情報法 第6講 情報不法行為(2) プロバイダ責任
プロバイダ責任の追及 (1)プロバイダ責任追及の構図 (2)プロバイダ責任と表現行為の萎縮 (3)プロバイダ責任制限法(今週)
(4)B.プロバイダ責任制限法 4条1項[送信防止措置不実施の責任制限] ネットで不特定人に流した 情報により権利侵害 プロバイダが侵害情報の 送信防止を技術的に可能 一 プロバイダが権利侵害を知っていた 二 プロバイダが侵害情報流通を知り、これによる権利侵害 を知ることができたと認めるに足りる相当の理由がある場合 一,二のいずれかに該当しなければ免責 該当すれば免責されない =不法行為の要件を具備すれば、賠償責任あり ただし、プロバイダ自身が発信者の場合は別=免責されない
4条1項の構図 免責→ プロバイダ 送信停止可能 (でも停止措置はしない) 侵害情報 権利侵害 サーバ 不特定多数の インターネット 権利侵害は知らず、 知ることができた 相当の理由がある とはいえない 送信停止可能 (でも停止措置はしない) 侵害情報 権利侵害 サーバ 不特定多数の インターネット ユーザー INTERNET 被害者 掲示板利用者
(4)B.プロバイダ責任制限法 4条2項[送信防止措置実施の責任制限] ネットで不特定人に流した 情報の送信防止を実施 送信防止により発信者に損害発生 送信防止措置が必要最小限 一 不当な権利侵害と信じるに足りる理由があった 二 侵害情報送信防止を求められたプロバイダが発信者に 意見照会をして、七日以内に不同意の回答がない 一,二のいずれかに該当すれば免責 該当しなければ免責されない =不法行為または契約違反となれば、賠償責任あり
4条2項の構図 免責→ プロバイダ 送信停止 (必要最小限の停止措置) 情報 サーバ 権利侵害 の外観 不特定多数の インターネット 不当な権利侵害と 信じる相当の理由 がある 免責→ プロバイダ 送信停止 (必要最小限の停止措置) 発信者に照会し送信 停止に不同意の回答なし 情報 サーバ 権利侵害 の外観 不特定多数の インターネット ユーザー INTERNET 表見被害者 掲示板利用者=発信者
(4)C.判例 動物病院対2ちゃんねる 女雀士清水香織対2ちゃんねる DHC対2ちゃんねる 会社員対2ちゃんねる 予備校対MILKCAFE 損害賠償棄却、差止(削除)請求認容 ダイビングショップ対2ちゃんねる エイジアン対2ちゃんねる
A.名誉毀損・プライバシー侵害の成立をめぐる主張立証責任 (5)プロバイダ責任に関する残された論点 A.名誉毀損・プライバシー侵害の成立をめぐる主張立証責任 請求原因 被害者に対する権利侵害 故意・過失=条理上の作為義務違反 被害者の権利が侵害されていることをプロバイダが知っていたか、知りうべき場合は当然の前提 公共性、公益目的、真実性または相当性がないことも前提のはず 因果関係、損害
(5)プロバイダ責任に関する残された論点 B.差止めと損害賠償 不法行為に対する一般的理解 人格権侵害での可能性 損害賠償が原則 差し止めは特に例外的な事情がある場合 人格権侵害での可能性 過失がない場合でも差し止めは可能 特定の情報削除ならば、表現の自由への侵害も最小限 被害者救済につながる =損害賠償を認めず、差し止めのみ認めることも考えられる。