慢性閉塞性肺疾患(COPD) 4年 加藤彩香.

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慢性閉塞性肺疾患(COPD) 4年 加藤彩香

COPDとは 有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性・完全に可逆的ではない気流制限を呈する疾患 原因:慢性気管支炎、肺気腫 ①40才以上 ②喫煙歴 ③慢性的な咳嗽・喀痰や労作時呼吸困難  ⇒慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いあり 【確定診断】 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーでの1秒率(FEV1%)<70% および、他の疾患の除外

COPDの危険因子 外因性因子 内因性因子 最重要因子 ・喫煙 ・α1-AT欠損症 重要因子 ・大気汚染 ・受動喫煙 ・職業上の粉じんの暴露 ― 可能性の指摘されている因子 ・感染 ・遺伝要因 ・気道過敏性 喫煙⇒エラスターゼ活性↑⇒組織破壊 危険因子は、有毒な粒子やガス(喫煙、大気汚染など)の外因性危険因子と、患者側の内因性危険因子とに分けられる。 喫煙はCOPDの最大の危険因子である。 内因性因子の中でα1-アンチトリプシン欠損症が有名であるが、日本人ではまれである 【喫煙とCOPD】 COPD患者の約90%に喫煙歴があるといわれている 喫煙開始年齢が若ければ若いほど、COPDに罹患しやすい 発症率は年齢とともに上昇する 人口の高齢化に伴い、有病率や死亡率は今後も増加すると予想される

【症例11】 67才(O), 男性 【診断】 慢性閉塞性肺疾患(COPD ; Chronic Obstructive Pulmonary Disease) 【現病歴】  6年程前から歩道橋の階段を昇るときに息切れ(S)  10日程前に37℃台の発熱(S)  感冒薬を服用→1次的に症状はよくなる  途中で休まなければ家の階段を昇れなくなる(S)  痰がよくでるようになる(S)  痰の量も増えたように感じる(S) 慢性閉塞性肺疾患(COPD ; chronic obstructive pulmonary disease)  「有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患」  ①40才以上で、②喫煙歴があり、③慢性的な咳嗽・喀痰や労作時呼吸困難がみられる  ⇒慢性閉塞性肺疾患(COPD)の疑いあり  *確定診断* 気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーでの1秒率(FEV1%)<70%     および、他の疾患の除外

【症例11】 67才(O), 男性 【社会歴】 事務の仕事を定年退職後、一人暮らし 【生活歴】 喫煙習慣(30本/日を約50年間) (O)  事務の仕事を定年退職後、一人暮らし 【生活歴】  喫煙習慣(30本/日を約50年間) (O)     ブリンクマンの喫煙指数 =30本/日×50年間=1500 (重喫煙者)     喫煙開始年齢 : 17才?  機会飲酒(+)  運動習慣(-)

【症例11】 67才(O), 男性 【身体所見】 意識清明 身長 159cm、体重 40kg、BMI 15.8↓ 体温 37.6℃↑(O)  意識清明  身長 159cm、体重 40kg、BMI 15.8↓  体温 37.6℃↑(O)  血圧 141/72↑  脈拍 86/min 整  呼吸数10回/分(安静時、呼気延長) (O)↓  呼吸音:肺胞呼吸音減弱(O)↓  心雑音聴取せず  他には異常なし

【症例11】 67才(O), 男性 【臨床検査】 血算 : 白血球 6.46×103 /µL (Neu 72.0%↑, Eos 3.0%, Baso 3.0%↑, Mono 7.0%, Lym 15.0%↓) 赤血球 4.28×106 /µL↓ Hb 13.3 g/dL↓ Plt 30.8×104 /µL 生化学 : TP 7.7 g/dL Alb 3.9 g/dL LDH 173 IU/L GOT 25 IU/L GPT 14 IU/L γ-GPT 22 IU/L ALP 215 IU/L T.Bil 0.2 mg/dL BUN 10 mg/dL Cr 0.6mg/dL Na 136 mEq/L K 4.1mEq/L CK 99 IU/L CRP 0.03未満mg/dL 血液ガス : SpO2 95%   (室内気下) COPDの病態の中心は好中球

【症例11】 67才, 男性 【胸部X線】 肺過膨張像(O) 横隔膜の平坦化 骨後腔の拡大 滴状心 【心電図】 洞調律 HR 81 /min 【症例11】 67才, 男性 【胸部X線】 肺過膨張像(O) 横隔膜の平坦化 骨後腔の拡大 滴状心 【心電図】 洞調律 HR 81 /min ST-T 変化なし P波の増高なし 【呼吸機能検査】 肺活量(VC) : 2.54 L↓  (%VC : 72%) 1秒量(FEV1) : 0.91 L(O) 1秒率(FEV1%):50%(O)↓

Q1 COPDの自覚症状 6年程前から歩道橋の階段を昇るときに息切れ 10日程前に37℃台の発熱 家の階段を昇るとき途中で休まなければならなくなる 痰がよくでるようになる 痰の量も増えたように感じる

Q2 COPDに関する他覚所見(O)と検査値 喫煙習慣(30本/日を約50年間) 呼吸数10回/分(安静時、呼気延長) 呼吸音:肺胞呼吸音減弱 Neu 72.0%↑ 血液ガス : SpO2 95% 肺過膨張像(横隔膜の平坦化、骨後腔の拡大、滴状心) 肺活量(VC) : 2.54 L↓(%VC : 72%) 1秒率(FEV1%):50%(O)↓

胸部X線像(正面像)

胸部X線像(COPD)

Q3 処方 フドステイン錠200mg 3 Tab 1日3回 毎食後 7日分 〈去痰薬〉 チオトロピウム吸入用カプセル(18µg) 1日3回 毎食後 7日分 〈去痰薬〉 チオトロピウム吸入用カプセル(18µg) 1日1回1吸入 〈長時間型抗コリン薬〉

病気分類と治療

Q4 非薬物治療と生活指導項目 禁煙 インフルエンザ予防接種など感染予防 呼吸リハビリテーション 在宅酸素療法(HOT) 呼吸訓練(口すぼめ呼吸)、運動療法、体位排痰法など 在宅酸素療法(HOT) 肺容量減少術(LVRS) 栄養管理