重RIビーム粒子識別用 全エネルギー検出器の開発

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Presentation transcript:

重RIビーム粒子識別用 全エネルギー検出器の開発    東北大学大学院 理学研究科  物理学専攻 原子核物理           遠藤 奈津美 原子核物理の遠藤奈津美です。よろしくお願いします。重RIビーム粒子識別用全エネルギー検出器の開発という研究を行いました。この研究について報告します。

RI ビームを用いた原子核実験@RIBF(2007-) 領域:  エネルギー: 250-300 MeV/A  質量数 A : <U(電荷状態の制限から <100) 物理  電磁破砕反応: (γ,n), (γ,p)… (ソフト)巨大共鳴: 集団運動    非共鳴励起 : 一粒子運動  核子散乱 : (p,p), (p,p’),                   (p,2p), (p,d)…    基底/励起状態の核構造 技術  前方に放出される入射核破砕片の測定  特に粒子識別: (Z、A)の同定    まず、目的・動機です。現在理化学研究所で建設中のRIビームファクトリーRIBFでは、エネルギー領域核子当たり250-300MeV、質量数100以下のRIビームを用いた原子核実験が可能になります。実験としては、重い標的からのバーチャルフォトンを用いた(γ、n)や(γ、p)反応などの電磁破砕反応実験や、(p,p),(p,p’),(p,2p),(p,d)反応などの核子標的を用いた核子散乱/反応実験が考えられています。前者では巨大共鳴やソフト巨大共鳴などの集団運動の研究や、非共鳴励起を用いた一粒子運動の研究が行われます。この場合、主に不変質量法が用いられるため、中性子や陽子の測定に加えて、前方に放出される残留核、つまり入射核破砕片の粒子識別、原子番号Zと質量数Aの識別が必要になります。

質量数A → 運動量R、電荷Z、全エネルギーE     粒子識別の方法 ①電荷/運動量/速度 ②電荷/運動量/全エネルギー 質量数A → 運動量R、電荷Z、全エネルギーE 精度:σE/E〜0.1% ← σA/A=0.2/100 ↓ 高精度全運動エネルギー検出器の開発 粒子識別の方法としては三つの独立な量を測ればよく、電荷/運動量/速度を測定する方法と電荷/運動量/全エネルギーを測定する方法の二つが考えられます。今回は二番目の全エネルギーの測定を試みています。質量数Aを運動量R、電荷Z、全エネルギーEで表すと、質量分解能は誤差の伝播によりこのような式で表されることになります。ここで、質量数A=100の粒子が5σ分離つまりσA=0.2を満たすためにはエネルギー分解能は0.1%必要ということになります。そこで、この0.1%を満たすような高精度全運動エネルギー検出器の開発が必要となります。

電荷積分型 前置増幅器 (pre amp) + 整形増幅器 (shaping amp) 高精度全エネルギー検出器の候補 ε(eV) 検出器本体 前置回路 Ge検出器(半導体) 3 固体電離箱 電荷積分型 前置増幅器 (pre amp) + 整形増幅器 (shaping amp) NaI(Tl)検出器 (シンチレーション) 25 NaI(Tl) +光電子増倍管 CsI(Tl)検出器 (シンチレーション) 56 CsI(Tl) +Photo diode 高精度全エネルギー検出器の候補として考えられるのがGe検出器、NaI検出器、CsI検出器の三つです。ε、これは半導体検出器では1つの電子正孔対を生成するためのエネルギーであり、3eV、シンチレーション検出器は1つの光子を生成するためのエネルギーであり、NaIは25eV、CsIは56eVとなっています。検出器本体はNaIは光電子増倍管と、CsIはPhoto diodeと組み合わせて用いられます。前置回路は三つとも共通で、電荷積分型前置増幅器pre ampと整形増幅器shaping ampを用います。今回はこの3つの中で電子正孔対エネルギーが3eVでありエネルギー分解能が良いとされているGe検出器と検出器の大型化と安定動作の観点からCsI検出器についての研究開発を行い、重RIビームを用いてエネルギー分解能がどのくらいかを調べました。 ⇩ Ge検出器  : 高エネルギー分解能(ε=3eV)    CsI(Tl)検出器: 大型化、安定動作 

全エネルギー≧数〜数十GeV用の前置増幅器 +HV Pre amp hybrid Rf Cf Shaping amp (CR) (RC)2〜4 ADC Ge CsI(Tl)-PD Q Vout Rf’ Cf’ τ=2〜10μsec   Vout=Q/Cf 〜50V/1GeV@Cf=1pF     → = Q/(Cf+Cf’) Cf’=10〜500pF  τ=CR〜(Cf+Cf’){RfRf’/(Rf+Rf’)}=100〜500μsec      まずは二つの検出器に共通の前置回路について説明します。GeとCsIに組み合わせるPhoto diodeはどちらも電荷を発生させます。その電荷をpre ampで電荷に変換し、shaping ampで整形増幅してADCで波高分布を測定します。Pre ampの出力は電荷とフィードバックコンデンサの値で決まりますが、今回は全エネルギーが数十GeVの領域で使うため、ふだん使われているようなpre ampについてるフィードバックコンデンサ1pFでは、pre amp出力が1GeVあたり50Vにもなってしまいます。そこで、フィードバックコンデンサを大きくしてゲインを下げるということを行います。今回は、pre ampのフィードバックコンデンサを付け替えたり、ハイブリッドに外付けでコンデンサをつけたりしました。このときのフィードバックコンデンサの値は10〜500pFとなっています。また、時定数はフィードバックコンデンサだけでなく、抵抗でも決まるので、コンデンサの値にあわせて付け替え、大体100〜500マイクロsecになるように調節しました。

実験場所 放射線医学総合研究所 HIMAC (Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)加速器 実験場所  次に今回の研究で使用した実験施設HIMACについて説明します。HIMAC加速器は千葉にある放射線医学総合研究所に癌治療のために建設された重イオンシンクロトロンです。加速器はイオン源室で原子をイオン化、初期加速し、線形加速器でさらに加速、シンクロトロンで重イオンを最大で核子あたり800MeVまで加速することができます。この加速ビームを物理実験照射室に引き出し、実験を行っています。 放射線医学総合研究所 HIMAC (Heavy Ion Medical Accelerator in Chiba)加速器

実験方法 E0 ← B2(D2) E SB2 E0 Ge/CsI Δp/p E Si ΔE〜Z2/β2 F1 実験方法 F2 SB2 D1 SF1 D2 wedge Al真空隔壁 Be標的 E0 SF3 二次ビーム Ge/CsI Δp/p E TOF 40Ar、84Kr 一次ビーム400MeV/A D〜2cm/% β Si ΔE/E=±0.06% @±1mm ΔE〜Z2/β2 Si counts E0 ← B2(D2) エネルギー 損失(Al真空 隔壁、SF3、Si) E 選択 Ge/CsI スペクトル 物理実験照射室に引き出してからと実験法法について説明します。今回使用したのはSB2と呼ばれる二次ビームラインです。核子あたり400MeVの40Arと84KrビームをBe一次標的に照射し、入射核破砕反応により二次ビームを作ります。運動量分散焦点面F1にはF1プラスチックシンチレータSF1、wedge、F1slitが置かれています。第二焦点面F2にはmass slitが置かれています。これらを通過したビームはアルミ真空隔壁で大気中に出てきて、F3プラスチックシンチレータSF3、ΔE検出器であるSiを通り、GeあるいはCsIの全エネルギー検出器の中で全て止まります。この全エネルギー検出器で止まった粒子を選ぶために、 SiとSF1-SF3でのTOFの二次元スペクトルを用います。そこで一つの粒子を選択し、アルミ真空隔壁直前のエネルギーE0をD2の値から計算し、隔壁からSiまでのエネルギー損失を計算して選択した粒子のエネルギー検出器への入射エネルギーを求めます。そして、F1slitを+-1mm以下に狭く絞ってエネルギー幅を小さくし、選択した粒子のエネルギー分解能を求めました。 σE 分解能  σE/E TOF E ADC channel

Ge検出器 特徴 長所:NaI(Tl)検出器と比較して分解能が良い → σE/E=(4〜6)×10-4 % 短所:高価 結晶の大きさに制限                       60Co 1.33MeV→σE=0.63keV            40Ar 250MeV/A×40=10GeV→ σE=60keV            84Kr 250MeV/A×84=21GeV→ σE=80keV        → σE/E=(4〜6)×10-4 %  短所:高価     結晶の大きさに制限     放射線損傷     扱いが大変(真空、冷却) それでは一つ目の検出器、Ge検出器から説明していきます。Ge検出器の特徴は長所としてNaIなどのシンチレータ検出器と比較して分解能が良いことがあげられます。理想的には、重イオンではこのくらいの値が得られるはずです。短所としては高価であり、結晶の大きさに制限があること、放射線損傷があること、また、真空中で冷却して用いらなければならないので扱いが大変ということがあげられます。

Ge検出器の測定原理 - 液体窒素 平衡温度98K 真空チェンバー 到達真空度 〜10-7Torr - - + - Si Ge 空乏層 P+ n+ 真空チェンバー 到達真空度  〜10-7Torr + - 荷電粒子 - - + + - + Si 真空計 逆バイアス Cu Ge検出器の測定原理について説明します。半導体検出器は逆バイアスをかけることで結晶が空乏化します。そこに荷電粒子が入ってくるとプラスの電荷はn+側に、マイナスの電荷はp+側に移動します。この時にeが素電荷、Nが電子正孔対の数、CがGeの静電容量とすると信号電圧ΔVが発生します。よって電荷はeNとなりこれはビームの入射エネルギーEに換算することができます。このGe結晶を完全に遮光でき、真空中で冷却された状態で使用できるような真空チェンバーに入れました。液体窒素で冷却した時の平衡温度は98Kで、平行温度に達した時の到達真空度は10-7Torrに達しました。 Beam Pre ampへ Ge ΔV=eN/C (C:Geの静電容量、e:素電荷、N:電子正孔対の数) →ΔQ=CΔV=eN ∝ E(エネルギー)

Ge結晶 セットアップ Ge-thick semi-planar Ge-thin planar 35mm Pre amp           セットアップ Ge-thick  semi-planar Ge-thin  planar 35mm Pre amp 142AG(ORTEC) Cf220pF、Rf1.5MΩ 60φ 今回の試験で使用したGe結晶について説明します。2種類の結晶を用いました。一つ目はセミ平板型で直径60mm、厚さ35mmの結晶です。二つ目は平板型で直径60mm、厚さ10mmの結晶です。Ge-thickで使用したpre ampはORTECの142AGで、フィードバックコンデンサ220pF、抵抗1.5MΩに自分たちで付け替えたものを使用しました。Ge-thinはクリアパルスの595Hというpre ampで、フィードバックコンデンサ510pF、抵抗1MΩが内蔵されたものを使用しました。セットアップはアルミ真空隔壁のあとにF3プラスチックシンチ、beam drift chamber BDCの後ろに真空チェンバーをおいて測定しました。 Pre amp 595H(clear pulse) Cf510pF、Rf1MΩ 60φ 10mm

Ge-thick @170V ビーム試験 40Ar 二次ビーム 解析 粒子の選択 38S(Z=16) Si counts → 分解能 (HV、F1slit幅、F2slit幅、入射角依存性) Siスペクトル ビーム試験で行った解析について説明します。Ge-thickは40Arからの二次ビームを用いて実験しました。SiとTOFの二次元スペクトルから選んだ粒子は38Sです。アルミ真空隔壁直前でのエネルギーをD2から求め、エネルギー損失を計算して最終的なGeの入射エネルギーは核子当たり84MeVになっています。この時、4000Vかけるべきところが、リーク電流が増えるためかベースラインの幅が広がっていってしまい、170Vの時が一番分解能が良く、250V以上はかけられないという状態でした。空乏層が十分でないため、空乏層でビームをとめるためにエネルギーを落としています。 TOF ADC channel  B2ρ2=3.57Tmより F2でのエネルギー 104MeV/A ↓ Geの入射エネルギー 81MeV/A (R=2.4mm) エネルギー損失(Al真空隔壁、F3プラシンチ、BDC、入射窓マイラー、Si) Ge-thick     定格電圧:4000V   リーク電流大で250V までしかかけられない

Ge-thin @1000V ビーム試験 84Kr 二次ビーム 解析 粒子の選択 80As(Z=33) Si counts → 分解能 (D2、F1slit幅依存性) Siスペクトル Ge-thinは84Krからの二次ビームを用いて実験しました。SiとTOFの二次元スペクトルから選んだ粒子は80Asです。D2よりアルミ真空隔壁直前のエネルギーを求め、エネルギー損失を計算するとGeの入射エネルギーは核子当たり231MeVになっています。 TOF ADC channel  B2ρ2=5.85Tmより F2でのエネルギー 248MeV/A ↓ Geの入射エネルギー 231MeV/A (R=7.3mm) エネルギー損失(Al真空隔壁、F3プラシンチ、BDC、入射窓マイラー、Si) Ge-thin       定格電圧:1000V   

ビーム試験 結果と考察 Ge-thick 170V F1slit ±0.5mm (actual 0.85mm) ビーム試験 結果と考察 counts Ge-thick 170V F1slit ±0.5mm (actual 0.85mm) ↓ σE/E=0.35%@3GeV Geスペクトル 結果です。二つの結晶で実験を行い、求めたエネルギー分解能の中でで一番良いもののGeスペクトルです。横軸がADCのチャンネル、縦軸はカウント数です。Ge-thickに170Vかけ、F1slit+-0.5mm、実際の全幅は0.85mmの時のものです。エネルギーを落としているので、最終的には3GeVでのエネルギー分解能0.35%という結果となりました。問題点はHVがかからないこと、エネルギー分解能は何で決まっているかということです。ビームの広がりはF1slit+-0.5mmとかなり絞っているので十分小さいと思っていて、ストラグリングも計算してみると十分小さいため大丈夫と思っています。そこで次に疑うべきは回路であり、pre ampのフィードバックコンデンサを大きくしているためなのかもしれませんが、よくわかっていません。以上でGe検出器について終わります。 ADC channel 問題  HVがかからない  σE/E=0.3%は何で決まっているか beam、straggling:OK ? Pre amp Cf大 ?

CsI(Tl)検出器 NaI(Tl)検出器との比較 NaI(Tl)検出器 CsI(Tl)検出器 潮解性 有り < 無し(扱いが容易) 蛍光寿命(τ) 0.2μsec >  1μsec 密度(ρ) 3.67g/cm3 4.51g/cm3 光の波長(λ) 415nm 光電子増倍管 (gain高い) 540nm Photo diode 分 解 能 ε 25eV <? 56eV 変換効率 20% 80〜100% 光電子数 NaI(Tl)の2倍 次にCsI検出器について説明します。特徴をNaIとの比較でまとめました。潮解性については、NaIは潮解性がありアルミなどのケースに入れなければ使用できませんが、CsIはほぼなく、扱いが容易です。シンチレーションの寿命は、CsIは1μsecと長くなっています。密度はCsIの方が大きいので重イオンを止めやすくなっています。放射光の波長は、CsIは540nmと長く、光電子増倍管には適していないのでPhoto diodeを用います。(次ページ図を見せる) 分解能については、εはNaIの45%の56eVですが、電子への変換効率がCsIの方が高いので、これらを考慮して計算すると、光電子数はNaIの2倍となりCsIの方が分解能が良いかもしれないと期待できます。

光の波長領域 この図から、CsIの波長領域がここであるのに対して、光電子増倍管は波長が短く、Photo diodeはほぼ同じであることがわかります。(前ページに戻る)

CsI(Tl)検出器の測定原理 反射材(アルミホイル、紙、3M-ESR) グリス CsI結晶 102×50 [鏡] Photo diode 遮光ケース グリス 荷電粒子 Pre ampへ CsI結晶 102×50 [鏡] 302×40 [鏡/スリ] 403 [鏡/スリ] (40cube) 503 [鏡]  (50cube) Photo diode 102(200、300μmt)         :50V 182 (300μmt):100V 282 (300μmt):100V ライトガイド CsIの測定原理について説明します。CsI結晶に入射した荷電粒子はCsIの物質と相互作用してエネルギーを失って静止し、蛍光体原子Tlが励起され、これが蛍光発光します。この光子がPhoto diodeに入射し、その飛跡に沿ってたくさんの電子正孔対が生成され、電荷を発生させます。CsIは反射材でつつみ、グリスでライトガイドまたはPhoto diodeに接着し、遮光ケースに入れました。結晶とPhoto diodeは書いてある通り、数種類の大きさを用意し、結晶表面の状態もピカピカの鏡面のものとスリガラス状のものを用意しました。反射材についてもアルミホイルや紙、3MのESRというフィルムを使ってどの組み合わせが分解能が良いか、テストしました。 結晶表面    (鏡面、スリガラス)

102×50小型結晶のテスト 反射材に3M-ESR →アルミホイルの2倍の分解能 表面状態はスリガラスより鏡面 ⇩  (Photo diode 102     pre amp 142A Cf1pF) 反射材に3M-ESR  →アルミホイルの2倍の分解能 表面状態はスリガラスより鏡面     ⇩ まず、10×10×50の小型結晶に10×10の一番小さいPhoto diodeをつけた時のテストを行いました。Pre ampはORTECの142Aを使用しています。上のスペクトルは反射材についてテストしたものです。赤い線がアルミホイルをまいた時、緑の線が3MのESRというフィルムです。アルミホイルの時に比べて3M-ESRというフィルムの時に2倍分解能が良くなりました。また、下のスペクトルは表面状態についてテストしたものです。赤い方が鏡面、緑がスリガラスです。鏡面の方が分解能は良くなっています。このテストを踏まえて、結晶およびPhoto diodeの大型化、Pre ampがビーム試験に対応するためのフィードバックコンデンサの付け替えを行いました。 結晶、Photo diodeの 大型化(集光、容量) Pre ampのCf大

Pre amp ハイブリッド Clear Pulse CS515-1 SOSHIN CS AMP-3 HOHSHIN N012-1 Cf’、Rf’ Pre amp ハイブリッド Clear Pulse CS515-1 SOSHIN CS AMP-3 HOHSHIN N012-1 CS515-1 組み込む基板作成 γ線源(60Co)でテスト  →分解能 Cf’大きくし、動作確認 →ビーム試験で使用する pre amp決定 Cf’、Rf’ CS AMP-3 まずはpre ampについて説明します。ORTECの142シリーズのpre amp等は自分達で改造するのが難しいので、今回はハイブリッドを用いて自作することにしました。ハイブリッドは3種類、___、___、___です。これらを組み込む基板を作成し、コバルトの分解能、外付けのフィードバックコンデンサの値を大きくしてもきちんと動作するかどうかテストし、ビーム試験で使用するpre ampをきめました。写真の矢印の先に外付けのフィードバックコンデンサと抵抗がついています。 N012-1 Cf’、Rf’

Pre ampの決定 → CsI:CS515-1にCf’=100pF、Rf’=1MΩ Si:N012-1にCf’=10pF、Rf’=10MΩ CS AMP-3 N012-1 1pF ○ 10pF 100pF × 40cube スリガラス + PD 282 テストの結果です。40cube、スリガラスの結晶にPhoto diode28のもの、大きい結晶とPhoto diodeの組み合わせにそれぞれのpre ampをつなげて見たコバルトのスペクトルです。フィードバックコンデンサは1pFです。___と___は二つのピークが別れて見えますが、___は全く別れていません。また、フィードバックコンデンサを大きくしてみたところ、___と___は、特にCS515-1はフィードバックコンデンサを付け替えられるとはマニュアルに書いてなかったのですが、100pFでも動作するのに対し、___に10pFより大きいものをつけると発振してしまい、10pFまでしかつけられないことがわかりました。よってビーム試験で使用するpre ampはCsI用にCS 515-1、フィードバックコンデンサ100pF、抵抗1MΩ、Si用にN012-1、フィードバックコンデンサ10pF、抵抗10MΩをつけて使用することにしました。 Pre amp Cf’=1pF → CsI:CS515-1にCf’=100pF、Rf’=1MΩ   Si:N012-1にCf’=10pF、Rf’=10MΩ

大型結晶のテスト 反射材 3M-ESR→アルミホイルではわかれなかった60Coの二つのピークが見える (40Cubeスリガラス+PD 282、ORTEC142A Cf=1pF) 表面状態 鏡面よりスリガラス 大型結晶で60Coの2つのピークがわかれる (40cube+PD282 3M-ESR、 CS515-1 Cf=1pF) 次に大型結晶で行ったテストの結果です。上のスペクトルは反射材について示していて、赤がアルミホイルの時、緑が3Mフィルムの時です。アルミホイルでは分れなかった60Coの二つのピークが見えます。下のスペクトルは表面状態についてです。赤が鏡面、緑がスリガラスの時です。スリガラスの方が分解能がよく、60Coの二つのピークが分かれています。これは小型結晶の時とは逆の結果となっています。しかし、この関係はよくわかっていません。 小型:鏡面 大型:スリガラス

ライトガイド ライトガイドをつける ことにより、分解能 良くなる (50cube鏡面 3M-ESR、 N012-1 Cf=1pF) ⇩   60Coのふたつのピークがわかれるようになる 組み合わせを選ぶと大型結晶でも60Coの二つのピークが分かれることが分かりましたが、分解能は良いとは言えません。そこで、ライトガイドをつけることで光を絞ったらどうなるかをテストしました。スペクトルがその結果です。赤が結晶にそのまま大きいPhoto diodeをつけた時、緑がライトガイドをつけてPhoto diodeを接着した時です。これらのテストより反射材に3M-ESRフィルムを使用し、ライトガイドをつけると60Coの二つのピークがかなりきれいに分かれてきていることがわかります。

ビーム試験 結晶とPhoto diodeの組み合わせ CsI 50cube(鏡面) + LG + PD 182 セットアップ CsI 40cube(鏡面) + PD 282 CsI 40cube(スリガラス)      + LG + PD 182 CsI 182×40(スリガラス) + PD 182 CsI 182×40(スリガラス) + PD 282 セットアップ これらのベンチテストの結果をもとにビーム試験での結晶とPhoto diodeの組み合わせを決定し、これらについてエネルギー分解能を求めました。この2つではライトガイドの絞り方での比較、この3つでは結晶の表面状態での比較とライトガイドをつけた場合の比較、この2つでは結晶の大きさが同じなので光量が同じ時のPhoto diodeでの比較を目的としています。セットアップは図のようにアルミ箱を用意し、この中にSi、CsI、pre ampを入れて完全に遮光しました。 アルミ箱

40Ar 二次ビーム 解析 粒子の選択 37S(Z=16) → 分解能 B2ρ2=5.78Tmより F2でのエネルギー 264MeV/A klab: 40Ar 二次ビーム 解析 粒子の選択 37S(Z=16) Si counts → 分解能 (F1slit幅、shaping time依存性) Siスペクトル CsIは40Arからの二次ビーム、84Krからの二次ビームを用いて実験しました。 40Arからの二次ビームでSiとTOFの二次元スペクトルから選んだ粒子は37Sです。アルミ真空隔壁直前のエネルギーをD2から求め、エネルギー損失を計算してCsIの入射エネルギーは核子当たり254MeVになっています。 TOF ADC channel  B2ρ2=5.78Tmより F2でのエネルギー 264MeV/A ↓ CsIの入射エネルギー 254MeV/A (R=2.1cm) エネルギー損失(Al真空隔壁、F3プラシンチ、BDC、入射窓アルミホイル、Si)

84Kr 二次ビーム 解析 粒子の選択 82Se(Z=34) Si counts Siスペクトル 84Krからの二次ビームでSiとTOFの二次元スペクトルから選んだ粒子は82Seです。この部分を拡大したものがこの図です。アルミ真空隔壁でのエネルギーをD2から求め、エネルギー損失を計算してCsIの入射エネルギーは核子当たり243MeVになっています。 TOF ADC channel  B2ρ2=6.11Tmより F2でのエネルギー 270MeV/A ↓ CsIの入射エネルギー 243MeV/A (R=1.0cm) エネルギー損失(Al真空隔壁、F3プラシンチ、BDC、入射窓アルミホイル、Si)

ビーム試験 結果 37S(Z=16) 82Se(Z=34) σE/E=0.35% @9GeV σE/E=0.36% @20GeV ビーム試験 結果   37S(Z=16) 82Se(Z=34) counts counts CsIスペクトル CsIスペクトル σE/E=0.35% @9GeV σE/E=0.36%   @20GeV 結果です。今回の試験で一番分解能が良い時のCsIのエネルギースペクトルです。左が37S、右が82Seです。 横軸がADCチャンネル、縦軸がカウント数です。37Sは結晶50cube+LG+PD28の時に全エネルギー9GeVで0.35%、 82Seは結晶スリガラスの40cube+LG+PD18の時に全エネルギー20GeVで0.36%になりました。この結果から全エネルギーが2倍も違うのに分解能が変わらないのは不思議でした。 ADC channel ADC channel    CsI 50cube(鏡面)       CsI 40cube(スリガラス)     + LG + PD 282 + LG + PD 182

分解能: 全エネルギー依存性 84Kr 二次ビーム 粒子の選択 47Sc(Z=21) 分解能: 全エネルギー依存性 Si 84Kr 二次ビーム 粒子の選択 47Sc(Z=21) そこで先ほどの二つのデータではビームったり結晶やPhoto diodeを取り替えたりしているので同じ条件にはなっていないので、84Krからの二次ビームのデータで先ほどはこの82Seを選んだ時と同じデータから今度は下の方の47Scを選んで分解能を調べることにしました。この時のアルミ真空隔壁直前でのエネルギーをD2から求め、エネルギー損失を計算するとCsIへの入射エネルギーは核子当たり295MeVです。 TOF B2ρ2=6.11Tmより F2でのエネルギー 308MeV/A ↓ CsIの入射エネルギー 295MeV/A (R=2.0cm) エネルギー損失(Al真空隔壁、F3プラシンチ、BDC、入射窓アルミホイル、Si)

CsI 40cube(スリガラス) + LG + PD 182 47Sc(Z=21) counts 84Se 47Sc σE/E 0.36% 0.39% E 20GeV 14GeV CsIスペクトル σE/E=0.39%   @14GeV 分解能 : 全エネルギーに       あまり依存しない スケール: 飽和 結果です。先程と同じCsI40cubeスリガラスの結晶にライトガイド、Photo diode18をつけた時のCsIスペクトルです。全エネルギー14GeVの時、分解能0.39%という結果になりました。84Seと47Scの結果をまとめるとこの表のようになります。これによりエネルギーが低くなるとわずかに分解能が悪くなってはいますが、エネルギーの比から求める分解能よりは良いという結果になり、全エネルギーにはあまり依存しないという結果になりました。エネルギースケールが飽和しているのかもしれません。 ADC channel CsI 40cube(スリガラス) + LG + PD 182

CsI(Tl)検出器 → σE/E= 0.34%@20GeV まとめ エネルギー200-350MeV/A、質量数20-100領域の 重RIビーム実験で粒子識別に用いる 高精度全エネルギー検出器の開発 40Ar、84Kr 二次ビームで試験 Ge検出器 → σE/E=0.35%@3GeV CsI(Tl)検出器 → σE/E= 0.34%@20GeV >0.1%(A=100) 原因 Ge : 表面の汚れ?     CsI(Tl)  : 結晶中での飽和           Photo diodeでの電荷収集     Ge/CsI(Tl): 回路(pre ampのCf 大) ? まとめです。エネルギー核子当たり200-350MeV、質量数20-100領域のRIビーム実験で粒子識別に用いる高精度全運動エネルギー検出器の開発を行いました。40Ar、84Krからの二次ビーム試験し、分解能を求めたところ、Ge検出器で0.35%、大型結晶のCsI検出器で0.34%という値が求められました。このことは質量数A=100に対して要求される分解能0.1%には達しなかったということになります。原因として、Ge検出器はGe表面の汚れによりリーク電流が大きくなり十分なHVをかけられなかったこと、二つの検出器に共通する回路の問題、pre ampのCfが大きいこと、CsI検出器はCsI結晶中での飽和やPhoto diodeの電荷収集がきちんと行われているのかなどがあげられますが、これららについてはきちんとしたことはわかっておらず、さらなる解析や実験が必要かと思います。以上です。

CsI(Tl)の動作パラメータ Pre amp Cfの増大: 速い回路では不安定(発振)、遅いHybridではOK 分解能への効果? Photo diode 面積、容量: 明確な相関見えない 結晶表面 鏡面(小型)、スリガラス/Diffuser(大型) 反射材 高反射率の3M-ESR 集光(受光)割合、ライトガイド 高く、ゆるやかにしぼる 全エネルギー 依存性弱 ビームエネルギー幅(F1スリット幅) ほぼ予想通り

 調べていない部分 CsI(Tl)中での発光量の飽和   傾向は見えている。 定量的には? Photodiodeでの電荷収集   HV=0/FULLでfew倍しか変わらない 回路?   大容量検出器+大容量 Cf    殆ど前例が無い

CsI(Tl)検出器 → σE/E= 0.34%@20GeV まとめ エネルギー200-350MeV/A、質量数20-100領域の 重RIビーム実験で粒子識別に用いる 高精度全エネルギー検出器の開発 40Ar、84Kr 二次ビームで試験 Ge検出器 → σE/E=0.35%@3.1GeV CsI(Tl)検出器 → σE/E= 0.34%@20GeV A=100に対して要求される分解能0.1%には 達しなかった     原因:Ge  表面の汚れ? Ge/CsI(Tl) 回路(pre ampのCf)? 現状:A=33までの5σ分離が可能 まとめです。エネルギー核子当たり200-350MeV、質量数20-100領域のRIビーム実験で粒子識別に用いる高精度全運動エネルギー検出器の開発を行いました。40Ar、84Krからの二次ビーム試験し、分解能を求めたところ、Ge検出器で0.35%、大型結晶のCsI検出器で0.34%という値が求められました。このことは質量数A=100に対して要求される分解能0.1%には達しなかったということになります。原因として、Ge検出器はGe表面の汚れによりリーク電流が大きくなり十分なHVをかけられなかったこと、二つの検出器に共通する回路の問題、pre ampのCfが大きいことなどがあげられますが、これらは推測であり、きちんとしたことはわかっていません。

大立体角磁気分析器 大型超伝導電磁石 (磁場3テスラ) 入射RIビーム リターンヨーク (BigRIPS より) 磁極(直径 2m) 超伝導コイル 真空箱 標的 中性子 回転台 中性子検出器 焦点面検出器 重入射核破砕片 陽子

目的 エネルギー200-350MeV/A、質量数20-100 領域での重RIビーム実験 入射核破砕片の粒子識別(Z、A) ↓ 入射核破砕片の粒子識別(Z、A)      粒子識別の方法 ①電荷/運動量/速度 ②電荷/運動量/全エネルギー まず、目的です。エネルギーが核子あたり200-350MeV、質量数20-100領域での重RIビーム実験を行うと、入射核破砕片がたくさんできます。その破砕片の粒子識別、ZとAを知ることが重要であり、また困難でもあります。その粒子識別の方法としては三つの独立な量を測ればよく、電荷/運動量/速度を測定する方法と電荷/運動量/全エネルギーを測定する方法の二つが考えられます。今回行った研究では二番目の方法の全エネルギーの測定というのを試みています。

Ge-thick HV依存性 250〜90Vまではほぼ同じ分解能 170V以上かけるとベースラインが広がるが、分解能は変化しない

Ge-thick F1 slit幅依存性 Slit幅〜2mmではビームの広がりの効果は小さい    → Geの分解能

Ge-thick 入射角依存性 入射角依存性はない 再結合の効果は小さい (後日、セミ平板型ではなく同軸型であることが判明)

Ge-thin D2、F1 slit依存性 D2を+0.5%(1.03122→1.03636)にすると分解能良い    原因はよくわからない

CsI ライトガイドによる違い 37S 82Se ライトガイドの絞りが強すぎると分解能は悪くなる

CsI 結晶表面、ライトガイドでの違い 82Se 37S 鏡面よりスリガラスが分解能良い ライトガイドでさらに良くなる

Photo diodeによる違い Photo diodeの有感面積が大きい方がノイズがのりやすく、分解能が悪くなると予想 ↓ CsI Photo diodeによる違い 37S 82Se Photo diodeの有感面積が大きい方がノイズがのりやすく、分解能が悪くなると予想 ↓ 37Sは変化無し

CsIについてのまとめ 反射材 → 3M-ESRフィルム 結晶表面 → 小型結晶γ線試験:鏡面 大型結晶γ線試験:鏡面/スリガラス        大型結晶ビーム試験:スリガラス               ↓            さらにテスト必要 ライトガイド → 絞りすぎは× CsIについてまとめます。反射材については

F2 slit幅依存性 Wedgeを入れて粒子を選んでいるので、mass slitで変化は見られないはず ↓ 予想通りの結果 Ge-thick F2 slit幅依存性 Wedgeを入れて粒子を選んでいるので、mass slitで変化は見られないはず       ↓ 予想通りの結果