今後の名古屋港 名古屋市立大学経済学部 川端ゼミ 2014年度中部経済学インターゼミ 2014年12月6日 富山大学
研究の背景と目的 国際経済を学んできた中で、地元名古屋で世界各国と関わっている名古屋港について研究することにした。 日本一の規模を誇る名古屋港、その設備やシステム、また独自の特徴がないか調べ、現状とその問題点を明らかにすることで、改めて『名古屋港』の実力、未来を再認識する。 目的:日本の主要な貿易港であり、愛知県の 海の玄関口である名古屋港の 現状とその問題点を明らかに することで、 改めて『名古屋港』の実力、未来を 再認識するためである。
目次 Ⅰ 名古屋港の現状 1.規模・設備から見る名古屋港 2.データから見る名古屋港 3.工業港としての魅力 Ⅱ 問題点とその解決 1.No.1だからこその… 2.施策展開に向けてのポイント 3.解決策 Ⅲ まとめ
Ⅰ名古屋港の現状
1.規模・設備から見る名古屋港 広さ 陸域 4215万㎡ 、水域 8185万㎡ →日本最大規模 ・設備 金城ふ頭、飛島ふ頭など19のふ頭 13バース28基のガントリークレーン IT自動化コンテナターミナル 4基の火力発電所 広さ ・総面積は名古屋市のほぼ3分の1(陸域 4215万㎡ 、水域 8185万㎡) ・名古屋市、知多市、東海市、弥富市、飛島村の4市1村にまたがる ・日本最大規模の港 設備 ・主に、金城ふ頭と飛島埠頭と弥冨埠頭と鍋田埠頭など19のふ頭から構成される ・13バース28基のガントリークレーンが24時間体制で動く ・IT自動化コンテナターミナル ・火力発電所4つ
港湾の岸壁に設置されてコンテナなどの貨物の積み卸しを行うクレーン
2.データから見る名古屋港 2013年 名古屋港貿易概況 2.データから見る名古屋港 2013年 名古屋港貿易概況 2010年以来貿易額4年連続日本一 全国では過去最大の貿易赤字 一方で名古屋港は1998年以来16年連続の貿易黒字額日本一を記録
5大港比較(貿易額) 億円 約13.5兆円 貿易額(2011年) 貿易額(2011年)
億円 (2011年) (2011年)
5大港の場所 規模の大きな港は 日本海側より太平洋側に集中 東京港 横浜港 名古屋港 大阪港 神戸港 5大港 名古屋港 神戸港 大阪港
港湾取扱貨物量ランキング(2012) 順位 港湾名 総貨物量 輸出 輸入 1位 名古屋 20,256 5,483 8,467 2位 千葉 15,204 821 8,187 3位 横浜 12,139 3,313 4,478 4位 苫小牧 9,941 87 1,609 5位 北九州 9,884 695 2,567 全体で見ても名古屋港は総貿易額・貨物量ともに日本一で、自動車の輸出入に大きく依存していることがわかる。 名古屋港の輸出は 自動車51.5% 自動車部品18.5% 横浜港の輸出は 自動車36.7% 自動車部品17.9% 単位:万t
経済波及効果(名古屋港の) 合計約37兆円 愛知県内約31兆円 愛知県外約6兆円 愛知県生産額の 約79兆円の40%に相当 愛知県内約31兆円 愛知県外約6兆円 愛知県生産額の 約79兆円の40%に相当 県税 1830億円(県税の約33%) ・名古屋港が日本全国にもたらす経済波及効果は、約37兆円 ・名古屋港の経済活動による雇用創出効果は、全国で約146万人 愛知県内の内訳 名古屋市10.3兆円 尾張4.8兆円 西三河15.4兆円 東三河0.5兆円
雇用創出効果(名古屋港の) 合計146万人 愛知県内 約111万人 愛知県外 約35万人 (因みに 愛知県の就業者数→約380万人)
工場立地 2007 2008 2009 2010 2011 1位 静岡(124) 静岡(144) 兵庫(54) 群馬(50) 兵庫(56) 工場立地件数(上位3都道府県) 2007 2008 2009 2010 2011 1位 静岡(124) 静岡(144) 兵庫(54) 群馬(50) 兵庫(56) 2位 愛知(98) 兵庫(102) 茨城(50) 愛知(47) 愛知(43) 3位 群馬(98) 兵庫(44) 静岡(37) 〔〕は工場立地件数 ・東海地域は、東京圏や大阪圏と比べ、地価が安く、企業が立地しやすい環境が整っている。 …らしい
≪名古屋港の日本一≫ 総取扱貨物量 1億8600万トン [2002年から10年連続] 2位 横浜港1億2100万トン 外貿取扱貨物量 1億2950万トン [2000年から12年連続] 横浜港8080万トン 外貿コンテナ貨物量 4614万トン [2011年から2年連続] 東京港4467万トン 貿易額(港湾) 13兆4500億円 [2010年から2年連続] 東京港12兆8500億円 貿易黒字額 4兆6800万円 [1998年から14年連続] 横浜港3兆2400億円 完成自動車輸出台数 135万台 [1978年から33年連続] 横浜港71万台 〔2位:横浜港1億2,100万トン〕 〔2位:横浜港8,080万トン〕 〔2位:東京港4,467万トン〕 〔2位:東京港12兆8,500億円〕 〔2位:横浜港3兆2,400億円〕 〔2位:横浜港71万台〕 総取扱貨物量 1億8600万トン 〔2002年から10年連続〕 外貿取り扱い貨物量 1億2950万トン 〔2000年から12年連続〕 外貿コンテナ貨物量 4614万トン 〔2011年より〕 貿易額(港湾) 13兆4500億円 〔2010年から2年連続〕 貿易黒字額 4兆6800万円 〔1998年から14年連続〕 完成自動車輸出額 135万台 〔1978年から33年連続〕 などなど などなど
3.工業港としての魅力 シーアンドエアー 自動車の輸出入 世界の21の国や地域、93の港と結ばれている 日本初の自動化ターミナル 日本の全港湾の貿易黒字の約6割を担う 輸入から加工、生産、輸出まで一括して行う ・シーアンドエアー ・自動車の輸出入 ・世界の21の国や地域、93の港と結ばれている ・日本初の自動化ターミナル ・名古屋港は日本の全港湾の貿易黒字の約6割を担う ・輸入から加工、生産、輸出まで一括しておこなう
シーアンドエアー 航空輸送と海上輸送の連携による輸送形態 その中でも僕たちはシーアンドエアーというシステムに着目しました。 シーアンドエアーとは2005年の中部国際空港セントレア開港によって実現された航空輸送と海上輸送の連携による輸送形態のことです。 図の航空機メーカーの例で説明しますと、臨海部に立地する製造メーカーでは、名古屋港経由で輸入した資材と国内部品を用いて港付近の工場で製造し、 再び海上輸送でセントレアへ運んだ後、貨物専用機で海外に空輸するという方式を取っています。 このようにシーアンドエアーは、航空輸送の迅速性と海上輸送の大量輸送や低コスト、両方のメリットを組み合わせ最適なスピード・コストでの輸送を実現しました。
シーアンドエアー(続き) さらに、日本の中央に位置し、様々な幹線道路につながる名古屋は、ロスの少ない海陸一貫輸送を実現しています。 東名・名神高速道路をはじめ、中央・北陸・東海環状自動車道などの充実したネットワークは中部圏だけでなく 東西の経済圏への輸送もカバーできるようになっています。 また、港内にインターチェンジがある伊勢湾岸自動車道は、東名高速道路、東名阪自動車道、名古屋第二環状自動車道と接続されています。 港の中を高規格幹線道路が通ることにより、臨海部での生産・物流の最適化を図ることができます。
ど真ん中のメリット シーアンドエアー 港内を走る高規格幹線道路 →陸・海・空の最適輸送選択が可能となった。 →コスト・時間削減 “名古屋港だけの優位性” 名古屋港の物流は、シーアンドエアーや港内から日本各地へつながる高規格幹線道路によって、 最適な輸送方法を陸・海・空から選択できるようになりました。 このメリットは名古屋港だけの優位性であり、効率的な生産体制を敷いた魅力的な工業港と言えます。
自動車の輸出 名古屋港の取扱貨物 輸出品(平成24年) 自動車の輸出台数・金額ともに日本一(年間147万台) (輸入) だいたい自動車のための原材料・燃料等60%くらい (輸出) 完成自動車52.1% 自動車部品18.4% →約7割が自動車関連 名古屋港の取扱貨物 輸出品(平成24年)
5大港比較(貿易額) 億円 約13.5兆円 貿易額(2011年) 貿易額(2011年)
Ⅱ 問題点とその解決
1.No1だからこその… ②コンテナ ①定期航路の維持・拡大 ターミナル機能の拡充 ③陸上輸送 ④港湾物流システムの高度化 ネットワーク機能の確保 ④港湾物流システムの高度化 ⑤集中管理ゲート運用に伴う問題への対応 「問題点」 ・圧倒的な流通量による問題 ・流通量が増えることにより時間通りに仕事できなくなる ・コンテナのスペースが減っている ・拡大→老朽化 ・防波堤 液状化 ・日本では一番だから世界を見ていかなければならない
2.施策展開に向けてのポイント ①地域産業を支えるインフラとしての役割 ②ソフト・ハード両面からの施策展開 ③既存ストックの有効活用 ④ボトルネックの移動 ⑤災害時における対応
「エネ・穀物輸入10港に集中」 ・政府主導の大型港湾集中整備 ・輸入コスト4割削減を目標 ・世界的に大型化する 貨物船に対応した拠点港に ・税制優遇や財政投融資 による低利融資可能に 食料やエネルギー資源の輸入コスト増が企業収益圧迫 海上輸送の効率化が求められる 全国10港に投資し、穀物、石炭、鉄鉱石を大型船でまとめて輸入する取組みを始める(2018~) 中国、韓国は国主導で大型港湾を整備し国際競争力を高めている 日本は輸入コストの4割程度の削減めざす 特定貨物輸入拠点港湾に指定された10港については税制優遇や財政投融資による低利融資受けられる(高機能な設備投資に対するもの) これまで…それぞれの港が中型船を使って海外から資源を輸入していた 今後… 複数の積荷を大型船でいったん拠点港まで運んでそこから積み替えるなどして中小の船でほかの港に運ぶ仕組みに改める。拠点校は大型船が入港できるように水深を深くして荷さばき用の施設の高度化なども進める。 日本経済新聞2014.10.12
3.解決策 時間通りに仕事が出来なくなるので、ジャストタイム方式ではなくリードタイムで仕事をこなし、またIT自動化ターミナルを整備 アジアの成長を取り込み、日本の経済と産業の成長を牽引する『国際産業ハブ港』を目指す→国際競争力強化 防潮堤、防潮水門、耐震強化岸壁(災害対策)
解決策(続き) 港湾計画の変更 自動車物流の効率化のため →完成車の保管能力UP! 金城ふ頭を埋め立てて用地確保 (日本経済新聞10月7日)
Ⅲ まとめ
まとめ 現在でもかなりの実力を誇っているが、国際 強争力強化などの対策をしているので 名古屋港の未来は明るく 世界を獲る日はそう遠くないと感じる。 つまりは、こういうことだ…
最強の港
参考文献 名古屋港管理組合 http://www.port-authority.minato.nagoya.jp 名古屋港のホームページ http://www.port-of-nagoya.jp/keikaku/1-1/1-12/siryo_2.pdf 国土交通省 港湾関係統計データ http://www.mlit.go.jp/statistics/details/port_list.html