主名簿の効力 有価証券法理 権利者推定(資格授与的効力) 免責的効力 確定的効力(対抗力制限効。会130Ⅰ) ・・・名簿上の株主は権利者の証明(株券の呈示等)をしなくても権利行使可能(会社側が無権利者の証明の責任を負う) ※個別株主通知は例外 免責的効力 ・・・会社は名簿上の株主を株主として取り扱えば、当該人物の無権利を容易に立証できるのに故意または重過失でこれを怠ったのでない限り免責(手40Ⅲ。民478対照)。かつ、株主に対する通知・催告は株主名簿上の住所に宛てて発すれば足りる(会126Ⅰ) 確定的効力(対抗力制限効。会130Ⅰ) ・・・会社は名義書換未了株主については、たとえ権利者の証明があっても株主として扱わなくて良い(or 扱ってはならない)
効力に関する問題点 株券不発行振替不採用会社の名義書換および株主名簿の権利推定効力(資格授与的効力)、免責的効力の存否 ・・・株主名簿制度は株券(有価証券)前提の制度のため、ほぼ指名債権である株券不発行(振替不採用)の株式にはきちんと対応できていない 株主名簿の対抗力制限効の意義 名義書換未了株主による権利行使の可否
株主名簿の効力の基礎 名義書換時の株券・振替口座簿の効力 資格授与的効力 ・・・株券の所持、振替口座簿の記載は当該人物を正当な株主と推定する効力を有する(会131、振替143。なお、手16Ⅰ) ⇒株券所持人、振替口座簿の名義人は自らの権利を証明せずに名義書換請求が可能 免責的効力 ・・・①の人物(形式的資格者)からの請求に応じて名義書換を行った会社は、形式的資格者が無権利者であることを容易に立証できたにもかかわらず、悪意・重過失で名義書換をした場合以外は免責される(=真の株主からの請求に応じる必要がない。手40Ⅲ)
権利行使時の株券・振替口座簿の効力 問題点 資格授与的効力 ・・・株主名簿に登載された人物は正当な株主と推定される(株券の資格授与的効力に由来) ⇒名簿上の株主は自らの権利を証明せずに名義書換請求が可能 免責的効力 ・・・①の人物(形式的資格者)に株主としての権利を行使させた会社は、形式的資格者が無権利者であることを容易に立証できたにもかかわらず、悪意・重過失で権利行使をさせた場合以外は免責される(=真の株主からの請求に応じる必要がない。手40Ⅲ) 問題点 上記の効力は有価証券法理に基づく株券(振替口座簿)の資格授与的効力を根拠とするものであるから、株券不発行振替制度不採用会社の株主名簿については当てはまらない議論
株主名簿の資格授与的効力 株主名簿の趣旨は、権利行使の都度の株券の呈示にかわるものであるから、名義書換時に、一度株券の呈示がされれば、それに基づく株主名簿の記載にも、株券の呈示と同様の資格授与的効力が働き、株主名簿上の株主は、自らの権利の証明なしで(かつ株券の呈示もなしで)権利行使ができる 振替制度採用会社においても株主名簿に資格授与的効力が備わるが、随時の名義書換がないことから、少数株主権については特別な制度(個別株主通知)を用意 ⇒株券不発行振替不採用会社においては、名義書換の時点で、譲受人に権利者推定が働かないから、株主名簿にも資格授与的効力はない(対会社では権利者として推定されるとの説もある)
株主名簿の免責的効力 免責の必要性 会社が真の権利者ではない者の権利行使を認容した場合、本来であれば債権の準占有者に対する弁済(民478)として処理 有価証券の所持人は権利行使者として推定されることから無権利を立証しての支払拒絶は困難であり、そのような債務者に対しては何らかの救済が必要
一般的な免責的効力 手形法における規範 株主名簿における規範 裏書の連続した手形の所持人に対して弁済をした場合、その者が無権利であることが容易に立証できるにもかかわらず、そのことを知り、あるいは容易に知ることができたにもかかわらず敢えて弁済したのでない限り、手形債務者は免責される(手40Ⅲ)。 株主名簿における規範 株主名簿上の株主に権利者推定が及ぶ場合には、その者が無権利であることが容易に立証できるにもかかわらず、そのことを知り、ありは容易に知ることができたにもかかわらず敢えて権利行使を認めたのでない限り、会社は免責される ⇒株券不発行振替不採用会社の株主名簿は資格授与的効力を有しないから免責的効力もないことになる
その他の免責的効力 対抗力制限効の反射的効果 株主に対する通知に関する免責 仮に名簿上の株主が無権利者であり、他に真の株主が存在しても、真の株主は(名義書換未了だから)その地位を会社に対抗できず、会社が名簿上の人物に権利行使させたことについてこれを争うことはできない ※結果的に会社は免責されるが、会130Ⅰの反射的効果であり、手40Ⅲの免責的効力とは別物 株主に対する通知に関する免責 株主に対する通知は名簿上の住所に宛てて発すれば足り、通常到達すべき時期に到達してものと見なされる(会126ⅠⅡ)
株主名簿の効力 株券不発行 振替不採用 株券発行 振替制度採用 名義書換における 資格授与的効力 なし あり (株券の呈示、 会131) (振替口座簿の記載、 振替143) 株主名簿に搭載 されていることによる なし* 会社の免責(手40Ⅲ) (民478で処理) (株券呈示 =権利者推定) (口座簿の記録 名義書換後の株主の 権利行使についての *会社との関係では資格授与的効力を認めるべきとの有力説あり
対抗力制限効(確定的効力) 対抗力制限効か確定的効力か 会社は自らの危険で名簿不登載株主を株主として扱ってよい(対抗力を制限するのみ。判例・通説) 会社は名簿上の株主のみを株主として扱わなければならない(少数説)
対抗力制限効の限界 原告適格との関係 たとえば、名義書換未了株主は株主総会で議決権を行使できず、株主提案権も行使不可(会130)。では決議取消しの訴え(会831)は提起できるか 831条の「株主」は当然に名簿上の株主であり、名義書換未了株主は会社にその地位を対抗できない以上原告適格はない(通説) 831条は「名簿上の株主」とは書いていないし、原告適格は対裁判所の問題であって130条の問題ではない。総会後に株式を取得した株主であっても(名義書換をすれば)決議取消の訴えが可能なのだから、総会に出席できたかどうかも無関係(弥永説) ※たとえば合併で締め出された名義書換未了株主は合併無効の訴えを提起できないのか?
会社による名義書換の懈怠、不当拒絶 懈怠・拒絶した場合の対抗力制限効の主張の制限 どれくらいの期間の懈怠が必要か 会社が名義書換を不当に懈怠した場合には(故意でも過失でも)、株主は名義書換なしで権利行使が可能(最判S41.7.28百-15) どれくらいの期間の懈怠が必要か 信義則説 vs 合理的期間説 名義書換の懈怠と同視できる場合 株主権の所在に争いがあるが、真の株主が容易に権利を立証しうる場合において、会社がその事実を知り、かつそのことを容易に証明できる状態にあり、仮に会社が名義書換を拒絶すれば不当拒絶と評価しうる場合には、名義書換請求前であっても会社に対して株主の地位を対抗できる(名古屋高判H3.4.24)。
株式の譲渡制限
総 論 譲渡制限の種類 法令による譲渡制限 時期による制限 法令に基づく譲渡制限 定款の規定に基づく譲渡制限 契約による譲渡制限 総 論 譲渡制限の種類 法令に基づく譲渡制限 定款の規定に基づく譲渡制限 契約による譲渡制限 法令による譲渡制限 時期による制限 権利株の譲渡は会社に対抗できない(会50Ⅱ、208Ⅳ) 株券発行前の譲渡は会社に対して効力を生じない(会128Ⅱ) ※会社から譲渡を有効と認めることもできない(通説) ※会社が株券発行を遅滞した場合には株券なしで譲渡可、かつ会社に名義書換請求可
時期による制限 自社株式取得の制限 その他の法令による禁止 権利株の譲渡は会社に対抗できない(会50Ⅱ、208Ⅳ) 株券発行前の譲渡は会社に対して効力を生じない(会128Ⅱ) ※会社から譲渡を有効と認めることもできない(通説) ※会社が株券発行を遅滞した場合には株券なしで譲渡可、かつ会社に名義書換請求可 自社株式取得の制限 自己株式取得規制(会155以下) 子会社による親会社取得の原則禁止(会135) その他の法令による禁止
定款による譲渡制限 趣旨 譲渡制限の定め 小規模閉鎖会社における人的要素の重視と投下資本回収機会の確保との調和 全株式に譲渡制限を付す場合(会107Ⅰ①) 株主総会特殊決議(会107Ⅰ①,309Ⅲ①) 種類株式に譲渡制限を付す場合(会108Ⅰ④) 当該種類株式の種類株主総会特殊決議(会324Ⅲ①) 株主総会特別決議(会309Ⅱ⑪〔定款変更だから〕)
譲渡承認手続 手続 決 定 みなし承認 みなし承認 譲渡前 譲渡株主 承認 譲受人に譲渡 不承認 条件決定 価格決定 買取人に譲渡 指定有 145①・規26① 2週間内に書面による (不)承認決定通知なし 145②、規26② みなし承認 40日間書面による条件決定通知なし (買取指定有の場合) 譲渡前 譲渡株主 決 定 承認 136 規26③ 139Ⅱ 請求 通知 譲受人に譲渡 代金未払による解除 140 144 141 不承認 買取 条件決定 通知 価格決定 買取人に譲渡 139Ⅱ 指定有 通知 通知* 譲渡後 取得者 142 137 139Ⅱ 請求 指定無 通知 譲渡の効力不発生 139Ⅰ *指定買取人からの通知
※承認請求者(=譲渡人)は議決権行使不可 譲渡承認の決定機関 定款の定めによる決定機関の変更はより上位の機関に限られる(通説) 指名委員会等設置会社において、決定を執行役に委任することはできない(会416Ⅳ①) 取締役会非設置会社 取締役会設置会社 譲渡承認 (会139Ⅰ) 原則 株主総会普通決議 取締役会決議 定款の定め 株主総会決議 (要件の加重のみ可) 会社による買取り (会140ⅡⅢ) 株主総会特別決議 ※承認請求者(=譲渡人)は議決権行使不可 不可 指定買取人による買取り (会140Ⅳ)
留意点 一人会社株主が譲渡制限株式を譲渡する場合には、所定の譲渡承認決定がなくても、株式譲渡は会社に対して有効(最判H5.3.30百-18)。総株主の同意がある場合も同様(最判H9.3.27民集51-3-1628〔有限会社〕) 譲渡制限株式に担保権(質権など)を設定する場合には会社の承認は不要。担保権を実行して株主権が移転する段階で承認請求(譲渡担保については争い有り) 譲渡承認の決定は請求のあった株式全部に対して行い、一部についてのみ承認することは許されない 会社買取りの場面において、財源規制のために一部株式の買取りができない場合、すべての株式について譲渡を承認するか、指定買取人を指定する 譲渡承認請求の撤回は、条件決定の通知(会414)の受領前は自由、受領後は会社の同意が必要
承認のない譲渡制限株式の譲渡の効力 当事者間においても、会社との関係においても譲渡の効力は生じない(絶対的無効説) 当事者間では株式譲渡の効力は有効に発生するが、会社との関係では効力を生じない(相対的無効説。判例・多数説。最判S48.6.15百-19) 当事者間では株式譲渡の効力は有効に発生するが、会社に対しては譲渡を対抗できない 当事者間、対会社ともに譲渡は有効。ただし承認を得ない限り名義書換請求は行えない(有効説。立案担当者、有力説) ⇒条文の作りはd.の見解と整合的。ただし、未承認、名義書換未了の状態で、会社が任意に譲受人を株主と認めることが可能になるのではないかとの疑問あり
契約による譲渡制限 契約による譲渡制限の可否 会社との契約による譲渡制限 一定の範囲では認められると解されている 肯定の根拠 否定の根拠 契約自由の原則(当事者の合意があるのでよい) 会社からの離脱を縛る実際上の必要性が生じる場面がある 否定の根拠 株式譲渡自由の原則の潜脱 弱い立場の株主が不利な立場に置かれる可能性が高い 会社との契約による譲渡制限 原則として無効だが、株主の投下資本の回収を妨げない合理的な制限であれば例外的に有効(通説) ※譲渡制限の導入規整の潜脱になるから
株主間契約による譲渡制限 従業員持株制度 制度の概要 従業員持株会の性質 原則として有効だが、譲渡制限制度に対する規整の潜脱となる場合には例外的に無効 ※契約自由の原則が働くから 従業員持株制度 制度の概要 従業員に対して会社が奨励金を支出するなどして取得を支援 従業員は従業員持株会等を通じて株式を購入(購入株式の譲渡の可否や議決権行使方法などは持株会規約で決定) ※持株会が取得する場合と信託銀行に委託する場合がある 退職したときには、持株会規約に従い株式を処分(保有できる会社もあれば取得時の価格で売り渡す規定の会社もある) 従業員持株会の性質 民法上の組合(証券業協会ガイドライン)、権利能力なき社団、任意団体等の可能性
制度の問題点 強制売渡条項の効力 制度の趣旨 退職時に売渡しを強制する条項の効力 従業員持株制度は経営者による安定株主工作であり、奨励金の支出は会120違反なのではないか ⇒福利厚生目的であれば利益供与にはあたらない 退職時に売渡しを強制する条項の効力 持株制度のなかには、退職時には指定価格で指定された者に株式を売り渡すことを強制する条項が含まれることが多い。この規定の効力如何 強制売渡条項の効力 売渡しの強制 ・・・必ずしも株主の不利益ではない(閉鎖的会社の場合は特に) 売渡先の指定 ・・・閉鎖的な会社においては株主構成の維持の利益が考慮されるから必ずしも不当ではない 取得価格での売却 ・・・売却価格の事前の合意自体は(算定が合理的であれば)違法ではない。キャピタルゲインの取得を否定する内容であれば無効の可能性(最判H7.4.25百-21)