統計教育に関する指針 ~欧米の例から~ 宮崎大学教育文化学部 藤井良宜
2004/7/31 統計教育委員会
米国統計学会 ガイドライン作成までの経緯 1999.5.25 2000.4.28-29 2000.8.12-13 Undergraduate Statistics Education Initiative (USEI) 学会、経済界、政府からの代表10名で会議を開く Vision とMission を定義する。 2000.4.28-29 Workshop on developing undergraduate curriculum guidelines 大きな大学の代表17名、小さな大学の代表18名、経済界から5名 統計の学位を出すために必要なトピックを特定する。 マイナーとしての統計教育に必要なトピックを特定する。 2000.8.12-13 Symposium(約150名が参加) Improving the Workforce of the Future: Opportunities in Undergraduate Statistics Education 2004/7/31 統計教育委員会
USEI のVision 学生に定量的な意味づけを行うために必要な学部教育プログラムを利用できる機会を与える。 専門分野の研究を進めるために必要な、幅広い定量的な分析の基礎を与える。 現代労働者の定量的分析のリタラシーを向上させる。 2004/7/31 統計教育委員会
USEI のMission 学部の統計教育を発展・改善する。 教育プログラムのガイドラインを作成するためにWordshop やsymposium を企画する。 統計教育プログラムやその成果に対する潜在的な要求を市場調査する。 現代的な統計カリキュラムの継続的な発展や作成のサポートを行う。 2004/7/31 統計教育委員会
ガイドラインの内容 Principle Skills Needed Curriculum Topics for Undergraduate Degree in Statistical Science Curriculum Topics for Minors or Concentrations in Statistical Science Additional Information 2004/7/31 統計教育委員会
基本方針(Principle) Undergraduate programs in statistics are intended to equip students with quantitative skills that they can employ and build on in flexible ways. 2004/7/31 統計教育委員会
基本方針(Principle) 主な内容 統計の専門家を育てることを目的としない。 柔軟にこのガイドラインを適用することを推奨する 教育プログラムは、さまざまな進路を考えて柔軟なものにする。 統計の専門家を育てることを目的としない。 柔軟にこのガイドラインを適用することを推奨する 基本的な概念やデータを取り扱う方法を強調し、データ収集方法のデザインや実際のデータを統計的方法で解析する経験を与える。 数学以外のスキルの向上も目指す。 統計の教育を受けたデータを扱った経験を持つ職員が統計教育プログラムの開発や教育方法に熱心に取り組む 2004/7/31 統計教育委員会
必要とするスキル(Skills Needed) 統計的スキル 統計的な理由付け、研究のデザイン、記述的な統計解析、統計的推論などを訓練し、経験すること 数学的スキル Major 微分積分、線形代数、確率論と統計理論 Minor もう少し少ない内容でもよい コンピュータのスキル 標準的な統計ソフトウエアに慣れておく データ管理やアルゴリズムによる問題解決を推奨する 数学以外のスキル 明確に書き、流暢に話す力 共同作業やチームワークができる プロジェクトを企画・管理する 応用分野の知識をある程度もつこと 2004/7/31 統計教育委員会
統計科学の学部教育での 教育方法 実データや本当の応用を強調する 学生にとって意味があるものを選び、データの背景を示したうえで、データは与える 統計的な計算をする経験を含む 理論、方法、応用が有機的に結びつく コミュニケーションスキルを発展させる機会を多く提供する 2004/7/31 統計教育委員会
統計科学を専門とする場合の内容 統計的内容 数学的な内容 確率 計算方法 数学以外の内容 統計的理論(分布、推定、検定、ベイズ的方法など) グラフィカルなデータ解析法 統計的なモデリング 研究デザイン(ランダム割付、ブロック化、分散分析など) 数学的な内容 微積分、多変量の解析 線形代数 確率 概念と統計的な応用との関係を強調する 計算方法 プログラミング、データベースなどの概念 統計的なソフトウエアの活用 数学以外の内容 有効な技術作文、プレゼンテーション チームワークや共同作業 データ収集の計画 データの管理 2004/7/31 統計教育委員会
マイナー教育(他の専門分野を専攻する学生)の内容 一般的な統計的な方法 統計的な考え方、記述統計、推定、検定 統計的なモデリング 単回帰、重回帰 モデルの診断 統計ソフトウエアを利用する経験 2004/7/31 統計教育委員会
マイナー教育の例 (Purdue University) 統計的方法 統計学部の初等的なコースのうち1つあるいは他の学部の初等コース 確率 応用回帰分析 次の中から2つ選択 統計的品質管理 実験計画 確率論 統計理論 オペレーションリサーチにおける確率的モデル 2004/7/31 統計教育委員会
マイナー教育の例 (St. Lawrence University) 次の中から5つ選択する 応用統計 応用統計II 確率 数理統計 時系列解析 生物統計学 経済における定量的方法 経済統計学 心理学における調査方法 社会学における定量的方法 この中から1つあるいは2つ選択すること 2004/7/31 統計教育委員会
日本版を作成するに当たって 基本方針の内容の検討 日本の統計教育の現状 統計科学を専門とするカリキュラムの指針を与えるのか? 日本の場合に、統計科学を専門とする学部レベルのコースがあるのか? マイナー教育の可能性は? マイナー教育の内容の検討 2004/7/31 統計教育委員会