周術期口腔機能管理の実態は?.

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老後をみんなで考え、共に生きるためのシンポジウム
居宅介護支援事業所.
平成26年度 診療報酬改定への要望 (精神科専門領域) 【資料】
後期高齢者医療制度に関するQ&A Q1 後期高齢者医療制度は、なぜ創設されるのですか? ○ ○
重症心身障害児者等 コーディネーター育成研修 3 支援体制整備③ 医療・福祉・教育の連携
全身倦怠感 全身倦怠感はさまざまな病気にみられます 疲れやすい… だるい…
第2回 病院内で行う抗がん剤・放射線治療時の口腔ケア
第3回はままつCDE研究会 アンケート集計結果
平成25年6月7日(金) 医療保健政策区市町村包括補助事業 台東区 口腔ケア連携推進事業 台東区健康部健康課.
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後期高齢者医療制度では、生活を支える医療を目指します。
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治療法は主に手術、薬物療法、放射線治療があります。
検体採取等に関する 厚生労働省指定講習会(主催:日臨技) 実施要項①
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アンケート② 病棟体制.
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不眠の症状は4タイプあります 入眠障害 寝つきが悪い ぐっすり眠れない 中途覚醒 夜中に目が覚めてしまい その後なかなか眠れない 早朝覚醒
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第16回 福岡NST研究会 「嚥下障害者の栄養管理と 嚥下調整食学会分類2013について」 教授 栢下 淳 先生 一般演題 特別講演
退院後を支えてこそ 医療連携から地域連携へ
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口の中をみる 常に口腔の健康管理を! 口腔ケアの充実 歯科 歯科疾患予防+誤嚥性肺炎予防+食支援 最期まで「口から食べること」を支えるために
高齢者の救急搬送に係る意見交換会 資料7 1 意見交換会開催に至る経緯と今年度の取り組み  平成26年度    病院連絡会議にて,高齢者の救急搬送に関して,患者及び家族の延命治   療の希望確認ができているかの課題提起がなされた。  平成27年度   (1)介護サービス事業者協議会主催研修会および施設ごとの講演会の開催.
1年目(28年度)の取り組みから そこで2年目(29年度)は 要介護状態が悪化している方の再発予防は難しい
YMCA訪問看護ステーション・ピース 第2回 小児研修会のご案内
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当院からのご案内 ★当院は中国四国厚生局から指定を受けた保険医療機関です。 ・ 個人情報保護法を順守しています 歯科疾患管理料について
4.生活習慣病と日常の生活行動 PET/CT検査の画像 素材集-生活習慣病 「がん治療の総合情報センターAMIY」 PET/CT検査の画像
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大阪府健康づくり推進条例の概要について (1) 条例制定の背景・必要性 (3) 条例案の概要 (2) 条例制定のポイント
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資料②-1 資料3 在宅医療を支える   後方支援体制について 地方独立行政法人 りんくう総合医療センター 地域医療連携室長  中西 賢.
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千葉県脳卒中連携意見交換会 MSW部会 倉石 智穂 (公益財団法人日産厚生会佐倉厚生園病院)
オフィス藤田 グループホーム燦々(さんさん) 看護師 介護支援専門員 古城順子
今後めざすべき基本目標 ―「ケアの流れ」を変える―
外来化学療法室におけるSTAS‐Jの活用と今後の課題
今後構築する各国立高度専門医療研究センター(NC)の疾患登録システム
     【症例2:91歳女性】  認知症、胆管がん 20XX年 1月(90歳): ・アルツハイマー型認知症の疑い、骨粗鬆症、変形性膝関節症で近医にて加療 ・黄疸のため近隣の病院にて入院加療。胆管ステント留置し退院 ⇒加療が奏功し、全身状態は比較的安定 ・サービス付き高齢者向け住宅に入所し療養 ・廃用により体幹・下肢筋力低下。ほぼベッド上での生活。移動はストレッチャ型車いす.
表1.入院医療から在宅療養への移行期での評価
口腔保健支援センターの歯科保健指導の業務カタログ
在宅医療施策の取組状況と今後の展開(案)
緩和ケアチームの立ち上げ (精神科医として)
1. 糖尿病の合併症としての 性機能障害 2. 性機能障害と糖尿病治療 3. 性機能障害、とくにEDの 原因について 4.
「効率的で質の高い医療提供体制の構築」と「地域包括ケアシステムの構築」(車の両輪)
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
目 次 第1章 大阪府保健医療計画について 1.医療計画とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
三重大学医学部附属病院 総合診療部 竹村 洋典
在宅医療をご存じですか? 編集:○○○○○ 訪 問 診 療 往 診 在宅医療を利用できる方(例) 在宅医療で受けられる主なサービス
千葉大学予防医学センター 臨床疫学 藤田伸輔
がん患者さんをどのように サポートするか? 日程 時間 場所 11/25(日) 第1部 10:00~ 第2部 13:00~
私のカルテ 発熱性好中球減少に対する予防的G-CSF製剤使用のための地域連携パス(通称:G連携)
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周術期口腔機能管理の実態は?

医科歯科連携がうまくいっている?事例 8020推進財団 医科歯科連携事例集より 医科歯科連携がうまくいっている?事例 8020推進財団 医科歯科連携事例集より 岩手県: 岩手県歯科医師会としてのNST 連携の推進 県立二戸病院との円滑な連携による二戸歯科医師会の院内NST への参加 地域急性期病院でのNST 回診に歯科医師会が参画した取り組み(奥州市歯科医師会) 広島県: 回復期リハビリテーション病院歯科が中心となる病診連携への取り組み 千葉県:   ㈳柏歯科医師会が主体となり、慈恵医大柏病院・市立柏病院と地域歯科医院との円滑な連携によるシームレス口腔ケアへの取り組み ー歯科を併設していない病院における口腔ケア連携システムの構築̶ 香川県:   香川県歯科医師会と香川シームレスケア研究会との連携による地域連携クリティカルパスへの歯科の参加 長崎県:   長崎デンタルネット 大分県:   ゆふ医科歯科連携(筆者追加事例) 静岡県:   県西部浜松医療センターと浜松市歯科医師会との連携によるPEG患者への地域連携口腔ケアの取り組み

病診連携に向けての5つのTips 地域の医療資源を点検する 病院のキーパーソンをつかむ 連携方式を選択する 連携体制を整備する 看護師との協力関係をつくる 8020推進財団 医科歯科連携事例集より

新しい組織をつくる必要条件 目的がはっきりしていること 牽引車となる人が必要(誰かが龍馬に) 最後にシステム作り(次代への引き継ぎ)

「医科歯科連携」の目的をあらためて考えてみよう! 国民の健康長寿のため 国民が病気になったとき、すみやかに治癒せしめるため 国民が要介護となった場合、悪化を防いだり、在宅介護を支えるため

どうすれば進む?医科歯科連携 ー今でしょ!編ー とにかく病院に行ってみること まずはお見合いの機会を:各市町村で三師合同研究会を開催すること 一度面識ができたら、共通の患者さんについてすぐに電話をする関係をつくること 機会のあるごとに歯科の立場を説明し、相手の話も聞いて勉強すること 在宅訪問診療の際は、主治医(医科)の先生と必ず連絡を取ること 歯科医はだれもが一度介護認定審査員になること お互いがわかり始めてきたらシステムをつくること 病院の場合、標榜科が無理なら歯科衛生士を雇用してもらうこと

院内歯科診療マニュアルの作成 システム化して院内歯科診療を行うことが重要 院内外医療者の役割分担の明確化 今までの経験を踏まえて,なるべく具体的に実施内容を明文化 院外歯科医師とも話し合ってマニュアル内容を検討 2013年11月18日の歯科医師会との会議により最終的な内容を決定し完成 医師への通知徹底(医局会での説明等)

茨城県立中央病院歯科診療マニュアル 1 目的    当院を受診する患者の口腔機能を管理することにより,あらゆる疾患において,より質の高い医療の提供を目的とする. 2 歯科科診療実施関係者 茨城県立中央病院医師 茨城県立中央病院看護師 茨城県立中央病院歯科医師(非常勤) 茨城県立中央病院歯科衛生士 茨城県立中央病院地域医療連携室 茨城県立中央病院医事課 茨城県歯科医師会会員 茨城県病院歯科医会会員 その他上記目標に賛同する医療従事者 3 実施体制    主治医または看護師の要請により,歯科医師(非常勤),摂食・嚥下障害看護認定看護師,歯科衛生士が中心となり,近隣の歯科医師会会員と連携しつつ対応する.

茨城県立中央病院歯科診療マニュアル 実施内容 入院患者における歯痛,歯周病急性発作,義歯不適合などの歯科トラブルに対する処置 入院患者における歯科疾患の診断 入院患者における歯科治療相談 入院患者への口腔ケア介入 入院予定患者への歯科受診励行 外来がん治療患者における歯科受診励行 退院後の歯科治療の推進

茨城県立中央病院歯科診療マニュアル 茨城県歯科医師会連携登録歯科医 (1) 入院前患者の自院での歯科治療および口腔ケア  (1) 入院前患者の自院での歯科治療および口腔ケア  (2) 外来がん治療患者の自院での歯科治療および口腔ケア  (3) 情報提供書等の作成と県立中央病院への連絡  (4) 退院後の自院での歯科治療および口腔ケア

茨城県立中央病院歯科診療マニュアル 入院患者往診登録歯科医(東西茨城)またはかかりつけ歯科医 地域連携室からの依頼を原則受ける 歯科往診の日時を決定し,地域医療連携室と調整する 当院歯科衛生士,摂食・嚥下障害看護認定看護師もしくは主治医,病棟看護師等の立会いの下で治療する 院内継続治療の場合は,その旨を病棟看護師に伝え日時調整する 歯科会計書の作成と患者本人または家族への説明

がん治療をサポートするための連携を 意識したシステム作り 患者の治療参加の意欲向上 患者 主治医 地域医療連携室 院外 歯科医師 訪問当番 非常勤歯科医師 OST(摂食機能障害看護専門看護師,歯科衛生士) 看護師 口腔内観察 医科歯科連携推進 セルフケア援助 周術期口腔ケア 口腔の定期的観察と口腔清掃 入院中歯科トラブル対処 口腔疾患診断 観血的処置 当番医への依頼

医科歯科連携を必要とする主な疾患や治療法               おもに医科から歯科へ                  おもに歯科から医科へ がん 糖尿病 睡眠時無呼吸症候群 誤嚥性肺炎 摂食嚥下障害 心内膜炎 掌蹠膿疱症 不明熱 骨粗鬆症(BP製剤、デノスマブ投与中) 抗血栓療法 Ca拮抗剤による歯肉増殖症 非定型顔面痛 口腔乾燥症(薬剤性、シェーグレン症候群) 口腔心身症 金属アレルギー 歯科補綴物誤嚥

虚弱予防達成への新たな創造:有機的に持続可能な形での達成へ 東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢 先生のご厚意による 医科 歯科 栄養 医科側が早期からの口腔管理の重要性を再認識 国民目線として分かりやすい概念と基準値 国民に一番近い存在(地域リーダー等)が普段の生活の延長線上で有効的な健康増進活動に取り組む スクラムを組んだ骨太の共同研究とメッセージ発信

高齢者に多くみられる疾患 高齢者に多い疾患 高齢者特有の疾患 悪性腫瘍 高血圧症 糖尿病 心疾患 虚血性心疾患 不整脈 脳血管障害 高脂血症   高齢者に多い疾患   高齢者特有の疾患 悪性腫瘍 高血圧症 糖尿病 心疾患    虚血性心疾患    不整脈 脳血管障害 高脂血症  歯周病 老年期認知症 老年期うつ病 パーキンソン病 骨粗しょう症 前立腺肥大 老年期白内障 老年期難聴

フレイル サルコペニア:加齢性筋減弱きている現症  加齢に伴うホルモン分泌機能低下,神経ー筋系の機能低下,アポトーシスによる筋繊維の減少とサイズの委縮等による.    ロコモティブシンドローム  運動器の衰え・障害(加齢や生活習慣が原因といわれる)によって、要介護になるリスクが高まる状態のこと フレイル  フレイルは「虚弱」を意味する英語「frailty」からきている.健康と病気の中間的段階で,75歳以上の多くは,この段階を経て要介護状態に陥るとされている.たんぱく質が必要!

歯科医師は何を勉強すべきか? 高齢者の特性を知ること いわゆるコモンディジーズと言われる疾患の内容を知ること 他職種との会話のために必要な最低限の専門用語や投薬、検査内容を知ること 全身的疾患と口腔症状について熟知すること 在宅などで全身状態が急変した時などの対処法を熟知していること 以上を踏まえたうえで、レベルの高い歯科治療ができること、とくに有床義歯については必須(嚥下はできる人がやればよいのでは) そして、チーム医療ができる社交性と人間性を!

米国小児科学会 (AAP) 推奨①:全ての小児に対して生後6か月までに口腔内の健康状態を評価すること 推奨②:1歳までに歯科医を受診させること 支持:アットリスク児にフッ化物塗布を行うこと

どうすれば進む?医科歯科連携 ーちょっと将来編ー 卒前教育から:岩手医大なら今すぐできる 子供の医療費がかからない今がチャンス:小児科と連携して健康教育ができる 家庭内暴力など社会的問題での連携も大事 健康長寿の秘訣は歯科医療にありと医療介護職だけでなく一般国民にも受け入れてもらうこと