開発指標 ー国全体の行政評価の可能性と限界ー 総務省人事・恩給局調査官 平井文三
開発を数的評価する傾向 人間開発報告(Human Development Report: HDR)と人間開発指標(Human Development Index: HDI)(1990年) ミレニアム宣言とミレニアム開発目標(2000年) (その間に、共通国別評価(CCA)、持続可能な開発指標等5つの指標体系、300弱の指標)
HDRとHDI(1) HDRは、開発途上国の「豊かさ」を包括的に分析する報告書(他にグローバルHDRもあり) (平均寿命、成人識字率・総就学率、1人当たりGDPの平均)
HDRとHDI(2) HDRの4指標 HDI GDI(ジェンダー関係開発指数) GEM(ジェンダー・エンパワーメント測定) HPI(人間貧困指数)
ミレニアム開発目標 2000年9月のミレニアム・サミットで、国連ミレニアム宣言採択 2001年9月に、事務総長が開発と環境部分について、ミレニアム開発目標として、8目標、18ターゲット、48指標に整理 世銀・IMFの貧困削減戦略文書、UNDPのHDR、国連開発グループのCCA等で使用
ミレニアム開発目標の例 目標1:貧困と飢餓の根絶 ターゲット1:1日1ドルより少ない収入の人々の割合を半減する 指標1:1日当たりの所得が1ドル(購買力平価)未満の人口の割合
そして統計能力へ SDDS(特別データ公表基準)とGDDS(一般データ公表システム) DQAF(データ品質評価フレームワーク) PARIS21の統計能力構築指標
SDDSとGDDS 1994年末のメキシコ金融危機対応 1996年IMFがSDDS(先進国向け)を策定 18のデータ項目 4つの基準 データの範囲・公表周期・公表の早さ 一般からのアクセス データの信頼性 公表データの品質 開発途上国版として1997年にGDDS
DQAF SDDS等の一定のデータ・メタデータ提供義務に加えて、統計データ生産プロセス自体の評価 IMFが加盟国に対して行うROSCs(基準と規約の遵守報告)審査のデータ公表モジュールの審査基準としても使用 ①誠実さ、②手法的健全性、③正確性、④信頼性、⑤有用性、⑥アクセス性
統計能力構築指標(1) PARIS21(PARtnership In Statistics for development in the 21st Century)は、1999年に結成された、国際機関、援助国、被援助国等からなる、開発のための統計能力構築のための国際コンソーシアム 2001年から、統計能力構築指標作成のためのタスク・チームを設置、2002年9月に最終報告
統計能力構築指標(2) 16の量的指標(資源〔内外の財源、職員、装備〕、インプット〔調査・行政データ源〕、統計成果物) 18の質的指標(制度的・組織的環境、中核的統計プロセス、統計成果物) 当該国の政府での統計システムのマネジメント及び国際比較目的のために使われる
これからの課題 指標の整理(戦略の明確化) 実施体制の整理(国際機関間の連携) 水準の適正化(測定の現実性) 援助側の説明責任(特に国際機関) プロセスへの関係者(開発途上国・先進国双方の政策担当者・統計担当者)のインボルブメント・コミットメント