ステップガーデンを有する建物と その周辺市街地の熱環境実測

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Presentation transcript:

ステップガーデンを有する建物と その周辺市街地の熱環境実測 『ステップガーデンを有する建物とその周辺市街地の熱環境実測』について発表します。 1983114 安藤 裕也

研究目的 ヒートアイランド対策として屋上緑化が注目 外部環境に対する効果について明確にされているものは少ない しかし 昨年の研究に引き続きステップガーデン(S.G.)を有する建物を対象に実測を行った そこで 近年、ヒートアイランド対策として屋上緑化が注目されています。 しかし,その外部環境にもたらす効果について、明確に示されているものは少ないといえます。 そこで昨年の研究に引き続き福岡市内の中心部に存在する階段状の緑化屋根スペースを有する建物について実測を行いました。 以下、階段状緑化屋根スペースをステップガーデンとします。

・ 比較対照としての市街地の測定は行っていない 昨年の研究では 日中における植栽からの蒸発散による効果 夜間には放射冷却による斜面冷気流の発生 周辺の暑熱環境の緩和に貢献 しかし ・ S.G.内は西側の限られた一部のみを測定 ・ 比較対照としての市街地の測定は行っていない そこで ・ 周辺市街地の熱環境の分布の把握 ・ S.G.内に多数測定点を設け、気流場 と熱環境の分布を把握 昨年の測定では、日中における植栽からの蒸発散による効果と、夜間には放射冷却による冷気流の発生が確認され、ステップガーデン周辺の暑熱環境の緩和に貢献していると考えられました。 しかし昨年の測定は、比較対照としての市街地の測定は行っておらず、ステップガーデン内においても西側の限られた一部のみを測定した結果です。 よって今回は、周辺市街地に気温の測定点を設け熱環境の把握をし、ステップガーデン内は気温・顕熱流束・風向・風速の測定点を多数設け、気流場と熱環境の分布の把握を目的としました。

34° 98m アトリウム 東 川 西 道路 ステップガーデン 市街地 周辺 公園 南  アクロス福岡全景

測定概要 測定期間:2001年8月17日~25日 S.G.内の熱環境・ 気流場の測定点 周辺市街地の 気温測定点 N 屋根伏図と各種測定点 周辺市街地の  気温測定点  屋根伏図と各種測定点 12F 13F 11F 10F 9F 8F 7F 6F 5F 4F 3F 2F 1F 屋上 西 東 風向:屋上 日中:北西 夜間:南西 測定点 風向・風速 顕熱流束 気温  周辺市街地気温測定点 N 0m  100m c1 a3 b2 a1 b1 a4 a2 b4 b3 c2 c4 c3 d2 d1 d4 d3 市街地 公園・川 対象建物 公園 川 道路 次に測定概要を説明します。 今回の、測定の期間は2001年8月17日~25日です。 ステップガーデン内には、熱環境・気流場の把握のために、顕熱流束・風向・風速・気温の測定点を設けています。 また、周辺市街地には、熱環境を把握し周辺との位置付けをするために、気温の測定点を設けています。 今回はデータの揃っている、22日のものを使用します。

風向:屋上は北西、西側は西向き、東側は南向き 日中の顕熱流束・気温   風向:屋上は北西、西側は西向き、東側は南向き 西 東 平均気温 顕熱流束 顕熱流束 ・ 西側に多少ばらつきが 気温 ・ 西側が日中最大1℃ あるものの、平均的にみると西側が高い 近く高い 次に測定結果を発表します。 まず、ステップガーデン内の熱環境実測の結果がこのグラフです。 このグラフは、測器を設置した東西各階の顕熱流束と気温の時間変化を示したものです。 グラフを見ると、顕熱流側の場合は、西側には多少ばらつきがみられるが、平均的に見ると東側より西側のほうが高い値を示しています。 また、ステップガーデン内の平均気温をみると、西側が日中最大1℃近く高いことがわかります。 これは、ステップガーデンの西側に交通量の多い幹線道路があり、また東側には冷気のたまりやすい川があるため、この影響を受けたものと考えられます。 このように、ステップガーデン内においても東西で熱環境に差が確認されました。 ・ 西側:交通量の多い幹線道路 ・ 東側:冷気のたまりやすい川 この差が影響!!

夜間の斜面と平行な成分の風速 ・ 上層階は吹き上げ ・ 中層階は風が弱い ・ 下層階は吹き降ろし 上層階 中層階 下層階  夜間の斜面と平行な成分の風速 下層階 中層階 上層階 吹き上げ  吹き降ろし ・ 上層階は吹き上げ ・ 中層階は風が弱い ・ 下層階は吹き降ろし 続きまして、ステップガーデン内の気流場の測定結果を発表します。 このグラフは、スタップガーデンの斜面と平行な成分の風速の時間変化を示し、風速がプラスのときは、斜面に対して吹き上げの風、マイナスのときは吹き降ろしの風を意味しています。 このグラフみると、同じ時間で上層階では吹き上げの風、中層階では弱い吹き上げの風、下層階では吹き降ろしの風になっているのがわかります。 これは、夜間放射冷却が起こり、上層階にあった冷気の塊が斜面を下り、下層部では冷気流になったものと考えられます。 このように、ステップガーデン内の気流場においても、上下で違いが確認されました。

夜間の斜面と平行な成分の風速 ・ 上層階は吹き上げ ・ 中層階は風が弱い ・ 下層階は吹き降ろし ・ 夜間の放射冷却により冷気が発生  夜間の斜面と平行な成分の風速 吹き上げ  吹き降ろし S.G.における冷気流の概念図 ・ 夜間の放射冷却により冷気が発生 ・ 冷気の塊が斜面を下り、冷気流となった ・ 上層階は吹き上げ ・ 中層階は風が弱い ・ 下層階は吹き降ろし 続きまして、ステップガーデン内の気流場の測定結果を発表します。 このグラフは、スタップガーデンの斜面と平行な成分の風速の時間変化を示し、風速がプラスのときは、斜面に対して吹き上げの風、マイナスのときは吹き降ろしの風を意味しています。 このグラフみると、同じ時間で上層階では吹き上げの風、中層階では弱い吹き上げの風、下層階では吹き降ろしの風になっているのがわかります。 これは、夜間放射冷却が起こり、上層階にあった冷気の塊が斜面を下り、下層部では冷気流になったものと考えられます。 このように、ステップガーデン内の気流場においても、上下で違いが確認されました。

S.G.と周辺市街地との気温差 N c1 a3 b2 a1 b1 a4 a2 b4 b3 c2 c4 c3 d2 d1 d4 d3 0m  100m c1 a3 b2 a1 b1 a4 a2 b4 b3 c2 c4 c3 d2 d1 d4 d3  最高気温地点c4  最低気温地点d3  市街地  アクロス福岡  公園・川 続きまして、ステップガーデンと周辺市街地との気温差について発表します。 このグラフは、ステップガーデンと周辺市街地との気温差の時間変化を示しています。 これは、アクロス福岡を囲む、周辺市街地を市街地と公園・川に大きく分けたものと、気温測定点の中で最も高い値のc4、最も低い値のd3をステップガーデンを比較したものです。 このグラフをみると、市街地は気温が高い傾向がみられ、公園・川は気温が低いことがわかります。 また、ステップガーデンと最高気温地点c4は最大1.6℃、最低気温地点d3は最大0.8℃の差があります。 これにより、ステップガーデンは市街地より気温が低く、公園・川より気温が高いことがわかりました。

S.G.と周辺市街地との気温差 ・ 市街地はS.G.より気温が高い傾向 ・ 公園・川はS.G.より気温が低い 最大1.6℃ 最大0.8℃ ・ 市街地はS.G.より気温が高い傾向 ・ S.G.と最高気温地点c4の差は最大1.6℃ ・ S.G.と最低気温地点d3の差は最大0.8℃ ・ 公園・川はS.G.より気温が低い 続きまして、ステップガーデンと周辺市街地との気温差について発表します。 このグラフは、ステップガーデンと周辺市街地との気温差の時間変化を示しています。 これは、アクロス福岡を囲む、周辺市街地を市街地と公園・川に大きく分けたものと、気温測定点の中で最も高い値のc4、最も低い値のd3をステップガーデンを比較したものです。 このグラフをみると、市街地は気温が高い傾向がみられ、公園・川は気温が低いことがわかります。 また、ステップガーデンと最高気温地点c4は最大1.6℃、最低気温地点d3は最大0.8℃の差があります。 これにより、ステップガーデンは市街地より気温が低く、公園・川より気温が高いことがわかりました。

ただし、冷気流については昨年のようなS.G.全体での発生は確認されず!! まとめ ・ S.G.の斜面からの顕熱量、気温の分布を把握 ・ S.G.の気温は市街地より低く、公園・川より高い ただし、冷気流については昨年のようなS.G.全体での発生は確認されず!! それは ・ 夜間の放射冷却が弱かった ・ 一般風が比較的強く、温度差によってできた冷気 ・ 現場の制約から測定高度を樹冠上としたため、表  が撹拌され打ち消された 面近くに発生した冷気流を十分捕らえられなかった 最後に測定結果のまとめを発表します。 今回の測定では、ステップガーデン内の斜面からの顕熱量・を気温の分布を把握することができました。 また、ステップガーデンの気温は市街地より低く、公園・川より高いことがわかりました。 ただし、冷気流については昨年のような明確な発生は確認されませんでした。 その理由は、いくつか挙げられますが、一つは夜間の放射冷却が弱かったため、冷気流が自体があまり発生しなかったのではないかと考えられます 他には、一般風が強く、気温と地表面の温度差によってできた、冷気が打ち消された、また現場の制約から測定高度を樹冠上としたため表面近くに発生する冷気流を十分観測できなかったとも考えられます。